ぴくの〜ほかんこ

物語

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[168] 草原の歌U

えるる #1★2004.01/26(月)20:15
第一章 遺跡発掘
ルリハが石を守る仕事をまかされてから月日は流れ、特にこれといった出来事はおこらないまま3年の時がすぎた…。そしてその年、ついにルリハの周りに変化が起こる…!


「さあ行くよ、シルク!」
ルリハはあの一軒のあと、アンノーンと島の秘密を探るべく、イナホとその兄の遺跡の研究の手伝いをしていた。
「さてと、何か見つかりましか?ミズキ兄さん。」
「いや…何も。」
「ほんとに秘密の間なんてあるのかしら?」
イナホの兄はミズキという名前だった。そしてそのとなりでイナホがパピルスを見ていた。
「秘密の間は絶対に…」
ルリハがいいかけた時後ろの方で声がした。
「おーい!ミズキとイナホちゃんとルリハちゃん!すごいものを見つけたぞー!」
「なんだって!」
3人はあわてて声のする方に走っていった。
「どうしたんだ?タケル?」
「こ…これを見てくれ…」
そう言ってタケルが指差した場所には、なんと壁一面に壁画が描かれていた。
「すごい…」
「これは…もしかしてパピルスに書かれている3つの秘密の間のひとつ?」
ルリハが聞いた。
「おそらくな…。タケル、どうやってこの部屋を見つけた?」
ミズキが真剣な顔で聞いた。
「いや、ただ俺のバルキーを出そうと思ってボールを近づけたら急に壁が動いて…」
「なるほど…となるとやっぱりこれはパピルスに書かれている第一の秘密の間だな。」
「≪雷をつかさどる聖なる鳥が描かれし壁にポケモンの入った球を近づけよ さすれば第一の扉 開くだろう…≫こういう意味だったのね。壁画が消えかけててよく見えなかったからわからなかったわ。」
「なるほど…すごいカラクリだな。」
2人が関心している間にルリハは壁画のアンノーン文字を読んでいた。
「これはもしかして…」

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えるる #2☆2004.01/28(水)18:22
第二章 記された言葉
「≪ 島の秘宝を守る者 シアンの危機を救うのだ その時秘宝は 真の力を発揮する ≫真の力…何かしら?」
ルリハは少し壁の汚れを落としてまた読み始めた。
「≪ もし秘宝が 他の島に渡ったなら 道は途絶え 時の精霊の守りは消え 秘宝の力も薄れるだろう ≫時の精霊…きっとセレビィのことね。でも道って何かしら?」
「ルリハー!一人で先に読んじゃってずるーい!ふつう発掘隊隊長の兄さんから読むでしょー!」
後ろを振り返るとイナホがいた。
「あっ。ごめんごめん。ちょっと気になっちゃって。」
「もう、ルリハは…」
「まあまあ。それにしてもこれは大発見だ。1000年も前にボールのエネルギーに反応して開くような扉が作れたなんて…。」
ミズキが言った。その後もミズキは後ろでなにかブツブツ言っていたがいつものことなので気にしなかった。
「さてと、じゃあ明日からはここを本格調査ね。」
「そうだね。」
「じゃあ今日のところはみんな解散だ!」
「はーい!じゃあばいばい!」

その夜ルリハは遺跡に書いてあった「シアンの危機」という言葉が気になってなかなか眠れなかった。だがしばらくすると急に眠くなってきてそのまま寝ようとしたが、やはり眠れなかった。最終的にエネコロロの「うたう」を使って眠った。
「(「うたう」を使って寝るなんてめったにないのに私、どうしたんだろう?そこまでして寝たくないのに…)」
そう思いつつも歌声の中でルリハは眠った。


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えるる #3☆2004.01/29(木)19:15
第三章 夢の警告
「(ここは…どこかしら…)」
ルリハはどこか見たことのある場所にいた。
「(きっと遺跡ね…)」
ルリハはその場から歩き始めた。ここはどこか、遺跡のどのあたりなのかを探るために。
「きゃっ!」
前を向いて歩いていたため、ルリハは足元の穴に気づかずに落ちてしまった。
「いたたたたた…でも変ね…遺跡にこんな穴なんてあったかしら?」
そう思いながら顔をあげるとそこには壁に穴があいた部屋がふたつあった。片方は見覚えのある部屋、もう片方は見たことのない部屋だった。ルリハは見覚えのある部屋に入っていった。
「ここは…」
そう、そこは3年前ナタネ団が石を奪い壁を破壊して逃げていった部屋だった。
「そんな…この部屋はあのあとアンノーンたちの手によってまた封印されたはずじゃ…」
だがやはり穴の向こうは海で、あの時と同じ部屋だった。ルリハはふと壁に目をやった。そしてアンノーン文字を読み始めた。
「≪今この島は 危機にある 救えるのはおまえだけだ 秘宝を守るおまえだけだ≫…。」
すると急に文字、つまりアンノーンが動き出した。
「きゃ!何!?」
するとこんどは別の文章に変わってまた壁にへばりついた。
「≪今こそ力を使うのだ 悪の手より 島を守るのだ≫…これはもしかして私へのメッセージ…?」
その時後ろを光るものが通り過ぎた。その光はもうひとつの部屋に向かっていった。
「何かしら?」
ルリハはそう思って追いかけていった。得体の知れないものだったが、恐怖は全く無かった。というよりも味方のような気がしていた。
追いかけていくと、光るものはもうひとつの部屋の壁の穴、破壊されたというよりもきれいにくりぬかれた円形の穴から出ていった。
「この穴の向こうは一体どうなって…」
そう思って外を覗くと、そこは森で、なにかほこらのようなものがあった。光るものはその中に入っていった。
「森にあんなものは無かったはず…なんであんなものが…?」ルリハは疑問に思った。その時後ろからだれかに突き落とされた。この遺跡は崖の上に建っていて、落ちたら大変なことになってしまう。
「きゃぁぁぁぁ!!!」

その時ルリハはふっと目が覚めた。
「何だ…はぁ・・夢か…」
ルリハは少し安心した。
「ルリハー!とっとと朝ご飯食べなさーい!」
「はーい。」
夢だと分かっても、ルリハの心には何かひっかかるものがあった。
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えるる #4☆2004.02/02(月)19:17
第四章 夢の教えてくれた場所
「(夢に出てきた場所はたぶんこのへんね。)」
ルリハは遺跡の中を歩いていた。仲間には第二の秘密の部屋を探すと言っていたが、本当は昨日夢に見た場所が本当にあるのかどうか確かめるために遺跡を歩いていた。
「(ここの床に穴があいていた…はず。)」
だがそこには穴らしいものはなかった。
「(やっぱりただの夢だったのかしら?)」
だがそこの床には、夢には出てこなかった絵が円形にえがかれていた。そう、ちょうど夢に出てきた穴と同じくらいの大きさの絵が。そして絵の中心には少しへこみがあった。さらにその絵にはセレビィのようなポケモンがルリハのペンダントを持った絵が描かれていた。だがペンダントの石の部分は描かれておらず、代わりに中心のへこみになっていた。
「(きっとこの石と共鳴してどこか…たぶんここが動くのね。でもそうしたら後が大変になるから今はやめておこうかしら。)」
そう思ってルリハは仲間のいたところにもどった。だがそこには人は一人もいなかった。
「(一体みんなどこに行ったの?)」
ガッシャーン!
「何!?」
そう思った時、急に外からなにか…きっと外にある遺跡の柱がくずれる音がした。
「ヒーザー!つばさでうつ!」
続いてピジョットに命令するイナホの声も聞こえた。
「一体外で何が起こってるの?!」
ルリハは遺跡の外に走っていった。


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えるる #5☆2004.02/05(木)19:49
第五章 襲撃
「これは…!?」
なんと遺跡の外では、ロケット団と思われるやつらと遺跡発掘チームが戦っていた。
「イナバが言っていたのはこの人たちのことね!」
ルリハはボールに手をかけた。
「ちょ…ルリハ、今なんて…」
そう言ってイナホがふりむいた時、相手のオニドリルのふきとばしでイナホは数m後ろに飛ばされてしまった。
「イナホ!?大丈夫!?」
「うん…なんとかね。」
その間にもロケット団は確実に島全域に広がって行った。
「あの人たちを村に行かせてはいけない!」
「ルリハ、私が村の人たちを避難させてくるわ!」
イナホが言った。
「OK。ここは私にまかせて!」
ルリハがそう言うと、イナホはピジョットに乗って村の方に飛んで行った。
「大丈夫かい?ルリハちゃん。」
ミズキが心配して言った。
「私は大丈夫よ!それより自分のポケモンに気を使ってないと大変なことになるわ!」
ミズキはかるくうなずいた。
「さあ行くわよ!」
ルリハは2つのボールを投げた。
「ここは一気に…発掘隊のみんなはさがってて!」
ロケット団員とそのポケモンは身構えた。
「シルク、ほのおのうず!」
ロケット団員は水ポケモンで火を消した。
「おっとこんなもんか?」
団員の一人が笑った。
「そんなわけないじゃない。」
そんなルリハの声が団員の後ろから聞こえた。
「何!?」
「メロディ、10まんボルト!」
「何だとぉ!?」
団員の水ポケモンは全て倒れた。
「こちらが炎で攻めれば水で火を消す。その煙にまぎれて後ろに回ってエネコロロの10まんボルト。みんな水ポケモンを出しているから効果は抜群。こういうことよ。」
「くそぉ!覚えてろ!」
そういうと団員達は潜水艦で逃げていった。
「す…すごいねルリハちゃん。あの人数を相手に一人で勝っちゃうなんて。」
ミズキがおどろいた様子で言った。
「ふふっ。まあね。」
ルリハは軽く笑って言った。
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えるる #6☆2004.02/06(金)19:27
第六章 家族
「イナホー!もう大丈夫よ!」
ルリハは上空からイナホを見つけるとそう言った。
「あっ。よかった。もうロケット団はいないのね?」
「うん。」
イナホは安心した様子だった。
「あとルリハ…あんたはあの時「イナバ」って言ったよね?」
イナホが真剣に聞いた。
「うん…言った・・というか言っちゃったけど…。」
ルリハはイナホの真剣な顔に圧倒されながら答えた。
「それは本当なの?どこかで会ったの!?」
「まぁ・・会ったけど。」
「よかった…」
イナホはその場に座り込んだ。
「なんでイナバのことを知ってるの?」
ルリハが聞いた。
「うん…実はイナバは、数十年前にどこかへ旅に出た私のおじさんなのよ…」
「えぇ!?」
ルリハはかなりおどろいた。あの時戦ったおじさんがイナホの叔父だったなんて思ってもみなかったことだったからだ。
「で、おじさんは無事なの!?どうだったの?」
「ええ、無事よ。きっとね。」
「良かった。これで生きていることだけでも分かったわ。このことを知ったらきっとお父さんはとても喜ぶわ。じゃあ私の家族にこのことを報告してくるわ!ヒーザー!」
そういうとイナホはピジョットに乗った。
「じゃあね!」
「うん、ばいばい。また明日。」
イナホの顔はとても嬉しそうだった。
「(でも今日の一件だけでロケット団が引っ込むとは思えない…きっとこんどはもっと強いのがくるだろうから明日は少しトレーニングでもしておこうかしら。)」
そう思いながらルリハも家に帰った。
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えるる #7★2004.02/14(土)10:32
第七章 トレーニング
「シルク、かえんほうしゃ!」
「ああ・・俺のポポッコが…」
ここは島にあるバトル練習場。ここでルリハと島の少年、ユウキが練習試合をしていた。そばでイナホが審判をしていた。
「くっそー!ポポッコ!こうごうせい!」
「でんこうせっか!」
ユウキのポポッコは倒れた。
「試合終了〜!ルリハの勝ち!ユウキも女の子に負けてるようじゃまだまだね〜。」
イナホは笑いながら言った。
「しょうがねーだろ!相手は島で1、2を争う実力者なんだから!」
「あっそ。じゃあルリハ、次は私とバトルよ!」
イナホが少し気合を入れて言った。
「じゃあ俺が審判か。試合開始!」
ホイッスルの音がひびいた。
「行くわよ!メロディ!」
「エネコロロか…ならこの子よ!リア!」
イナホがなげたボールからは♀のジュペッタが出てきた。
「(うたうもメロメロも効かないのをえらんできたわね…)」
「リア、だましうち!」
ジュペッタの攻撃はエネコロロの急所に当たった。
「よーしメロディ、10まんボルト!」
「リア、おにびよ!」
エネコロロはやけどを負った。
「おおー!ふたりともすごい戦いです!」
ユウキの実況が入った。
「なかなかやるじゃない…でも残念。いやしのすず!」
バトル場にすずの音がひびきわたった。
「そこの実況うるさい!ちょっとだまってて!」
「は〜い…」
ユウキがだまった。
「だましうち!」
ジュペッタのだましうちが当たった時、エネコロロの姿が消えた。
「一体どこに…」
「それはみがわり!バトルが始まってすぐに使っていたのよ!そして今本体は…」
エネコロロはジュペッタのすぐ後ろにいた。そして尻尾の先に光が集中していた。
「ソーラービーム!!」
「な…」
「ジュペッタ、戦闘不能。エネコロロの勝ち!」
超至近距離から放たれたソーラービームはジュペッタを一撃で戦闘不能にした。
「本当にエネコロロの勝ち?」
イナホが言った。
「まさか…」
ルリハが横を向くとルリハのエネコロロが倒れていた。
「みちづれね…」
「前言撤回!ジュペッタVSエネコロロの勝負、引き分け!(まったくルリハ相手にここまでやるってイナホもそーとー強いな〜。簡単に負けちまった俺がなさけない…)」
「じゃあ二番手、シルバー!」
イナホのボールからはエアームドが出てきた。
「そっちがエアームドならこっちはこのこよ!シルク!」
その時バトル場にサイレンが鳴り響いた。
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えるる #8★2004.02/14(土)10:32
第八章 再び来襲
「(何があったの…?)」
「≪島の西より謎の黒い集団が上陸しました!ただちに避難してください!≫」
ルリハは聞いた瞬間それはロケット団であると悟った。そしてエネコロロをすぐに回復させた。
「イナホ、行くよ!」
「OK。続きはまたあとでね!」
ルリハとイナホはそれぞれポケモンに乗って島の西へ急いだ。
「あっ!あれを見て!」
イナホが指差した先にはロケット団の団員と思われる人物達が集まっていて、さらにそこには5才ぐらいの小さな女の子がいた。
「大変!助けなきゃ!コルク!」
ルリハのボールから出てきたかわらずの石をもったスバメは、女の子の真上に行った。
「なんだ?あのちっけえスバメは?」
「コルク、ふきとばし!」
「うわ!なんだ!」
ロケット団はひるんだ。
「もう大丈夫よ。ほら、乗って。」
ルリハは女の子を自分の乗っているフライゴンに乗せた。
「なにをする!てめぇら何者だ!」
ロケット団の一人が言った。
「なにも名乗るほどの者じゃないわ。オリーブ、りゅうのいぶき!」
「うわわ!なにすんだこんにゃろー!マグカルゴ、いけ!」
「ラッタとゴルバット、グラエナもだ!」
ロケット団は次々にポケモンを出してきて、その数は20匹ほどになった。
「うわぁ…たくさんいる。お姉ちゃん大丈夫?」
ルリハの後ろに乗っていた女の子が言った。
「平気よこのぐらい!しっかりつかまっててね!アクア、ハイドロポンプ!」
「私も加勢するわ!シルバー、はがねのつばさ!」
それで倒れたのは半分ほどだった。
「数が多すぎるのね…メロディ、アクア、うたう!」
すると相手のほとんどのポケモンは眠った。
「最後はまかせて!マリン!」
そう言ってイナホがなげたボールからは♀のハクリューが出てきた。
「マリン、なみのり!」
すると相手は全員倒れた。
「やったー!お姉ちゃん達かっこいい!」
女の子は言った。
「喜ぶのはまだ早いぜ!こっちにはまだまだポケモンがいるんだ。ひどい目に会いたくなかったらおとなしくオーロラ・ストーンのありかを教えるんだな。」
「(オーロラ・ストーン…きっとこれのことね。でもこれだとは気づいていないんだわ…)」
ルリハは思った。
「ぐずぐずするな!もういい!全員いけ!」
「短気な人ね。じゃあこっちもみんなで行くわよ!」
ルリハとイナホは全てのボールを投げた。
「お姉ちゃん、これ、使って。役に立たないかもしれないけど…」
そう言って女の子はトゲチック2匹を出した。
「ありがとう。でもいいわ。あなたのポケモンを傷つけるわけにはいかないから。」
そう言っている間にも敵は攻撃をしかけてくるのだった。
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えるる #9★2004.02/14(土)10:33
第九章 幹部出現
「ちっ…シルク、だいもんじ!コルク、がむしゃら!」
「ヒーザー、フェザーダンス!リア、ナイトヘッド!」
バトルが始まってから20分は経過していたが、敵の数はほとんど減っていなかった。
「あいつらが持っているボールは5個6個じゃないわね。一人当たり10個は持ってる。これじゃあきりが無いからボールの開閉スイッチをこわすしかなさそうね。」
ルリハが言った。
「それなら私にまかせて!シルバー、スピードスター!」
「何!?」
エアームドのスピードスターでほとんどのボールの開閉スイッチはこわれた。
「くっそー!」
「まちなさい。あなたたち、なかなかの実力をもっているのね。」
たくさんいたしたっぱの後ろから、幹部と思われる女が出てきた。
「私はロケット団幹部の一人、ヤヨイ!」
そう言って投げたボールから出てきたのは大きな青い鳥、フリーザーだった。
「え・・うそ・・!」
「なんであなたがそのポケモンを?」
ルリハがにらむような顔で聞いた。
「なんでもなにも、ふたご島で捕獲しただけのことよ。フリーザー、ふぶき!」
「きゃあ!シルク、ねっぷう!」
「ふきとばせ、フリーザー!そのままれいとうビーム!」
フリーザーのれいとうビームによってルリハのキュウコンは倒れた。
「メロディ、10まんボルト!」
だがフリーザーにかわされてしまった。
「おねえちゃん、やっぱり手伝うね。」
女の子が言った。
「いいわ。私にはとっておきの切り札がいるから。」
「切り札…?」
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えるる #10★2004.02/14(土)10:33
第十章 ハネッコたち
「ルリハとイナホのやつ、どこいったんだ?」
イナホの家でミズキとユウキがそんなことを言っていた。
「まさか2人でロケット団と戦いに行っていたりして…」
ミズキがそう言うとユウキが引きつった顔で答えた。
「まさか…な。」
そしてユウキがなにげなく窓を見ると外を女の人が通った。みんな家の中いるはずなのに。
「ハナビ…どこにいるの?」
女の人は誰かを探しているようだった。
「ちょっとまちな、お母さん!」
その時女の人の前にロケット団が現れた。
「あいつらがロケット団…助けないと!」
そう言うとユウキはポポッコを5匹窓の外に放った。
「ユウキ君、そんなにポポッコを持っていたのか…」
それを見てミズキは少しひいた。
「ああ、ハネッコとか大好きで!」
ユウキが笑いながら言った。
「なんだ?あのポポッコは?」
「じゃあそこのお母さん!ちょっと息止めてて!」
「は・・はい!」
するとポポッコは団員の上で止まった。
「じゃあ行くぞ!ポポッコ、しびれごな!」
「あ、くそ!ケーシィ、テレポート!」
「あー!ずるいぞお前!仲間のくせに!」
ロケット団は一人を除いてはみんなしびれて動けなくなった。
「あーあ。一人逃がしちまった。」
「た…たすけてくださってありがとうございます。いま私の子を探していたんですけど、こんな子見ませんでしたか…?」
そう言ってわたされた写真には、トゲチック2匹と5才くらいの女の子が写っていた。
「いえ、とくに見ていません。」
ユウキとミズキはそう答えた。
「あ・・そうでしたか。いろいろご迷惑をおかけしました…」
そう言って女の人が立ち去ろうとした時、ミズキが引き止めた。
「今は外にいては危険です。いったん俺の家で様子を見ましょう。」
「でもハナビが…」
「その子はハナビって名前なんですね。でも探すのだったら俺にまかせてください。みんな出て来い!」
そう言ってユウキは30個くらいボールをなげた。そこからはみんなハネッコとその進化形が10匹ずつ出てきた。
「一体ユウキ君は何匹ハネッコ系統のポケモンを持っているんだい?」
ミズキが聞いた。
「う〜ん。ざっと50匹くらいかな。じゃあみんな、この子を探すんだよ。」
ユウキは答えながらさっきの写真をハネッコたちに見せた。
「じゃあ行ってこい!」
「本当にいろいろとすみません…」
「いいんですよ。では家の中に入りましょう。」
この時ユウキたちは、ルリハたちが伝説のポケモン、フリーザーと必死で戦っているなどとは思ってもいなかった。
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えるる #11★2004.02/14(土)10:33
第十一章 フリーザー
「私の切り札を出す前にひとつ聞いておくわ。」
「何だ?」
ヤヨイは余裕の表情で言った。
「あなたはなぜ、フリーザーを捕まえられたの?」
ルリハが聞いた。
「なぜもなにも、ただ無理矢理に捕まえただけだ。電気ポケモン15匹分の10万ボルトを浴びせてからな。」
この言葉にルリハは少しカチンときた。
「ならもう聞くことはないわ。今ここで、フリーザーをあなたから解放する!」
「ルリハ〜。これ一体どういうことなの!?」
イナホは状況が飲み込めていないようだった。
「それよりも村の方は平気なのか?」
ヤヨイが言った。
「まさか…」
「そう、そのまさかだ。」
ヤヨイが答えた。
「イナホ!早く村へ行って!はやくしないと村の人が!」
ルリハがあわてて言った。
「えぇ!?なんかイマイチよく分からないんだけど?」
「行ってみれば分かるわ!早く!」
「う・・うん。ヒーザー!村までお願い!」
イナホはピジョットに乗って村に向かった。
「これでお互い邪魔が入らずに戦えるな。」
「そうね…そのフリーザー、必ずあなたから解放させるわ!」
「できるものならやってみろ!」
「ではいくわよ!」
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えるる #12★2004.02/14(土)10:34
第十二章 切り札
「私の切り札は…この子よ!」
そう言ってルリハが投げたボールからは、なんと3年前に島に雷を落して行った鋭いくちばしと翼をもつ黄色い鳥ポケモン、サンダーが出てきた。
「何だと!?なぜお前がそのポケモンを!?」
ヤヨイが信じられないという顔で聞いた。
「私は3年前、この子、サンダーを譲り受けたわ。いえ、譲り受けたというよりも、この子が自分から私の所へ来たのよ。共に島を守ろうってね。」
ルリハが言った。
「ちっ!ならばこっちも総力戦だ!ペルシアン、ストライク!全員出て来い!」
「お姉ちゃん、こっちは私がどうにかするよ。お姉ちゃんはフリーザーを。」
女の子が前に出た。
「ちょ・・ちょっと!危ないからあなたはさがってて!」
ルリハがあわてて言った。
「ううん。平気。トゲちゃん、チッくん、ゆびをふる!」
2匹のトゲチックのゆびをふるはハイドロポンプと10万ボルトになった。
「ゆびをふる…ランダムに色々な技が出てくるって技か。くそ!」
ヤヨイが言った。
「へぇ。あなたなかなか強いのね。名前は?」
ルリハが聞いた。
「ハナビっていうの。」
女の子、つまりハナビが答えた。
「じゃあハナビ、ここはまかせたわ!サンダー、フリーザーに雷!」
「よけろ!フリーザー!」
「でんげきは!」
これはフリーザーもよけきれずに当たった。
「(フリーザー、お前は私の仲間だろう。悪しき者に操られ、お前はそれで本当にいいのか?」
「(これはサンダーの意思?この石がポケモンの思いを伝えているのかしら?でもいままでにこんなことは…)」
「フリーザー、こごえるかぜ!」
「よけて!サンダー!」
ルリハは島を守るため、必死で戦っていた。
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えるる #13☆2004.02/17(火)20:02
最終章 やさしい光 
「何これ!ハネッコがこんなにたくさん!手にリングがついているところを見るとぜんぶユウキのポケモンね。いつのまにこんなにたくさんつかまえたのかしら?」
イナホが村の上空に来た時思わず言った。
「おーい、イナホー!」
すると自分の家からユウキが手をふった。
「ちょ…なんであんたが私の家に?」
「まあいいから!この子知らない?」
するとユウキはあの女の子、ハナビが写った写真を見せた。
「この子…見たわよ。」
イナホが言うとこんどは窓から女の人が顔を出した。
「本当にこの子を見たの!?一体どこで!?」
「あなたがハナビのお母さんですね。」
イナホがおそるおそる聞いた。
「はい、そうです。ハナビはどこに…」
「いいですか。聞いてもパニックにならないでくださいね。」
イナホが言った。
「この子は今、ロケット団と戦っています。ルリハといっしょに。」
するとそこにいたユウキ、ミズキ、ハナビのお母さんはかなりおどろいた様子だった。
「そ…それは本当ですか!?」
「はい、本当です。」
「ハ…ハナビ…」
「大丈夫ですよ。ルリハちゃんがいっしょですから。」
「よし、ハネッコたちはルリハたちのてだすけをするんだ!」

「てごわいわね、フリーザー。」
「そっちのサンダーこそ。」
2人はまだにらみあっていた。
「(こうなったら私自身がどうにかしなくちゃ。)」
「サンダー、そらをとぶ!」
「フリーザー、こっちもサンダーを追え!」
「いまだ!」
ルリハはせんせいのツメをもってヤヨイの後ろに回った。
「一体何を!?」
「えーいっ!」
ルリハは持っていたせんせいのツメでフリーザーのボールをこわした。
するとフリーザーはやさしい光につつまれ、サンダーとともに地上におりてきた。
「チッ…よくもこんなことを!今日のところは引き上げるぞ!」
「ハハッ!」
するとロケット団はどこかに去っていた。
「よかった…ハナビ、私達勝ったんだよ・・」
するとルリハは気を失った。その時ハナビがイヤリングをルリハにわたして、そのあと緑色のやさしい光につつまれて消えていくような気がした。

「ルリハ、ルリハ…」
目を開けるとそこは病院だった。
「まったく一人で無茶しやがって。俺のハネッコ達が見つけてくれなかったらどうなっていたことか。」
「ははは…そうね。あら?ハナビとハナビのお母さんは?」
ルリハはハナビがいないことに気づいて言った。
「ハナビ?だれ、それ。」
イナホとユウキがそろって言った。
「だれってハナビよ。トゲチック2匹を連れた女の子。」
「さあ…知らないな。」
みんながそう言った。
「気のせい…なわけないわよねぇ?」
「ルリハ〜。それ、夢だったんじゃないの?」
「夢…なのかなぁ。」
だがルリハの手元には、フリーザーとサンダーが入ったボールと、ルリハのペンダントと同じ石のついたイヤリングがあった。
「夢じゃなかったのかな…。」
ルリハは、なにか自分も少しやさしい光を発せられるようになった気がした。


──────────────────────────────草原の歌U 終わり


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えるる #14☆2004.02/18(水)19:54
番外編
「決めた!私、ファイヤーを捕まえにいくわ!」
「ルリハ!急になにをいいだすの!」
ルリハの家でルリハとルリハの母がそんなことを言っていた。
「このままではファイヤーまでロケット団の手に渡ってしまうわ!」
「いいじゃないか、母さん。ルリハを行かせてやりなさい。」
「でも…」
「決まりね。じゃあこのペンダントをイナホにあずけておいて。」
そう言うとルリハはバックにいろいろなものを入れはじめた。
「大体一週間くらいで帰ってくるわ。発掘隊の人にも言っといて。じゃ、行ってきまーす!」
そう言うとルリハはフライゴンを出して、西へ飛んで行った。
「まったくあの子は…」
「まあいいじゃないか。ルリハもそんなに弱くないんだから。」


一週間後━━━━
「ただいま〜!つかまえてきたよ!」
「おかえりなさい!(本当に捕まえちゃったのね…)」
「これで家でこの3匹を守ればいいんだな。」
「うん…でも…」
「でも?」
「じつはまだ伝説の3匹はいる…んだよね。」
「えぇ!?それはどういうこと?」
「この子達の家族…が。」
「……。」


ルリハがこの時シアン島からカントー、ジョウトに出たことによって、運命が動いた子がいることに気づく者は誰一人いなかった━━━━━━━
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[168]

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ぴくの〜ほかんこ