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魔王の恋 3

実験屋◆ukZVKLHcCE氏

「炎よ!!」
場所は変ってここは城の地下室。日が経つにつれて魔力が増大するマオは
魔法の制御が難しくなっていた。なので俺が特訓に付いてやっている。
「アチッ!!」
マオの手から煙が上がる。
「まだ制御しきれてないな。」
「ごめんなさい。」
「成人したらもっと魔力上がるんだろ?だったら今以上に制御できないと
 後で自分が困っちまうぞ。」
「はい。私頑張ります。」
気を取り直して魔力を練りあげるマオ。
「炎よ!!」

ドオォォォォォン!!!

「グヘッ・・・。」
「ジェ、ジェイドさん!!」
急激に膨れ上がった炎は暴発し俺は壁まで吹き飛ばされた。


「イタタ・・・マオ〜・・・。」
「ごめんなさぁい〜・・・」
吹き飛ばされた俺に駆け寄るマオ。
「まだまだ、特訓が必要だな。」
「・・・はい。」
「気を落とすな。いつも通りやれば問題ないって。」
「はい・・・・・あうっ!!」
ホコリを被ったマオの頭を撫で掃うとマオは感じて小さく喘いだ。
「ちょっと休憩な。トイレ行ってくる。」
俺はそのまま部屋から出て行った。

「ジェイドさん・・・・・」
出て行った俺の名前を呟くマオ。その悲壮な顔と熱を帯びた声を
俺は知らなかった。


「マオって料理上手いよな。」
その後、ちゃっかり夕飯までご馳走になってる俺。
「そんなことないですよ。」
マオは顔を赤らめて否定する。
「イヤイヤ、これならいい嫁さんになるぜ、・・・なんてな。」
「・・・・・・」
マオはそれに答えず黙り込んでしまった。
「マオ?」
「何でもないです。後片付けしてきます。」
マオはそう言って出て行ってしまった。
「・・・・まずい事言ったかな?」

誰もいない廊下。
「ジェイドさん・・・・ふぇ・・・」
小さくうずくまり、嗚咽をあげるマオ。
「私・・・・・私・・・・・・くっ!!」
突然マオの身体に異変が起きた。動悸が高まり、膨れ上がった魔力を抑えきれなくなり始めた。


「こんな・・・時に・・・ジェイドさん・・・・・・助けて・・・」


「!!・・・マオ!?」
突然マオの魔力が増大するのを感じた。
「マオ!!」
いてもたってもいられなくなった俺はマオを探す。
「どこだマオ!?」
マオの魔力と気配を読み取りながら捜索する。

「・・・ジェイドさん?」
「マオ!!」
行き着いた廊下の端で倒れかけているマオを見つけた。
「大丈夫か!?」
マオを抱き上げる。
「熱っ!!」
マオの身体は吹き上がった魔力で高熱を帯びていた。
「はぁ・・はぁ・・・ジェイドさん、私に触ると危険です・・・うっ!!」
息を切らせながら答えるマオの表情は苦しげだ。
「マオ・・・・」
しかし、このまま放置しておく事など出来ない。俺はマオを抱き上げた。
「ジェイドさん!!ダメです、下ろして・・・」
「いいから黙ってろ!!」
燃え盛るような熱を帯びたマオを俺は寝室へと連れて行った。


「マオ・・・。」
ベッドで横になるマオに俺は何も出来ない。
「クソッ!!」
自分の無力が堪らなく悔しかった。勇者ってのは魔王を守ってはいけないのか!?
世界の平和や人々の命なんてどうでもいい。今はただ、マオを・・・・

         マオを守ってやりたい!!

「ジェイドさん・・・」
「マオ!?」
マオの身体が輝きはじめた。いったい何が起こったというのか?
膨れ上がった魔力が収縮していく。身体から出ていた熱もなくなっていく。
輝きが消えると共に何事も無かったかのように横になったマオだけがソコにいた。
「マオ!!」
マオの安否を確かめる。
「しっかりしろ、痛いところは無いか?」
マオの身体に触れたその時・・・・

むにゅ

「ん?」
胸板に今まで感じたことの無い感触を感じた。しかもこの感覚、男としては
ありがたく、しかしおいそれと触れちゃいけないモノと同じ感触・・・。
「まさか・・・・」
俺はマオにかけていたブランケットを上半身だけ取り去る。
「あっ!!!!」

マオの身体は華奢な少年から、細身の女性の身体に変化していた。


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