ジャスティアス4
-3-
シチュエーション


ジャスティーダークの責めは凄まじい快感をジャスティアスの体に刻み込んだが、それには触手責めのような物理的な刺激が欠如していた。
快楽の炎に焼かれる体は、その肌を荒々しく愛撫され、たくましい肉棒で膣奥をかき混ぜられる事を欲し始めていた。
快感が高まれば高まるほど、そのじれったさはどうしようもなく拡大していく。
手枷をはめられていても、濡れそぼったアソコに指をのばし、自分で慰める事は容易い。
だが、ジャスティアスが自らそういった行為に及ぼうとする事こそ、ジャスティーダークの狙うところなのだ。
ジャスティアスは必死に奥歯を噛み締め、彼女の理性を溶かそうとするたまらない疼きから逃れようとした。

「おや、随分と頑張るね。我慢は体に毒だよ……」
「…なめないでっ!…こ、これぐらい…へいきなんだから……っ!!」
「へえ、そうなんだ……」

ジャスティアスの強がりをあざ笑うように、ジャスティーダークの送る快感のパルスはその激しさを増し、ペースを上げていく。

「…あっ…ひぅ…ひぐぅ…あはっ…ああんぅ!!!!」

その度にジャスティアスの上半身は床の上で魚のように跳ね、太ももの内側が切なげに何度も擦り合わせられる。
濡れた肌とボディスーツがジャスティアスの動くたびに擦れて、くちゅくちゅといやらしい水音を立てた。
激しい快感の波動は幾度となくジャスティアスの思考を真っ白に染め上げ、しかしその欲情を満足させてくれる事はない。
この手で、この指先で、今すぐ蜜に濡れた秘裂をむちゃくちゃにかき混ぜたい。
そんな考えが何度もジャスティアスの脳裏をよぎる。
気が狂いそうなほどの渇望は、彼女の精神を容赦なく磨耗させていく。
それでも、快楽の底なし沼に飲み込まれまいと、ジャスティアスは甘美な誘惑を耐え続けるのだが……。

「ふぅん、ずいぶんと頑張るんだね、ジャスティアス。でも、だけどね……」

そんなジャスティアスの煩悶を見透かしたかのように、ジャスティーダークは自分の人差し指を、
ボディスーツの上から、ビクビクと痙攣するジャスティアスのアソコにあてがう。

「…ひゃんっ…あぁ…何を…する気なの……?」
「なに、これだけの責めに耐え続ける健気な君に、ほんのご褒美をあげるだけだよ…」

ニヤリ、ジャスティーダークは意地の悪い笑みを浮かべる。
すると、彼女の人差し指の先、ジャスティアスのアソコのあたりに、アーマーと同じ素材が集まって何かを形作っていく。
それはジャスティアスの恥ずかしい部分をすっぽりと覆うようなデルタ型を形成する。

「…あ……な、何…これ………あっ…うああああっ!!!」

そして、完成したデルタ型はジャスティアスのアソコに、凄まじい震動を送り込み始める。
その震動は今まで快楽信号だけを受け取り、発情させられるばかりだったジャスティアスの秘部を徹底的に蹂躙する。
快感地獄を耐えに耐えてきたジャスティアスにとって、その刺激はあまりに致命的だった。

「ひっうぅ…あはぁっ!!…や…いやぁ…ああんっ!!…ひあああああっ!!!!!」
「あはは、そんなに喜んでもらえると、ボクも嬉しいな。よし、この際だ。オマケをしてあげるよ」

全身をガクガクと痙攣させ狂態を晒すジャスティアスの、今度は胸元をジャスティーダークの手の平が撫でる。
すると、あろうことか胸部装甲までもが激しく震動し始め、快楽を求めて激しく疼いていたジャスティアスの両乳房と、
ピンと屹立した可愛らしいピンク色の乳首までをも凶悪なそのバイブレーションの餌食にしていく。

「…ひぐぅ…うああああっ!!!…むねぇっ!!むねっ…やめてぇえええっ!!!!」
「おや、まだ遠慮しようっていうのかな。これは君がやっているんじゃない。
全てボクにされている事なんだから、引け目になんて思わず存分に楽しんだらいいじゃないか…」

今までジャスティアスが快楽責めに耐え続けてきた努力が、圧倒的な快感の渦の中で水泡に帰していく。
我慢を続けたために敏感になり過ぎた体を、三点同時の震動攻撃が嬲り尽くす。
もはや、ジャスティアスはまともな思考もできず、与えられる快感に喘ぎ、嬌声を上げるばかりだ。
ジャスティアスを守る盾であった筈の強化服は、快楽地獄で彼女を狂わす逃れる事の出来ない牢獄へと変わり果てていた。

「やら…はげし…はげしすぎるぅ……っ!!…くるっちゃう…わたし…もう…もう―――っっっ!!!!!」
「どうやら潮時みたいだね。それなら……っ!!」

ジャスティアスの限界が近い事を悟ったジャスティーダークは震動責めをより激しく容赦のないものにしていく。
燃え上がるような快感に包まれた乳房に、乳首に、クリトリスに、アソコに、凶悪な震動がトドメ刺す。

「ああっ…イクぅ…おっぱいも…アソコも…きもちよすぎて…わたし…もう……ふあああああああああっ!!!!!」

あさましくも悲痛な叫びを響かせて、ジャスティアスの心と体が絶頂の中で砕け散る。
弓なりに反らした全身がまるで感電したかのようにビリビリと震えて、一瞬の後、一気に力が抜けぐったりと横たわる。

「これで一回……なかなか良いイキっぷりだったよ、ジャスティアス」

ジャスティアスのはしたないイキ姿に、ジャスティーダークは満面の笑顔を浮かべる。

その邪悪な笑みを呆然と見つめるジャスティアスには、もう彼女を睨み返すだけの気力も残されていなかった。

「じゃあ、ちょうど良い具合にほぐれたみたいだし、そろそろ第2ラウンドといこうか」
「第…2…ラウンド……?」
「ほら、君も延々と震動だけで責められ続けて、そろそろ奥の方が物欲しくなってきたところじゃないかな…?」

そう言うと、ジャスティーダークは右手を高々と上に掲げた。
すると、周囲を囲む無明の暗闇からハァハァ……、と獣のするような荒い呼吸音が無数に聞こえ始める。

「あ…いやぁ……今度は…今度は何を……!?」
「何って、決まってるじゃないか」

やがて、ジャスティアスの周囲に現れたのは、無数のグノー怪人達。
そのどれもが股間に自分の分身をいきり立たせていた。

「君のぐちょぐちょのアソコに、彼らのモノをぶち込んでもらうのさ……」

グチョグチョ、ぬぷっ、ぐちゃ、ぴちゃぴちゃ、グチョグチョグチョ……っ!!
闇に包まれたその空間に、淫靡な水音が響き渡る。

「…ん…んぁ…んぐぅ……んんぅ…んぅ―――っっっ!!!!」

前後の穴を怪人達の太く固いモノに貫かれ、口はもちろんの事、手の平や腋の下、胸の谷間や先端など、
その他擦り付ける事が可能なあらゆる場所で、ジャスティアスは怪人達に犯され、奉仕を強要されていた。
手枷と両脚の拘束が外され、その代わりにまたしてもアーマーが変化した首輪と鎖で彼女は飼い犬同然に床に繋がれている。

「んくっ…んん―っ!!…ぷあ…ああっ…またナカ、射精されてるっ!!…や…いやああああああっ!!!!!」

これでかれこれ何度目になるのか、前後に挿入された怪人のモノが白濁を吐き出し、その熱に導かれてジャスティアスも絶頂に上り詰める。
すると、まわりの怪人達もタイミングを合わせたかのように、おのおの自分のモノから白濁液をジャスティアスの体めがけてぶちまける。
バイザーを滴り落ちて顔を汚す濃厚な粘液。
ジャスティアスの全身は白濁液に徹底的に汚されて、むせ返る牡の臭いの中に沈んでいた。
絶頂の余韻に体から力が抜け、へたり込みそうになるジャスティアスだったが、怪人達は彼女を休ませようとはしない。
その尽きる事のない欲望を叩きつけるべく、再び彼女の体を犯し始める。

「…あぁ…も…ヤダぁ…イヤぁあああっ!!!!」

ジャスティアスの悲痛な哀願も、再開された陵辱の中に飲み込まれていつしか聞こえなくなる。
今の彼女に、グノーと勇敢に戦う正義の戦士の面影は見られない。
しかも、ジャスティアスの姿をこれほど無残なものになっているのは、単なる陵辱の結果だけではなかった。
ジャスティーダークは、ジャスティアスのコスチュームを生贄に捧げられる時を待つ性奴隷にふさわしい淫らなものに改造していた。
ボディースーツの局部はあたかも初めからそういったデザインであったかのように切り取られ、
へそのあたりから愛蜜に塗れたジャスティアスの前後の穴までを外気に晒していた。
厳しい肩アーマーはなくなり、胸部アーマーとその下のボディスーツも排除され彼女の形の良い乳房を丸出しにしていた。
さらにボディスーツの様々な部分が切り抜かれメッシュ状のものに置き換えられて、
網目の下にジャスティアスの美しい肌が覗くようになっていた。
それらの改造点はジャスティアスを繋ぎとめる首輪や鎖と相まって、彼女の姿を性欲処理の肉奴隷、白濁まみれの淫婦のように見せる。

(…こんな恥ずかしい格好…させられるなんてぇ……)

Dフォースや多くの人々と共に戦った彼女の誇りであるジャスティアスとしての姿を徹底的に貶められたのだ。
しかも、恐ろしい事に、いつまでも続く激しい陵辱の中で、彼女は今の自分の姿に違和感を抱かなくなり始めていた。
むしろ、家畜のように首輪で繋がれた今の自分に、被虐的な歓びさえ覚え始めていたのだ。

(だめ…いけない……このままじゃ、私、流されて…………っぁああぁあああああっ!!!!)

懸命にそんな考えを振り払おうとする思考を、怪人達の激しい責めが断ち切る。
体中のあらゆる場所を犯されて、あらゆる場所を白濁色に染められて、ジャスティアスの心が奴隷に堕ちていく。
身をよじり、必死にもがいて抵抗しても、怪人達の凄まじい力に押さえつけられ、むしろ今の自分の無力さをまざまざと思い知らされてしまう。
降り注ぐ白濁シャワーは、同時に与えられる激しい快感に条件付けられて、彼女の意識の中で快楽をもたらすサインとして認識され始める。
むせかえるような生臭さはたまらない芳香に、喉を焼く熱と苦味はこの上ない甘露へと変えられていく。

前後の穴はもはや暴力的なまでに激しい突き上げにも痛みを感じる事ができず、犯されるほどに強くなる快感に全身が屈服しようとしていた。

「…ひやぁあああああっ!!!イクのぉっ!!またイかされちゃうぅううっ!!!だめっ!!だめぇえええええっ!!!!」

またも彼女の体の奥で快楽の津波が巻き起こり、果てしない絶頂感でジャスティアスを打ちのめす。
勢い良く注がれた白濁液は既に膣内や腸内を満たしていたこれまでの射精分に阻まれて逆流を起こす。

ゴボッ!!ゴブブッ!!!

結合部分の隙間から音を立てて溢れ出す逆流精液の感触。
そんなものにさえ、責められ続けたジャスティアスの体は激しい快感を感じてしまう。

(あぁ…いやぁ……わたし…怪人に中出しされて…きもちよくなってる……っ!!!)

確実に調教され、変えられていく自分の体への絶望。
ジャスティーダークの宣言したとおり、ジャスティアスの心は鎧を剥ぎ取られて、グノーの力の前に屈服させられていく。
そして、その果てに待ち受けているものは……

「ふふふ、順調に調教されているみたいだね、ジャスティアス。これなら、もうすぐ皇帝陛下の、グノーの一部になる事ができる」

そう、それはジャスティアスだけの破滅を意味しない。
さらなるパワーアップを果たしたグノーはひとたまりもなく人類を滅ぼして、さらには無数の異世界さえも喰らい尽くすだろう。

(そうだ…私ががんばらないと…みんな、グノーにやられちゃうんだ……っ!!)

快楽に押し流されていく心と体を、その破滅を防ぎたい一心で奮い立たせる。
だが、そんな僅かな抵抗も今の彼女には許されないのだ。

「おっと、まだ我慢しようって気力が残っていたのかい?ふふ、ほんとに君は強い娘だよ……ほぉら、ご褒美だ」

ジャスティーダークが手の平をかざし、またもクリスタルが不気味に明滅する。
同時に駆け抜けた快感のパルスが去った後、ジャスティアスの体はさらに敏感に、快楽に弱いものに変えられていた。
さらに強さを増した快感に、ジャスティアスは全身を震わせて泣き叫ぶ。

「いやぁ…きもちいいの…もぉ…いやなのっ!!…あぁっ!!…ああああああっ!!!!」

力を奪われ、その体を快楽の虜にされて、それでもなお健気に抵抗するジャスティアス。
だが、その心の力も、もはや限界に達しようとしていた。
今にも負けそうな心を支えようと、思い浮かべた友人や共に戦う仲間の顔さえ、快感の靄の向こうに霞んでいく。
そして、ぽっかりと空いた空白を埋めるように狂気じみた快楽が流し込まれる。

「あっ…くぅううっ!!…またぁ…あああっ…イクっ!!…イっちゃうぅううううううっ!!!!!」

いつしか自分の声に混じり始めた、交尾中の獣のような快楽に打ち震える感情。
一度中出しされてから、次に挿入されるまでの間、待ち切れずに疼き初めてしまうアソコ。
そして何より、確実に変えられていく自分自身の末路を思い浮かべたとき、どうしようもなく湧き上がるマゾヒスティックな感覚。

(…耐えなきゃ……耐えなきゃ…いけないのに……)

心の中で必死に唱え続けるその言葉さえ、次第に意味がわからなくなっていく。
それでも、瞼の裏に浮かぶ笑顔が、優しい呼び声がギリギリのところで彼女を繋ぎとめていた。

『嬢ちゃん……』

どんなに汚されても壊されても、その想いだけは彼女の中から消える事はない。

「たいちょう…さん……わたし…がんばり…ますから……」

だが、うわ言のように呟いたジャスティアスの言葉に、ジャスティーダークは残酷な決断を下す。

「どうにも堕ちきらないみたいだね。仕方がない………」

ゆらり、立ち上がったジャスティーダークはゆっくりと陵辱の渦中にあるジャスティアスに歩み寄る。
そして、ジャスティアスの前の穴を犯していた怪人を横にどかせて、ジャスティアスの目の前に立つ。

「…あ…ジャスティーダーク……?」
「正直、君の精神力には感嘆するばかりだけれど、悪いね、その頑張りもここまでだ……」

ジャスティアスの見つめる前で、ジャスティーダークのボディスーツの局部が分解していく。
そして、露になったジャスティーダークの秘裂が、ビクンッ、と小さく痙攣した後……。

「…ひっ……な…それ…!?」
「ふふふ、どうだい、なかなか可愛いだろ?」

ジャスティーダークのクレヴァスを割り裂くようにして、鎌首をもたげる触手が姿を現した。

「ボクに絶えず快楽を与えるために皇帝陛下がくださったものだ。君の心が堕ちないというのなら、

体の方から先にコイツで徹底的に堕とし尽くしてあげるよ………」

ジャスティーダークはそれをジャスティアスの秘裂にあてがい……。

「さあ、いくよ……」
「…くぅ…やめ……あ…うあああああああああああっ!!!?」

一気に貫く。
情け容赦のない苛烈なピストンでジャスティアスのアソコを犯しぬく。

「…ひぃ…やはぁあっ!!…なにっ!?…なにこれっ!?…こんな…おかしいよぉっ!!!」

その触手の最大の能力は白濁液の代わりに吐き出す、膨大な量の強力な媚薬粘液だった。
かつてジャスティーダークの調教のために使われたその粘液を、ジャスティアスのナカに思う存分ブチまける。

「単に快楽を与え続けるだけでは駄目なら、コイツの媚薬を徹底的に浸透させて、細胞の一つ一つから色情狂に変えてあげるよっ!!!」
「…いやっ…やら…そんなの…いやぁああっ!!!…うああっ…やめてやめてやめてぇえええええっ!!!!」

一回抜き差しをする度に放たれる媚薬粘液がジャスティアスの体を内側から作り変えていく。
膣内から、子宮から、浸透した快楽成分は血液に乗り、ジャスティアスの全身に広がっていく。
既にジャスティーダークの干渉によって極度に敏感になっていた体が、燃え上がるような熱に侵されて蕩けていく。

「…あぁっ…くあああぅ…ひやぁ……こんな…ひぬっ…ひぬぅうううううっ!!!!」

今までの陵辱調教が快感による思考の侵食なら、これは強烈すぎる快楽による思考の破壊だった。
ジャスティアスがどこまでも屈しない心を持っているなら、その心ごと打ち砕いてしまえば良い。
脳を快感で埋め尽くして、何も考えられない牝豚に堕としてしまえば良い。
ジャスティーダークは狂ったように腰を振りたくり、ジャスティアスの最後の意志の一かけらを破壊せんとする。

「さあ、壊れろっ!!壊れてしまえ、ジャスティアスぅううううううううっ!!!!!!」
「ああっ…やら…や…いやぁああああっ!!!…あ…あああああああああああああああああああああああっっっっ!!!!」

そして、ジャスティーダークの最後の強烈な一突きが、ジャスティアスに止めを刺した。
爆発的な絶頂感に意識をホワイトアウトさせたジャスティアスは、糸の切れた操り人形のようにその場に崩れ落ちる。
無残なイキ顔を晒して動かなくなったジャスティアスの姿に、ジャスティーダークは満足そうに微笑む。

「これでようやく準備は完了かな…」

だが、その時………

「…たいちょう…さん……」

朦朧とする意識の中でジャスティアスが呟いた一言を聞いて、ジャスティーダークは表情を歪める。

「まったく、最後にはどうせ全部無駄になってしまうのに……どうしてそれが理解できない、ジャスティアス……」

そう呟いたジャスティーダークの顔には、怒りとも哀れみともつかない感情が滲み出ていた。

次にジャスティアスが目を覚ましたのは、先ほどの空間より少しだけ明るい、異様に天井が高い部屋だった。

「ここ……どこ…?」

呟いて立ち上がろうとしたジャスティアスだったが、手足がまともに動いてくれず、結局その場にへたり込む。

「無理だよ、ジャスティアス……さっき君の膣内にさんざん注ぎ込んだ媚薬が効いているからね……」

聞き覚えのある声に振り返ると、そこには酷薄な笑みを浮かべたジャスティーダークの姿があった。
どうやら先ほどの媚薬の効果で手足が痺れてしまっているらしい。
激しい陵辱の残り火は今も彼女の体の中でくすぶり、隙を見せればすぐにでもジャスティアスを飲み込んでしまいそうだった。

「ふふふ、体が疼いてたまらないみたいだね。一応、調教第一段階は成功したってわけだ……」
「…くっ…ジャスティーダーク……」

先ほどの陵辱はジャスティアスの心と体を確実に蝕んでいた。
呼吸は荒く、体中の細胞が火照って、はしたなく快楽を待ち望んでいる。
既に彼女の体はジャスティーダークの望んだとおりの、生贄の性奴隷に堕ちようとしていた。
それでも、床に這いつくばりながら、ジャスティアスは必死にジャスティーダークを睨みつける。

「…今度は…一体、何するって言うの!?」
「おや、最初に順番は説明したはずだけど、覚えていないのかな……?」

その言葉を聞いて、ぼんやりとしていたジャスティアスの頭脳は今自分に迫っている危機の事を思い出す。
グノーは自分の力を取り込むためにジャスティーダークに彼女を捕らえさせた。
そして、目的達成の第一段階として、ジャスティアスを徹底的に陵辱し、その心と体を磨耗させたのだ。
その目論見通り、今のジャスティアスにはグノーに抵抗する力はほとんど完全に奪い去られていた。
このままでは、本当にグノーのエネルギー増幅装置として取り込まれてしまう。

だが、焦燥に駆られる彼女の心に反して、今のジャスティアスの体は立ち上がる事さえ出来なくなっているのだ。

「どうやら、思い出してくれたみたいだね。それじゃあ始めよう、本日のメインイベントだ……」

パチン!

ジャスティーダークが指を弾くと、それに反応して床から無数の触手が出現する。
触手達は無抵抗のジャスティアスの体を拘束し、床の上から高く高く持ち上げていく。
さらに四方の壁からも無数の触手が伸びて、ジャスティアスを宙吊り状態にしてしまう。
触手はジャスティアスの四肢を強く強く締め付けて、彼女は身じろぎすら出来なくなった。

「…ぁ……くぅ……ぅぁ……ぁ…………あ…あれは……?」

そして、彼女はそれを目撃する。

「…なに?……むこうに……誰か、いるの?」

僅かな光に照らされた薄暗い部屋の最奥に、巨大な玉座が見えた。
そこに座る何者かは、赤く不気味に光る双眸でじっとジャスティアスの事を見つめていた。
やがてソイツはゆらりと立ち上がり、ゆっくりと、まるで床の上を滑るようにこちらに近付いてくる。
その姿はまるでローブに身を包んだ人間のようにも見えた。
しかし、ジャスティアスはすぐにその印象を捨て去る事になる。
ソレはあまりに巨大だった。
人間であるはずがない、その身の丈は5メートルを越えている。
滑るように移動していると見えたものは、巨大な上半身を支える太く長い触手が
こちらに向かって勢い良く伸ばされているためにそう見えたのだった。
やがてそれは間近までやって来ると、下半身の触手に持ち上げられてジャスティアスを見下ろす位置まで上昇してきた。

「貴様がジャスティアスか……」
「…グノー…皇帝……っ!?」

ジャスティアスに覆い被さらんばかりの威容。
遠目にローブに見えたのは強靭な殻を幾つも重ねた外殻で、その上に昆虫を思わせる凶悪な顔が乗っかっていた。

「いかにも…我こそがグノーの長たる皇帝にして、グノーそのもの……貴様達の全てを凌駕する超生命体だ」

グノー皇帝は背中から六本の腕を出現させ、触手に代わってジャスティアスの手足を掴み、自分の間近に引き寄せる。
そして、ジャスティアスの胸に輝くクリスタルを見て、歓喜の声を上げる。

「おお、ついに手に入れたぞ。我に無限の力をもたらすこのシステムを、ついに我が手に内に収めたのだっ!!!」
「……これはこの世界を守るため…私に託されたもの…あなたの思い通りには…させない………っ!!!!」
「くふふ、その姿で良く言う!!貴様の体は既に欲望に従うだけの木偶人形、それで何をすると言うのだっ!!!」

ジャスティアスの強がりの台詞など、簡単に弾き返されてしまう。
グノー皇帝の言う通り、今のジャスティアスにはマトモに抵抗する事はおろか、身をよじる程度の力さえ残されていないのだ。
それでも彼女は精一杯の強がりを振りかざし続ける。
もはやそれ以外に、武器と言えるものはジャスティアスには残されていなかったのだ。

「…それでも……それでも、私はあなたに絶対に屈したりしないっ!!!」

叫びながら、涙がこぼれそうになっている自分にジャスティアスは気付いた。
人類が、世界が、滅亡の瀬戸際に立たされている今この時、彼女はあまりにも無力だった。

「愚か者め……屈するも屈しないも関係ない。今の貴様は我が血肉となる時を待つ、ただの獲物に過ぎないっ!!!」

そして、無力な少女に待ち受けている運命など、既に決まりきっている事だった。
グノー皇帝が叫ぶ。

「見よっ!!これが、貴様の未来っ!!!貴様の運命だっっっ!!!!」

その瞬間、目の前のグノーの姿が、つぼみが開くようにメリメリと音を立てて展開し始めた。

「くふふ……くははははははははっ!!!!!」

黒い外殻が裂けた内側から出てきたのは赤黒い肉の花びらと、その真ん中に開いた周囲に無数の触手と牙をそなえる黒い穴。
それはグノー皇帝そのもの姿などではなかったのだ。

「何…なの……これ…!?」

それは捕らえた獲物を喰らうための巨大な捕食器官に過ぎなかった。

(…私…食べられちゃうの……?)

ジャスティアスの心の奥、人間としての原始的な本能が、圧倒的な力と死の予感にすくみ上がる。

(…食べられて……取り込まれちゃうの……?)

喉がカラカラに渇いて、悲鳴一つ上げる事もできない。
凍りついたジャスティアスの体に、グノーの触手が一本、また一本と絡み付いて、彼女を暗い穴へと引きずり寄せていく。

「……ぁ……ぃゃ……ゃ……ぃゃぁ……」
「さあ、教えてやろう、本物の絶望というものをなぁ……」

やがてジャスティアスの姿は巨大な口の奥、暗闇の中に飲み込まれて消えていった。


「死ぃねぇええええええええっっっ!!!!!!」

獣の叫び声のような駆動音を響かせて、三連チェーンソーがまた一体の怪人を切り裂く。
だが、横なぎの斬撃を振り切ったその隙に、新たに3体の怪人がDレッドに襲い掛かる。

「隊長、危ないっ!!!」
「しゃがんでくださいっ!!!」

だが、間一髪の所で、Dレッドの背後から飛び出した青とピンクのパワードスーツがそれぞれの獲物で怪人を仕留める。

「畜生っ!!まるでキリがねえっ!!!」

戦いが始まって既に数時間が経過していた。
休みなく押し寄せる無数の敵によって、Dフォースは一人また一人と数を減らし、
いまや赤崎をリーダーとする第1チームの5人と、各チームの生き残り8人の合計13人、つまりは当初の30人の半分以下にまで追い詰められていた。
人数が減った分、一人一人の負担は大きくなり、疲労はさらに蓄積していく。
なんとか補給ポイントの一つを確保していたものの、エネルギーや弾薬の補充をする余裕はなかった。
しかも、怪人達は空中に浮かぶグノー要塞からも出現し、時間が経過するほどにむしろ数を増やしてさえいた。
途中で応援に来た自衛隊の部隊とも既に交信途絶し、Dフォースは孤立無援の状態になろうとしていた。
絶望的な状況。
だが、赤崎の脳裏にはさらなる不安が頭をもたげていた。

(くそっ!!…どうしちまったんだ、嬢ちゃんっ!!!!)

姿を現さないジャスティアスと、ジャスティーダークと名乗る謎の敵の存在。
何度も頭をよびる最悪の結末は、いくら振り払っても赤崎の思考から消え去る事はなかった。

(…本当に…やられちまったのか!?)

彼女が赤崎に見せてくれた、年相応の少女らしい無邪気な笑顔。
どれほど強大な力を持っていようと、結局のところ赤崎にとってジャスティアスはただの女の子だった。
少しでもそばにいて、あの笑顔を守ってやりたかった。
それなのに………。

「ちっくしょぉおおおおおおおおおっっっっ!!!!!」

響き渡るDレッドの、赤崎の悲痛な叫び。
だが、彼らはすぐに知る事になった。
共に戦った少女の、ジャスティアスのあまりに残酷な末路を……。

「……っ!?…なんだ…ありゃあっ!!?」

突然、街の上空に映像が映し出される。
超巨大な空中投影型のスクリーン、それは赤崎達の戦う街だけではなく、グノーとの戦場になっている世界中の都市に出現した。
そして、そこに映った光景に、戦い続けていた人々は誰もが言葉を失った。

「……嬢…ちゃん……?」

白濁に塗れ無残な姿で触手に拘束されたジャスティアスの姿がそこにはあった。


仄かな光が毒々しいほどに赤い肉の壁を照らし出している。
グノー皇帝の触手に捕らわれ、巨大な口に飲み込まれて、それから自分はどうなってしまったのか?

「ここは…一体……?」

恐らくはグノーの体内なのだろうが、消化器官というわけでもなさそうだ。
そもそもグノーは人の心を、生命が燃え尽きる極限での絶望を喰らうのだという。
ならば、通常の動物が獲物の肉体を溶かして栄養として吸収するのとは、全く違った捕食方法になると考えるのが正しいのかもしれない。
いずれにせよ、肉の壁に手足を飲み込まれ身動きの取れない今は、ジャスティアスにとって最悪の状態である事は間違いない。
グノーはジャスティアスの想像もつかないような方法で、その力を取り込もうとしているのだろう。
と、そこまで考えた時である。

「目を覚ましたようだな、ジャスティアス……」

密閉空間全体に響き渡るグノーの声。
そして、それと共に、ジャスティアスの目の前の肉壁の一部が裂けて、その中から巨大な眼が出現する。

「…グノーっっっ!!!!」

ジャスティアスはその瞳をキッと睨みつけた。
さっきのように気力でまで負けてしまったら、本当にグノーの思うがままにされてしまう。
あらゆる力を奪われてなお、ジャスティアスは一歩も退こうとはしなかった。

だが……

「そんなに怖い顔をして良いのか……?」
「な、何を言って……!?」
「貴様の姿を見ている世界中の人間どもに失礼だとは思わないのか?」

グノーの不可解な言葉に、ジャスティアスは混乱する。

「くふふ、分からないなら見せてやろう。今のお前の無様な姿に絶望する人間どもの顔をなぁ……」
「きゃっ…痛ぁ…っ!?」

突然、ジャスティアスの首筋に鋭い針のような先端を持った触手が突き立てられた。
それはジャスティアスの脳神経に介入し、膨大な量の視覚情報を送り込んでくる。

「これ…何?…何なの、一体!?」

グノーの怪人に必死の抵抗を続ける世界中の人間の姿が、ジャスティアスの脳内に次々と浮かんでは消えていく。

「ジャスティーダークが教えた筈だ。グノーの怪人達は全て我を構成する細胞に過ぎない。怪人と我は同一の存在なのだ」

前線で戦う怪人達は倒した敵の最後の断末魔を浴びて、そのエネルギーをグノー本体に伝達する。
空を真っ黒に染め上げたあの怪人軍団、その一体一体がグノーの分身ともいえる存在だった。
そして怪人達が伝えるのは何もエネルギーだけではない、視覚、嗅覚、聴覚などその感覚器官で捉えた情報をもグノーに伝えるのだ。
「これは貴様を我の一部へと変えるための第一段階。これから貴様の体に、本物の絶望の味を教えてやろう……」

グノーがそう言うと、さらに二本、三本とジャスティアスの首筋に針が突き立てられていく。
やがてジャスティアスは直接脳内に流れ込んでくる情報の嵐にもがき苦しみながらも、それらが意味するところに気付き始める。
それは………。

「…みんな……私の姿を見てる…!?」








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