Don't Leave me ・6



「はひっ…………、は、うあっ……」
抜き差しされるたび、薄く血をにじませたそこから半透明の粘液がぐちゅぐちゅと音を立てて零れ落ちる。
痛みはまだ確かにあるが、それはどちらかというと痺れのようなものに変わりつつあった。
代わって突かれる部位から広がるうずきの正体は、アシェンにはまだ分からない。
だがその幼い性器は今や半分以上頭をもたげている。
白い胸元で桃色の乳首もとがり、唇からはひっきりなしにか細いあえぎが漏れていた。
「ふあっ…あ、ああっ……ん、う、んっ………!」
ぬるぬるする硬いものが蠢くたび、アシェンはまつげから涙の雫を飛び散らせる。
痛いのに、恥ずかしいのに、段々それらのことから意識が離れていく。
「はぁ、あっ、あっ、……やだあ……」
アシェンを犯す熱いものの攻め方も変わって来た。
かすかに乱れた息遣いを降らせながら、少年の反応に合わせて微妙に動きを変化させてくる。
「ああんっ!」
唐突に痺れが大きくなり、アシェンの口から大きな声となって飛び出した。
はっとしても、口を覆うための手はいまだ囚われている。
「あっ、ああっ……、ん、んっ、だ、だめっ……」
中を探るように動いていたものの動きが明らかに変わった。
さっきアシェンに大きな声を上げさせた、その部位に攻めが集中する。
「やっ、やだっ、やだだめ、そこはだめぇ………!」
背筋をせり上がる未知の何かに怯え、アシェンは淡い栗色の髪を振り立てる。
しかし逃れようと腰をよじるその姿は、逆に劣情を誘うものとしかならない。
アシェンの尻を掴んでいる何かに力がこもった。
抜き差しの間隔が早くなり、初めてのそこを壊れそうなぐらいに激しく攻め立てられる。
「だ…………めッ、あ、あ、な、何かっ……」
もう完全に勃ち上がった性器の先から先走りをしたたらせ、アシェンは切ない声を上げながら全身を震わせた。
熱を伴う痺れはもう止まらない。
心も身体も全てを飲み込む見知らぬ大きな波が押し寄せてくる。
光を奪われた瞳には、その波は逆に実体を持つ得体の知れない怪物のように感じられた。
あれに捕まってはいけない。
それだけは分かっているのに、今更逃れる術などない。
「怖い、怖いよぉ、何か来る……ッ!」
太いものを受け入れているそこをいっぱいに広げた、あられもない姿で無我夢中で叫ぶ。
「き、来ちゃうよお……っ、僕っ、僕もうっ、あーっ……!」
目の前に火花が散ったような錯覚。
体の奥に放たれる熱いものを感じながら、アシェンはがっくりと頭を垂れて意識を失った。


***

「アシェン!」
ジラルドの声が聞こえる。
「アシェン、大丈夫か!?」
陽光に鋭く光る銀の髪。
険しい彼の呼び声にぼんやりと眼を見開いたはいいが、久し振りに見るような青空とジラルドの顔がひどくまぶしく感じられる。
いたたまれなさに逸らした瞳から、溜まっていた涙が零れ落ちた。
「アシェン……」
言葉がない、というようにジラルドは言葉を切った。
「…………僕……」
「……いいんだアシェン、無理にしゃべるな」
深い労わりの込められた声でジラルドは言い、ひどい有様で横たわるアシェンにそっと腕を伸ばしてくる。
腫れ物に触るようなその手の動きを追うように、アシェンはまだぼんやりとしたまま自分の格好を見回した。
全身に服を裂かれた時の傷痕が残っている。
だが薄赤い爪痕だらけの肌よりも、まだ開かれたままの足の間に残る惨状の方がひどかった。
暖かさをかすかに残した白濁は、アシェンの尻の奥から一筋の流れを作っている。
萎えた性器にはアシェン自身が吐き出した精液がまといつき、すっかり高くなった日に淫靡に濡れ光っていた。


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