その日の夜……
俺は七雄の言った言葉が忘れられなかった。
あの言葉は耳を塞いでいても塞ぎきれるものではなかったのである。
「うち、いま付きおうとる人がおるんや。せやから返事は一週間後でええか?」
「うん。待ってるから。」
お互いに嬉しそうだった。
次、会うときにあいつらにどんな顔をして会えばいいのだろうか?
俺は苦しみながら結局、眠ることはできなかった。
そして朝が来た。
「おはよ〜さん。」
七雄は何も知らずに声をかけてくる。
「……。」
俺は無視して教室まで行くことにする。
教室では、美男美女カップルの成立の話で持ち上がっていた。
しかも、七雄は否定するような事を言わなかったのである。
そして昼になる。
「なぁなぁ、一緒に学食いかへん?」
全く悪びれる様子もない七雄。
こいつがそんな奴だとは思っていなかった。
裏切られるのがこんなに辛いとは思ってなかった。
「恋人を横取りする奴が友達面か。世の中は面白いな。」
「……」
急に黙り込む七雄。
心にやましいことがあるからである。
「里美と行けばいいだろ?お前は恋人なんだから。」
その場を去る七雄。
俺が知らないとでも思ってたのか。
何か心に大きな穴が開いたような気がした。
そして放課後。
一緒に帰る彼女は俺を裏切った。
そして慰めてくれるはずの親友まで俺を騙そうとした。
俺は家に帰る気にはなれなかった。
だけど寄り道をする気にはなれなかった。
だからこうして俺は一人、
途方にくれて公園でブランコを漕いでいる。
楽しそうに下校する周りの人々すべてが憎たらしく見えた。
そして羨ましかった。
この前まで恋人も親友もいたのに、今は一人ぼっちである。
そう思っていると、俺の方に走ってくる人影があった。
俺は一瞬、誰だろうと思った。
七雄と里美はありえないという思い込みが邪魔をしたが
その人影の正体は……、
七雄だった。
「よかった。ここにおったんやな。
あんた、辛いことがあるとよくここ来るから。」
よくもいけしゃあしゃあとそんな顔が出来たものである。
「なんだよ。俺を見下しに来たのか?あの会話、聞いてたんだぞ。」
「違う。大事な話があるんや。」
いつもとは違う真剣な表情をする七雄。
「どうせ里美と付き合うことだろ?今更言っても遅いんだよ。」
「そんなしょうもないことやあらへん。
本当に大事なことや。」
七雄は一歩も引く気はないようである。
「お前にとっては大事かもな。」
俺は鞄をとって帰ろうとする。
「頼む。一生に一度のお願いや。
これ聞いてくれたらもう、うちの事どう思っても構わへんから聞いて!!、」
七雄は俺に必死に頼み込む。
俺を裏切った友達なのに…、俺より恋人を選んだ男なのに…、
俺はそいつの話を聞こうと思った。
最後の最後まで俺はお人よしだったらしい。
「分かった。聞くだけ聞いてやる。そしたら帰れ。」
「分かった、けどここじゃ話せへん。ちょっとそこのトイレまで来てくれへんか?」
「これが最後だからな。」
「あぁ。それでええ。」
俺達はトイレまで移動する。
これで今、いるのは俺達だけである。
そして七雄が話を切り出そうとするが
なんだか様子が変なのである。
「うち、その…、うちな、」
「なんだ?」
その後に裏切りの言い訳か?を付け足そうと思ったがやめておく。
それどころではなさそうだからである。
「そのな…、うちな…、」
「だから何だってんだよ。」
そう言うと七雄は決心したらしい。そして勇気を振り絞って俺に言った。
「うち、実は女なんや!!」
「なっ!?」
七雄が言ったことは予想していた事とは大きく外れていた。
まぁ、確かに七雄の顔は女っぽいから女でも通じないことはない。
だからと言って俺はその驚きを隠せなかった。
「嘘やない。証拠も見せたる。」
そう言うと七雄は思いっきり自分のズボンを下ろした。
すると、そこからは男物ではなく女物の下着が姿を現したのだった。
露出する淡いレモン色のパンティ。
しかし違和感がない。
男が女物の下着を履くと、どうしてもアレが収まらないはずだ。
だが、七雄にはアレがなかったのである。
「まだ、信じられへんのやったらこれも脱ぐで。」
七雄は恥ずかしそうに下着に手を掛ける。
「わ、分かった。とりあえずズボンを上げろ。そこからだ。七雄。」
いきなりすごいものを見た。
いくら元親友とはいえ女の子の下着姿を見たのだから……。
「七雄やない。うちの本当の名前は奈緒っていうんよ。」
男で俺を裏切ったはずの親友が実は女!?
もう訳が分からなくなってきた。
だが奈緒にはまだ続きがあるようだった。
「うち、あんたのことがずっと好きやった。
昔からずっと。だからもう悲しいこと言わへんといて!!」
衝撃の告白だった。
親友が女でしかも自分のことがずっと好きだったなんて……。
「うちは確かに女の子にモテた。女の心は分かるさかいな。
でもあんなのちっとも嬉しくなかった。
あんな口先だけの好きなんて虚しいだけや!!
そんな好き、全部いらへんから……
あんたの好きだけが欲しかったんや!!」
そっ、そうだったのか……。
「まさか、あの女があんなことするとは思わなかった。
あんたが幸せそうで、あの女なら負けてもええかってずっと思ってたんや。」
「おっ、おい……。」
「けれども違った。あの女はあんたをあんな形で裏切った。最悪や!!
でな、あんたを慰められるのはうちしかいない思ったんや。」
「……。」
「それにいい機会やったしな。
女やったら疑ったりせぇへんよな?」
無理に笑顔を作ってみせる奈緒。
奈緒もかなり辛かったのだろう。
「あの女には振られてもうたけど、あんたはええ男や。
うちが保障する。あんな女には勿体あらへん。
うちが付き合いたいくらいや。
せやから、もう落ち込んだらあかんで。」
奈緒は優しく俺を抱きとめた。
俺からあれだけ酷い言葉を吐きかけられたのにである。
そして奈緒の体温はとても温かかった。
こんなにも俺を大事に思ってくれている人が側にいたのである。
それなのに、俺は上辺だけの美しさに惑わされて
こんなに可愛い子がいるのを見逃していたのである。
「ごめん。あんなに酷い言葉を吐きかけて。」
「あぁ。気にしたらあかん。それだけうちの演技が上手かったてことや。」
「そっか……。」
「女の子なのは今日だけや。
せやから明日から七雄君と仲直りすること。分かった?」
「それはダメだな。」
「なんで!?」
驚いた顔をする奈緒。
「言っただろ。人を裏切るような友達や恋人とだれが付き合えるか。」
「せやからそれは…。」
慌てて弁解しようとする奈緒。
その慌てる様子は、とても可愛かった。
「だから七雄とは今日で絶交。今日から奈緒が俺の親友で恋人だ。」
俺は笑顔でいった。
「えっ、えぇの?」
顔を赤くして驚く奈緒。
今ではもう女の子にしか見えない。
こんなに可愛い子が俺の事を好きだといっているのだ。
付き合わないわけがない。
「勿論だ。いままで気づいてやれなくってごめんな。」
「気にしない、気にしない。うちはその一言だけで十分やから。」
顔を紅くしたまま必死に言う奈緒。
そんな奈緒の唇に俺はキスをする。
頬をさらに赤らめる奈緒。
でも嫌がってはいないようだった。
お互いに照れくさくなって会話がとまる。
そこで奈緒が切り出した。
「そういえばクリスマス、近かったな。」
「そうだな。」
しかしそれも長く続かない。
そこで奈緒はとんでもないことを言い出した。
「なぁ、さっきの続きせぇへん?あのズボン脱いだのの…。」
「ばっ、バカ!!あれはだな、その……、」
「でも目はそっち行ってた……。」
「だからだなぁ……、」
「それにあれも脱がさへんと本当に女だか分からへんで?」
「そ、それも、そうだな……。」
俺も男である。女の体に興味がないわけではなかった。
それに本当に女かどうかは気になる所だしな……。
俺がそう言うと、奈緒はズボンとパンティを一気にずり下ろした。
すると、つるつるで毛の生えてないきれいな割れ目が露出した。
「どや?これで女の子って信じてもらえる?」
奈緒は恥ずかしそうに俺に言っていた。
そんな奈緒に俺はもう我慢できなくなっていた。
そして俺の理性は吹き飛んでいた。
奈緒が昔、男だったことも、
親友だったことも全て忘れて。
「奈緒!!」
俺は奈緒の背後を取ると、
服の上から奈緒の本当に小さい胸を揉んだ。
肋骨の上にほんの少し脂肪が乗ってるだけの本当に小さな胸。
男のものとも間違えられる、それでも女の子の胸。
俺はそれを指先で奈緒が気持ちよくなるように弄くった。
「はっ、はぁん、やっ、そこ、恥ずかしいんや!!お願いだから触らんといて!!」
「下より上が恥ずかしいのか?」
「だって、上は小さいんやもん。」
もっともである。
だが、そんな恥ずかしそうな奈緒はとても可愛い。
「気にするな。貧乳はステータスで希少価値だ。」
「だからって…そんなにされたら、やぁん!!」
次に俺はむき出しの無防備な下半身に奇襲をかける。
まだ男のものを受け入れたことのないつるつるの秘所は、
俺の加虐心をくすぐるものがあった。
「あっ、あぁん!!いじわる!!」
奈緒が泣き言を上げている間にも、
奈緒の下半身は準備万端のようであった。
「奈緒、いいのか?」
「えぇよ…。うちの初めてはあんたにあげる。」
「分かった。行くぞ?」
俺はゆっくり奈緒にバックから挿入した。
奈緒のあそこのサイズは小さく、
いくら奈緒のものが濡れているからといっても
奈緒のものはかなり小さいためにかなり入れるのは苦労した。
ビショビショに濡れているからなんとか入ったのだろう。
そして何度かピストン運動を繰り返す。
この一体感が俺と奈緒を支配していた。
「奈緒、本当にいいのか?」
「えぇで。全部あげる。
うち……、生涯、あんたしかすきになれそうにないから。」
「いくぞ?」
俺は奈緒の狭くなっているところを無理に突き破った。
「痛っ!!」
痛がる奈緒。
当然である。そこは奈緒の処女であったのだから。
血がダラダラと零れている。
そこで俺は痛みを紛らわすように奈緒の胸を揉んだ。
「大丈夫か?」
俺はさらにピストン運動を続ける。
「平気。もっと激しくしてええで。」
奈緒の締め付けは俺を興奮させるには十分すぎた。
そして、奈緒の胸はその大きさとは違ってかなり敏感だった。
服の上からでもピンピンに起っているのが分かる。
「おっ、おっ!!」
「あっ、あぁっ!!」
俺と奈緒は一つになっている。
まるでどっちが先に絶頂を迎えるかを競っているかのようである。
俺の責めが大雑把になる。
奈緒の腰の動きがとても繊細であった。
「あっ、あっ、あぁぁ!!」
どうやら、先に絶頂を迎えたのは奈緒であった。
そして俺のも引き抜いた直後に発射される。
今から考えればかなり危なかった。
「満足?」
奈緒は汗だくの顔で聞いてくる。
なんだかエロい。
でも本当に満足といったような顔である。
そうしながら奈緒は乱れた着衣を直している。
「満足。帰ろっか?」
「あぁ。」
後で奈緒に聞いた話だが、奈緒の家は関西の名家らしい。
しかし男に恵まれずに奈緒を七雄ということにして関東に行かせたそうだ。
ところが、この年になって男が生まれ奈緒のお役目が解除されたから
奈緒は女であることを俺に告白できたそうだった。
まさか、七雄が女だったとは思わなかった……。
そして二日後。
里美の方は大変なことになっていたらしい。
自分があちこちにしていた浮気が全てバレて、
俺を除く男からは全て振られたらしい。
俺の方は実はラブレター事件以来、連絡を取ってないだけなのだが。
それが校内中の噂になり、校内一の笑いものになっていた。
まさか他所の学校まで浮気をしてたとは思わなかった。
自業自得という言葉が良く似合う。
奈緒に聞いてみるが、
「ワタシハイッサイカンケイアリマセン、ウソジャナイデス」
と機械的な返事が返ってくるだけだった。
そして俺の携帯にメールが入る。
「大事な話があります。放課後、待ってます。」
と。
「なんや?元カノからのメール?」
「元カノゆ〜な。忘れたいんだから。」
「そや。ええこと思いついたんやけど。」
「なんだ?」
なるほど。七雄が提案したのは良案だった。
「うち、もし男やったとしてもあんなことはせぇへん。
うちらの絆を見くびったあいつに軽い女の友情ちがう、
男の友情を教えたろう思ってな。」
「男の友情ねぇ。よく言うぜ。」
「あぁん。いじわる。」
「ごめんって。」
「じゃ、放課後な。」
「あぁ。」
そして放課後
待ち合わせの場所に里美がいた。
「そのね、あの…、今まで騙しててごめんね。
今まで怖くってあの人たちと分かれられなかったの。」
里美は必死に謝っていた。
多分、もう俺しか残っていないんだろう。
あきれ果てたものである。
「それはいいよ。俺、お前が嘘つかないって信じてるから。
七雄にラブレター出したって噂が立ってるけどあれも嘘なんだよな?」
「うん。私がそんな、彼氏の友達を誘惑するようなことするわけないじゃない。」
なるほど。いい人生経験になった。
女は簡単に嘘をつくということがよく分かった。
「本当だな?」
「うん。」
「七雄!!」
ピクッと体を震わせる里美。
この行動は想定外だったようであった。
「里美はん。これ、あんたのラブレターやおまへんか?」
「ちっ、ちがうの。これはあなたを呼び出すために代筆を頼まれて。」
「へぇ。代筆のラブレターにお前が行くのか。面白いなぁ。」
「ちっ。」
「俺(うち)らの絆を甘く見たな。
俺(うち)らは絶対にお互いを裏切ったりしないんだよ!!」
見事にハモる。どうやら俺達は考えていることが似ているらしい。
ちょっと言い過ぎたかな?
と思っていると相手が想定外の行動を取り出した。
「分不相応な男が玉砕覚悟で告ってんじゃねぇよ!!
ダセェンだよ!!つか、男同士で友情?ホモじゃねぇの!!
キモイんだよ!!キープ君は大人しく私の言うこと聞いてればいいんだよ!!」
俺は里美の言動にあきれはてて呆然としていた。
もうそこには学年1の美少女の姿はなかった。
そこに立っていたのは醜い女だった。
「てめぇ!!」
「あかん。やめときや。これが女の本性や。
えぇ体験したな。」
悟った顔で言う七雄。女の道は女といったところか。
「酷い体験にしか見えない。」
「後で奈緒に会わせたるさかい我慢しぃや。」
七雄はそういって俺をしたところ、
里美はまだ何か言うようだった。
「はっ?キープ君の分際で浮気?ふざけてんじゃないわよ!!」
自分の立場を理解できてない発言に腹を立てた俺。
だが奈緒の方が速かった。
ビタンッ
奈緒のビンタの音が鳴り響く。
「ふざけんのもたいがいにせぇや!!
あんたのやったことで、
どんだけあいつが傷ついたか考えたことあるんか!?」
奈緒の怒りはひとしおだった。
諦めて譲った女の本性があまりにも醜いために怒っているのだろう。
「七雄。帰るぞ。」
「離せ!!このアホンダラ!!」
俺は奈緒の体を無理やり押さえつけて連れて行った。
そのときの奈緒の体はとっても柔らかかった。
向こうでは、里美がキーキーと喚いていた。
あれは一生反省しないだろう。
そう思いながら俺は奈緒を連れて帰った。
二人でいる帰り道。
「あの女、ほんまに腹立つなぁ。」
「いいんだ。奈緒。あのおかげで
今、お前と付き合えるといえば付き合えるんだから。」
「せやけど……。」
「奈・緒。」
「……せやな。でもうちはあぁはならへん。
あんたの事、一生愛したる。」
「あぁ。俺もだからな。」
奈緒の手が温かい。
そして俺はその手を強く握り返した……。
本当に俺の事を愛してくれている人は遠くにはいなかった。
そして、その人は俺の一番側にいつも居てくれていたのである。
本当の想い。
それはいつも側にあるものである……。