「……むぅ、どうしたものかな」
「お、どした? 悩める美少年の姿は絵になるねぇ」
「……ご本人の登場、か」
「なんだ? 何か俺に用でもあるのか?」
「いや……うん、そうだな、用はある。君にいくつか質問があるんだよ」
「バレンタインはチョコでいいぞ。というかむしろチョコがいい」
「……そこなんだ」
「え?」
「実はだね、こんな形(なり)をしていても、一応女である僕なんだが、
恥ずかしながら、料理というものを嗜んだ経験が無い」
「……そうなの?」
「……恥ずかしながら」
「でも、大丈夫だって。チョコなんか、溶かして固めてくれりゃ、食えるもん
にはなるだろうしな! お前が作ってくれるもんなら、よっぽどのもんじゃ
なけりゃ、俺は大歓迎だぜ!」
「……君ねぇ」
「な、なに?」
「それは僕に対する挑戦と受け取るよ?」
「なんでっ!?」
「当たり前だ。こんな形をしているが、僕は女で……さらに言うと、酷く
負けず嫌いな女なんだ」
「……そ、そうなのか?」
「そうなんだ。言ってなかったけどね」
「でも、料理した事無いんだから、そんな無理しなくても……」
「いいや……君の言葉が、今、僕の闘争本能に火をつけた!」
「え、えぇー」
「というわけで、バレンタインデーには僕の心を込めた手作りチョコを
君にプレゼントする事にした。覚悟しておくことだね」
「それは心的意味ですか胃袋的意味ですか……」
「一週間あるし、胃袋的には何とかなる! というか、する!」
「……お前ホントに女だよな? 何か凄い男らしいというか……」
「……チョコ、要らないのかい、君は?」
「い、い、要ります! めっちゃ要ります! っていうか生まれてこの方
親チョコ以外貰ったことありませんからスッゲー楽しみです!」
「ふふふ……それなら余計に気合を入れて作らなければね……ふふふ」
「……笑顔が怖えんですけど」
果たしてどうなる一週間後!?
続く……って、あ、続いちゃった……