メロディ2016年2月号「可視光線」第3話感想
今月号も色々と色々と色々とおいしかったですが、私が何より嬉しかったのはここです。
もう本当に本当に嬉しかった!
結婚しても第一で働いてたのも嬉しかったし、
当たり前のように薪さんと会話してたことも嬉しかったし、
スガちゃんが出てきたことも嬉しかったし(しかも一人前に成長してるっぽい!)、
髪型も前髪を作ってなんか可愛くなってたし、
「つよし君」呼びも相変わらずだったし、
そして何より、
あの描写はそういうことですよね……?
わー、おめでとうございます!(パチパチパチ!)
雪子さんが幸せになってくれたことも勿論嬉しいですが、
これで青木もちょっと肩の荷が下りたんじゃないかと思いました。同様に薪さんも。
休暇願を提出された時の薪さんの反応を妄想するだけで楽しいです。
多分結婚式には出られなかっただろうから、お祝いだけでも渡すんじゃないかな。
(12巻の結婚式のカットは恐らくIFイラストでしょう)
なんやかんやあったけど、結局「つよし君」「雪子さん」と
互いに下の名前で呼び合ってる二人ですもんね。
(多分薪さんの方は鈴木に言われて仕方なくだろうけど笑)
どうかこれからは仲良くなってくれたらいいな。
表紙
銃を構えて俯いている薪さん。静謐な印象を受けます。桜木を確保しに行く車中のワンシーンでしょうか。
薪さんにとって銃を持つことの意味を深く考えさせられます。
どうしたって銃を手にすれば、鈴木のことを思いださずにはいられないはずです。
それでも彼がこうして銃を携帯して現場に向かえるのは、一つは彼の持つ強い正義感ゆえに。
そしてもう一つは、あの日青木が体を張って自分を止めてくれたからではないでしょうか。
今の薪さんは昔の彼とは違います。
「第九」という家族ができて、人との繋がりができて、薪さんは強くなりました。
だからこそ躊躇いなく桜木を撃てたのではないでしょうか。
新キャラ登場
とうとう新たな部下が来ましたね! 名前は山城で、第三管区の捜査員。髪型は一昔前に流行ったロン毛。以上!
……いやー、波多野に比べて今一つ印象が薄いんですよね。
まあ出番も少なかったし、しゃーないです。
第九に努めているからには、彼もそれなりに優秀なのでしょう。
これからに期待ってことで。
……でも今のメンバーって、役立たずだからって定時に上がらされてるんだよな(ボソリ)。
あ、だから波多野はいちいちメモを取って、少しでも役に立とうと頑張ってるのかな?
もう一つの遺体
亡くなった人間はやっぱり冤罪被害者(?)の遺族でしたね。薪さんの言葉からは安直に犯人に同情するのではなく、
不幸の原因を外部に求めて、関係のない他者を巻き込んだことへの怒りが伝わってきました。
由花里さん、本当に気の毒な女性でした……。
青木室長の捜査
桜木の出生の秘密を探るために、彼の地元に足を運ぶ青木。薪さんに負けず劣らず、青木も部下に「あの人すぐ自分で動こうとするんだから」って言われてそうです。
犬好きなのはやっぱりって感じでしたね。
嬉ションせんばかりに懐かれてましたが、あの姿を薪さんにお見せしたかったです。
3巻の「花とゆめ動物公園」のゴリラの檻の前でのように、
愉快な妄想が薪さんの頭の中で繰り広げられたことでしょう。
「科警研九州第八管区」が正式名称なんですね。ふむふむ。
でも青木の肩書きが区長じゃなくて室長ってことは、
○○室って名称が省略されているんでしょうか?
名称からは薪さんの直属に見えますが、原罪を読む限りではどうも違うみたいですね。
青木に「古巣好き」って言った人が薪さんのことを「元上司」って言ってたし。
てか、あれは一体誰なんだ。警察庁の九州地区のお偉いさん? 県警の人?
エンドゲームで明らかになったでっかい施設の中には、MRI捜査の部門だけでなく、
本家科警研にある第一研究室等、その他の部署も入っているのではないかと思うのですが、
その辺と青木達、地区の室長はどういう風に関わっているのでしょう。
元警察庁長官とのランデブー
この人まで出てきてくれました。薪さんの飲み友達だったんですね。懐かしいキャラが続々と再登場してくれて嬉しいです。
今は何をしているんでしょうか。
こうして情報交換をしているからには、何か権限を持ったポストにいるのでしょう。
ちょっと顔が変わったようにも見えますが、相変わらずの渋さです。いい禿。
飲み物もバーボンとかスコッチとか、渋めの所にいってるようですね。
かたや薪さんのグラスといえば、ソフトドリンクかカクテルのように見えます。
薪さん飲める人なのに飲まないってことは、
この会合はプライベートというより、仕事の意味合いが強いということなのでしょうか。
しかしここでひとつ思ったのが、警視総監……あんた長年ポストに陣取って何やってるんですか。
もう一つの椅子はちゃんと世代交代されているというのに……。
実力で地位に居座っているのか、それとも人脈など策を弄してしがみついてるのか、
たまたま幸運が重なっただけなのか。
有能なのか無能なのか、いまいち分からん人物です。
桜木の尋問
さあ、いよいよ薪さん直々の尋問です。桜木はどうしてこうも薪さんに拘泥しているのか。
まあ薪さんぐらい輝かしい人物が同世代にいたら、
どうしても妬み深くなってしまうのかもしれませんが。
桜木の口ぶりからは薪さんのことを全く理解していないというのが分かります。
ただ一つを除いて。
桜木からすれば自分と薪さんは何もかもが正反対に見えたのでしょう。
でも実は二人は同じ種類の秘密を抱えていた。
実に清水先生らしい、痛恨の皮肉が効いています。
一方はそのことで親に殺されかけたという苦い経験を持っていますが、
もう一方もだからといって幸せな幼少時代を過ごしたわけではないのです。
薪さんの前で薄笑いを浮かべる桜木の顔を見ていると、原罪での薪さんの台詞を思いだします。
「不幸比べをして生きているわけじゃない」
そしてそんな桜木でも一つだけ見抜けていることがあったんですね。
鈴木が薪さんにとっていかに大切な人物であったかということ。
きっと桜木は薪さんのことを、密かに見続けていたのでしょう。
だから薪さんの鈴木への思慕にも気付けた。
その眼には憎しみと同時に、憧れも含まれていたのではないでしょうか。
薪さんに呼び捨てで怒鳴りつけられたとき、彼は嬉しそうに見えました。
薪さんがむき出しの感情を自分にぶつけてくれた、
ようやく自分のことを見てくれた、と思ったのではないでしょうか。
問題のシーン
私にはもうこれしか言えることがありません。薪さんを守るために、結果的に薪さんを床に転ばせてるわけですが(笑)、
まあ殴られるよりは、ちゃんと庇いながら倒れたから、大丈夫なんでしょう。
青木自身は朴念仁だから、多分このことをなんとも思わないでしょうが、
薪さんの方には結構残るんじゃないかなあ。
今は事件のことで頭がいっぱいになってるけど、
事件が解決して日常に戻ってから、ふとした時にこの時の感触を思いだしたりなんかして。
ほら、怪我した時は興奮してなかなか痛みに気づかないけど、
段々痛くなってくるっていうあの理論ですよ。
そういや私、前から思ってたんですよね。
一人でアメリカやフランスに出向している間、
薪さんは青木の抱擁を思い返す瞬間が何度もあったんじゃないかって。
なんせ記憶力は抜群ですもん。忘れようったって忘れられませんよ?
次号に向けて
さあ、物語もいよいよ大詰め。果たして桜木の秘密は明かされるのでしょうか。
「秘密」において一番大きなテーマがこれだと思うのです。
個人の秘密をバラすことは許されることなのか、否か。
桜木を凶行へ走らせたのが彼自身の障害のためだと明らかにされたら、
減刑の可能性も浮上してきます。
ですが、それは果たして彼を幸せにするものなのか。
桜木のために、臨終の彼の母親のために、そして亡くなった由花里さんのために、
娘を失った彼女のご両親のために、どうするのが一番いいことなのか。
薪さんがどういう選択を取るのか、息を詰めて見守りたいと思います。