魔法戦士シンフォニックナイツ「ジャミング」
-4-
シチュエーション


「はぁ…はぁ……く……!」
「息が上がってきたようですね、フフフ…」

下魔二体とヘルメ。
魔物三体によって構成された三角形の囲みの中心にシンフォニックシュガーはいた。
前後、そして横という三方向から襲い来る敵の攻撃をさばけるほどの余裕は既にない。
一体の攻撃はかわせても、残り二体の攻撃の前には為す術がない状態だ。
本来ならばとっくの昔に戦闘不能に追い込まれていても不思議ではないこの状況。
しかし、シュガーは未だにその両脚を地面の上に立たせていた。

「はやく……莉々奈さん、を…ハァ……助けにいかないと、いけないのに…!」

ここまで立っていることができたのはひとえにヘルメ達が手加減をしているからだ。
光の下に晒された白磁のような肌を傷つけるような攻撃は一切行わず、ただ弄る様な攻撃を繰り返すばかり。
腕を弾いたり、足を引っ掛けたりという敵の攻撃は大したダメージにはなっていない。
それはそうだろう、彼らの目的は肉体的なダメージではなく、精神的なダメージなのだから。
腕を宙に弾かれるたびに、小ぶりな乳房が丸見えになりぷるるっと健気に揺れ弾む。
足を引っ掛けられるたびに転んでは股を開かされたり、お尻を突き出さされてしまう。
そのたびに、色欲にまみれた男たちの視線が、シャッター音が、フラッシュが少女の肌を叩く。

(いや……恥ずかしい、です)

身体を隠したいという衝動に何度も駆られる。
だが、敵が目の前にいる以上その行動はとれない。
何よりも、両手を使わないことには攻撃に転じることすらおぼつかないのだ。
しかし、両手を戦闘に使うということは自らの肌を衆目に晒すということに繋がる。
悪と戦うという使命感、そして年頃の女の子としての羞恥心が激しく菜々芭の心でせめぎあう。

「ほらほら、隙だらけですよ」

真正面の下魔の攻撃をかろうじてかわしたシュガーの背後をヘルメが強襲する。
体勢を整える間もなく振るわれた一閃が魔法戦士の足を捕らえた。

「あうっ……」

ピピィッ!
下半身を覆う黒のタイツが右のふくらはぎのあたりで大きく裂ける。
肌にこそ届いていないものの、その攻撃は菜々芭のバランスを崩し、左から迫る下魔に対処する暇を与えない。
ビッ、ビリリッ。
振るわれた爪の一撃が左足の太もも部分の布地を切り裂く。
右足と左足、その裂かれた布地の間からほっそりとしたまるで芸術品のような白い肌が覗いた。

「はぁ…い、いや……ストッキングが……」

肌に届いていない攻撃はダメージにはなってはいない。
だがそれは偶然でもなんでもなく、敵の狙い通りの結果だということを菜々芭は悟っていた。
自分の最も恥ずかしい部分を守る最後の衣服。
それをこうしてわざと少しずつ切り裂いていくことで、恥辱を与えようというのだろう。
勿論、そんな破廉恥な真似を易々と許すわけにはいかない。
シュガーはなんとか敵の攻撃から逃れようと必死に防御する。
しかし、スーツによる能力付与が低下し、三方を囲まれている状態ではそれすら満足には叶わない。
健闘むなしく、時間が経過するごとにストッキングの損傷がじわじわと増えていく一方だった。

「ああ……うあッ!?」

そして遂に敵の淫らな魔手は腰部分へと及んだ。
お尻の割れ目にほど近い右の尻頬部分に下魔の爪が引っかかり、引っ張られる。
ピピッ、と黒の網目が引き裂かれ、楕円形の切れ込みができてしまう。
下には何も穿いていないため、そこからはほどよくプリッと引き締まったヒップがはみ出ていた。

「ハァハァ、ストッキングにどんどん穴が……」
「あの怪物、わかってやがる…!正直、尊敬せざるを得ない」
「シュガーちゃんのお尻、ちっちゃいのに形が整ってるなぁ。やっぱ戦闘とかしてるからかな?」
「早く前のほうも破れちゃわないかなー」

己の欲望を隠そうともせずに、男たちは口々に公開ストリップの刑に処されている魔法戦士を辱めた。
その淫らな欲望が込められた言葉は純心なシュガーの心を容赦なく切り刻む。

「み、皆さん、欲望に、ファルケに操られてはいけません!どうか、どうか正気に戻って……!」

それでも男たちを信じる純粋な魔法戦士は必死に彼らを正気に戻そうと声を上げる。
だがそんな訴えが興奮した男たちに届くはずがない。
むしろ、頬を染めて恥ずかしがりながらも必死に声を張り上げる正義のヒロインに対し、更なる欲望を抱かせてしまうだけだった。

「ギイイ!」
「あ、きゃあ……ッ!?」

男たちに気を取られていたシュガーは下から掬い上げるように手を伸ばしてきた下魔に気づかなかった。
アッパースイング気味の爪の斬撃が足の付け根部分を襲う。
菜々芭は辛うじて腰を捻って回避するが、かわしきれない。
鋭い刃物で切られたように、股間の割れ目の上部分にパックリとした切れ跡ができてしまった。

「あッ……い、いけない……」

一番隠さなくてはならない場所のすぐ傍の部分に穴が開いたことに菜々芭は狼狽する。
まだ見えてはいけない部分は見えていないが、こうも被弾が多いとそれも時間の問題だ。
それに……

「ひあ……や、やあッ……や、破れた部分が…!」

ピリピリッと音を立てて開いた穴が広がっていく。
裂かれた黒のストッキングは動けば動くほどほつれ、肌の見える面積を増やしていた。
下半身全てを覆っていたはずの最後の砦が、徐々に徐々にその下のなめらかな肌を露出させていく。
何とか崩壊を防ぐべく動きを抑えようとはするものの、下魔達の攻撃がやむことはない。
首を刈るべく振るわれた尻尾の一撃がシュガー迫る。

「きゃ、あう……!」

しゃがみこんでなんとかその攻撃をかわすが、腰を落としたことでストッキングの傷口が更に広がってしまう。
臀部にできていた傷口が一気に広がり、お尻の右側がほぼ完全に剥き出しになった。
小さく引き締まった可愛らしいお尻頬がふるんと恥ずかしげに揺れる。
ライトの下に照らされたそこは、もう少しで割れ目が、その奥にある窄まりが見えそうで見えない。

「ダ、ダメッ……!」

慌てて露出した部分を隠そうとシュガーは手を後ろに回す。
しかしそれは不安定だった体勢を崩すには十分な動作だった。
後ろにかかった重心が少女に尻餅をつかせるべく小柄な身体を倒していく。
が、それよりも先に下魔は魔法戦士の右足を掴み、大きく上に投げ上げた。

「きゃあっ!」

背中をしたたかに打ちつけながらシンフォニックシュガーは地面に倒れこんだ。
片足のみを思い切り上方に持ち上げられた衝撃で、太ももと股間上部にできていた破損部分が大きく広がっていく。
ビビッ…!
太ももの部分は既に付け根近くまで穴を広げ、今にも乙女の大事な部分を曝け出そうとしている。
股間上部は縦に裂けていったため、もうほんの少しでも裂け目が広がれば柔筋が見える状態だ。

「フフフ、もうちょっとで全部みえてしまいそうですね?」
「く……こんな、いたぶるようなやり方……!やるなら、一思いにすればすればいいではないですか!」
「おや、そんなに裸を男の前でさらしてしまいたいので?」
「なっ!?だ、誰がそんなことっ!」

言葉尻を捕まえられ、菜々芭は顔を紅潮させて否定の意を示す。
しかし、どうあがこうとももはや前も後ろも全てが晒される寸前の少女に為す術はない。
弱気にだけはなるまいと必死に声を張り上げるシュガー。
だがそれが虚勢でしかないことは衆目にも明らかだった。

「っく、ああ……ッ!」

キィン、と甲高い音を立てて魔法戦士の手から離れたレイピアが宙を舞う。
シンフォニックリリーは悲痛な声を上げながら、魔物の手によって後ろに弾き飛ばされた己の武器を見送った。
交戦の最中、ついに唯一の武器が奪われてしまったのだ。
そしてレイピアを失った今、攻撃手段はなくなったといっていい。
リンク率の下がった状態では、女性の身における体術など毛ほどの役にも立たない。
魔法も威力がガクンと落ちているため、むしろ集中にかかる時間というデメリットの方が大きくなっていた。

「くっ……」

それでも闘うことを諦めない魔法戦士は武器を拾うべく素早く身を翻す。
だが、その足が一歩踏み出すよりも先に二体の下魔が挟み撃ちの形でリリーを囲む。
逃げ場は横しかない。
離脱するべく莉々奈はサイドステップを試みる。
しかしそんな少女の肩を三人目の刺客が掴んで捕獲する。
リリーの行動を予測して待ち伏せていたファルケだった。

「あッ……!は、離して下さい!ど、どこを掴んでいるのですか!」

莉々奈の羞恥混じりの叫びが男たちの耳朶に響く。
肩から手をどけた黒衣の男はすぐさま少女のパンティの右部分を掴んでいた。
これでは、少し動いただけでゴムが伸びて中身が見えてしまうかもしれない。

『グアアッ!』
「や、やン……下魔たちまで……!?」

捕獲に動いたのはファルケだけではなかった。
動きの止まった獲物を更に動けないようにするべく、前後にいた下魔がそれぞれ少女に肉薄する。
一体は薄桃生地の左部分を、そしてもう一体はお尻の上端部分をシッカリと掴んだ。

「どうしたんだいシンフォニックリリー?動かないのかい?」
「こ、こんな状況で動けるはずがありません!パンティから手を離し……やっ、きゃああッ!?」

動くに動けず、戸惑うように宙をかいていたリリーの両腕がビクリと跳ねる。
三方から伸びていた手がゆっくりと下着を掴んだまま引かれ始めたのだ。

「ダ、ダメッ!そんなに引っ張られたら、見えてしまう……」

股間に流れてくるひんやりとした空気の感触に莉々奈は狼狽する。
敵の手によって最後の砦が侵されていく光景が眼下にあるというのに何もできない。

後ろで引かれている薄桃色の下着の下から徐々につるりと丸いヒップが曝け出されていく。
染み一つないまっさらな丸みの曲線が、その真ん中にある割れ目と共にライトの下に現れる。
左右は、下ではなく上に引っ張られているため肝心の部分は未だ見える気配はない。
だが、上方に布地がゴムごと引っ張られることによって下着の底辺部分が股間に食い込みはじめていた。

「はぅ……!パンティが、食い込んで……んあ…ッ!」

まるでハイレグ水着のように前後の柔らかな割れ目に寄り集まっていくシンフォニックリリーのパンティ。
ただでさえ小さかった布地が三方向から引っ張られることによってどんどん細くなり、面積を狭めていく。
小さいながらもしっかりと秘部を覆っていたはずの薄布がその役目を放棄させられ、今や少女の股間はかろうじて大事な部分を隠すのみとなっていた。
もう少し引っ張られれば下着から大事な部分が零れだしかねない状況だ。
なんとか敵の手を離させるべく抵抗するが、か弱い女の子の力では屈強な下魔たちの腕をどけることなどできない。
しかも、莉々奈の手は二本しかないのだからどうしても一方向は好き勝手させることになってしまうのだ。

「ほぅら、もうちょっとで中が見えそうだね」
「や、やめて……離してッ!」
「フフッ、そんなこといって……本当は早く脱がして欲しいんじゃないのかい?」
「な……ッ!?」
「そんなに顔を真っ赤にして、実は見られて感じているんじゃないのかな?」
「か、感じ……ち、違います!そんなこと、あるはずがありません!こんなことをされて、感じるなんてこと……」
「へえ、本当かな……っと!」

クイ、とファルケの下着を掴んでいた手が捻られた。
上に引き絞られるような形になっていた莉々奈のパンティがその動きによって僅かに変形する。
ズリッ。
食い込んだ底部が擦られるようにずれ、柔肉に刺激が走った。

「―――あッ!!」

ビクン!
敏感な箇所に突然訪れた刺激にリリーは思わず身体を跳ねさせてしまう。
だが、魔法戦士のそんな反応が御気に召したのか、下魔たちもファルケの真似をしてクイクイと手に持った布地を横に引っ張り始めた。

「ン……!や……そ、そんな、そんな風にしたら……ダメ…!」
「そんな風とはどんな風だ?俺たちはただ下着を脱がそうと引っ張っているだけだよ?」
「はっ…ぅ……ン!ち、違う……これ…あう!これは、下着が……あ、アソコに……あああッ!」

淫らな手つきに抗議するべく、リリーは必死に声を絞り出そうとする。
だが、その都度ファルケたちは手を動かし少女に刺激を与えて妨害するため上手く声が言葉にならない。
度重なる刺激から逃れようと腰を動かし始めてみるものの、むしろ擦れが大きくなって事態は悪化するばかりだった。

「おや、腰を動かし始めるとは……どうやらシンフォニックリリーは我々が思った以上に淫乱なようだね」
「はくっ……違っ…私は、感じて……んあッ、なんて……いませ……んくぅ!」

いやいやと首を振って否定の意を示すリリーだが、刺激に頬が赤らむのを止められない。
心臓の鼓動が早まり、じぃんとお腹の奥が痺れるような感覚が少女を襲う。
なんとかその感覚を追い出すべく、更に激しく莉々奈は腰を前後に振りたくる。
清純な乙女戦士によるその腰振りダンスは、ライトアップされた舞台も相まって観衆の視線を釘付けにしていった。

「うお、すげえエロい……」
「あれ絶対感じちゃってるよな」
「噂のシンフォニックナイツがあんなエッチな女の子だったなんて…でもこれはこれで良し!」

ゴクリ、と観衆の唾を飲み込む音がリリーの耳に届く。
鋭敏な聴覚を持つ莉々奈は、その音が何を意味するかを正確に感じ取ってしまっていた。
自分の姿が淫らに捉えられてしまっている。
その事実が純粋な乙女を苛み、高潔な精神をも追い詰めようとじわじわと侵食を始める。

「はぁ……はぁ……どうして、身体が……熱く……あン!」

エクスタシーの魔法による性的興奮の増幅は今やはっきりとその効果を表し始めていた。
男たちの視線の一つ一つが、耳に届く声の一音一音が、そして股間で起きる刺激の一回一回が容赦なく莉々奈の身体に性的な興奮を打ち込んでいく。
高まった身体の熱が発汗を促し、肌をピンク色に染め上げる。
そしてついに、シンフォニックリリーが感じている証拠ともいえる変調が胸で起こり始めていた。

「クク……シンフォニックリリー、見てごらん。君の乳首が勃起をしているぞ?」
「えっ―――え!?」

ファルケの言葉に促されて視線を落としたリリーは驚愕に目を見開く。
人並み以上に豊かに育った自分の双乳の頂点。
先程まではちょこんと小さくうずくまっていたはずの乳首が、黒衣の男の言葉通りに勃起を始めていたのだ。

「そ、そんな……嘘……た、勃ってはダメ、私は……感じてなんか…」

自分の身体の思わぬ裏切りに動揺する莉々奈。
だが、背伸びをするように成長を始めた二つの蕾は男たちの視線に反応するようにムクムクと質量を増していく。
血が胸の先端に集まり、その部分が充血していくのがわかる。
やがて、完全に勃起しきった少女の乳首は鮮やかな桜色に染まり、その身を見せ付けるように乳房の頂点で淫靡に咲き綻んだ。

「イヤ……っ、こんな、どうして……私の身体、どうしてしまったの……?」

眼前の光景が信じられず、莉々奈は呆然と自分の胸を見下ろした。

しかし、何度見ようとも現実に浅ましく硬化してしまった乳首は元に戻る気配はない。
触られてもいないというのに、こんな風になってしまうなんて本当に自分は感じてしまっているのだろうか?
先程までならば明確に否と答えられたはずの自問自答に莉々奈は弱気になってしまう。
ここでもう少し冷静でいれば、あるいは残りのリンク率がもっと高ければそれが敵の魔法によるものなのだと気づけたかもしれない。
だが、混乱しかけている莉々奈に冷静さを求めるのは酷であり、30%以下に落ちていたリンク率では魔法を感知することもできない。
今の彼女にあったのは、自分の淫らな身体を恥じるという羞恥心だけだった。

「やン……胸、見ないで下さ……あっ、は、離して!」

感じてしまったという証拠を隠すべく、リリーは下着を守っていた両手を持ち上げる。
だが、乳房を隠すよりも先に伸ばされた下魔の手が少女の両手を捕獲してしまう。

「駄目だよシンフォニックリリー。そんな立派なバストを隠すなんて勿体無いじゃないか」
「や……離してッ!お、お願いです……私を、見ないでくださ……ッ」

必死に手を振り解くべく力を込めるが、下魔の手はビクともしない。
両手を捕まえられたことで、最早リリーに抵抗の手立てはなくなってしまった。
唯一開いている足も、下手に動かせば下着がずれて中身が見えてしまうためピクリとも動かせない。
反撃もできない、逃げることもできない、抵抗すらもできない。
シンフォニックリリーは、完全に進退窮まってしまっていた。

「さて、あんまり観客を焦らすのもなんだし……そろそろこれも取ってしまおうか」
「と、取る……!?イヤ、ダメッ!やめて……それだけは…パンティだけは……ひっ!?」

ぐっと硬く握り締められた魔物たちの手が今までにない力で引かれ始める。
それに伴って、手の中に掴まれていたリリーの下着がミチミチと悲鳴を上げながら後左右に伸びていく。

「そんなに引っ張られたら、パンティが……や、破れて……ああ!」

下着ごと身体を持ち上げんと下魔たちの手が上に持ち上げられる。
だが、小さな布キレにそんな耐久性はない。
股間とお尻の割れ目に食い込んだ布地が、Tバックもかくやとばかりに紐のように細くなって伸縮性の限界を訴える。
三方向に伸ばされた布地とゴムが悲鳴をあげ、今にも千切れそうだ。
手を捕まえられているシンフォニックリリーに抵抗の術はない。
ただ悲痛な瞳で、下着が破れないことを祈るばかり。
しかし、最後の砦の陥落は目前だった。
ついに、薄桃色の布地が魔物たちの力に耐え切れずに崩壊を始める。
ビッ…ビリリッ……
小さな、しかし確かに布の裂ける音が莉々奈の聴覚に飛び込んできた。

「いやっ……もう……これ以上は、や……だ、駄目ぇ―――ッ!?」

一方、地面に倒されたシュガーも危機に陥っていた。
開かれた足をすぐさま閉じ、素早く身を翻す魔法戦士。
しかし、立ち上がりかけたその時、にゅっと伸ばされた下魔の手が少女の右足を掴む。
引き寄せられるように右足を引かれ、浮かせかけていた上半身と膝を再び引き倒された。
シュガーの小さな胸ではクッション代わりにはならず、まともに身体の前面を強打してしまう。

「うくぅっ……」

肺から強制的に酸素を吐き出さされ、思わず息が詰まった。
それでもなお、菜々芭は諦めずにその場の離脱を図る。
四つん這いの形から、赤ちゃんのはいはいのような格好で逃走を試みるシンフォニックシュガー。
だが、依然として掴まれている右足の拘束は解けない。
左足で魔物の足を蹴り剥がそうとするものの、不十分な体勢からでの蹴りに威力はなく、下魔は平気な表情だ。
片足と両手でなんとか前進をするべく少女の身体が左右に激しく揺れる。
それに伴い、突き出されるように上を向いた可愛らしいお尻がふりふりと男を誘うように揺れ弾む。

「うわあ……シュガーちゃん、大ピンチじゃん」
「でもあんなに必死にお尻を振りたくって、もうたまんねえよ」
「黒のパンストから覗く白い肌……素晴らしいコントラストだね!」
「前からのアングルもエロいぞ。小ぶりなおっぱいが両手で寄せられるように……うひょっ」
「そ……そんなっ、い、イヤ……ッ」

必死の少女にかけられる男たちの無遠慮な言葉。
その一言一言は拘束を抜け出そうとするシュガーから確実に力を奪っていた。
無意識のうちに、胸を隠そうと地面につけていた両手の幅を狭めてしまう。
しかしそれによって、胸を寄せるようなポーズが更に強調される形になっていく。

「シンフォニックシュガー、暴れるのは結構ですが……淑女たるもの、落ち着きも大事ですよ?」
「くうッ……離してっ!離しなさい……!」
「やれやれ……聞いてはいませんね、仕方ない」

パチン、とヘルメが指を鳴らす。
すると、横に控えていたもう一体の下魔が回り込むようにシュガーの前方に移動する。
そしてそのまま少女の小柄な肩を押し潰すように固定した。

「あ……ッ!」

かろうじて両手を顔の前につけ、顔面を地面に押し付けられることは回避するシンフォニックシュガー。
しかし上半身は完全に地面に沈んでしまう。
下半身は両膝を立ててお尻を天に突き出すような格好。
更に、右足同様左足まで捕まえられてしまい、完全に身動きを取れなくされてしまった。

「嫌、です……こんな、格好……なんて…あ、あああ!?」

拘束された魔法戦士の口から更なる悲鳴が漏れだす。
掴まれていた両足首を下魔が肩幅ほどに広げてしまったのだ。
お尻を高く上げた格好のため、後ろから見れば股間もお尻も丸見えである。
未だストッキングが残っているとはいえ、下には何もなく、至近距離で見れば割れ目の形もお尻の穴もクッキリとわかるであろう。
近くにいるのは下魔とヘルメだけだが、他人に大事な部分を見られているのには変わりはない。
あまりに恥辱から、菜々芭の頭にカッと血が上る。
だが、できる抵抗といえば唯一押さえられていないお尻を動かすことだけ。
それにしたところで、激しく動かせば卑猥な腰ふりダンスとして男たちを喜ばせるだけだった。

「あぁ……見られて、ます。私のアソコが……は、恥ずかしい…」

首を小さく振ってイヤイヤする。
後ろを振り向けないが、股間に集まる視線は感覚でわかってしまう。
身体中の熱が下半身に集まっていくような錯覚すら覚える。
とくん……ッ!

「え……な、なに……?」

心臓を大きく跳ねるのと、その感覚が菜々芭を襲うのはほぼ同時だった。
錯覚ではない、身体中を巡る火照りの熱。
それが恥ずかしさとは違う別の感覚を伴ってお腹の奥辺りで脈動するのを少女は感じた。

「おや?シンフォニックシュガーのアソコがひくついていますね?見られて興奮してしまったのですか?」
「こ……!」

カァァッ、と魔法戦士の頬が真っ赤に染まる。
敵の卑猥な言葉に怒りを覚えた、少なくとも菜々芭本人はそのつもりだった。
しかし、心の奥底では図星を差されたことに対する動揺があった。
視線を一身に集めている秘処、そこが確かに通常とは違う熱を持ち始めている。

「興奮なんて……していません!正義の魔法戦士であるこの私が、こんな状況で……」

口では否定しても、お腹の奥がきゅんと切なくなるのを止められない。
シュガーは、その感覚をよく知っていた。
幾度となくファルケたちから与えられ、いつも最後には敗北を余儀なくされた屈辱にして、蕩けるような甘い感覚。
それは紛れもなく、性的興奮だった。

(そんな……どうして、私……)

自分の身体の変調を否定しようと、菜々芭は懸命に状況の把握に努める。
しかし冷静に考えれば考えるほど自分が性的興奮を覚え始めていることを確信してしてしまう。
触られてもいないというのに、本当に自分は見られて興奮し、感じてしまっているというのか。
だが、シュガーの混乱する暇は与えられなかった。
反撃の余地は完全にないと確信したのか、ヘルメが残ったストッキングを剥がすべく手を伸ばしてきたのである。

「フフフ、さて……それではご開帳といきましょうか」
「い、いやあッ!」

黒のストッキングに空いている穴に指を引っ掛け、ヘルメは外に引っ張り始める。
シュガーの身体を押さえていた二体の下魔もそれを手伝うように空いた手を伸ばし、それぞれ別の穴に手をかけた。
薄い生地は魔物たちの力の前では無力。
ビビビッ!
網目が引き裂かれる音と共に、魔法戦士の下半身を守る最後の衣服が裂かれていく。

「ああ……だ、だめぇ……」

抵抗しようにも、腰を動かせばそれだけで魔物たちの行動を助長することになる。
足首の辺りから徐々に徐々に黒の生地が引き裂かれ、その下から白の素肌が露わにされていく。

「ほら、緊張しないでください。ふーっ!」
「ひあああ!?」

柔筋に息を吹きかけられ、シュガーの腰が一際高く跳ねる。
それによってお尻部分のほつれが左側にまで及び、上から桃のようなお尻割れ目が見え始めた。

「ほぅら、もう少しで貴女の恥ずかしい穴が見えてしまいますよ」
「くふ……ッ!や、やめて…息を、吹きかけないで……ふぁあ!」

びくんびくんと活きのいい魚のようにシュガーのお尻が跳ねる。
肌の露出を早めることになるとはわかっているのだが、どうしても動きを止められない。
ふうっと息を吹き込まれるたびに、腰が勝手に痺れてしまうのだ。

「フフフ……シンフォニックシュガーともあろうものが、はしたない姿だ」
「はぅ……っく…はぁ……ン……ッ」

目を閉じて迫り来る感覚に必死で抵抗するシンフォニックシュガー。
しかしその隙にも魔物たちの侵攻は止まることはなく、遂に異形たちの手は魔法戦士の腰に辿り着き最後の仕上げを始めた。
ビッ、ビビビッ!

「ああ……裂けて……んぅ!あっ―――あああーッ!」

「いやっ……もう……これ以上は、や……だ、駄目ぇ―――ッ!?」
「ああ……裂けて……んぅ!あっ―――あああーッ!」

二人の魔法戦士の悲鳴が重なったその瞬間。
ついに乙女の秘処を守る最後の布が悪漢の手によって奪われた。
リリーは下着こそ僅かに裂ける程度で済まされたが、ファルケによって転ばされてその隙にパンティを腰から抜きさられてしまう。
シュガーは、六本の異形の手によってたかって黒の生地を細切れに引き千切られた。
二人ともその反動で拘束からは解放され、地面に投げ出される。
両手両脚が自由になったため、辛うじて大事な部分は隠せたものの、状況の悪さに変わりはない。
遂に下半身の衣服も奪われ、もう恥ずかしい場所を隠すものは何もないのだ。

「ン、く……こんな、パンティまで脱がされるなんて…これじゃあ、もう戦うことなんて……ッ」

両手で胸と股間を隠しつつ、立ち上がることもできずに莉々奈は敵から離れようと少しずつ後退する。
だが、素早く回りこんだ下魔がそれを許さない。
再び三角形の包囲網を構築され、あっという間にリリーの逃走経路は封じられた。

「ファ、ファルケ……!」
「良い目だね、シンフォニックリリー。丸裸にされたというのに君の瞳はまだ闘志を失ってはいない」
「当たり前です!シンフォニックナイツは……正義の魔法戦士は、諦めたりなどしません!」

凛々しき乙女の宣言に、それでこそとファルケは満足そうに微笑む。
周囲を遠巻きに取り囲む男たちも魔法戦士の不屈の精神にやんややんやの喝采だ。

「ククク……その勇ましさは結構なことだけど、そんな格好じゃあ効果も半分ってとこだね」
「し、白々しいことを!私を、こんな恥ずかしい格好にしたのは貴方たちではないですか!」

カァッ、と頬を染めながらリリーは敵に反論する。
しかしファルケは無言で意味ありげな笑みを作ると、手の中の戦利品を目の前の少女に見せ付けるようにして広げた。

「ほう、流石はシンフォニックリリー。下着も良いデザインだ、小さくて、生地の質もいい……男を誘うにはピッタリだな」
「あ、や、やめてッ!そんな、パンティ広げたりしないで……!」

腰から離れ、小さく丸まっていた薄桃色のパンティが黒衣の男の手の中で弄ばれる。
両端を摘まれ、横に広げられるとリリーの顔が羞恥と怒りに赤く染まった。
つい先程まで穿いていた下着を男の手によって好き勝手にされるなど、一人の女の子として許せるはずもない。

「か、返して……ッ」
「おっと」

弱々しく伸ばされた少女の手。
しかしファルケはその懇願するような手を難なくかわし、パンティを顔の辺りに持ち上げてしまう。

「しかしこんな小さな布を女性はいつも身に着けているのか……男からすれば信じられないな。まあ、ここまで小さいのは珍しいだろうけど」
「あ……ち、違う、違うの。これは……ッ」

ファルケの揶揄に、男たちの同調する声がポツポツと上がる。
それを聞かされた莉々奈は恥辱に苦悶した。
小さな下着を穿いているのは、決して趣味だとかいやらしい目的のためではない。
少しでも戦場で動きやすいように、戦いやすいようにと選んだ結果なのだ。
だが、その下着が今、男たちの目を楽しませている。
自分の意図していなかった出来事に、清純な少女の心が責め立てられていく。

「クンクン……少し、汗のニオイがするな」
「なッ……そんな、に、匂いを嗅いだりするなんて……!」

男の鼻の辺りに寄せられた自分の下着に、リリーは悲鳴を上げる。
しかし今の彼女にそれを妨害する力は残ってはいなかった。
汗と体臭が染み付いているであろう布地を男によって嗅がれる。
かつてない恥辱に莉々奈は思わず目を背けてしまう。

「これがシンフォニックリリーの匂いか……甘くて、いい香りだ。汗も臭くないし……おや?」

と、何かに気がついたようにファルケの批評が止まる。
何事かと逸らしていた目を戻すと、黒衣の男はパンティをじっと見つめていた。
注目されているのは底部あたりだろうか。
薄桃色の生地は、戦いによる発汗で少しばかり湿っていた。
だが、ファルケが見ている底部だけは僅かにその色が濃いように見える。

「この染みは……もしかして」
「あッ!?」

嬉しそうな男の声と、少女の悲痛な声が重なる。
他の場所よりも僅かに湿り気が多い部分、それは先程まで莉々奈の一番大切な場所を守っていた部分だった。

「クン……匂いも他のところとは違うな。なるほど……シンフォニックリリー、君は」
「い、いやあッ!違う、そんなことはありませんッ!」

顔面を蒼白にしてリリーはぶんぶんと首を振る。
だが、心の中ではついに知られてしまったという思いでいっぱいだった。
先程、下着を引っ張られていたあたりから股間が疼いていたのは自覚していた。
ひょっとしたら胸に続いて股間も反応してしまっているかも。
そう考え、それでも目を逸らすようにその可能性を今まで否定してきた。
しかし、目の前には物証ともいえるものが見せ付けられている。

こうなってしまっては、表面上はともかく内面ではもう感じていることを認めざるを得ない。
実際問題、股間を隠している手は少量ながらも汗とは違う液体の感触を感知していた。
ぬるっとした生暖かいその感触は、間違いなく自身の愛液。
手を離し、そこを覗き込めば間違いなく濡れ始めている秘処が見えるだろう。

(見られては……絶対、いけない……ッ)

一番恥ずかしい場所はおろか、そこが感じている場面を見られるなど許されるはずがない。
しかも、周囲には記録媒体を持った男が多数存在しているのだ。
撮られてしまえば、その場限りではなく、ずっと記録として残されてしまう。
ギュ、とリリーの身体を隠す両腕に力がこもる。

「さて、少々名残惜しいがこの下着も消してしまわないとな―――ジャミング」
「ああ……」








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