読んだ。ざっと感想なんぞを。
動漫というのは、動画・漫画、すなわちアニメやマンガのことを指す中国語。
もとは日経ビジネスオンラインの連載だからか、著者が理学博士だからだろうか。やや筆が先走っているところもあるが、そのぶん読みやすいと思われ。
しかし、ここに記されているのは現代中国に生きる若者、新華僑たち、そして著者の生の言葉であり、説得力がある。なにより、中国の海賊版マーケットなどというような、どこにあるのかも分からないデータを探し出し、具体的な数字で中国における動漫の現状を示しているのが素晴らしい本。
それだけでなく、中国政府の動向や動漫新人類たちの一見二律背反的な行動にも話題は及び、なぜそうなったのか、その原因を近現代史を背景に考察しているのがポイント。
目からウロコ、と書評サイトで書かれているように、こういう話は新聞には載らないのだ。
それにしても、中国ではコスプレ大会が国家事業として行われているのか。参加者60万人、しかもそれが全国に放映され視聴者は5億5千万。むちゃくちゃである。紅白でアニソンが流れ、「萌え」が新聞紙に載るくらいで世も末だと言っていた自分が馬鹿らしくなってきた。