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ifストーリー(エロなし百合)

10_694氏

左手をはずされて不服そうにしているお姉さんの手をそっとつかむと、自分の股間に誘導した。
(これで女だって分かるはず)
そう確信したにもかかわらず――――

あるべきであろうふくらみを見つけられなかったお姉さんは、一瞬驚いた顔をしたが
再びにこりと笑った。
(あれ?)
ローズピンクの唇がそっと耳元でささやいた。
「わたし、愛に性差別はしない主義なの」

…………

(し、しまったあああぁぁぁっ!!!)
動揺のあまりフリーズしてしまった自分を、さりげなく、しかしその体のどこにそんな力が!?
と言いたくなるような怪力で開いたドアから誘導する。
「い、いやあのこれはちょっとっ、ま、まって……くださっ」
わけのわからない言葉をはいているうちに、あっという間にホーム階段下のトイレに連れ込まれた。
ここは3車線が乗り入れる主要駅。
入った女子トイレは最近新設されたもので、パウダールーム付きの広めの作り。
当然人があふれかえっているはず……と思いきや、こんな朝のラッシュ時間帯に駅のトイレに
長居する女性は意外といない。みんな化粧を済ますとさっさと出て行ってしまうようだ。
人の出入りのすきを狙って、個室に連れ込まれてしまった。
その手際の良さ、間違いなくプロだ。
「ふふ、ここならゆっくり愛し合えるわね」
「いえそんなこんなところでなんてとてもとてもえんりょさせていただき」
「可愛がってあげる」
「……あぅ」
(どーすればいいんだこの状況……)
大声で助けを呼ぶ、なんてとんでもない。男子学生がOLを女子トイレに連れ込んでるようにしか見えない。
助けを呼んだ上で自分が女だとばらす?……ヘンなシュミの人たちで片づけられる可能性大だ。
頭の中でグルグルと混乱しきった考えが巡っている間にも、お姉さんの手がいつの間にか
Yシャツのボタンを全部外してサラシの上から胸を撫でまわしていた。
「ふぅん。ボク、この服装シュミなの?」
「へ? いやその企業秘密っていうかなんていうか」
「そそられるわぁ。1粒で300mってカンジ?」
1粒で2度美味しい、じゃなくて?
「ああん。ボクサーパンツなのね? 素敵だわ」
いつの間にズボンの前を!?
プロだ。間違いなくプロだ。

じーざす。

別に信じてもいないカミサマに助けを求めたところで何にもならない。
いつの間にか現実逃避をした頭で、今日は遅刻だなぁとか思ってみた朝だった。


つづく……かもしれない


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