要姫 第二章・18



「ふぁ、ああっ、あっあっ……! やめて、死んじゃう、本当に死んじゃうッ……!」
強すぎる快楽は一種の暴力だ。
理性を焼き切るようなその強さに、何度も一瞬意識が飛んだ。
けれど打ち込まれる衝撃に、そのたび現実に引き戻される。
「はぅ、あ、ああ、あ…………っ、あ……っ」
もう、あえぐことも満足に出来ない。
小刻みに震えるナイアだったが、一方でその肉体は長年の調教に従順だった。
「ああ、いいですよナイア様……とてもいい、奥の方が痙攣しているようです……」
「そんなによろしいのですか……? あれだけお漏らししておいて、また熱いお汁が垂れてきていますよ…………」
だめ押しのような二人のアレクシの言う通り。
二人の男をくわえた二つの穴は、彼らを迎える悦びに素直な反応を返し続けていた。
「ああ、あ……」
アレクシたちにされるがまま、その欲望を受け止め続けるナイア。
そのあごを、不意に横から伸びてきた手が掴み上げた。
びくっと顔を上げたナイアの瞳に映るのは、その目を蘇らせた理術師の顔。
「こちらの穴がまだ空いていますね」
にこやかに言ってのけると、彼はアレクシに確認を取った。
「アレクシ殿、よろしいでしょうか? お口だけなら。私もだいぶ当てられてしまいましたからね」
「…………ええ、まあ」
渋々、という感じではあったが、二人のアレクシがうなずく。
それを合図に、クラウディオは自分の服の前をくつろげた。
すでにある程度硬くなっている男根を握り、ナイアの口元に突き付けてくる。
「や……っ、ん、んむぅ」
抗おうとした瞬間、走った理術の波動が大きく口を開けさせた。
クラウディオはやすやすとその中に自分の肉棒をねじ込む。
「歯を立ててはいけませんよ。どうせ散々、ここでもご奉仕して来たのでしょう?」
アレクシにも、他の男達にも。
過去の経験を思い出させるようなからかいの言葉に、羞恥と屈辱を感じたのも一瞬のこと。
口腔を支配したものをとにかく排除しようとあがけば、自然に男を喜ばせる結果となってしまう。
「んっん………、んむ、んん」
「ふ……さすがにお上手ですよ、ナイア様」
満足そうなクラウディオの声もかすかにかすれている。
彼の大きさにナイアは息苦しくてたまらないが、やがてそれにも慣れてきた。
鼻で息をしながらおずおずと舌を絡ませると、クラウディオのものが面白いほどに質量を増していくのが分かる。
処女を失うこと以外の考えつくあらゆる恥辱を受けてきたナイアの肉体。
口技も当然のようにたっぷりと仕込まれている。
口を犯される快楽に、次第に巫女姫の精神は浸食され始めていた。
「んんッ…………、ん、んんっ!」
アクレシもまた、一際強烈な突き上げでナイアを犯し始めた。
どうやらクラウディオの術に精神を制御されているらしい彼。
しかしその術にかかった理由もまた、ナイアへの想いゆえなのだ。
愛しい要姫の口を使う理術師への嫉妬を殺しきれないのだろう。
怒りのこもった濃厚な愛撫は体の隅々へと及ぶ。
乳房を掴まれ、頂点のとがりを吸われ、歯を立てられた。
「んぅ…………、んっ、む、ふぅ、んん……っ」
恍惚と蕩けた瞳の中で、最後の理性が溶けて消えていく。
要姫アーリアの再臨を、ナイアの肉体を使って狙っているというクラウディオ。
それが何を示すのかは分からない。
だがきっと、よからぬことだろうとは分かっているのに。
抵抗しなければいけないのに。
三人の男達に全ての穴をふさがれ、犯される倒錯的な快楽だけがナイアの心を埋めていく。
「ふぁ、あっ、んっ、あああああ………っ」
腹の奥でぶつかり合う二本の性器が、再び巫女姫を絶頂に導く。
熱い子種を中出しされる快感に震えながら、ナイアもまた二つの性器から体液をあふれさせた。
「ふあっ、あっ、あ…………、熱い、の……いっぱい…………」
口にくわえた肉棒を放してしまったナイアの、上気した美しい顔に理術師は薄笑いを浮かべて射精する。
すでに下半身を精液でどろどろに汚した巫女姫の顔に、激しく上下する乳房に白濁が飛び散った。
「ナイア様……」
いつしか一人に戻ったアレクシが、精液まみれの自分を抱き寄せうっとりと呼ぶ声も聞こえない。
「アレクシ殿、あなたはひとまずナイア様を孕ませることに専念して下さい。ソーン将軍は私が追います。あなたはこの方から目を離さないように」
「承知いたしました」
クラウディオの口から吐き出された言葉も、何も、何も聞こえなかった。

〈終わり〉

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