炎色反応 第七章・62



「ひい…………ッ、ん、あっ、ぐちゅぐちゅ言ってるぅっ…………」
一突きされるたび、上がる粘ついた水音を聞くだけで乳首が硬くなる。
空いた手で両方のとがりをつまみ上げながら、ティスは金の髪に土がつくのも構わずよがり狂った。
涙にぼやけた瞳に映り込むいくつもの光。
いつの間にかオルバンが作り出した魔力の塊が、いっせいにティスの体中にたかった。
「ひいいいいいっ!」
甘噛みされるような感触が全身の性感帯を攻める。
乳首や性器はもちろん、脇腹や耳元、へそやうなじなどまで隙間なく愛撫される。
性器の先、それにオルバンを飲み込んで広がった穴の中にもその光は入って来た。
尿道の中を異物が転がり、男に満たされた通路の中でも同じ異物が転がる。
いくつかの異物は前立腺の真裏に貼り付いたような形になり、そこを吸うような動作を始めた、
「あああああッ!? だ、だめえ……!」
今のティスですら思わずそう叫んでしまうほどの、許容量を完全に超えた性感がティスの神経を焼き尽くす。
頭の中が断続的に白く染まり、多分このまま達したが最後意識を飛ばしてしまうだろう。
けれどその前に、味わいたいものがある。
どこまでも貪欲な体の求めるまま、ティスはかすれた声で叫んだ。
「あっ…………、出し、てッ、オルバン様の熱いのぉ…………注いで、オルバン様の精液っ…………」
直接的な台詞を聞いて、オルバンがくすっと笑ったのが分かった。
「ああ、注いでやる。たっぷりとな……!」
抜き差しが一層早くなる。
今度は胸に突きそうなほどに膝を折り曲げられ、体重をかけて圧し掛かられた。
少し下を向けば、ティスの目にも彼のものが自分の尻を出入りするのが見える。
白濁した粘液をまとい、出入りする男根をティスはうっとりと見てつぶやいた。
「すごい…ッ……、オルバン様の、オルバン様のぉ、すてき、すてき……! ああーっ……!」
内部でぐんと太くなったものが、根元まで深々と赤い口を開けた肉穴へと打ち込まれる。
奥に向かって吐き出されていく熱流を心行くまで味わいながら、ティスは眠るように意識を手放した。
二人が繋がったところから逆流したオルバンの精液が、熱い飛沫を飛び散らせティスの下肢を伝って流れ落ちていった。



***


次に目を覚ました時、辺りは完全に日が落ちていた。
オルバンが起こしたと思われる焚き火が、横たわったティスの顔を赤く照らしている。
裸のまま、毛布一枚をかけられた状態でティスは気を失う前と多分同じ森の中に寝そべっている状態だった。
「オルバン、様……?」
ぼんやりしながら見回せば、焚き火の向こうにオルバンが座っていた。
黒衣も黒髪も炎の照り返しを受け、まるで燃えているようだ。
気付けば見慣れてしまった光景。
これがティスの日常。
「夜が明けたら発つ。食事はそれを温めて食え」
どこへ、という説明は相変わらずない。
ティスも何も聞かず、顔の横に置いてあった金属製の入れ物入りのシチューをいつものように火にかけた。
王宮内に捕えられていたのは本当に今朝までのことだったはずなのに、もう遠い昔のことのようだ。
全ては元に戻った。
火のオルバンの側にはべり、彼の性の相手をするという当たり前の生活に戻ったのだ。
――多分これが、オレの幸せ。
金の髪を炎に輝かせながら、不思議に穏やかな気持ちでティスはそう思った。

〈終わり〉
***

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