ぴくの〜ほかんこ

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[304] 精霊谷の奇跡3〜神々の黄昏〜

風のグラエナ #1☆2004.04/13(火)21:42
第37話 キャラクターを改めて紹介

〜精霊達〜
ティナ
精霊谷のエルフネイティオ。
リザベクスと共にフライゴンと話をつけるために旅だったが、やがて大
きな戦いの渦に巻き込まれる。
闘神の称号を持つ。

リザベクス
精霊谷のエルフネイティオ。
ティナと共に旅立つ。
守神の称号を持つ。

炎珠(エンジュ)
滅んだといわれていた太陽の精霊エーフィの末裔。
予知能力が普通のエーフィを大幅に上回っている。

〜エレメントモンスターズ達〜
長いので省略。
皆陽気な性格で、決して何事も最後まで諦めない。
ちなみにダガーはボケ役。

…ということで、宜しくお願いします!
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風のグラエナ #2☆2004.04/15(木)22:33
第38話 炎珠の夢

ここはどこだ…
何も見えない…
私は何故ここにいるのだ…
そうか、確かサファイアと相打ちになって…
私はエレメントに封じられた身なのだ…
しかし、何故今になって目が…
エレメントの支配が解けた…!?

「ふぃっ!」
エンジュは目を覚ました。
汗びっしょりだ。
彼女は前足で汗を拭った。
「どうしたのだ?エンジュよ。」
起きていたリザベクスがエンジュに問うた。
リザベクスの横で、ティナがすやすやと眠っている。
フェンリル達は重なって眠っていた(1番下がダガー)。
「わ、悪い夢を見たの…予知夢みたい…。」
「予知夢、か。どのようなものを見たのだ?」
「赤い、凄い力を持つ大きな生き物が、目を覚ます夢…。」
「赤い凄い力を持つ大きな生き物…私にも分からぬ。まあ、今は安
心して眠るがよろし。見よ、この紅い炎を。これほど熱きものは無かろ
う。我等を守りしこの炎に近寄るものはおらぬ。」
「わ、分かった…。」
再びエンジュは眠りの中に落ちていった…。

動く、体が動く!
私は精霊達に代わって、今度こそ世界を支配するのだ!
私を今まで封じていたエレメントモンスターズや精霊、ドラゴン使いを
滅ぼすのだ!
これからの世は、我がルビーの手に有り!
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風のグラエナ #3☆2004.04/15(木)22:47
第39話 黒のエンジュ

誰?
エンジュは自分に迫り来る影に向かって叫んだ。
しかし、紅い閃光を放ちながら自分に近づいてくる黒い影は、答えよう
としなかった。
その黒い影は、エンジュの1歩手前で止まった。
エンジュは黒い影に向かって問う。
あなたは誰?
私に何の用があって、私を私の夢に呼び出したのですか?
黒い影は答えた。
オマエには、成さなければならないことがあるのだ
オマエには、私にしたがってもらう
エンジュは反論する。
嫌です
私が従うのは太陽神ホウオウ様だけです
あなたなんぞに従うものですか
しかし、黒い影が指を鳴らした瞬間、エンジュは気を失ってしまった。
黒い影はエンジュの額に黒いものを埋め込んだ。

「ぐはぁっ!」
突然エンジュのサイコパワーに引き裂かれ、リザベクスは血が滴り落ち
る自分の胸を押さえた。
エンジュの瞳は黒かった。
「何をするのだ…エンジュよ…。」
エンジュは第2派を撃とうとした…が!
「お主、何をしておるのだ。」
ティナの強力な闘神パワーに阻まれた。
ティナの目には赤い炎が揺らいでいる。
闘気が闘神に満ちた証拠だ。
「私は只、私が世を支配するのにに邪魔なものを消去しようとしただけ
だわ。あなたに私が止められる?」
エンジュが黒い光を放つ。
が、さすが闘神、見事に打ち消した。
「ホーリーランス!」
攻撃を打ち消してから間髪いれずにティナの精霊術が発動する。
空から沢山の光の槍が落ちてきて、エンジュを串刺にした。
「うっ…。」
エンジュはテレポートで逃げる。
ティナは深追いをしなかった。
「逃げられたか…。」
ティナは夜空を見て呟いた。
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風のグラエナ #4★2004.04/17(土)10:22
第40話 月の精霊

「どうするんだ、エンジュは…。」
リザベクスは自分の術で傷を癒しながら言った。
かなりの深手だったがさすが精霊、ぎりぎりで持ちこたえたようだ。
「とりあえず、エンジュを元にもどさねぇとな。」
フェンリルは干し芋(ポテトチップス)を食べながら言う。
ダガーは突然フェンリルの干しイモの入った袋をぶんどると、自分の口
の中に全部流し込んでしまった。
「あーっ!ひっでー、自分の分あるじゃねーか!」
「ん?あたしが何かした?」
「そこ!静かにするが良い!」
マディーンの言葉にフェンリルとダガーは喧嘩を止めた。

「しかし、闇に落ちた太陽を戻す事が出来るのは月だけとランからは聞いた。」
マディーンが言う。
「太陽を戻す事が出来るのは月だけ?どういうこと?」
バッカスが身を乗り出して聞いてきた。
「つまり、太陽を表すはエーフィ。月を表すはブラッキー。つまり、ブ
ラッキーでないと、エーフィを元に戻せぬということじゃ。タイプ的に
もブラッキーは悪タイプだからじゃな。月と太陽は互いにバランスをと
っておる。その一方が崩れたら、崩れた方を治すのはもう一方じゃからな。」
「そうか…でも、月の精霊って滅んだんじゃ…。」
「まだ、月の谷に極少数、他との交流を絶って生きていると私は聞いた。
行くか?それに、全ての精霊が揃うと奇跡が起こると言われている。」
「今は小さな可能性にかけるしかないね…それに、一緒に闘ってく
れるかもしれない。皆、行くか!?」
「行く!」
こうして、彼等は月の精霊を探しに月の谷へ行くことになった。
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風のグラエナ #5★2004.04/17(土)10:17
第41話 月の谷 月の精霊を探して

「ここが月の谷への入り口…。」
そこは大きな崖の裂け目だった。
結界が張ってあって並のポケモンでは通る事が出来ない。
「結界があるということは月の力が残っているということ。何、解くの
に越した事は無い。私に任せておきなさい。」
ティナは何か呪文を呟いて結界を解く。
さすがエルフネイティオだ。

暫く歩いて行くと、ブラッキーの死霊が出た。
「ココ…トオサヌ…デテイク…ヨイ…。」
「怖いよーっ!」
ホラー系に弱いダガーは頭を抱えて走りまわる。
しかし、フェンリルは逆に明るく話しかけている。
「Hello,Iam Fenriru.Nice to meet you!」
フレイムがフェンリルの言葉を訳した。
「こんにちは、私はフェンリルです。あなたに会えて光栄です。」
フェンリル、死霊に向かってどういう口を利いているんだ。
しかもあなたに会えて光栄ですだし…。
「いちいち訳さなくていいからどうにかしてぇ!」
「ちっ、仕方ないなあ…相手は所詮ゴースト。シャドーボール!」
フェンリルはシャドーボールを撃つ。
シャドーボールを食らった死霊は最後に「ヲヲ…。」と一言意味不
明な言葉を残して消えてしまった。
「ダガー、もう大丈夫だぜぇ。」
「最後かと思った…。」

暫く進むと、急に明るい所に出た。
空から月の光が刺しており、その光を浴びる者は…。
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風のグラエナ #6☆2004.04/17(土)10:35
第42話 最後の月の精霊

「何者だ…。」
月の精霊は真っ直ぐにフェンリル達を見据えて低く言った。
「私に何の用だ…。」
「私達は神の目覚めを解こうとする存在を滅するために旅をする者。あ
なたの協力を得に来た。」
「無駄だ…この事が起こるのは既に三百年前に予知していた…
それを止める方法は全ての精霊が揃って闘う事。しかし、太陽の精霊は
もうおらぬ。」
月の精霊は言う。
「いや、俺達は会ったんだ。太陽の精霊の末裔に。エンジュって知ってるか?」
「エンジュ…?」
月の精霊はエンジュと言う名前に反応した。
何か知っているらしい。
「エンジュは…イシスの娘のあのエンジュか?」
「イシス?」
「三百年前、太陽の精霊谷で大火事があった。その時、イシスという♀
美しいエーフィがいた。イシスは大火事の時に娘エンジュを涙の海へ逃
し、自分は炎に撒かれて死んだ。そのエンジュが、生きているのか?」
「ああ。俺、一緒に旅したし。」
精霊は他のポケモンと違って何百年も生きる。
このエルフネイティオ達はまだ15年しか生きていない若手の精霊だ。
「そのエンジュが、黒き者にとりつかれたらしいのだ。私はサイコパワ
ーで胸を切りつけられた。」
「そうか…それで、太陽の精霊を戻す事が出来るのは月の精霊だけ
だから、私に来て欲しいとな。または、精霊の奇跡を信ずるからか?」
「両方だ。」
フェンリルは答えた。
暫く月の精霊は考え込んでたが…やがて答えを出した。
「ついて行こう。私の名はクワン。宜しくな。」
新たに、月の精霊が仲間に加わった。
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風のグラエナ #7☆2004.04/17(土)10:48
第43話 砂漠の精霊フライゴン イーラ

「ティナよ。」
歩きながら、クワンはティナに話しかけた。
「何ですか?クワン様。」
年上のエルフなので、ティナの言葉遣いは丁寧になっている。
「全ての精霊といえば、祈り、太陽、月、そして砂…だったな。フ
ライゴンはどうなっているのだ?私は何百年もあの谷に閉じこもってい
たから全然分からぬ。あと敬語はいらんぞ。」
「フライゴンは既に目覚めたグラードンに心を黒く操られている。しか
し、修行から帰る途中の若手のフライゴンだったら、術に掛かっていな
い筈。あの術は砂漠だけにかけられていたからな。」
「そうか…。」
「ま、気楽に行こうぜ!深く考えたってどうにもなんねぇんだからよ!」
陽気なフェンリルが言った。
精霊達は頷く。
「確かこの道は、フライゴンが砂漠に帰る途中に必ず通る道だ。もしか
したら、会えるかもしれぬな。」

暫く行くと、一匹の緑色の生き物が倒れていた。
大きな紅いは虚空を見上げている。
瞳は動かない。
気絶しているのだ。
「大丈夫!?」
フレイムが擦る。
「任せて。」
ダガーはふんっと荒く鼻息を出して気合を貯めると、突然フライゴンに
ビンタを食らわせ始めた!
びしばしびしばしびしばしびしばしびしばしびしばしびしばしびしばしびし!
「ぐふ!?」
フライゴンは飛び起きた。
両の頬が真っ赤に張れている。
「大丈夫か?」
ティナがしゃがんで聞いた。
フライゴンは身を起こしながら答える。
「は、はい…有り難うございました。」
「ところで、何でこんなところに倒れていたのだ。」
「突然黒い邪気の塊に襲われまして…気絶してました。」
「黒い邪気…。」
フェンリル達は今までの経緯を話した。
「そうですか…私も旅に同行させていただきましょう。私の名はイ
ーラです。お見知りおきを。」
こうして、新たにフライゴンが仲間に加わった。
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風のグラエナ #8★2004.05/15(土)21:29
第44話 ラストバトルの地

「イーラぁ、そういえば、神を操ってる奴って見た事ない?」
「ええ、ありますよ。だけど…黒いものでしかなかったんです。」
「黒いもの…。」
黒いもの、といえば炎珠を操ってリザベクスを傷つけたものだ。
一体何の事だろう。
「もしかして、炎珠も…。」
「全ての精霊が揃えば、奇跡が起こるって伝説があるけれど、それを炎
珠を操ったやつは阻止しようとしたのかもしれないな。」
「エレメントモンスターズでも精霊の力を代理することはできないよ。」
「うぅむ…。」
皆は考え込んだ。
が、フェンリルが突然何かを思いつく。
「もしかしたら…その黒いもんは人間の欲望の塊かもしんねぇ。」
「欲望の塊?」
「ああ、昔俺達の時も出てきたじゃん、ラストバトルで。」
「なるほど、考えられるな。それをどうするのだ。」
「こっちに確かアオギリが来てたから…多分、あとはサカキ、マツ
ブタが来ているはずだ。そいつらの欲望が1つになったんだろうな、方
法としては人間をこの世界から追放するか倒すしかないと思う。」
「また戦いか…めんどくせぇよ。」
ダガーはごんごんと自分の腰を叩く。
「仕方ないよ。こういうのが運命なんだからさ。」
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風のグラエナ #9★2004.05/22(土)14:56
第45話 黒い心

「うぐわぁ…。」
アオギリ、マツブサ、サカキの3人は己の心に苦しんでいた。
エレメントを手に入れて神を操って世界を我が物にしたい、その黒い欲
望が膨らみすぎて、新たな人格が彼らと分裂を始めていたのだ。
「さあ、神を操って殺せ。殺すのだ。」
「私は…殺しがしたいわけではないッ!只世界を…。」
「そんな甘い考えで世界が手に入るか。」
新たな分裂した人格は彼らを支配し、彼らの体を操り始めた。
時には自ら体を離れて、黒い邪気の塊として何者かを支配する事もあった。
炎珠もその餌食になったのだ。
炎珠の中でも、こいつ等と手を組めば世界が支配出来ると言う欲望が膨
れつつあった。
だが、炎珠は分裂した人格に支配されまいと、必死に干渉を跳ね除けていたのだ。
「駄目…私は、私は…私はこの世界を守らなければ…!」
「あいつ等と手を組めば世界は手に入るのよ?そんな善とかいう馬鹿げ
たものに付き合っていたら、”私”は滅ぶわよ。」
「…黙れぇっ…!」
彼らの欲望を膨らませるものとは一体…。
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風のグラエナ #10★2004.05/22(土)14:58
第46話 黒水晶

「心の邪気、ねぇ。でも、世界を手に入れた言ってだけでそんな事起こ
るんかな?あたしはそこラ辺が分からん。だって、確かリシア旅した時
は欲望やらが飛びまわってただけじゃん。支配まではいたって無かったよ?」
ダガーが言う。
イーラは頭を抱えた。
「私にも良く分かりません…一体何故…。」
「何か欲望を増幅させるものがあるのではないか?」
とクワンの意見。
「あ、もしかしたら…!」
ティナが顔を上げた。
「幻の…黒水晶かもしれぬ…!!暗黒山の奥にあるという…。」
黒水晶とは、昔とある王が創った欲望の塊の水晶。
それによって、世界は1度滅びかけたが、精霊達の苦心あって封印された。
それが再び世に解放たれると、中に封じ込められた欲望などの醜い心が
人間を操り、世界は破滅の道を歩む。
彼等は、その水晶を探す為に、精霊達に受け継がれてきた黒水晶のあると言う暗黒山へ。
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風のグラエナ #11★2004.05/23(日)12:23
第47話 暗黒山の奥には…

「ここが…。」
一行は暗黒山の目の前にきていた。
時は夜。
夜にしかこの山には足を踏み入れる事はできぬのだ。
「何か暗くて怖くない?」
「大丈夫だって、ダガー。」
「だってさっきから金色のドーナッツが後をつけてきてるんだもん…。」
ダガーが指差した方向には確かにぷかぷか浮く金色のドーナッツ(?)が。
「ダガー、あれはクワン様よ。」
「私がドーナッツだと?(怒」
「…そういえばブラッキーって暗くなったら体の模様が発光するんだっけ?」

「うぎゃあぁっ!ゾンビクロバット!!」
「キイィー!」
山の中を進む彼らの目の前を阻むように、ゾンビのクロバットが姿を表す。
「ワカの操る船に乗ったときほどは恐ろしくないが。」
とティナ。
ちなみにワカとは語尾に「〜でち。」をつける見習船乗りのピカチュウだ。
ティナはそいつが船を操ったせいで使命を果たす前に死ぬところだったのである。
「私もそう思う。」
そんな事を話してどんどんクロバットを成仏させつつ、彼等は進んだ。
そんな彼らの様子を見る影が1つ。
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風のグラエナ #12★2004.05/23(日)13:08
第48話 黒の炎珠 

「遂に来たか…我を封印し、さらにエレメントというものの守護を
掌る者達よ…。」
黒水晶は人の形となった。
「さて、たっぷりと楽しんでもらおうか。行くのだ、炎珠よ。」
「はっ。」

「あの建物がもしかしたら…。」
イーラはある方向を指差した。
そこには神殿らしき建物が。
「神殿かもね。急ぎましょっ!」
彼等は歩調を速めた。

「ついた!」
神殿の目の前に到着。
そこには骨がいっぱい転がっていた。
「さて、黒水晶様と対面するかな?」
フェンリルが先に入ろうとしたが…何かに阻まれた。
「いてぇっ!」
「フェンリル、ダイジョブ?」
「こんくらい平気だ。」
フェンリルを阻んだのは…炎珠だったのだ。
「炎珠!大丈夫?」
コカトリスが羽をばたばたさせて聞いた。
しかし…。
「なれなれしく私の名を呼ぶなっ!」
「炎珠…?」
あの何時もの炎珠ではなかった。
「私は黒水晶様に仕える者。おまえ達を殺せと仰せつかった!」
唐突に戦いが始まった。
「炎珠…。」
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風のグラエナ #13★2004.05/23(日)13:09
第49話 悲しみの最後

「ぐうっ!」
炎珠の攻撃に、クワンは弾き飛ばされた。
「クワンさんっ!」
クワンはよろよろと立ちあがる。
「正気を取り戻せ…。」

皆はもう、ボロボロだった。
炎珠を倒そうなど、思っていなかった。
只、攻撃を受けるばかりだった…。

≪炎珠…。≫
≪強い、精霊の子よ。私の子よ。闇に負けては駄目。≫
誰?
聞き覚えのある声…
私を呼んでる?

「炎珠…。」
何回か跳ね飛ばされた後、クワンは口を開いた。
「炎珠…正気に戻れ。炎涙(エンルイ)が悲しむぞ…。」
「炎涙…?」
炎珠の動きが止まった。
「オマエの母親が、泣くぞ…。」
炎涙とはどうやら死んだ炎珠の母親の名前らしい。
次の瞬間、炎珠の黒く染まっていた額の宝珠が砕け散った。
「炎珠っ!」
仲間達は倒れた炎珠に駆け寄る。
炎珠は涙を流していた。
額の宝珠が割れる時、それはエーフィの死を意味する…。
「有り難う…皆……ここまで、私を追いかけてきてくれて
…。」
「炎珠…。」
炎珠は最後の力を振り絞って、黒水晶の呪縛を破ったのだ。
しかし…それは、死ぬということでもあった。
「炎珠、今私が回復魔法を…。」
リザベクスが呪文を詠唱しようとしたが、炎珠は首を振った。
「ううん、もう無理…黒水晶は私が支配を破ったら、死ぬように私
の体にしかけた…リザの魔法は効かない…。」
「エン…。」
「私、もうおしまいだね…ごめんね…最後まで一緒に戦えなく
て…皆と戦えて本当に良かった…本当に有り難う…皆、さ
ようなら……私の分まで、お願い…。」
炎珠は息を引き取った。
皆は炎珠が何をいいたかったが良く分かった。
フェンリルは一筋涙を流した後、キッと神殿を睨みつける。
「炎珠の死を…俺達は無駄にするわけにはいかねぇっ!」
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風のグラエナ #14☆2004.05/23(日)13:27
第50話 ラストバトル

「精霊達よ。」
クワンは後ろを振り返って言った。
「これが我々、精霊の最後の後進になるかもしれん。それでも、おまえ
達は戦うか?」
「勿論ですとも。」
イーラが頷く。
ティナとリザベクスは羽を合わせた。
「行くぞっ!」

「エレメントはこの中…。」
「じゃ、黒水晶倒すついでにエレメントも未知の世界に封印するか。」
「おおっ!」

「黒水晶、さっさと姿をあらわせっ!」
ダガーが拳を構えて言った。
次の瞬間、黒い人の形の何かが姿を表す。
「フフ…遂に来たか、愚かなものどもよ…。」
「愚かっていう方が愚かなんだもん!」
「挑発に乗るな、ダガー。」
「私はスイショウ。世界を支配するに値する者だっ!」
「世界を支配する為にエレメントを…。」
戦いが始まった。

「ライトニングサンダー!」
「ダブル爆裂パンチ!」
「バーストフレイム!」
「ドリルクチバシ!」
「鋼の翼っ!」
「スピードスター!」
エレメントモンスターズの攻撃が、スイショウにぶつかる。

「風乱舞っ!」
闘神・ティナの攻撃が見事に決まる。
しかし…。
「はぁっ!」
スイショウの反撃が飛んできた。
物凄い黒い光だ。
「守神にはこれしきの力など通じないとお分かりであっての攻撃かな?」
リザベクスによって防がれた。
流石は守神の称号を持つ精霊だ。
「はぁっ!」
幾つもの金色の輝きが、クワンから放たれる。
それらは全てスイショウに当たった…。

戦いの果てには何が待つのか。
静かな大地か、それとも…。
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風のグラエナ #15☆2004.05/23(日)13:50
第51話 戦いの果てに見るものは

「くっ…。」
フェンリル達はもうボロボロだった。
リザもリザで、もうサポートするための魔力がゼロに近い。
クワンも前足、後ろ足に怪我を負って、動けぬ状態だった。
エレメントモンスターズ達も戦う余力は殆ど無い様だった。
「もう私は我慢ならん…。」
ティナが突然言い出した。
リザベクスは何を言うかとティナの顔を覗きこむ。
「もう何かがお前のせいで死ぬのを見るのは嫌だ…私は…ここ
で、精霊としての命を絶つこととしよう。先祖が成し遂げられなかった
オマエの命を絶つことを、私の命を絶つことで成し遂げようっ!」
そう言うと、ティナは何かの呪文の詠唱を始めた。
「破滅の歌…。」
それは、精霊の精霊大魔法だ。
命を捨てる代わり、確実にその者の願いを叶えるという魔法だ。

「我が命と引き換えに、この不浄なる者に聖なる裁きをッ…。」

ゴオォオォオッ!
物凄い光が起こった。
その中心には、ティナがいる。
「ティナ、やめろっ!」
しかし、リザの声はティナには届いていないようだった。
光はスイショウを包み込む。
「があぁっ!」
断末魔の叫びが響いた。

「ティナ…?」
光が収まった。
リザベクスは辺りを見まわす。
「ティナァッ!」

「あ、エレメント発見っ。」
エレメントを発見して、フェンリルはそれをコカトリスに渡した。
コカトリスはそれをラキルによって未知の世界へ送り込んだ。
「エレメントモンスターズ!番号を言えっ!1!」
「2!」
「3!」
「4!」
「5!」
「6!」
「よっしゃ、皆揃ってるなっ!」
喜ぶフェンリル達。

「そういえばティナは?」
フェンリルはリザベクスに聞いた。
「死んだよ…。」
「まさか、さっきの光は…。」
「そう、精霊が己の身を捨てて使う大魔法だ…。」

世界には再び平和が訪れた。
今回の戦いで、ティナは自ら命を絶ってスイショウを倒し、エンジュは
最後の最後に、自分の心を持って堂々と死んでいった…。
この平和が、永久のものでありますように。
2人の仲間を失った精霊、エレメントモンスターズ達は静かに祈ったという…。
          ≪精霊谷の奇跡 END≫
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風のグラエナ #16☆2004.05/23(日)14:00
第五十二話 その後の仲間達

リザベクスは精霊谷へ無事帰ってきた。
長が問う。
「ティナは…?」
「禁断の魔法を使って…死にました。でも、それがあったからこそ…。」
話すリザベクスの瞳から涙が流れる。
「もうよい…分かった…。」

クワンは、月の見える丘に立っていた。
そこで月光を浴びながら静かに祈る。
「偉大なる2人の精霊の魂に祝福を…。」

エレメントモンスターズ達は…。
「ほら、とっとと歩けっ!」
アオギリ、マツブサ、サカキを空の柱へ送っていた。
空の柱は世界と世界を繋ぐ場所だ。
「いい?世界を支配しようなんて考えても無駄よ。そんな事しようもの
なら、あんた達、またとりつかれるわよ。」
「へ、へぇ。」
「分かったなら、とっとと自分の世界に帰るっ!」
「わーっ!」
ダガー達は思いっきり3人の背中を蹴った。
三大組織ボス達は、青い光の中へ吸い込まれて行った。
「これで、解決ね。神々はちゃんと封印されたし。で、これからどーする?」
ダガーは皆の方を向いて言った。
フェンリルは笑って言う。
「今度こそ、俺達の旅をしようぜ。なあ、皆?」
「うんっ!」
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[304]

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ぴくの〜ほかんこ