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RD23話-26話

23話「人間律」

 久島の考え、直観がはじめて言葉として語られる。かれがなぜ、気象分子散布に反対したのか。そして地球律とは何か。
 まずひとつ。この話は22話までの謎が明らかになり、次回以降の展開を盛り上げるための布石を打つ、重要な回であるはずだ。
 だがいかんせん遅すぎた。これまでまったく語られてこなかった地球律の謎は、言葉でさらりと触れられただけで「ふーん」以上の感慨を呼び起こすものにはならない。視聴者に「おおっ!なるほど!」と思わせるためには、少なくともこれ以前の段階で地球律に触れたエピソードを1話か2話使うべきだ。
 また、ジェニー・円は気象分子推進者であるため久島や波留たちと対立することになるのだが、これも描写が唐突すぎた。主人公組みが仮説ですらない、いやトンデモ科学状態の地球律を信じて動くのはわかる(あのひとら直観のひとやから(笑))。しかし円のかたくなさに説得力が感じ取れない。これではただの悪人だ。円は4話以降クライマックスにいたるまで登場してこなかったため、対立してても人の話を聞かないおっさんにしか見えないのだ。もしこの前段階で、円が気象分子をまるでわが子のように大切している、情熱をかけた研究だとわかる話があれば違ったのかもしれない。しかしそんなエピソードが作られることはなかった。描写をするのは遅すぎたのだ。
 それから、これは作劇上のミスではないが、ソウタが部長代理に就任しているのは明らかにおかしい。いやこれがたとえば「グレンラガン」とかならいいよ?けれどもこの「RD」では、ただの助手が責任ある立場につくことがありえる世界観ではないだろう。しかもソウタが部長代理になる必然性がないのでよけいに不自然に感じる。

24話「地球律」

 これ単体で見ればかなり盛り上がる話ではある。しかし23話で盛り上げる伏線を張るのに失敗してるため、24話は気象分子散布が成功してしまうというイベント消化以上のものにならなかった。つくづく残念だ。

25話「ラストダイブ」

 気象分子が散布されてから一週間。砂漠化した地域で300日ぶりに雨が降るなど、気象分子は順調に効果を上げているようだ。円が望んだように。かつて人の手で破壊された地球を人の手で戻さなければならない。それが円の望みだったのだ。
 一方電理研では、久島が残した最後のカード、超深度ダイブを実行するための準備を進めていた。
 ……だからなんでなんだよ!気象分子が地球律を引き起こし、海が燃えつきるような事態を起こす可能性がある、というのはあくまで仮説ですらない、久島の直観だったわけだろう?世間的にも気象分子バンザイな雰囲気な中、人工島を支える電理研がそんなことをやっていていいのか?
 というわけで今回は大人っぽくなって色気が出てきたミナモさんと波留さんとの、哀しみあふれる昼食シーンが見どころでした。

26話「リアルドライブ」

 実は19話を見たとき「波留さん最後には海の不思議パゥワァで若返るんじゃ……」という考えがちらりと脳裏をよぎった。けれどもアニメ誌のインタビューで「逆浦島太郎をやる。肉体は老いてしまって、話が進むにつれて精神が若返っていく」とあったから、最終的には精神年齢30歳、肉体年齢80歳のスーパーおじいちゃんで完成されるのだろう立てるようになるのはともかく若返るなんていくらなんでもクチャクチャだろハハハハ。と思い直したのだ。
 まさか本当に若返るとはねー……。トンデモ科学ここに極まれり。
 いや、べつにトンデモ科学なのはいいんだよ?海にすべての記憶が眠っていようが、体内の水を通じてすべての生命は共感しあえようが、それを魅力的な物語にしたてあげることができるならば、トンデモ上等だ。いくらでもやってくれなさい。
 しかし「RD」は致命的なまでに説得力に欠けている。「分かりにくいかもしれないけど、これはこういう理屈があってこうしているんです」という説明をおざなりにして「見たままを感じ取ってください」というのは、物語の作り手として怠惰に過ぎる。感じてほしいというのなら、まず言葉を尽くすところからはじめるべきだ。
 ハレー彗星の影響で地球全体が活性化し、水によって命がひとつになった夜。なるほどそれはとても美しいものだったのかもしれない。けれども、ほんとうにそれは伝わったといえるのか?空を見上げているのは非常に狭い世界で展開していたこの作品に登場していた人物だけ、いわば身内だ。
 このアニメ、全体的に起承転結のうち、「起」の部分がどこまでも欠けてたんだなあ……。地球律とはなにか、というテーマと世界観の根本にかかわる設定にはじまり、キャラクターの動機も説明はされるけど説得力がない、各話でも話がなんでそうなるのか不明な事が多い、と物語の最初の要素たる「起」がどうしようもなく欠けていた。
 そりゃ、傑作にはならないとは思っていたけど、まさかこれだけひどい出来で終わってしまうとは。もうちょっとなんとかならんかったのだろーか。

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