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「Under the Rose」船戸明里

 すごかった。
 いや単純な一言だけではまだ足りぬ。なんという漫画だ。凄まじい。
 初めて福本伸行、特に「カイジ」や初期短編集を読んだときも頭を鈍器で殴られたと思ったくらい衝撃を受けたものだが、「Unde the Rose」はそれとは異種の、しかし同程度の圧力をもってのしかかってくる作品だった。ページをめくるたびに、紙面から滲み立つものが心にずぶりずぶりと入りこんでくるようだ。
 漫画の表現力とはこんなことまでできるのか、と改めて感動する。これまで手を出さなかったのは不明と言わざるを得まい。
 1巻の時点では「ヴィクトリア朝の貴族の館を舞台にしたミステリー調の話」程度の認識しかなかった。しかしこの作品は、読者の浅慮を叩きのめすがごとく、物語の進展とともに迫力と鋭さを増していくのだ(特に3巻と4巻の素晴らしいことといったら!)。

 なお作者の船戸明里は「流血女神伝」の挿画を担当しているのだが、中盤の「暗き神の鎖」以降は表紙絵のみで、挿絵はなくなってしまっている。
 多忙のためとのことで残念に思っていたのだけれど、確かにこんな作品を生み出していたらそうそうほかの仕事に取りかかるのは難しいわー。納得した。

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