メロディ2016年4月号「可視光線」第4話感想
ついにシーズンフィナーレ。先月までは暗雲が立ち込めるような、どろどろした気持ちで読み進めていたのですが、
今月号のラストのページを読み終えた時、とても清々しい読後感に浸れました。
まさしく雲間から一筋の光が差し込んで、晴れ上がって行くような感じでした。
清水先生、今回も素晴らしいお話をありがとうございました!
山本登場
あまりにさりげなく出てきたので、最初彼と分かりませんでした。しかしよくよく見れば第九で一番フレッシュな彼ではありませんか。久しぶり!
ちょっと(てか大分)老けましたね。
薪さんの老けなさすぎもどうかと思うけど、君は老けすぎだ。
元検事として意見を聞くために、遥々北海道から呼び寄せられたのでしょう。
今でもちゃんと薪さんに頼りにされているんですね。良かったね!
……ってことは、今後薪さんが隠密に長距離移動しなければならなくなったときとか、
飛行機の操縦免許を持っている誰かさんが九州から呼ばれることもありえるのかな?(笑)
事件の真相
こういう言い方をするのもなんですが、犯人が犯人で本当に良かったです。ここにきて全ての前提がひっくり返りましたね。
桜木の証言の信頼度が低かったことは事実なんでしょうが、
それでも結果的に彼は間違っていなかった。
桜木は誰に恥じることなく、ただ誠実に、懸命に生きてきただけだった。
彼は警察官にふさわしい人間だった。
この逆転劇のために、清水先生は今まで彼を露悪的に書いていたんでしょう。
今月号の桜木は本当にかっこよかったです。
自分の中のトップシークレットを曝け出してでも、人を守りたい。救いたい。
2話の感想で書いた、「きらきらと輝く正義感」が彼の中にもちゃんと見えました。
今月号は本当にいろいろなものがひっくり返りました。
事件の真相についてもそうだし、桜木の家族についてもそうでした。
先月までは家族との仲の悪さ、桜木が孤立していたように描かれていましたが、
弟の冤罪疑惑が晴れた瞬間、彼らは真っ先に桜木に手を伸ばし、彼を労わっていました。
身内のせいで恥をかきたくないという利己的な理由だけでは、ああいう行動に結びつかないと思うのです。
桜木の兄姉は確かに薄情な面もあるのかもしれませんが、
それでも弟に対しての情をちゃんと持ち合わせていたんですね。
そしてまた、桜木の薪さんへの思いについてもそうです。
薪さんへの反発心が手伝って、素直にそうと認められなかっただけで、
心の奥ではちゃんと薪さんの思いを受け止めていたんですね。
桜木がああも薪さんに固執していた主な原因は、やはり出世欲だったのでしょう。
二つしかない椅子を競うライバルだと思って、対抗心を燃やしていた。
ですが、それも元々は母親を喜ばせるためだった。
「自分が出世することで母を幸せにする」という、人生の指針を失ってしまった彼は、
ようやくまっさらな気持ちで周りを見られるようになったのでしょう。
そしてその時目の前にいたのは、自分のことを心から案じてくれる、薪剛という人でした。
やったー、清水先生の筆が滑った!
今回人命救助をした桜木の次にいい仕事をしたのが、薪さんにセーターを貸したナースだと思うのです。待ちに待ったオフスタイルの薪さんが、8巻以来再び……!
実によくお似合いでした。できればカラーで見たかったです。
全体的にダボッとなってるのに袖は短いのは、スタイルがいいせいでしょうか。
そして何より、あの青木に可愛いって言わせましたよ、可愛いって!
それでも全く赤面しないのはさすがです。
薪さんが脱ぎだしても、全然焦らないで普通に見てるし。
本当に……本当に、奴は朴念仁です……くっ。
(他の第九メンバーだったら、絶対真っ赤になって後ろ向いてるって!)
でもこの二人のこういう、お互いを普通に同性と思って変に意識しないところが好きなので、
これでよしです。
ところであの後、下も着替えたんでしょうか?
そこが重要だと思うのですが……清水先生はやっぱり薪さんの下半分の肌は描かれないんですね。
まあいいです。あの様子だと青木の前でも普通にパンいちになっただろうし、
私たちが見られなくても、青木が見たんだと思えば。
それが一番大事なことですよね?
下着はさすがに病院の売店で買って着替えてるか……。
ドライバー青木
薪さんが助手席に座った! これはもう結婚するしかない!いやいや冗談ではなく真面目に。
今までの描写でも、薪さんが人の運転で座るのは基本後部座席ですよね。
なのに青木の運転の時だけ助手席に座ってます。
多分その方が清水先生が描きやすいとか、そういうメタ的な理由を排除すれば、
私の推理はこうです。
青木が自ら助手席のドアを開けている。
これしかないと思います。
薪さん自分から助手席に乗り込む性格ではないと思うし、
先に青木に「どうぞ」ってドアを開けられてしまったから、仕方なく乗ったという流れではないかと。
もしかしたら宇野(9巻)や岡部(10巻)の時も、薪さんをエスコートしているのかもしれませんが、
さすがに薪さんに隣に座ってもらおうとはしなかったでしょう。
そこへ行くと、青木は作中で何度も描写されてるように、鈍感で神経が図太いです。
きっと何も考えずに、ごく自然に助手席のドアを開けたのではないでしょうか。
そしてそんなことができる人間は、恐らくこれまでもこれからも彼一人でしょう。
なら、もう結婚するしかないですよね?
なんかいつの間にか青木の運転も危険視されなくなったようだし、
あれなら日曜日のお買い物とか普通に行けますよ!
青木家ご訪問
うーん、何から話せばいいのか……。とりあえず前から私ツイッターで主張してたことがあったんですよ。
「薪さんはこたつの経験がないから、青木の家が初体験に違いない」ってことと、
「青木はあまり料理できなくて、簡単にできる鍋とパスタが得意料理」ってことと。
どうしよう、夢が叶っちゃった……!
とりあえずこれからもどんどんツイッターで妄想を吐いていきたいと思います。
また実現するかもしれないし!(←下心)
閑話休題。
待望の、青木の実家初登場です。
普通の庶民の家って感じですね。
庭付き一戸建てに、そこはかとなく漂う田舎っぽさ。そして狭苦しい家の中。
室内干しの洗濯物、家族の予定を書き込んだカレンダー、舞のおもちゃ。
それらを眺める薪さんの表情に特に変化は見えませんが、
その眼差しが温かいものであることは、秘密ファンであれば読み取れることと思います。
住人である青木の態度も庶民丸出しです。
ふすまを足で開ける!
茶菓子がないからって子供の駄菓子を客(上司)に出す!
しかもそれ、舞がもらったお菓子じゃないですか。
それ絶対後で舞に怒られるパターンですよ。
青木家の教育方針はきっと「大らかに育てる」なんでしょう。
そしてその大らかには「適当」ってルビが振ってあるんですよ。
適当でスキップして東大まで行かせたのか。やるな、青木家。
青木家対面
桜木の苦悩を思って涙を流す薪さん。青木の前でなら、そうやって泣けるんですね。
過去に岡部の前でも泣いてはいましたが、それは薪さんが泣いていたところに
たまたま岡部が居合わせるというパターンでした。
薪さんにとって青木は特別なんだなと、改めて思いました。
そんな中、間の悪いことに、二人が帰ってきてしまいました。
いや、あのままだと薪さんすぐに帰っちゃっただろうから、逆にタイミング良かったのかな?
舞に引き留められた薪さんが、夕食までお相伴になったんだと思いたいです。
家に帰ったら男と抱き合っている息子を見つけて、驚く青木母。
ご愁傷さまです。
でもそれ、誤解じゃないです。
相手は息子の好きな人(そして息子を好きな人)ですから。
多分これから先、末永いお付き合いになると思うので、くれぐれもよろしくお願いします。
色々問題もあって難しいかもしれませんが……ほら、嫁姑的な……ごほごほ。
9巻で娘に会いに来た時も、ホテルに泊まるなどして常識的な行動を取っていた彼女のことですから、
大丈夫だろうとは思うのですが。
実際問題、エンドゲームの一件で、青木家と薪さんとの間に蟠りができたのではないかと思っていたので、
今回あっさり邂逅がかなったことに、とてもほっとしました。
舞の髪型が可愛いですね。
恐らく青木母がやったのでしょう。すごいな、青木母。感性が若い。
そして薪さんを紹介されて、舞は「マキちゃん!」と呼びますが、
この時の彼女の表情を見てください。
「ああ、この人が例の!」という顔をしていると思いませんか?
私、前々から思ってたんですよ。
青木は室長室に旧第九の写真を飾っていましたが、家でも同じようにしていたんじゃないかって。
そして時折その写真を舞に見せながら、
「この人が室長の薪さんだよ。それでこの人が岡部さん。怖い顔してるけど、とっても優しい人なんだよ」
って教えていたのではないでしょうか。
そう考えると、舞の反応にも納得がいくんです。
舞は目の前の人が話に聞いていた「マキさん」だと分かって、あんな顔をしたのではないかと。
さらに付け加えるならば、幼児の頭の中では「薪」という漢字は出ないと思うんですよ。
となると、「マキさん」は下の名前だと思ったのではないでしょうか。
青木も「薪剛さん」ってフルネームでは紹介しなかっただろうし。
その上薪さんは成人男性には見えない容姿をしています。
恐らく舞の中で「マキさん」は「行ちゃんのお友達のお姉ちゃん」として、
長い間認識されていたのではないでしょうか。
だから「マキちゃん」がするっと口から出たんだと思うんです。
その後、薪さんに対して怒涛の攻勢をかける舞。
さすが青木家の血筋です。薪さん相手にもなんら動じません。
頑張れ、舞ちゃん。「マキちゃん」をそのまま家に引き留めて、お家にお泊りさせたら、
今月三人目のMVPは間違いなく君だ。
「笑ってるの?」については……さすがに笑いはしなかったでしょうが、
涙は引っ込んだでしょうね(笑)。
「好きな人の前で泣いているところを相手の家族に見られて、ばつの悪い薪さん」という、
世にも珍しいものが見られました。
やっぱりあのタイミングで帰ってきて、大正解☆
最後に
今月は良かったづくしでした。亡くなった後でも故人の尊厳を守りたいという桜木の信念に対し、
薪さんは理解して引き下がるを得ませんでした。
桜木が有罪になったことは悲しいけれど、
三年後に墓参りができているということは、かなり減刑されたのでしょう。
何より、彼自身の気持ちが尊重されたことが良かったと思います。
多分母親が生きていたら、反対の結論を望んだでしょうが……。
また黒谷家と桜木との間で、和解が叶ったことも良かったです。
由花里さんはちゃんと桜木のことを好きだったんですね。
恐らく薪さんへの思いは、アイドルに憧れるような淡い気持ちに過ぎなかったのでしょう。
彼女が嘘のない人で、彼女の思いが桜木に伝わって良かった。
できることなら、生きて桜木と幸せになってほしかったです……。
しかしそうなると、薪さんって意外に女運が悪い?
女性から「三歩引いたところで鑑賞しておきたい人」的な扱いを受けることが多いのでしょうか。
だからこの年まで独身?
単に第九の室長だったからとか、本人に結婚の意思がないとか、それだけじゃなくて?
……よし、薪さんの女運が悪くて良かった!
だって、今はちゃんと運命の人と会えたもんね。
END
8か月に渡ってお付き合い頂き、ありがとうございました!
めんどくさいので、もうやりません(笑)。