柔らかな雨が降っていた。 私は学校にいて、今から帰ろうとしていたところで、でも傘を持っていなかったから帰るに帰れなかった。どうしようかと思っていたらそこにいるはずの無いアレンくんがいて、アレンくんが傘を持っていたから私は慌ててアレンくんに駆け寄った。 入れてもらえる? って尋ねたら、アレンくんはいつものように笑ってくれて、もちろん、って言ってくれた。ふたりで何気ない話をしながら家に向かって歩いていたけれど、アレンくんの傘はふたりではいるには小さくて。私の肩が濡れている事に気付いたアレンくんは、私の肩を抱き寄せてくれた。異常なまでに心臓が高鳴って高鳴って鼓動の音が聞こえるんじゃないか、って、ありきたりな心配をして。なんでこんなに高鳴るのか、さっぱりわからなかった。 私の家の近くにまで来ると、アレンくんは一度立ち止まった。どうしたんだろう、って思ったら、アレンくんは顔を真っ赤にして、覚束なく言葉を紡ぎ始めた。 |
柔らかな雨が降っていた。 僕は何故かリナリーの学校にいて、ひとりで帰ろうとしていた。ちょうど傘を持っていたから、一人用の小さな傘を差して。なにも疑問に思わないままリナリーの学校の門を出ようとしたら、傘を持っていないリナリーが慌てたように駆け寄ってきた。 入れてもらえる? って訊かれたから、僕は頼ってもらえるのが嬉しくて笑って、 もちろん、って言った。二人で何気ない話をしながら家に向かって歩いてたけれど、僕の傘はふたりではいるには小さくて。リナリーの肩が濡れていることに気付いた僕は、咄嗟にリナリーの肩を抱き寄せた。 リナリーは少し驚いたようだけど、僕もリナリーも、何もいわなかった。心臓が痛むくらいに高鳴る。なんでこんなに高鳴るのか、さっぱりわからなかった。 リナリーの家の近くまで来ると、僕は決心をして立ち止まった。隣でリナリーが不思議そうな表情で見つめてくる。僕は顔が熱くなるのを感じた。それでもそのまま言葉を紡ぎ始める。 |
え、と、僕、こういうの、なんていえばわからないんですけど、 あの、リナリー、僕は、君が、 |
その後に続く言葉がわかってしまって、私も顔が熱くなるのがわかった。それでもアレンくんの手助けはしないで、じっと、その後の言葉が紡がれるのを待っていた……。 |
そういうと隣のリナリーの顔までも、赤くなるのがわかった。多分、その後に続く言葉がわかってしまったのだろう。でもリナリーは何も言わず、ただ僕の顔を見つめ続ける。早く、早く、言わなきゃ……。 |
それはあまりにも残酷な夢だった。 → |