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風のグラエナ | #1★2004.04/04(日)21:00 |
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プロローグ 祈りの精霊一族は、修行のたびを終えて精霊谷へ戻ると、外へ出ること 許されざる身となる。 しかし、今…精霊谷を守りぬくため、旅だった精霊がいた…。 第1話 自己紹介 我が名はティナル。 精霊谷に住むネイティオだ。 皆からは、ティナと呼ばれておる。 われ等、精霊谷に住む一族は祈りによって精霊谷に住む生き物達に恵み を齎し、そして自然の恩恵に感謝し、また感謝の祈りを捧げるのが我等 精霊谷ネイティオの役目なのだ。 何何?ネイティはおらぬのかと? ネイティは生まれて直ぐに、精霊谷の外へ旅立ち、ネイティオになった 時、精霊谷へ帰ってくるのだ。 外の世界に私達がでるのは、そのネイティの時だけ。 ネイティオになった後は、先刻私が言ったように自然に祈りを捧げ、命 に恵みを与える日々なのだよ。 これから、宜しく頼むぞ。 |
風のグラエナ | #2★2004.04/01(木)16:13 |
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第2話 帰ってくるはずのネイティオ 私は何時もの様に、朝、太陽に祈りを捧げていた。 人間たちは1日中祈りを捧げていると思っているだろうが、私達だって ポケモンには変わりは無い。 のんびりと話したり、精霊谷に住む他の生き物達と戯れたりしているのだよ。 「ティナよ、そろそろネイティオが帰ってくる頃と思わぬか?」 親友のリザベクスが言ってきた。 私は頷く。 「リザベクス、お主の言うとおりそろそろ帰ってくる頃だな…もう 帰ってきたら外の世界を見ることは無いのだ…。」 「仕方ない。我等の一生の役目は、精霊谷に祈りの力によって恵みを齎 すこと。修行を終えたネイティオは、一生祈りを捧げる身となるのだからな。」 勿論、全ての修行を終え、ネイティからネイティオへ進化した者達が帰 ってくるとは限らぬ。 生きると言う事は、危険を伴う事でもあるからな。 蝶を見ていたリザベクスがふと口を開く。 「ティナよ、それにしても可笑しいと思わぬか?」 「何が?」 「ネイティオ達が帰って来る頃になったら、風使いのアゲハントがそれ を知らせに来るはずでは…しかし、一向に風使いは来ぬ。」 「確かに…後で自然に聞いてみるかな?ん?」 不意に生暖かい風が吹いてくる。 私はその風に嫌な予感を感じる。 「今の風、厄風ではないか?」 「確かに。今の風は嫌な気配を運んでおったわ…。」 何か大変な事が起こる。 私は、そう感じた。 |
風のグラエナ | #3★2004.04/11(日)10:01 |
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第3話 滅亡へ導くもの 「自然よ。一体旅だった次期精霊達の身に何が起こったのだ。答えよ。」 私は自然に問うた。 しかし、自然は何も言わぬ。 可笑しい、今までは必ず教えてくれていたのに…。 「自然よ。答えよ。次期精霊達の身に何が起こったのか、と私が聞いて おろうが。聞こえぬのか?」 やっと自然は話し始めた。 ”私に言えるのは、この精霊谷が最後だと言うことだ…” 「何ッ!?」 精霊谷が最後だと? この美しき谷が? 何を突然言うのだ、自然は。 「自然よ。何がこの精霊谷を滅亡に導くのだ。私達祈りの精霊族の誰か が、悪しき事でも成したのか?」 ”成してはおらん…滅亡に導くのは…砂漠の…精霊…” 自然の声が途絶える。 私は詳しく話しが聞きたかったが、自然はそれ以上話してくれなかった。 それにしても何たる事だ、砂漠の精霊たるものが、この祈りの精霊族が 生きる精霊谷を滅亡に導くとは…。 |
風のグラエナ | #4★2004.04/01(木)16:33 |
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第4話 風使い 「ティナ。」 「何だ?」 「向こうに見えるは、風使いではなかろうか。」 リザベクスの視線を辿る。 そこには、確かに風使いのアゲハントが居た。 アゲハントはこっちに向かってくる。 そして、やがて私達の所へ降り立った。 「風使いよ。我が仲間達は…。」 「…精霊様たちの殆どは、何者かによって帰らぬものとされてしま いました。しかし、多分まだ生き残りが居るはず…今の私には、そ れしか言えませぬ。」 青い光を残して、アゲハントは翼を広げて、飛んでいった。 暫し絶句するリザベクス。 「何者かによって帰らぬものとは…。」 恐ろしき事が近づいているようだ。 |
風のグラエナ | #5★2004.04/01(木)16:34 |
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第5話 帰ってきたセト 「リザベクスよ、風使いが来たので言うのを忘れていたが、私は…。」 「自然から何を聞いたのだ?」 私が話しを続ける前に、リザベクスは鋭く聞いてきた。 「…この精霊谷が、砂漠の精霊によって滅亡に導かれると。」 「何ッ!?」 リザベクスも驚く。 砂漠の精霊一族は、砂に生きる生き物達を守護するのが役目の一族。 その一族が、私達が生きる精霊谷を滅ぼそうとしているのだ。 驚くのも無理あるまい。 精霊が精霊の生きる場所を滅ぼそうとするのだから。 「自然が戯言を言うとは、私には考えられぬのだ。まず、戯言を言って 何の得も無い。砂漠の精霊が我が精霊谷を滅亡させようとしている事は 私達に恵みを齎す自然が言う事だ、間違い無かろう。」 「確かに…おおっ!?」 一匹の若いネイティオが、こちらにフラフラと飛んできた。 このネイティオは、修行のたびを終えてこっちに帰ってきたのだ。 酷い怪我だ。 何者かに教われたのだろうか? 「大丈夫か?確か…セトという名だったな。」 「ティナ、様ですね……大変です、私はこうして何とか無事に かえって来れましたが、仲間が…仲間は……砂漠の精霊一 族に…!」 「何!?」 私とリザベクスにはセトが何を言いたいのかが直ぐに分かった。 「イルミナ様にすぐさまお伝えせねば。ティナよ、オマエはセトの介抱 を頼む。私はイルミナ様の元へ知らせに行く。」 「ああ、頼む。」 …一体、何が起こったのだ! |
風のグラエナ | #6★2004.04/01(木)17:09 |
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第6話 真実 「セトよ、苦しいか?」 「…ティナ様の精霊術により、大分楽になりました…。」 セトの声は、さっきより落ち着いてきた。 良かった。 そうだ、さっきから気になっていたことをセトに質問してみるか…。 「ところで、1つ聞いて良かろうか?」 「何なりと。出来る範囲でお答えします。」 「砂漠の精霊一族は、精霊谷について何か言っていなかったか?」 「…分かりません。死に物狂いで逃げてきたものですから…。」 「…一体何の企みがあるのだ…もう良い、有り難う。静かに眠 るが良い。」 セトは眠り始める。 何をしたいのだ、砂漠の精霊一族は…。 |
風のグラエナ | #7★2004.04/01(木)16:50 |
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第7話 精霊族について 私達、精霊族について、少し話しておこうと思う。 精霊は、さっきも言ったとおり祈りの精霊族と砂漠の精霊族の2種に分 けられる。 私達、祈りの精霊族が自然に頼って生きることとは対照的に、砂漠の精 霊族は砂漠と言う過酷な環境の中で己の力だけを頼りに生きている。 2種の精霊族の共通点といえば、自分と同じ場所に生きる生き物を守護 する、ということだ。 私のような祈りの精霊族は祈りによってその自然の恵みを更に豊かなも のとして、生き物達に分け与え、そしてその自然の力によって守護する。 砂漠の精霊族は己の力で砂嵐を起こし、人間たちから仲間を守護し、時 には己の力で砂嵐を打ち消す事によって、静かな環境を作ったりする。 というわけだ。 分かっていただけたかな? |
風のグラエナ | #8★2004.04/01(木)17:01 |
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第8話 決意 私は、リザベクスや他のネイティオ共にイルミナ様の前に参列していた。 イルミナ様は、我等祈りの精霊族を束ねる酋長たる存在だ。 「皆のもの、顔を上げるがよい。」 私は顔を上げる。 目の前に、酋長イルミナ様のお姿がある。 「ティナが自然に聞いた話によると、砂漠の精霊一族がこの精霊谷を破 滅に導こうとしているらしい。そこでだが。」 イルミネス様は一旦話を切った。 言いづらい事なのだろうか? 「我等、祈りの精霊族はネイティオとなり、修行の旅からこの地へ帰っ てきたら、再び、外の世界へ出ることは許されぬ身となる。しかし、こ の状況だ。我等の生きる精霊谷を守るためには皆手段を選ばぬと思う。 誰か、精霊谷を出て、砂漠の精霊族と会って話をし、精霊谷の破滅を防 ごうとする者はおらぬか?」 ネイティオ達は黙ったままだ。 愚か者、精霊谷がどうなってもよいのか? 精霊谷に生きる生き物を守る、それが私達の仕事。 外に出ることは許されぬ身だからといって、精霊谷の破滅を指を咥えて 見ている、というのか? 「私が行きましょう。イルミナ様。」 私は静かに言った。 続いて友の声がする。 「私も行きます。ティナ、友を一人で行かせる訳には行かぬ。」 「…では、頼んだぞ!」 こうして、私はリザベクスと共に精霊谷を出ることになったのだ。 |
風のグラエナ | #9★2004.04/01(木)17:08 |
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第9話 旅立ち 「頼んだぞ、ティナ、リザベクスよ。」 私はリザベクスと精霊谷の入り口に立っていた。 再び、私達は外の世界に出ようとしているのだ。 イルミナ様は私達に、1つずつ青い石を渡した。 「これは…。」 「祈り石だ。自然がオマエ達を守護してくれるようにとの祈りを吹きこ んだ。」 「…有り難うございます。」 イルミナ様に頭を下げる。 祈り石は、祈りを吹き込めば必ず願いが叶うと伝えられる石。 滅多に見つかる事は無い。 「…気をつけて行くのだぞ。」 「はい。必ず、精霊谷を…守りぬきます。命を賭けて。」 「右に同じ。」 リザベクスが言う。 精霊谷は、私達が守る。 私は祈り石を握り締めて、外の世界へ出た。 |
風のグラエナ | #10★2004.04/01(木)21:49 |
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第10話 龍の都・ドラゴンフォード 祭り 私とリザベクスは、龍の都・ドラゴンフォードに来ていた。 ここから、ユース川経由で砂漠の精霊族が生きる砂漠へ行こうと考えて いるのだが。 「ティナよ。オマエはここに修行で来た事があるのか?」 「あるぞ。あの頃と殆ど変わっておらん。まあ、3年しかたっておらん からな…。」 龍の都には、私は1度修行できた事がある。 確か、チルタリスのコーラスコンサートを見に行ったな…。 修行と言っても、ちとばかり楽しんでも罪は無かろう? 「ここで、チルタリスのコーラスを聞いた。」 「ほぉ。あの有名なチルタリスのソプラノのか?」 「ああ。」 私がチルタリスのコーラスコンサートを見に行って、1番綺麗な声をし ていると思ったのが、ソプラノと言うチルタリスだった。 今も居るのだろうか? 「砂漠までユース川経由か。今日はもう日が遅い。ここで休んで行った 方が良かろう。」 リザベクスが言った。 確かに日はもう傾いている。 今日はリザベクスの言うとおり、ここで一泊して明日早く出た方がよさ そうだ。 暫く宿を探して歩いて行くと、広場に出た。 中央に大きな柱が立っている。 その柱には、龍の絵が刻まれているが…? とりあえずそこら辺のチルタリスに聞いてみることにする。 「あの、この柱は…。」 「ああ、あんたここの住人じゃないんだね。今日は祭りなのさ。」 「祭り?」 「ドラゴン達の、永久の繁栄を祈る祭りなのさ。」 「有り難う。」 チルタリスはどこかに飛んでいった。 祭りか…とりあえず見てみよう。 |
風のグラエナ | #11★2004.04/02(金)13:05 |
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第11話 祭り 後半 「始まったな。」 広場には屋台が並んでいた。 賑やかだ。 「ドラゴンの、永久の繁栄か…。」 「我等ドラゴン一族に、永久の繁栄と幸あれ!」 「幸、か……。」 私はフッと笑う。 私達精霊はその幸を神でなく、自然に祈りによって求めているのだ。 「ん?」 不意に誰かに肩に手をかけられる。 私は振りかえった。 「何か私に用がありまして?」 後ろには酔っ払ったカイリューが立っていた。 「おい、兄ちゃん。金よこせぇ。」 …どうやら、外の世界が言う”ヤクザ”というものらしいな。 「あいにくですが、あなたに渡す路銀は私、持っていないのですよ。」 笑顔で答える。 「黙れぇっ!」 カイリューが握っていた酒瓶を振り下ろしてきた。 それを私は軽く交わす。 「痛い目に会いたくなければ、さっさと立ち去ってください。私は闘神 精霊の称号を持っています。」 精霊が持つ称号…それは、色んな種類がある。 例えば、守神…仲間を守る力の称号。 闘神は、その逆だ。闘う力の称号だ。 リザベクスは、守神の称号を持っている。 立ち去らないカイリューを、私は精霊術で痛めつけた。 |
風のグラエナ | #12☆2004.04/04(日)12:57 |
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第12話 危険な船運転 前半 今、私は非常に気分が悪い。 何ていったって、ワカというピカチュウが操る船は凄く不安定なのだ。 吐きそうだ…。 「大丈夫か?」 「この状態が大丈夫に見えるのか、リザベクスよ。テッポウオ達が迷惑 するゆえ、吐くにはいけなかろう…うっぷ…。」 「仕方ない奴だなあ…。」 リザベクスに背中を擦られて少し楽になる。 そういえば、誰かが海に向かって吐く事を撒き餌と言っていたような。 確か…流星の少年ユウキの物語に出てきたレバニスだったかな? 「うー…ワカ、もっと上手く船を操れないのか?」 「すいましぇん。僕、まだ修行中なんでち。」 …どういう言葉遣いをしておるのだ、このピカチュウは…。 別にどうでも良いがな。 ん…修行中っ!? 「今、お主、修行中と言ったな?」 「そうでちよ?何か?」 「修行中の身のオマエが、何故この船を操っているのだ。」 「お師匠様がお病気でち。だから、僕、お師匠様の船を操っているでち。」 「何ーっ!?」 同時に驚く私とリザベクス。 しゅ、修行中の身…それでも、川が穏やかであれば私とて心配しな いが、この先は…急流だ。 1歩間違えれば、死ぬかもしれない。 何?飛べだと? …今まで黙っていたが、私は空など飛べぬのだよ…フフフ。 リザベクスも同様にな。 滅多に外に出る事が無いから私は飛ぶ事が出来なくなってしまった。 セト?ああ、確かに飛んで帰ってきたな、まだネイティオになったばか りなら、羽が強いから飛べるのだよ。 そのうち谷を出ぬ身になって…飛べなくなる。というわけだ。 それにしても、船は無事に砂漠へつくやら。 自然よ、我等に守護を。 |
風のグラエナ | #13☆2004.04/04(日)20:49 |
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第13話 危険な船運転 後半 「もう直ぐでちよ!」 「気をつけるが良い、ワカよ。ここから先は急流であるぞ。」 「きゅうりゅう?まさかぁ。」 急流があるということを知らぬのか、このピカチュウは? 私は1度ここを旅した事があるから分かっている。 そういえば只でさえ不安定な船がますます不安定になってきた。 船酔いは精霊術で防いでるがな。 「!?」 船ががくっ、と揺れた。 転がりかけたが何とか踏みとどまる。 「わっ!」 ワカが悲鳴を上げる。 助けようにも、こっちが危ない。 「ほ、本当に急流でち!?僕、急流渡り習ってないでち!」 「自然よぉ!我を見捨てるでないー!」 「精霊魔法・ブレイキング・パワー!」 咄嗟に精霊術を使って、一気に急流の岩をブレイクする。 これで、船が岩にぶつかる心配は無くなった。 「リザベクス、急ぐのだ!私には守りの術など、使えない!私は闘神だ!」 「わ、分かった!シールド・ベール!」 リザベクスが急いでシールドを張った。 これで船は守られる。 滝から落ちる衝撃も、大丈夫であろう。 「あーっ!」 「ワカ、舵から手を離すな!後、スピードを落とすのだ!」 「分かったでち!」 ワカが必死に船を操る。 私達も必死で岩を破壊したりシールドを維持したりと大変だ。 暫く必死に頑張っていたら、入り江が見えてきた。 「ワカ!入り江に船を入れろ!あそこなら川の流れを凌げる!」 「分かってるでち!あそこが終点でちよぉ!」 |
風のグラエナ | #14★2004.04/05(月)18:36 |
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第14話 危険な船運転 最終編 もう直ぐ終点。 私はその言葉に油断して術を解いてしまった―― 「ここから先には通さぬわっ!」 目の前に水使いのミロカロスが飛び出してきた。 私は反射的に羽で顔を覆う。 その隙を狙って、ミロカロスは襲ってきたのだ。 「このエルフを食べれば私は最強の力を手に入れる事が出来る!」 思いきり喉に噛みつかれた。 そのまま私の体に巻き付いてぎり、と音を立てる。 迂闊であった!! 「うう…。」 息を吸おうとすると喉がそれを拒む。 意識が朦朧としてきた…が、私はここで負けるわけにはいかないのだ! 「…ブレイク!」 声を振り絞る。 破壊魔法がミロカロスの体を傷つける。 「私は絶対にオマエを食らうのだ!」 ミロカロスは益々強く締め付けてくる。 喉から口を離したかと思うと、今度は私を飲み込みに掛かった。 「させるかぁっ!」 「今行くぞ、ティナ!」 「リザ…。」 リザベクスが駆け寄ろうとする。 が、ヒンバスが船に飛び出してきて行方を遮った。 「さあ、最後だ…。」 「私は…私は、ここで終るわけにはいかぬのだ…!我が力を受けてみよ!」 エルフ・ネイティオだけが使える最終奥義…「エルフラスト」を撃つ。 「きゃあ!」 ミロカロスは光の中へ消えた。 「さ、ついたでち。」 暫くして、ワカの声が聞こえた。 |
風のグラエナ | #15☆2004.04/05(月)18:44 |
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第15話 砂漠へ 「やったぁ!僕一人で船を動かせたでちぃ!」 「…私達の術がなければ、今ごろ沈没していたぞ…?」 「まあ、リザベクス。喜ばせておけ。」 その時、事は起こった。 「こりゃワカ!どこへいったかと思えば…!」 現われたのは一匹の老ライチュウ。 どうやら、ワカの言っている「お師匠様」らしいな。 「僕、一人で頑張って船を動かしたでち!」 「馬鹿モン!失敗していたら、今ごろどうなっていたか!まあ良い。今 回は許してやるが、修行途中の身が2度とこんな事をするでないぞ!」 「はいでち…あ、ばいばいでちね、ネイティオさんたち!」 「ああ。さようなら。」 私達は去った。 「大丈夫か?喉の傷は。」 「ああ。オマエの回復魔法でだいぶ良くなった。」 「私の回復魔法は完全に治せても痛みまでは完全に拭い去れぬからな。」 そんな事を話ながら進んでいると、遂に砂漠についた。 「フライゴンが何時出るか分からん。心を常に自然と通わせておけ。」 「ああ、分かっている。」 何か起ころうとするなら、自然が知らせてくれる。 「リザベクス、伏せろ!」 「うわっ!?」 「サイコウェーブ!」 リザベクスの後ろに飛び出してきたフライゴンを、私はサイコウェーブ で突き飛ばした。 「済まんな…このフライゴン!」 「…何!?」 |
風のグラエナ | #16☆2004.04/10(土)21:15 |
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第16話 砂漠 「これは…。」 「黒いフライゴン!?」 そう、私達が見たのは倒れた黒いフライゴンだった。 その目はギラギラと赤く輝いていて、何かに操られていたとしか考えられない。 「催眠術かけて真実を話させてみるか。」 「ああ。リザベクス、頼む。」 リザベクスが倒れたフライゴンに催眠術をかける。 フライゴンはゆっくり喋り出した。 「神、現る…神、我等の心を支配する……そして去る…。」 フライゴンは息を引き取った。 「神、現る…どういうことだろう?」 「まさか、エレメントの封印が解けたのでは…。」 エレメントとは、神々の封印を守る大切なもの。 エレメントモンスターズは神々を封印するエレメントが元の次元に戻っ てきてしまった時に、それを再び別の次元へ飛ばす役目をするモンスター。 後に、エレメントの有りかを喋らぬように死んでしまう運命のモンスタ ーだ。 昔、エレメントモンスターズが封印を施し、そして命と引き換えにその 封印を永遠のものとすることで、エレメントモンスターズはいなくなった。 「ヤバイな…。」 私は灰になったフライゴンを見て、そう呟いた。 |
風のグラエナ | #17☆2004.04/11(日)10:09 |
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第17話 旅の方向 「精霊を操って、精霊を殺そうとしたのか、神は…。」 「らしいな。」 そもそも、精霊が現われたのは神が封印された、というのが理由だ。 神は世界を創った。 そう、世界を創る程の力を持っていた、ということだ。 それほどの力を持つ神が、この世に悪しき事を成そうと力を使ったらこ の世界は破滅の道へ向かってしまう。 そのため、神は封印され、そしてその後に世界のバランスを保つために 精霊が現われたというわけだ。 神は多分、再び世界を支配しようとしているのだろう。 だから、邪魔になるバランスを保つ私達精霊を滅ぼそうとしているのか もしれない。 「私達の旅は、七大神を封印する、もしくはそれらの命を奪う旅になり そうだな。」 「オマエの言うとおりだ…だが、神が封印を破る事ができるのだろうか?」 リザベクスの言う事は一理ある。 神が神自身の力で封印を破る事は…出来ぬはずだ。 エレメントは、それを上回る力を持っているのだから。 と、いうと…影でエレメントを操作し、神を蘇らせた者がいると!? 「裏に誰かいるのかもしれぬな…いや、いるはずだ。」 「早くその者を探さねば!」 私達の旅の目的は固まった。 神の封印を解こうとする者を、直ちに排除すべきということに。 そして、封印を解かれてしまった神を、静める事に。 |
風のグラエナ | #18☆2004.04/11(日)10:21 |
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第18話 七大神 七大神について説明させていただこう。 七大神とは、そのまま7匹の神、という意味だ。 フリーザー サンダー ファイヤー ルギア カイオーガ グラードン セレビィ …の7匹だ。 そしてそれぞれのエレメントが、七大神の封印を守っているのだ。 最後の7代目エレメントモンスターズによって、封印は永久のものとなったが、それでも、その永久の封印を上回る力が働けば、封印は当然破 れる。 しかし…その力を持つものが分からないまま我武者羅に探したって 何にもなるまい。 ということで、今私達は砂漠のオアシスで悩んでいる。 「…そうだ。」 「何だ、リザベクス?」 リザベクスは急に良い案が浮かんだらしい。 「魂の聖地に行かないか?あそこなら、死んだエレメントモンスターズ から何か情報が手に入ると思うのだが。」 「それは良い考えだ!」 魂の聖地。 そこは、死んだ命が向かう場所だ…。 私達は、魂の聖地へ向かう事にした。 |
風のグラエナ | #19☆2004.04/11(日)10:41 |
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第19話 魂の聖地・アーストルク 私達は今、魂の聖地を目指している。 魂の聖地に行くには、カルノガストという火山を超えていかねばならない。 そして今…魂の聖地へ向かうバクーダに乗って移動中だ。 「はあ…それにしてもここは暑い…。」 リザベクスが汗を拭って呟いた。 「リザベクスよ、オマエは精霊術を使うと言う事を知らないのか?」 「その手があったな。」 私は精霊術を使って既に自分だけ涼しくしていた。 リザベクスもさっさとコールドベールの術を使う。 「はぁーっ…スズシぃ〜…。」 「お客さん、しゅぅてーん。」 やっと魂の聖地についた。 バクーダから降りる。 金を渡して、私達は魂の聖地・アーストルクの門をくぐった。 アーストルクには華が咲き乱れて、滝が流れていた。 所謂天国というものか。 「エレメントモンスターズは…。」 「私だ。」 一匹のライチュウが現われた。 あれ?私は複数形のモンスターズと言ったはずだが。 「私は初代エレメントモンスター・ラグランだ。」 「ラグラン様でいらっしゃいましたか。私は精霊・ティナルです。とこ ろで、最近神が…。」 「我も知っておる。おまえ達が来る事は、ずっと前から知っていた。」 |
風のグラエナ | #20☆2004.04/11(日)10:46 |
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第20話 ラグランの話 「神の封印が解かれたのであろう?確か、グラードン。」 「グラードンの封印が…。」 解かれたのはグラードンの封印らしい。 全部はまだとかれていないようだ。良かった。 「で、エレメントモンスターズに何か手がかりを聞こうと来たわけだな?」 「そういうことです。」 「残念ながら、私の話の中にはおまえ達に役立つような事は無い。只、 エレメントを再び封印するために現われたエレメント・モンスターズが いる。そいつ等を探すが良い。只、暴走系の奴等だがな。」 「なっ…。」 エレメントモンスターズがまた現われた!? だが、どうやって他のポケモンと見分けをつけるのだ、探すが良いって…。 暴走系のポケモンだったらいくらでもいるぞ。 「サンダース、バクフーン、オオタチ、ピジョット、エアームド、オニ ドリルの6匹がエレメントモンスターズだ。普段一緒に行動しているか ら分かるであろう。そんな組み合わせの6匹にあったら「神」ととりあ えず言ってみろ。エレメントモンスターズを確認する言葉だ。もし、本 当にエレメントモンスターズなら、「エレメント」と答えるはずだからな。」 「…分かりました。ラグラン殿、協力有り難うございます。」 私達は魂の聖地を出た。 新たなエレメントモンスターズに、何としてでも会わねば! |
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