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吉良ークイーン 1

◆z1nMDKRu0s氏

時は戦国、
尾張の織田信長による天下統一の障害は
最早最強の騎馬隊を持つ武田信玄のみとなった
そんな中、この物語は始まる

ダンダンなどと荒々しい足音が城の中から聞こえてくる
その足音の主はどんな豪傑じゃ
「まったく、馬鹿だとしか思えぬ」
なんと、まだ若いおなごではないか!
「しかしな凛様、他に人手が無いのです
どうかご理解を」
凛と呼ばれた少女や、
いくら怒りの対象があろうと側でなだめる老中の胸ぐらは掴むものではないぞ
「理解出来ぬ!!だからこうして物言いに向かうのだ!!
ついてこい!!!」
やれやれ、なんと男勝りなことであろうか
老中の気苦労は耐えぬだろうな
「父上!!」
凛や、お主礼儀作法という言葉は知らんのか
障子は片手で勢い良く開けるものではないぞ


「お話があります」
そう言って自分の弟の横たわる布団の横をはさんで真向かいに座る
これ、花も恥じらう乙女があぐらなぞかくものではない
「どうした?」
意外なほど威厳のない領主よの、この男
「何故吉光を戦に?」
少々語尾を荒らげ、そう聞く
「だから言っておろう、我が吉良家には戦場に出せるのは奴しかおらん」
「部屋に閉じ籠って春画を見ることしかしないような男が戦で活躍出来ますか?」
引きこもりに病人とは、
この家の将来が心配じゃ
「することを期待するしか無いだろう」


「父上が出れば良いではないですか」
そう言い、己が父を睨む
「ワシももう年だ、戦場に出る体力はない」
「農民に一人一人に説教する体力はあるのに?」
「うるさいよ吉行」
弟の弁護をうるさいと言うな凛
ほうれ、すねてしまったではないか
「それじゃぁ逆に聞くが凛、
お前は誰が行けば納得するのだ?」
父親、吉影が聞く
「父上」
そんなこと言っても相手は通じんぞ
「無理だ、吉光にやらせる」
「それなら、私がいきます」
良いのか凛よ、お主女じゃぞ!?
「勝手にしろ」
止めやせんのか凛の父上!!
確かにこの家の人間では最も武芸に秀でてるのは彼女だが……
「勝手にさせてもらいます」
あらら、おらシーラね


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