拍手ありがとうでやんす。励みになります親分。
さてリクエストをいったいどうするか、どういう文面で送るか、というのが現在私にとって最大の懸案であるのだが、考えこんでいるうちにどういうわけか「オレイルがなぜ死んだのか」ということについて想像をめぐらせていた。<またろくでもない想像やな……
「ほかに考えることはいくらでもあるだろう!」というお叱りを受けそうなネタである。まったく我ながら呆れるほかはない。以下、好き勝手に憶測を並べ立てている。
オーフェンの指名手配&青目に始まり、教主=人形説やらドラゴン種族の絶滅といった世界設定に関わる謎、レティシャの妊娠、コンスタンスの結婚、コルゴンの過去が一部判明するなど、唐突な伏線の回収と設定の開示で読者を阿鼻叫喚の渦に叩き込む「あいつがそいつでこいつがそれで」。
おそらくそれらと比較して、9月13日付でのサルアの台詞(「あいつは死んだ。あいつを覚えているか?」)は、まだしも衝撃の度合いは小さかったのではないだろうか。というより、前後に入ったのが強烈過ぎたために目立たなくなってしまったような気がする。ナム。
ここで考えたいのは、死んだとしたらその原因は何か?ということである。ものごと、特に物語中で起こるそれには必ず原因と結果が存在し、結果が欠けると消化不良を、原因が欠けると唐突さを受け手に感じさせてしまう。
コンスタンスのけ、け、けけけけけっけ血痕、もとい結婚もそれらしい前振りが一切なかったためにあれほどの惨劇を振り撒いたとは言えまいか(レティシャやメッチェンはまだ本編中で前振りがあった)。
閑話休題。さて他の設定と同様、唐突に明かされたオレイルの死であるが、本編を読む限りでは「このキャラは数ヵ月後に死にます」と言われて、はいそうですかと納得できるような描写はされていない。オレイルは病人でもないし、わざとゆっくり歩いているという描写から足の傷も癒えているようだからだ(てか、あのシーンでサルアがだらだら歩いてるのはオレイルの足を気づかってのものなのか?)。
というわけで、死因については「背約者(下)」から「あそこそ」までの半年強の間に何らかの出来事が起きたから、と考える次第である。しかし、これだけではなぜ死んだのかという謎について推測に足る材料にはならない。
次に、時期について考えてみよう。
まず「背約者」の事件から数ヵ月後、オーフェンによってアイルマンカー結界が消失し、それを契機としてキムラック市は崩壊を起こす。騎士軍と難民、魔術士によって紛争地帯と化したキムラックにサルアたちは戻るわけだが、この時点でのオレイルの生死は不明だ。崩壊から半年後、オーフェンがキムラック跡地に姿を現したときにはじめて「死んだ」と語られるのである。
そこで、死んだ時期をキムラックに戻る以前・以後のいずれかのパターンにわけて見てみよう。
戻って以降ならば話は簡単で、騎士軍との戦いの中で命を落としたと考えるのがもっとも自然だろう。1月1日付の更新においてクリーオウが襲撃を受けたのを思い返すまでもなく、軍人は敵対するものに対して容赦がないのだ。
ではいまひとつ、戻る前ならばどうだろうか。こちらのパターンは、かつて追われた故郷を二度と見ることなく死んだ、という物語的様式美以外に説得力のある材料がない。
だが、ひとつ仮定してみた。キムラックには黄病という風土病がある。結界の穴から吹きこむ死んだ黄塵により引き起こされるもので、メッチェンが語ったところによると3度かかって生き延びた人間は滅多にいないほど重い病らしい。
つまり、黄病が身体にたまった砂で起きるのならば、キムラックを離れたあとでも発症することはあるのではないか。もしオレイルがキムラックへ戻る前に死んだのなら、それは黄病によるものだったのではないだろうか。
結論としてはあまり面白みがないが、以上二つのパターンが考えられる。
ちなみに、私個人は「オレイルはキムラックに戻ることなく死んだ」という説を推したい。
停滞していた場所から扉を開けて外に出る。これは「オーフェン」東部編で導かれた結論だが、ある者にとっては変化を受け入れて前進することを意味したとしても、また別の者にとって変化の結果は消失につながることがありうるからだ。たとえば、ドラゴン種族のように。
しかし私はオレイルが変化により絶望して死んだとは思えない。なぜなら、オレイルはおそらく自分の意思で小屋を出て行っただろうから。
をを、なかなかきれいにまとまったではないか、と自画自賛して終わる。