ぴくの〜ほかんこ

物語

【ぴくし〜のーと】 【ほかんこいちらん】 【みんなの感想】

[470] 空物語 〜雲ノ巻〜

えるる #1☆2004.09/01(水)19:22
こんにちは。
私がこのミナモ図書館の案内人、セイラです。
お探しの本は何ですか?

…あら、特にないんですか。
なら、私がとっておきの本を紹介してさしあげましょう。
普段は全シリーズ貸し出し中のことが多いんですけど、今日は珍しく残っているんです。
書店でもほとんど取り扱っていないんですよ。

そうですね…初めてなら「風物語」がいいでしょうか。
え?もう読みましたか?
なら「空物語」というシリーズの中の「雲ノ巻」をお勧めします。

空の雲の一つ一つにこめられた、様々な思いをどうぞお楽しみください。

あなたに天使の加護がありますように…。
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えるる #2★2004.11/24(水)17:52
やっほ〜!こんにPIKA!
ぼくはプラスルのテンポで〜す!男の子だよっ!
よろしくね!
んでもっていま「アイリ」とかいう人のトコで暮らしてるの。
マイナンの女の子のリズムと散歩中にパチンコでバシッとふたりとも捕まっちゃって…。
あ、リズムとはそんな関係じゃないからね。

それで、そのアイリって人はすんごいポケモン使いが荒くて、僕たちも困ってるの。
スパルタ特訓はダテじゃないんだから…。
自分からアイリについてきた物好きさんもいるんだけどね。

ちなみにアイリのポケモンはぼくとリズムのほかに、やせてるロコンの女の子ショコラとお嬢様なエネコロロ♀のクレセント、そしてパシ…じゃなかった、アイリに忠実なサーナイトのジャスミンがいるの。
つまりいまのトコ男の子はぼくだけ。テレビのチャンネル権なんてもちろんナシ。悲しいよね。
あと、じつはこのメンバーだけで殿堂入りもしてるんだよね。
クレセントとかショコラとかさ…すごいんだよ…。
ま、ぼくはリズムとのダブルバトルが専門だけどさ。

んで、8月は夏休みだったわけでアイリもヒマだったんだよ。
ちょっとキナギでのんびりするはずだったんだけどこともあろうにそらのはしらとまぼろしじまを見っけちゃってさ…。
ソーナノからは逃げられないわネンドールに電撃は効かないわレックウザは捕まえちゃうわで大変だったんだよ…。
もちろんレックウザはオダマキ博士んとこに送られたけどさ。

とりあえずぼくらがいろいろがんばるから応援してね。
アイリもこれ以上変なの捕まえなきゃいいけど…。
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えるる #3★2004.11/24(水)17:53
えっと…わ、私はロコンの…ショコラです…。
こ、こんな性格だから…今まで旅につれてってくれる人がいなかったんだけど…無事…アイリさんに拾っていただけました…。
わ、私…嬉しいです…。

それで…今は夕方の6時です…。
カイナの造船所の近くにいます…。
何してるのって…アイリさんにつれられて掘り出し物市に…。
アイリさんくらいの人もちらほらいます…。
でも…ミナモとはちがって…カラカラの頭の骨とかも少し売ってます…。
なんで来てるのって…アイリさん、色違いラブカスのウロコと交換に…色違いサニーゴの角が欲しいんだとか…。
加工してチームの目印にするそうです…。
でも…私にこんなによくしてもらわなくても…いいのに…

今…アイリさんは…イメチェンモードで…普段下ろしていて茶色の髪を二つにまとめてスプレーで金髪にしてます…。
ついでに香水もつけて警察に見られても平気なようにしてあるんだそうです…。 
私しか連れてこなかったのはもし見つかった時「迷子になってた」と言い訳できるようにだそうです…。 
ロコン一匹なら普通の女の子に見えるからだとか…。

ザザザ…ガガガ…ウーウーウーウー!!

突然の赤い光、音、熱…。
「うわヤバ!ショコラ、目当てのものも見つかったし逃げるよ!」
アイリさんの声…。
そして誰か知らない人の声…。
「待て!不正売買の現行犯逮捕だ!行けブレイズ!」
警察…。そしてバシャーモ…。
「そこのピカチュウっぽい女の子!止まりなさい!ガーディ!」
女の人もいる…。そして…ガーディ…。
「ピカチュウっぽいって何!?ていうか止まるワケないっつーの!」
飛んでくる火の玉を避けながら自転車に飛び乗る…。アイリさんの肩をそれがかすめる…。
だめ・・だめ…全部…燃えちゃう…だめ…消えちゃう…だめ…だめ!!

周りを青い炎が取り巻く…何も見えない────

「ショコラさん!ショコラさん!」
サーナイトのジャスミンさんの声…。
秘密基地の中…?もう昼…?

「あ、ショコラ起きた?まったくあんだけ炎使えるなんて思わなかった…。しかも反動で倒れるしさ。もうちょっとで造船所が燃えちゃうとこだったんだから。」
「炎…?」
「ありゃ?覚えてないの?やっぱり反動が大きすぎるのかな…。ま、ムリしなくていいからね。いざとなったらリズムとテンポに犠牲になってもらうし。」
通常モードのアイリさんが例の角を削りながら言う。
「ちょっとまってよ!犠牲ってナニ!?」
そして天井裏からリズムさんが出てくる。
「あ、冗談冗談。まぁどっちかいなくてもこまらないけどさ。」
「え゛…。」
「あの、私、水飲んで来ますね…。」
「あら、それなら私が持ってきて差し上げますわ。たまには私も働かないといけませんから。」
「ありがとうございます…クレセントさん。」
みんな心配してくれてる…。

「さて、完成。あたしのがこの勾玉ペンダント、リズテンはこの星形イヤリング、ジャスミンがチョーカー、クレセントがアンクレット、ショコラがこっちのイヤリングね。」
「…ありがとうございます。えっと、私、ほんとにもらっちゃっていいんですか…?」
「ぼく男の子なのにイヤリング〜?」
「お、あたしにはやっぱり青が似合うね。ていうか略さないでよ。」
「私には輝いているものならなんでも似合うのですわ!」
「私も一時色違いの青に憧れました…。」
「お、意外といいじゃん。」


「じゃ、ショコラも起きたし、そろそろ出発しようか!」
身に付けたのは青の輝き。海の結晶。

───向かう先は海の向こう。
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えるる #4★2004.11/24(水)17:53
「さて、ムロに到着。」
「ってハギ老人にムリヤリたのんで来たんじゃん…。」

あたし、マイナンのリズム。
なんだかんだで今ムロにいるんだけど…。
アイリとあたし以外みんな船酔いでダウンしてるみたい…。

「そもそもなんでここに来たんですか?移動なら私のテレポートで一瞬ですのに…けふっ。(←軽い船酔い)」
ジャスミンの調子悪そうな声。
「ぼくちょっと気持ち悪い…。(←軽い船酔い)」
テンポ…海の男にはほど遠いわね…。
「わ、私には漁船は似合いませんわ…ショコラさんもそう思いますわよね…(←船酔い)」
お嬢様暮らしで豪華客船ばっか乗ってるから酔うんだろ。
「私…ちょっと…。(←かなりの船酔い)」
…ショコラ、ほんとにヤバそう…。
「…無事なのってあたしとリズムだけ?」
「まぁ、リズムさんは単純ですから…。」
蒼い顔のクレセントが言う。
…単純?
「あ!?なんだって?ク・レ・セ・ン・ト!」
「あ〜ら、本当のことじゃありませんこと?」
「やめようよ…二人とも…げふっ。」
「なんでこうみんなあれだけで酔うんだろーね、リズム。とりあえずセンターに…。」
「わ、私がテレポートで…1、2、3、テレポート!」

「みんないますよね〜…。」
ジャスミンがみんなを確認する。
「うぷ…。」
「ショコラ、平気…じゃなさそうだね。戻って!」
「ショコラさんだけでなくてこっちも…げふ。」
「あ〜…クレセントも戻って。というかここで吐かれても困るからリズム以外みんなもどって。」
「は〜い…。」

「ちょっとそこのラッキー、この子たち頼むね。」
アイリが呼び止めたラッキーは軽く頷くとみんなの入ったボールをジョーイさんのところへ運んでいった。
「んで、なんでムロに来たの?」
アイリに訊いた。
「なんでって…石の洞窟を崩しに。」
「んなワケないだろっ!!(ツッコミ裏手パンチ)」
「はいはい。ウソだっつーの。ほんとはこれに来たの。」
アイリが雑誌の切り抜きを見せる。
「…これってポケモンコンテストの出張版だよね?」
「そう。」
「なんでわざわざ出るの?」
「賞品見な。」
「え…。」
賞品…優秀賞でフエンとシロガネ温泉のタダ券!?入り放題!?
たしかシロガネって美肌湯だったよね…?
フエンは温泉地として有名だよね…?
「温泉のタダ券のこと?」
「違う。その下の限定デザインのポロックケースと一流アーティストのボールデザインと洋服のセット。しかもトレーナー用もあるってさ。」
…優勝しないともらえないんじゃん。
「ムチャだね…。」
「いや、これは美しさ部門専用だからいいのがいるじゃん。審査にはバトルもあるし。」
「…ショコラを進化させるの?」
「んなワケないじゃん。いつかはするけどさ。今回はクレセントに出てもらう。」
…え?
「クレセント!?バトル平気なの!?」
「へーき。あんたとしょっちゅう戦ってんじゃん。」
「あ゛…。」
「んじゃ、そういうことで。みんなの回復も終わったみたいだし。」

クレセント…あいつのレベルが上がったらあたしとテンポの立場が…。
どーしよ…。

とりあえず今は様子見、だけど…。
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えるる #5★2004.11/24(水)17:53
「やったのですわ!今日の主役は私なのですわ!やっと、やっとコンテストに出場できるのですわー!!」
「あの…ちょっと落ち着きましょうよ…。」
こんにちはなのですわ!
私があの超有名エネコロロのクレセントなのですわ!(知らんよ)
今日のコンテストはこの海辺のリゾート、ムロ島で開催されるのですわ!
審査にはバトルもあるらしいのですが、私はいつもあのゴーマンチキチキ生意気問題児なマイナン(注:リズムのことです)を相手にしているからよゆーなのですわ!
「やっぱり優勝は私がいただきですわ!」


───コンテスト会場───

「こ、これはな、なんですの…。」
会場にはざわざわと人だかりが出来ていましたわ。
でもそれはコンテストの期待によるものというよりも心配と恐れが原因のような…。
「ちょっとすみません。」
アイリさんが人ごみの中心に向かう。

「あ…。」
会場は何か爪のあるポケモンで切り裂かれたかのように荒れていた。
ところどころ焼け焦げた所もある。
「一体誰が…。」
「なんでこういつも私には邪魔が入るんですのーっ!!」
「クレセントさん、落ち着きましょうよ…。」
「だってだって…せっかくやっと出場できると思いましたのに…。」
「次があるから平気でしょ。ポロックケースはあきらめるとして…」

ガサガサ…。

「ちょっと、アイリさん静かにしてください!」

ガサガサ…ケケケ…。

「何?」
「そこの木の中に誰かが…。」

「…ジャスミン、念で中を確認して。」
「はい…。」

絶対何かいますわ…。悪意を持った者が…。
おそらくこの会場荒らしの犯人が…。

「赤い装束の男…ポケギアで誰かと連絡しています…カガリという人と…ホカゲという人…。」

「マグマ団、ですわね?」

「ボールの中に…ビリリダマと…ゴローンと…コータス…。」

「ビリリダマにゴローン?前にやっつけたときはそんなの持ってなかったけど…というかもう向かってこないように半殺しにしてあげたのに…こりないね。」

「ここを3人で爆破しようと話してます…!人を集めるために会場を壊したそうです…。」

「となると近くに仲間がいますわ!」

「あと2人は地下と雲の中にいます…。自爆ポケモンのほかにも時限爆弾も設置してあるそうです…。」

「マジ!?上と下と横の挟み撃ちって…どうしろっつーねん!」

「この状態で全員避難させるなんてできませんよね…。」

「させようとすれば今すぐ爆破だね。遠隔操作で。…ったく。陸ふやそうったってグラードンはあたしが捕まえちゃったし、もうすでにあいつらただのテロリストじゃん。」

「なら、爆破させなければいいんじゃない?」
そのとき、目の前に一人の少女が現れた…この方は!!
「マイヤさん…?」
「え?なんで私の名前を…ってもしかしてあなた…クレセント!?」
「そうですわ!クレセントですわ!」
「久しぶり〜!!勝手に家を出たから心配したんだよ!!フィーが教えてくれなかったら今頃ホウエン中に捜索ヘリが出てるよ!」
「ひさしぶり〜。クレセント〜。」
「お久しぶりですわ!フィー!」

「つまり…このマイヤって人はクレセントの元ご主人様ってワケ?」
「そうですわ!」

「そんなことより早く止めないと爆発が…。あと5分だそうです…。」

「なら爆発させないように爆弾を壊して、ボールを開けなくすればいいんだわ。ジスト、フィー。」

「その場所を正確に狙う技、フィーとクレセントは使えるわ。ジストは…そこのプラスルと組んで。サーナイトさんは時限爆弾の処理と、このことをテレパシーでみんなに伝えて。」

「は、はいっ!」
「え、ぼ、ぼく!?」
「あたしはどうなるの〜!?」
うろたえるテンポとリズムを無視してマイヤが言う。

「あと4分…さあ…行くわよ!」
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えるる #6★2004.11/24(水)17:54
「プラスルちゃんとジストの指揮はあなたにまかせたから!例の木の中をよろしく!あと、この子も使って!飛行手段です!フェンって言います!クレセント、預かります!」
マイヤが投げたボールには♂のポッポが入っていた。
「オッケー!確かに小さいから小回りが利くしちょうどいいか…。んじゃ、行くよ!ほかのみんなはジャスミンの手伝い!あとこれ、通信機だからみんなもってて!マイヤ、あんたも!」
「は〜いっ!」
「ほんとにぼくが行くのでよかったのかな…?」

人ごみを掻き分け木まで進む。
「…この木か。どりゃぁ!」
アイリが思いっきり木を蹴る。
木の揺れに気づいたホムラが顔を出す。
「なんだぁお前!」
「ジスト、すなかけ!」
「うわ、目が!」
「テンポ、全部のボールに『でんげきは』!」
ボールの開閉スイッチを壊した。
「な、何すんだよてめ…ってあぁ!お前は!」
「ちょっと…前に半殺しにしたとき自分から覚えていろって言っときながら忘れてたの?せっかく覚えといてあげたのに。」
「…(そーいえば…)」
「んで、爆弾の場所はどこなの?」…ー─

─ー…
「フィー、ねんりき!」
「こんなろちょこまかと!キュウコン、かえんほうしゃ!」
「『ねこのて』!サイコキネシス!」
「くっ!一旦退却だ!」
「フィー、クレセント、スイッチを!」
「うん!『マジカルリーフ』!」
敵を追いかける数枚の葉がスイッチを壊した。
「オッケー!」

プル…プル…ル…

アイリから預かった通信機が鳴る。
「もしもし?」
<みんな聞こえてるね?爆弾の場所だけど、広場の中心の噴水の影にあるんだよ。ほかにもあったけど全部ジャスミンがどうにかした。この2つはほかのよりてごわいから解体が間に合わないっぽい。だからこいつは、今すぐ海に捨てる。>
「どうやって!?」
<うちのロコンが今接着部分を溶かしてるらしいから、はずれしだいジャスミンにたのんで投げ込んでもらう。ヤジウマも少し減ってきたし。>
「あと2分…。」
<あたしたちはこれから上空の一人をぶっとばしに行って来るからそっちはなんとかして。>
「もうなんとかなってるから海上の人たちを避難させるわ!」
<オッケー。んじゃ!>

「さて、テンポ、フェン、ジスト、頼んだよ!」
「イェッサー!」
フェンがジストを乗せて飛ぶ。
「テンポ、いい?」
「…う、うん…。」
「あたしがシーソーのこっち側を蹴るから、その反動とあんたのジャンプ力で上まで行って、そこで『てだすけ』。一発かぎりだからミスんないでよ!」
「わかってるよぅ!」
「んじゃ…おりゃぁ!」
テンポがシーソーの反動を使って吹っ飛ぶ。
「なんだ!?お前ら?」
「ジストくん、まかせたよ!『てだすけ』!」
「オッケーっ!『かみくだく』!」
「痛ってぇ!」
テンポとジストが落ちていく。
「ひゃぁぁ…フェンくん!」
「分かってます!こういうのは苦手だけど…『みだれづき』!」
くちばしを使ってボールを壊す。これで相手の乗っているオオスバメ以外のポケモンは封じた。
そしてすぐにフェンが落ちていくテンポとジストを拾う。
「…あんなに落ちたの初めて…怖かった〜…。」
「そう?ぼくは楽しかったけどっ。」
「…怖いもの知らずだね。」
テンポがあきれたように言う。
「ったくうざってぇやつらだ…オオスバメ!『つばめがえし』!」
「うわぁ!」
テンポがオオスバメにしがみつく。
「『スパーク』っ!」

そのとき、大きな音がして海に大きな水しぶきが上がった。

「あれは…俺たちの爆弾じゃねぇか!」

プルル…

<テンポとその他いろいろ、聞こえる?とりあえず爆弾の撤去に成功。そっちでも見えたでしょ?マグマの人にも。>
「うん。あんなのが広場で爆発したらすごいことになってたね。」
「ったく何なんだよ!今日はやめだ!帰る!」
ホカゲが吐き捨てるように言った。
「オオスバメ、こうそくいどうの最高速度でアジトまでたのむ。」
<ちょっとまった、マグマの人。ホカゲだっけ?一応言っとくけど他の仲間はもれなく警察行きとなっております。ってことであなたにも。テンポ、この通信機をマグマ団に投げつけな。>
「こう…?(ポイっと)」
テンポが通信機を投げると中からラルトスが飛び出した。
「え?ラルトス?」
<はい。通信の内容は私がテレパシーで感じたアイリさんの言葉を喋っていました。それではみなさん、1、2、3、テレポート!>
「うわぁ!」

「はい、到着です。マグマの人は警察署の前に送っておきました。」
「え?え?」
テンポ、ジスト、フェンはまだ何が起こったのかわからないようだった。
「サンキュ、ナディ。で、テンポとその他いろいろ、ご苦労さん。」
「え?う、うん。」
「こっちも完璧に終了ですわ!」
「うん、クレセントもだいぶ強くなってるね。」
マイヤが言う。
「今の爆発でみんな海に目が行ってるから、注目されないうちに逃げるよ。」
「どこに?」
「トウカ。ハギ老人にたのんで船出してもらうことになった。そのあとボックスからいろいろ引き出してジョウトに行く。」
「また船酔いが…。」
「あ、そうそう。この騒ぎで散らばったポロックケース、しっかり一個もらっといた。」
「ちゃっかりしてるね。」

「んじゃ、マイヤ、また今度!」
「うん!」
「フィーも元気でいてくださいですわ!」
「クレセントも!」

…言うまでもなくこのことは後日「たくさんの命を救った謎の少女とポケモン達」として全国ネットでテレビ放送されたんだそうです。
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えるる #7★2004.11/24(水)17:54
「ねぇ、アイリ。」
「何?」
リズムさんが飛行用のフライゴン、スィエル(もちろん♀)でコガネに向かいながら言う。
「ちょっと思ったんだけどさ、なんでジョウトに行くの?家があるから?」
「それもあるけど…目的はお祭り。」
「オマツリ?(全員ハモり)」
「そ。リニアもあるし全国から人が来るワケ。今日から3日間ね。ところでみんなお小遣いはいくら持ってる?」
アイリさんが訊く。どうやらこれでお祭り用お小遣いの金額が決まるようです。
「ぼく500円しかもってない〜(涙)」
「あたしも700円だけ〜(泣)」
「私…えっと…2500円です…(おろおろ)」
「私は1580円ですわ!美しさを保つためにはお金も必要なのですわ!(あっそ)」
「私は…1、2、3、…4200円ですね。(多)」
「え?え?何?あたしも言うの?ずっとボックスにいたから減っても増えてもないんだよねぇ。1853円。(半端)」
…私がトップですか。確かに自分用の買い物はまったくしていない気が…(マジかよ)
「テンポにリズム…あんたらバトル一番出てるし収入も多いはずなんだけど…何買ってんの?」
アイリさんがあきれて訊く。
「おかしとゲームコーナー…(リズテンハモり)」
「…んなことやってんと収入減るよ?ジャスミンとか見てみなよ…。」
「え?え?私ですか…?」
「確かに閉店間際の売り尽くしセールに駆け込んだり市場で値切ったりバトルしたりみんなの世話したりで一番頑張ってますわね…。私のシュミじゃありませんけど(酷)」
「まぁ、ね。そのおかげで大分食費は浮いてるし。ちなみにあたしの所持金は4万円。」
「(…結局みんながもらってるのって収入の何%なんだろ?/全員の思考)」
「ってことでみんなには今回3000円ずつプレゼント。無駄遣い厳禁。ヨーヨーつりとかはほどほどに。」
「あ、もうすぐつくよ。まずはアイリの家だよね。」
「そ。」
確かアイリさんの家は本屋さんでしたっけ。
家の使わなくなった蔵を作り変えて作ったのでちょっと変わった店ですけど、お客さんはそこそこ来ているようです。
庭も広くていい家ですよ。
「さ、ついたから降りるよ!つかまって!」
「きゃっ…!風圧がっ…!(ショコクレハモり)」

[アイリ自宅]

「いらっしゃい!…ってアイリじゃない!お帰り!」
「ただいま…っと。」
「こんにちは…」
「あら!?サーナイト?もしかしてこのあいだラルトスだった…」
「そ、ジャスミン。」
アイリさんが答える。
「ほかにもエネコロロにロコンに…いつのまに増えたのよっ。たまにはお母さんにも報告しなさい!テレビに出てるのみてどれだけ驚いたか…」
「いつの間って…お母さんが知らない間に。テレビは気にしない。」
そっけなくそういいながらみんなでぞろぞろとアイリさんの部屋に向かう。
アイリさんの部屋は平屋の縁側を通って一番奥。和室です。
「さ、んじゃみんなに例の3000円ずつプレゼント。」
「わーいっ!ありがとーっ!!」
テンポさんがはじゃぐ。3000円といったらメロンといちご2パックでしょうか…?(思考が変)
「で、さっそくだけど行動のチーム分けね。」
「チーム分け、ですか…?えっと…私も…?」
「当たり前でしょ。組み合わせは…ま、クレセントとリズムはありえないね。」
「あたりまえですわ!」
「じゃあ…」

10分後…

「はい、決定!リズテンチームとスィクレチームとショコジャスあたしチーム!尚リズテンにはお目付け役のナディ付!」
「だから略さないで!というよりなんで見張り付なのっ!(再びリズテンハモり)」
「スィクレって…何がなんだかわからないよっ!」
「私初対面の人苦手ですのに…リズムさんに比べればましですが。」
「ジャスミンさんとなら…平気です…(どうやらだいぶ馴染んだらしい)」
「私もこの組み合わせで満足ですよ。」
全員不満はないようです。
「んじゃ、あくまで3日間で3000円だから1日で使い切らないように。お祭りに便乗したコンテストとかも多いからそこで賞金稼ぐのもOK。誘拐されたらできるだけ自分で帰ってこい。」
「帰ってこいってそりゃまた…」
「いや、こないだのでテレビ放送されちゃったから…要注意。」
「(オニだこの人…/リズテンクレスィエルの思考)」
「あと、道具の類はニセモノとかもよく出回るから注意ね。」
「は〜い!」

「各自好きに行動OK!飽きたら家に戻る!んじゃ、行動開始!」
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えるる #8★2004.11/24(水)17:54
「さて、ジャスミンもショコラもいるね?」
「ちゃんといますよ。」
「とりあえずはしっこから見ていくか…」
やっほい。あたしがアイリ。現在地エンジュシティ。お祭りに来てるとこ。
そもそもなんでトレーナーのあたしが一番最後の主役なんだろ。
テンポにリズムにショコラにクレセントにジャスミンに…まとめてるのはあたしだっつーの。
まぁ今はとりあえず…
「おやつ時だしなんか食べよ。チョコバナナがいいかな…。」
「ちょこばなな…一度食べてみたかったんです…」
「あたしも食べる〜!」
突然後ろから元気な声が聞こえた。
「…誰?」
振り返るとそこには茶色の髪の女の子がいた。
年はたぶんあたしと同じくらい。
「え?え?あれ?もしかして人違い!?ご、ごめんなさい!」
「いや、いいんだけどさ。」
「え?ほんと!?ところであなたのポケモン、とってもきれいね!そうだ、私のポケモンも見せてあげる!ライカ!」
一気に言って投げたボールから出てきたのはらいちう。♂。
というかその前に名前…。
「やっほ〜っ!ぼく、ライカだよっ!ところでナツキ、まだ名前言ってないでしょ?」
…ナツキって言うのね、わかったから。
「あ、そっか!あたしはナツキ、キンセツに住んでるの。あなたは?」
「アイリ。生まれも育ちもココ。そしてまたなんとも遠くから…」
何?フツーにホウエンとジョウト行ったりきたりしてるヤツがゆーなって?主人公だからいーんだよ(をぃ)
「それで、あなたのポケモンとってもきれいね!それに賢そう!サーナイトにロコン…名前は?」
「ジャスミンです。」
「ショコラ…です…。」
「なんかおとなしいね。」
あたしの後ろに隠れているショコラと隣で丁寧に立っているジャスミン…いや、他のメンバーはちっともおとなしくないし。
「この子たちだけね…で、チョコバナナ…っと。」
「あ、せっかくだしあたしがおごるよ!」
「…いーの?」
「うんっ!」
こっちも金銭状態アレだし(ウソだろ)おごってもらうか…。
「じゃ、よろしく。」


「買ってきたよ〜!!」
「早っ!そして多っ!」
ナツキがチョコバナナを5本持って走ってきた。
というか店行ってからほんと少ししか経ってないんですけど…。

「はい、ジャスミンちゃんととショコラちゃんにも。」
「ありがとうございます…。」
ショコラとジャスミンがそろって言う。その口調でハモるって結構怖い。
「はい、こっちはあたしとライカの分。」
「ありがとっ!」
「これからの予定は?」
「特になひ。明日もべひゅに。ポヒェモンヒェンターに泊まるよひぇい(ポケモンセンターに泊まる予定)。」
「食べ終わってから話そうよ…。」
チョコバナナを食べながら話すナツキとそれに呆れるライカ。
「じゃこっちも暇だし一緒に行動する?」
「うん!」
「あと、体のどこかに青い目印つけてるプラマイとエネコロロ&フライゴンみつけたらうちのポケモンだから、みっけたらよろしく。」
「え!?他にもポケモンいるの!?見たい見たい!!しかもこのへんにいないホウエンのなんて!」
口の周りの汚れを拭きながら目を輝かせて言う。
いや、プラマイには会わない方が…ね。
「とりあえず探すのは明日。とりあえず今はいろいろ見たり買ったり。」
「うん!そうだね!」
「じゃ、とりあえず自然公園の方に。」
そして二人と3匹は人ごみの中を歩き出す。


その日の夜、アイリの部屋。

「で、リズテンが持ってるそのヤクルトは何なの?」
「え゛…(ギクッ)」
他の部屋へ逃げようとしていたリズム&テンポを呼び止める。
クレセントとスィエルはまだ帰ってきていない。
「こ、これは…」
「一応賞品…ね。」
「何の?」
「いや、とあるコンテストの…。」
「バトルの大会に出ようと思ったら会場間違えて…かわいいからって特別賞。」
「だから何に出たの?」
「聞かないで!(リズテンハモり)」
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えるる #9★2004.12/04(土)17:35
「ねえテンポ…」
「何?」
「視線、気にならない?」
「気にならないわけないよ…」
並んで歩くリズムとテンポに張り付くようについてくるラルトス、ナディ。
「一応二人の見張りを任せられてるんですから。」
「とか言いながら昨日は都合よく離れてたよね。」
「お二人の邪魔をするわけにはいきませんから。」
「いや、むしろあの時は邪魔してもよ…」
「あ、そうですか?(怪しくニヤっと笑う)」
テンポが言いかけると同時にナディの念力が発動して近くの屋台がテンポとリズムに倒れ込んできた。

ガッシャーン!!

「ひゃぁっ!」
「うわぁっ!」
「のわっ!」
「危ない!行け、バシャーモ!」
聞こえたのは何故かリズムとテンポ+屋台のおっちゃん+一人の声。声の高さからするとアイリより少し年上の青年だろうか。
その青年が投げたボールから出てきたバシャーモが倒れ掛かる屋台から一瞬でリズテン(略)を助け出した。

「あ、リズテンさん(略)といっしょに誰か巻き込んじゃった…?」

「そこのプラスルとマイナン、大丈夫か?」
バシャーモのトレーナーが話かけてきた。
「あたしはなんとか…さんきゅ、、バシャーモの兄ちゃん。」
「ぼくはミミをちょっとかすっただけ。ありがとう、トレーナーさん。(←耳からだらだら出血中)」
「いや、それちょっとじゃないから。」
へらへら笑いながら言うテンポにリズムが半分ツッコミを入れて言う。
「へーきへーき。ちょっとくらくらするけど。(←ふらふらパッチール状態)」
「それってへーきじゃねェよ!(ツッコミ裏手パンチ)」
「ごふっ!(パンチが顔面にヒット、鼻血が出る)出た、プロも羨む黄金の左!…バタッ(倒れる)」
「あーっあーっ!!いつもの調子で本気でつっこんじゃったー!!テンポ、寝ちゃだめだ!寝たら死ぬ!(何か違う)」
倒れたテンポを見てリズムが騒いでいると、テンポが突然起き上がった。
「なんてね。これケチャップ。アイリの家からお弁当用のを持ってきて置いたの。鼻血は本物だけど。」
「…トレーナーさんとバシャーモの兄ちゃん、こいつ好きにしていいから。」


そのころアイリ達は…

「なっちゃん、次はどこいく?」
「結局なっちゃんで定着なんだ。ま、いいけどさ。というかアイリのプラマイ見てみたいー!」
「リズテン?会わなくてもいいと思うけど…まぁ、ちょっとまってね。いる場所なら大体ジャスミンに頼めば…」

ガッシャーン!(例の屋台が倒れる音)

「あ、やっぱいいや。あの屋台のとこにいると思う。」
「…どういうプラマイなの。」
「いや、心配なのは見張りのラルトスの本性なんだけどね…」
「!」
ある程度現場に近づいた時にショコラが耳を立てた。
「どしたの?」
「…。」
「ジャスミン、あの屋台のあたりを念視して。」
じっと一点を見つめるショコラの様子を見て、ジャスミンに念視を頼む。
「はい。…バシャーモと男のトレーナー…年はアイリさんより3つか4つ上でしょうか。それとリズムさんとテンポさんとナディ。」
「バシャ…警察!?」
驚いて立ち止まるアイリ。
「いや、違うと思いますよ。」
「警察に驚くって…アイリ一体何してるの?」
「いや、その…そ、そう、友達に警察志望の子がいてさ…」
「え?は、はぁ…。」
「まあ,リズテンナディに合流するか…。」


「…リズテンナディ、平気だと思うけど大丈夫?それとこのトレーナーさんは?」
ベンチに座ってサイコソーダを飲んでいるテンポたちに向かってアイリが声をかける。
「何何?この子たちがアイリのプラマイ?カーワーイーイー!!」
「ぼくライカ。よろしくね。」
ナツキとライカが横から顔を出す。
「え?あたし?リズムだけど…よろしく」
「ぼく?テンポだよ。よろしくね。このトレーナーさんは…」
「グランだよ。こっちはバシャーモ」
テンポが言うのを少し遮ってトレーナーが言った。
「なんかまた強そうな…あたしはアイリ。生まれも育ちもこのへん。よろしく。こっちはナツキとライカね。」
「ナツキでーすっ!呼び捨てでいいよ!」
元気よく手を上げてナツキが言う。
「こちらこそよろしく」
「で、このたびはうちのバカどもを助けていただいてさらにサイコソーダまでおごっていただいてどーもありがとうございました、と。」
「あ、たいしたことないからいいよ。即席コントをやるプラスルとマイナンなんてはじめて見たし」
「まぁ、そんなプラマイだし。リズテンは。」
半分呆れて半分笑いながらアイリが言う。
「それにまぁ、バトルもコンテストもあんまり弱くないし。腐っても四天王行ってるし。芸人路線のほうが向いてると思うけど(酷)」
「へぇ…アイリのプラマイってバトルもできるんだ〜。かわいいのに〜。」
「バトル…悪くないか。」
「あ、今日はバトルはやんないから。せっかくお祭り来てるんだし。」
少し反応した二人に向かって言う。
「んで、二人ともホウエンとかかからなんでここに来てるの?観光?偶然?」
「私は観光。」
「ボクは…修行のために旅をしてたら偶然ここについた。」
「本当に偶然なんてあったんだ…。とりあえず遊んでった方がいいよ。息抜きに。」
「そうだよ。まぁ、ぼくたちはあそんでばっかだけど。」
テンポが笑いながら言う。
「なんならうちに遊びに来てもいいし。七星書店って言う本屋なんだけどね。…いや、店名もうちょっとひねって欲しかったんだけど。」
「え?いいの?んじゃ、ポケナビ出して、二人とも!」
「何?登録?まぁ、はい。」
「次はバトルもしたいな。な、バシャーモ。」

アイリはポケナビにナツキとグランをとうろくした!

「おばあちゃんの家はアルトマーレにあるんだよね、うちは。そろそろ遊びに行こうかな。」
「え?え?アルトマーレ?私も行きたい!」
「じゃ、一緒に行く?よかったらえっと…グランさんも。」
「ついてくってさ。」
やや無理矢理にリズムが言う。
「いや、勝手に決められちゃ;まぁ、急いでるわけでもないし…。」
「今の時期は寒いからそこまで混んではいないと思うけど…問題は船のチケット代かな。それなりに高いよ?」
「…いくらだっけ?」
「ポケモン1匹600円。ボールに入ってても。人は1700円。ぼったくりもいいとこだっつーの。まぁ、アルトマーレ行きの船が一種類しかないからしょうがないか。」
「うわぁ…でも夏場に比べればマシなのかな…。」
少し小さめに行ったナツキにアイリが即答。
「たぶん混んでないから…」
「波乗りとかは無理なのか?」
黙って聞いていたグランが口を出す。
「複雑な海流にその影響で乱気流。何年か前怪盗姉妹が暴れてさ、そのせいなんだよね。」
「なるほど…」
「まぁ、そろそろその心配もなくなるかな…」

再びその日の夜、アイリの部屋。

「…で、クレセントとスィエルはまだなの?」
「うん、今日もまだ。」
タオルで頭を拭いているアイリがテンポに聞く。
その時部屋のふすまが勢い良く開いた。
そこにいたのはくたくたになったスィエルとやや興奮気味なクレセントだった。
「帰ってきましたわ!これで3つの特設コンテスト会場をクリアですわ!!私の美しさに敵う者はいないのですわ!!」
「だれか…たすけて(倒れる)」
倒れたスィエルを抱きかかえながらジャスミンが言う。
「…賞品とか、もらってきましたか?(意外と金&物にこだわるらしい)」
「もちろんですわ!アルトマーレ行きのチケットをポケモン用6枚、トレーナ用3枚と、炎の石ですわ!」
首から下げていたバッグを開けてみんなに中身を見せる。…スィエルはとても見れる状態じゃなかったが。
「すごいねクレセント。…そしてグッドタイミング。」
アイリが驚きながら言う。
「いや、近いうちに昨日今日で知り合った二人といっしょにおばあちゃんち…というかアルトマーレに行くことになってさ。」
「本当ですの!?ぜひともお供させていただきますわ!」
「ちょ…ジャスミン、ごめん…疲れてて…」
「スィエル、戻ってる?」
「うん…」
アイリがスィエルにボールを投げた。一瞬赤い光が見えて、すぐに消えた。
「メンバー交代、かな…。ショコラ、クレセントと行動して。一人じゃ何するかわからないし。スィエルはあたしんとこに。」
「え?え?私ですか…えっと…その…」
「ショコラさんですの…。まぁ、いいですわ。」
二人とも気が乗らないようだ。
「ま、多少は仲良くなれるでしょ。…ショコラ、いざとなったらいつでも進化していいからね。」
「え?え?いいんですか…?ちょっと、キュウコンもいいなぁ、って…思ってたんです…」
「そんなに急がなくてもいいけどね。」
少し嬉しそうに言うショコラにアイリが付け加える。
「ちょーっとまったぁ!!」
「ショコラに進化されたらこの中でぼくたちの立場がますます危うく…」
「少なくとも宴会ネタは取られないよ。」
「…。」
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えるる #10★2004.12/10(金)16:58
「…」
「…」
「…」
「…会話がありませんわね…」
「…そう、ですね…」
自然公園。
祭囃子の響く公園の噴水にあるベンチに、クレセントとショコラが座っていた。
「…」
「…」
ショコラはネイティのようにずっと正面のツタが巻きついた塀の一点を見つめている。向こう側はバトルのコートだ。
クレセントはややそわそわしている様子だった。
「…(なんなんですのこの沈黙は!空気が重いですわ!ショコラさんのオーラがこんなに強かったなんて予想外ですわ!)」
「…」
「…あの、ショコラさん?」
「…はい?」
ずっと同じところを見つめたままショコラが返す。
「あ、あの、なんでさっきからそこを見ているんですの…?」
「この塀…厚いけど脆いですよ…すぐ…壊れる…」
「へ?」
意味深に言うショコラとその言葉の意味を理解していないクレセント。
「そろそろ…来ますね…早く表通りに出ましょう…クレセントさん…」
「…え?なんですの?」
「聞こえませんか…?」
「何がですの…?」
ショコラは一点を見たまま体を動かして言った。
よく耳を澄ましてみる。聞こえる…。

───いけ!ジャスミン!

「アイリさんの声ですわね…?」
「早く行かないと巻き込まれますよ…アイリさんなら軽めの蹴りで壊せますよ…この塀…」
塀の向こうでは火花のバチバチという音と風を切る音が響いていた。
「…さあ…早く…」
小走りでその場所から離れる。
10メートルほど走った時だった。
ガラガラと大きな音を立てて塀が崩れたのは。
「…ショコラさん、今度私の家(マイヤ宅)も見てくださらない?少し古くなっているところがあるんですの。」
「いつか、ですよ…。少し…アイリさんとジャスミンさんのバトルも…見てみますか…」
「…いいですわよ。私のシュミじゃありませんけど」

「バシャーモ、にどげり!」
「ジャスミン、テレポートで回避!そのまま左手に電気ためる!」
少し前までショコラ達のいた塀。今はもう崩れている。
そんなこともかまわずにその前ではアイリVSグランのバトルが繰り広げられていた。
周りにはかなりの見物人…つまりヤジウマがいた。
「後ろだ!」
後方に逃げたジャスミンに蹴りの一発がいく。
「来ましたね…!」
ジャスミンはその蹴りを右手で素早く掴んだ。
「な…!」
驚くグラン。
「そのまま10まんボルト!」
「バシャーモ!受け止めてそのまま押し返せ!!」
「きゃぁっ!」
「ジャスミン、平気?」
少し後ろに飛ばされたジャスミンにアイリが駆け寄る。
「平気ですよ」

「うお、すごっ」
「これってもう一般トレーナーのバトルじゃないよな…」
「ちょっと、通してくださらない…」
ざわざわと二人を見ている見物客の間をショコラとクレセントが進んでいく。
「すみません…あの戦ってる茶色髪オレンジパーカーなサーナイト使ってる人…私達のトレーナーなんです…」
二人とも割と小型のポケモンなので踏まれないように注意しながら進む。
「あれ!?ショコラちゃんじゃない!それと…こっちはクレセントちゃんね!すごいきれいなポケモンね!」
突然後ろから声をかけられて振り向くショコラとクレセント。
「ナツキさん…」
「ぼくもいるよっ!」
「ライカさん…」
「…どなたですの?この方達は。私が美しいのは当然ですけど」
一人話についていけないクレセント。
「ナツキさんにライカさん…アイリさんの友達です…戦ってる男の人はグランさんです…」
おおまかにクレセントにアルトマーレに一緒に行くことなどを伝えるショコラ。間隔が多いくせにそれなりに喋る。
「なるほど…。でもあまり暴力的な方とは行きたくないですわね」

「バシャーモ、火炎放射!」
「避けて!」
アイリの指示で素早く動くジャスミン。
熱風でアイリの帽子が吹き飛ぶ。
「素早いな…炎の渦!」
ジャスミンを炎が取り囲む。
「(これで指示がしづらくなる…隙もできるか?)」
グランは様々な考えを巡らす。
「みなさん危ないから気をつけて。ジャスミン、炎を全部吸い込んで!」
「え?」
やや困惑ぎみのグラン。普通サーナイトが吸い込むとか考えないからかなり以外な一言。
一度空間が大きく捻じ曲がったかと思うともう炎は消えていた。周りの石やアイリの帽子もいっしょになくなっていた。
あーあ、お気に入りの帽子だったのに。
「一体何を…」
「ちょーっとちっちゃいブラックホールを。ポケモンの能力は技が全てじゃないってこと」
ほらソコ、現実じゃそんなこと無理とかありえないとか言わない。図鑑の文章アテにしてるので文句は図鑑作ったオダマキ博士に言うべし。
「なるほどな…」

「ジャスミンさんって意外と強いんですのね…」
「だって…私達が来た時にはもういたじゃないですか…」
「…それもそうですわね」
「頭もいいし家事もできるし強いしちょっと天然だけどいい人だしキレイだし…」
ぼそぼそぼそぼそジャスミンのいいところを挙げていくショコラ。やっぱり観察力はすごい。
「…その割には影薄いですわね(酷)」

「ジャスミン、シャドーボール!」
「避けろ!」
攻撃をかわしてそのまま後ろに回りこむ。
一瞬でそこから消えるジャスミン。
「エスパー相手じゃやっぱり不利か…」
「先手必勝(アイリの好きな四字熟語です)!サイコキネシス!」
「バシャーモ!こらえるんだ!」
「ヤバっ!」
残念、一瞬遅かった。
「きしかいせい!」
「きゃぁっ!!」
通常のサーナイトより少し小さめ&軽めのジャスミンはかなり後ろに投げ飛ばされて、倒れた。
「大丈夫!?」
「痛たた…すみません…負けてしまって」
「気にしないで。じゃ、次はこっちで…」
アイリが拳を握りながら言う。
「…」
「はい、冗談。というかやったらやったでたぶんあたしが勝つ。ジャスミン平気?ちょっと火傷もあるかな…と、負けたのなんて久しぶり。強いね。」
バッグを漁りながらアイリが言う。
「どうも」

「ちょーっとまってくださいですわ!!」
「あれ!?クレセント!?」
ヤジウマの中からものすごいスピードで出てくるクレセント。続いてショコラとナツキ。
「何がどうもなんですの!?女性(レディ、と読むべし)には優しくするべきですわーっ!!」
かなり取り乱しぎみのクレセント。お嬢様気質健在。レディファーストは彼女の中の絶対的存在なようで。
「は…はぁ…」
「と・に・か・く!私としてはバシャーモさんにジャスミンさんに謝っていただきたいんですの!!突然挑んだのだからそれぐらい礼儀ですわ!!」
リズムとの本気喧嘩並みの大声で言うクレセント。
「いいですよ…クレセントさん…。こっちもバシャーモさんに怪我させてしまったし…」
「ほらいいってさ、クレセント。戻っていいよ、ジャスミン」
「すみません…まだやることがあるのに…」
「へ?」
呟くとジャスミンはボールの中に入った。
「あ…」
戻してから気づいた。
「…派手に壊してしまったな、公園」
はがれたタイル、曲がったベンチ…
「どうする?アイリ」
ナツキが話しかける。
アイリは無言で近くの木に近寄る。
「…いるんでしょ、リズム?」
反応なし。
こんどは思いっきり木を蹴飛ばす。
「うわわぁぁ!!痛ったぁい!」
落ちてきたのはマイナン…リズムだった。
「やっぱりいた。テンポは?」
「知らない。はぐれた。」
「呼んで」
単調に言葉を発するアイリ。
「テーンーポォー!どーこーにーいーるーのぉー!!」
大声で叫ぶリズム。
「誰がそんな原始的な呼び方しろっつったんだよ!」
「呼んだ?」
自然公園の柵をくぐりぬけて入ってきたプラスル、テンポ。
「うわぁマジで来たよ」
「で、どうするの?アイリ」
「逃げる。出てきて、スィエル!ついでにショコラ、えんまく!」
放ったボールから出てきたのはフライゴン。
「全員ボールに戻って。ライカとバシャーモさんも」
「え〜…あたしも飛びたい〜…」
「文句言わない。とっとと乗って!」
「は〜い!わーい、フライゴンだ〜w」

「スィエル、できるかぎりのスピードでアサギのポケセンに直行!」
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えるる #11☆2004.12/22(水)19:10
「さて、回復完了、と」
アサギシティポケモンセンター。
中からナツキ、グラン、そしてアイリが出てきた。
「チケットはあるからいいけど問題はポケモンか…一応聞くけど、ポケセン以外にポケモン引き出したりする手段、ある?」
アイリが期待しないで聞く。
「…ない」
「やっぱり…向こうまでポケモンの管理システムつながってないんだよね」
「…え?」
「前まではつながってたんだけど、なんか原因でつながんなくなっちゃったらしくて。ちなみにばあちゃんちは民宿なんだよね」
「なんかって?というか民宿?」
「とりあえずあたしは携帯用の転送システム&ノートパソコンがあるから平気」
ライカの質問を余裕で無視して話を続けるアイリ。ノーパ、どうやらおじょうさまをなぎ倒して貯めたお金で買ったようで。
「…つまり、あたしのメンバーの誰かは乗船できない、と」
「えぇえぇぇ!?」
派手に驚くリズム。
「とりあえずクレセントは決定。手に入れた張本人だから」
「これで当然なのですわ!こんなお下品マイナンに船に乗る資格なんてないのですわ!!」
「アァ!?なんだって!?もういっぺん言ってみな!!」
「何度でも言って差し上げますわ!!」
毎度のリズクレ喧嘩勃発。
「…二人とも黙らっしゃい。みんなで山分けして2、2、2だから…あと一人」
「あたし!あたし乗る!!」
「リズム却下。あんたボケがいないと成り立たないでしょ。スィエル…ごめん、大きすぎ」
「はいぃ!?ボケいないと成り立たないって何!?こうなったらソロデビューしてやるぅっ!」
「そんなことだろうと思った…」
あんまり残念そうじゃないスィエル。一番苦労した人なのに…。
というかソロデビューって何?
「ショコラ…」
「いえ…私は遠慮します…」
「あ、そう?次、テンポ。ツッコミいないと成り立たない。却下」
「え〜…ぼく一人でも平気なのに…」
リズムほど怒らないテンポ。というかテンポはツッコミいなくても成り立つと思う。
「あとは…ジャスミン」
「え?え?私?いいんですか…?」
「ジャスミンさんなら安心ですわ」
「はい、決定。他の人おとなしくボール戻んな」
「…はい」
おとなしく入るショコラ、テンポ、スィエル。やや強制的に入れられるリズム。
「はい、グランさんとなっちゃんは平気…といか預けようがないよね。さ、行くよクレセント、ジャスミン」


アルトマーレ行きの船の中。外はすごい雨&雷&風。つまり嵐(最初からそう言え)
「へ〜…グランさんって彼女持ちなんだ〜…」
「…ま、まぁ(照)」
「なかなかやりますわね…でもレディファーストは常識ですわよ(まだこだわるか)」
「その年じゃいてもおかしくないでしょ。ところで…」
「何?アイリ」
「窓の外、なんか飛んでない?」
窓の向こうをずっと見ているアイリ。
雷の合間に光る影。
「え?どこ?」
「…エアームド&トレーナー、か?」
影は危なげに上がったり下がったりを繰り返す。
「あ、わかった!あそこね!…落ちたみたい?」
それはそこで力尽きたのか海に向かって落ちていく。
「一応助けるかな…ジャスミン、念で引き寄せて」
影はジャスミンの念を受けて止まった。そしてこっちに近づいてきた。
「船、壊しちゃまずいよね…念で捻じ曲げて」
船の壁に穴が開く。そこから雨と風が入ってくる。てか壊してるも同じじゃん。
「エアームドって意外と重いんですね…えいっ!」
ジャスミンが一人と一匹を船の中に引っ張り込む。
「あ…」
だが、どうにも穴が小さかったらしくエアームドの方は海にボチャン。不運。
「頭痛い…寒い…ってあれ?エデン!?」
起き上がったびしょ濡れのトレーナーはお礼も言わず窓(というか穴)の外を見た。
「どこだエデン!?」
「…エアームドさんですか?」
ジャスミンの声。
「…ジャスミン、エアームド、助けてあげな」
「はい」
ジャスミンが返事をするとその瞬間に船の中に例のエアームドが現れた。
どうやらテレポートで引き寄せたらしい。というか最初っからそうしろって。
「ひーっ!!冷てぇっ!海の藻屑になるかと思った!ったくこういうとこを空で渡ろうとすんなよバカトレーナーウルフ!」
引き上げるやいなやエアームド…エデンというらしい…がやかましく言った。
「船長さーん、タダ乗りしてる人がいま…」
「あ、なんでもないです」
言いかけるグランとそれをさえぎるトレーナー。タダ乗り確定。
「船長さーん!なんでもなくありませ…」
「いいえなんでもないです」
こんどはクレセントが言いかける。何このコンビネーション(謎)

「で…こっちのトレーナーさんがウルフさんでこっちのエアームドさんがエデンさん、ですわね?」
「ああ」
「で、なんでアルトマーレに行きたいの?寒いよ、あそこ。彼女持ちでクリスマスとかなら話は別だけど…」
「ウルフはとんでもねぇバケモ…いや、頭痛持ちでよ、いい頭痛薬探してんだ。で、アルトマーレにあるって噂を聞いて…」
「あ、うん…あるね、クスリ」
言いかけるエデンを遮ってアイリが言う。
「本当か!?痛たた…」
「まぁ、ね。だって、うちのばあちゃんちの正面が薬屋だし」

「えぇぇえぇ!?」
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えるる #12☆2004.12/22(水)19:10
「そんなに驚くことですか…?」
かなり驚いているウルフとエデンにジャスミンが言う。
「いや…やっと俺にもラッキーが来たんだな」
「お薬、あるけどいりますの?」
クレセントがアイリのバッグからベタなドクロシールの貼ってあるビンを取り出す。
「…いや、念のため遠慮する…痛い…」
「…アイリさんの向かいのおばあ様に作っていただいたお薬ですのに」
「やっぱいる!いります!痛たた…」
「…ハライタのお薬ですわよ?」
「…やっぱ…いい…痛たい…」
なんだかおちょくってるのかなんなのか分からないクレセント。

「うるさいなぁ、もう」
そんなやりとりをしているのが隣の部屋まで聞こえてしまったらしい。
アイリと同じくらいの年と見られる女の子がドアから入ってきた。ミニスカにルーズソックス、変装モードのアイリに負けない派手さ。
そして横にエネコロロをつれている。
「あ、すみません」
即座に謝るグランとジャスミン、ナツキ。三人とも悪くないのに。
「すみませんわ、私としたことが」
続いてクレセントも謝る。
「あ、エネコロロ?」
「そうですわよ。えっと…レナさんとアイリーンさん、ですのね?」
「うん。このロコン、かわいいね」
ショコラを見ながら言うレナ。すこしプツっと来た様子のアイリーン。ショコラは特に気にしていないようだ。
「そうです…。えっと…こちらの方達は…?」
後ろにいるアイリとジャスミン、グラン、ナツキ、ずぶ濡れのウルフとエデンを見ながらアイリーンが言う。何気に一部屋に集合してる(何)
「私のご主人様のアイリさん、こちらのサーナイトがジャスミンさん、そしてナツキさん、グランさん、タダ乗…」
「ウルフとエデンだ」
言いかけるクレセントを遮ってウルフが言う。何か恨みでもあるのかクレセント。
「アイリ様ですか…お名前、似ていますね」
やや微笑みながらアイリーンが言う。
「まぁ、ね。船、そろそろ着くと思うよ」
アイリが言った瞬間アナウンスが鳴った。あと5分ほどで着くらしい。
「ほら。降りる準備しといた方がいいよ」
「ぼふっ!」
ウルフにタオルと気休めのパ○ロンを投げながらアイリが言う。
タオルとビンは微妙に狙いから外れて、エデンの顔に命中した。
「じゃ、またあとでね」
パタン、とドアが閉まる。

「…一人でお祭りに行ったら3人に増えて、こんどは5人に増えるのか…なんかよくあるヒーロー物みたい」
少し笑いながらナツキが言った。
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えるる #13★2005.01/01(土)19:05
アルトマーレの港。
「着いた♪着いた♪アルトマーレ♪」
楽しそうにはしゃぐレナ。
そしてそのとなりでボールから出るやいなや喧嘩をはじめるリズム。
「クレセントずーるーいぃっ!!」
「ええ!ハギさんの船とは違って乗り心地も最高でしたわよ!やっぱり私には高級なものが似合うのですわ!!」
「ふんっ!お嬢様は高級キノコでも食べてればいいんだよ!!」
「お下品マイナンはインスタントのお味噌汁のナメコでも食べていればいいのですわ!!」
「ってかインスタントの味噌汁にナメコなんかあったか?」
「インスタントをなめんなよ!あっちの業界だっていろいろ厳しいんだから!あーもームカツク!てかなんでそこのエアームドが話に入ってるんだよ!」
「どうせ私の知ったことじゃありませんわ!ムカツクのなら胃薬でも飲んでればいいのですわ!!」
「つっこまないと気がすまねぇんだよ!」
「だったらお嬢様は一日一杯のココアでいいだろがぁ!!」
「寝る前に甘いものを食べると太りますわよ?」
「てか一日一杯のココアって何だよ!てかなんか古くないかそれ!」
「どーせ一週間に何を何グラム食えばいいとか言ってるやつだって言われたの全部食えば太るわ!み○もんたが信用できねぇ!!」
「誰が信用しろっつったんだよ!」
「そうですわ!エデンさんの言う通りですわ!」
「やめようよ…リズム…クレセント…」
「あんたは黙ってろ!」
一応二人と何故かツッコミを入れているエデンの仲裁に入ろうとするが三人の勢いと迫力に押されて止められないテンポ。役立たず。
しかも押し返されてる。
「だからみ○さんはどーでもいいんだよ!重大なのはナメコ!」
「ナメコの傘の大きさの直径なんて私が知るわけありませんわ!」
「だからナメコは重大じゃないだろ!直径ってどっから出てきたんだよ!」
「そうだよなんでナメコが重大なんだよ!!」
リズムのハリセンパンチ!ツッコミのエデンにはこうかはいまひとつのようだ!さらに会話の内容がわけわからなくなった!というかナメコ言い出したのはあんただろ!
「言いだしたのはリズムさんでしょう!?」
「別にいいだろ!過去にこだわるな明日に迷うな今を自分らしく生きろ!!」
「わけわかんねぇよ!!」
ちなみにこの言葉、学校の北理科室の机に卒業生が刻んだと思われる文の引用です。うわぁ。
「心にはこだわらなければいけない問題もあるのですわ!」
終わらない言い合い。もはや何話しているのかすらわからない。

「着くやいなややっぱりこれか…なんか一人増えてるし」
「仲悪いんだな、あのエネコロロとマイナン」
「まーね…テンポで止められないならあたしが止めるかな」
「私が…焼き払っても…いいんですよ…?」
呟くグランに答えながらアイリがクレセントとリズムの方に向かう。ショコラが言うと冗談に聞こえないこのセリフ。
「えっと…あいつはクレセントであってアイリーンじゃないよね?…ショコラはひっこんでていいよ」
「うんっ。アイリーンならこっちにいるよ♪」
上機嫌のレナがアイリーンを抱きながら答える。ショコラはすこし残念そうな顔をしていた。本気だったのか。
「じゃ…あのエデンとかいうエアームドも入れた三人にプレゼントを…」
「リズム〜…クレセント〜…やめたほうがいいんじゃ…」
半泣きで心配そうに止めるテンポ。それで二人が止まるはずはないって。

「…で、ばあちゃんちはこの街のほぼ中心にあるわけ。そこに行くには水路が一番近いんだけど観光を兼ねて歩きで…」
普通に話すアイリの後ろにはすっぱそうな顔のリズムと渋そうな顔のクレセントとエデンが起き上がろうとしていた。
どうやら喧嘩をしている三人の口にアイリがノメルとモコシの実二つを思いっきり投げ込んだらしい。
「すっぱ…死ぬ…」
「怖えぇな…お前らのトレーナー…」
「美しさのためとはいえやっぱり渋いのは苦手です…わ」
そこまで言うと三人はまた倒れた。
「うわ〜…アイリ、あの子達平気なの?」
バッグから簡単な地図を出しながら言うアイリにナツキが話しかける。ある意味すごい止め方をしたアイリを見たためかどこか話している様子が慎重である。
「へーきへーき。いつかリズムが間違えてベリブの実のジュース(悪戯用)を飲んだ時には狂いだしたから」
「アイリ…一体ポケモンに何してるの?」
心配そうに聞くレナ。
「そういや勝手にあのエアームドにもモコシ投げちゃったけどよかったのかな…あれ?ウルフさん?」
アイリが振り返った時、ウルフはかなり後ろの方にいた。誰か気づいてあげようよ。
「…大丈夫ですか〜?」
ナツキが聞く。
「大丈夫じゃ…ない…(倒)」
倒れるウルフをジャスミンが支える。いつもこんな役回り(何)
「あーもーバカトレーナー!なんで頭痛で倒れるんだよ!」

「…さっさかばあちゃんち、行く?」
アイリが言った。
t01081121.ictv.ne.jp
えるる #14★2005.01/29(土)19:21
「お、アイリじゃねーか!なんか髪伸びたなー!!」
ジャスミンのテレポートでアイリのばあちゃんの家、「民宿tifon」の前に着いた時いきなり水路の向こう側の薬屋から声がした。
「あ、ウキョウ姉ちゃ…ごんっ!」
「あ、ごめんなさ…あれ?アイちゃん!?」
「痛たた…」
そしてアイリがちょうど向こう側の女性…ウキョウの方に振り向いた時、店のドアが勢いよく開いた。
もちろんそれはアイリの後頭部直撃。
ドアを開けたのは肩までの銀髪の女の子、アイリの従姉妹のセツカだった。アイリとは同い年。
「お、セツカじゃん」
薬屋からここまでの水路はたぶん5mくらい。
それを助走無しでひょいと飛んでウキョウがこっちに来た。続いて♀のグラエナも。
「あ、リュンヌ、久しぶり〜」
「こちらこそ」
セツカが話しかけたのはウキョウ…ではなくてグラエナ、リュンヌだった。
「で、そんなことより頭痛でぶっ倒れた人がいるんだけど…てかセツカドア思いっきり開けたね…」

ウキョウのいる薬屋の奥。
一応空き部屋。きれい。でも漢方薬やなんやらの異様な匂いが少しある。
「あ…あ!?ここどこ…痛…」
「あ、起きた?」
「起きましたか?」
ウキョウが薬の材料になるらしい「なぞのかぶ」を刻みながら振り返る。
続いてリュンヌも。
「みんななら向かいの民宿であけおめ的に騒いでるよ。一階の奥だから行ってみ」
「あ、ああ…そうだ、頭痛薬を…」
「そこにある。在庫なくて二日と半日分しかないから倒れそうになったら飲め。てか酷くないのに飲まない方が身のためだぞ。超スーパーウルトラミラクルに苦いから。罰ゲームにも使える」
そう要って枕元を指差す。
小さな紙の袋が置いてある。
「ありがとう…感謝する…」
「お代はあとでアイリんちでなんかタダで食わせてもらうから要らねぇ。ほら、あのエアームドも行ってるからさっさと行きな」
「はい?何?呼んだ?」
そう言った時、突然ウキョウの横にサーナイトが現れた。
アブソルに乗っていて、大きな紙袋を二つ持っている。
「…まだ呼んでませんよ」
近くにいたリュンヌがそのサーナイトを睨みながら言う。
それに怯んだのか紙袋からはみ出していた黒い物体がもぞもぞと動く。
「ったく重いんだよジャンヌにフェール!こっちの身にもなれ!」
サーナイトと謎の紙袋に乗られていたアブソルが喚く。
「うっさい」
ブチッ。
「痛ってぇえぇぇっ!!」
「あ゛…」
上に乗っていたサーナイトがアブソルの毛をむしった。
手には20本ほどの白い毛が残った。
そしてそのアブソルが倒れる時に運悪く薬の入った袋を踏んでしまったという始末。
「やめなさい、ジャンヌ。大丈夫ですか?フーガさん」
リュンヌが冷静に言い放つ。紙袋が細かく震え始めた。
「はいはい。ったくこっちも買出しで忙しかったのによぉ。ほら、フェール」
サーナイト、ジャンヌが動いている方の紙袋を持ち直す。
出てきたのは…クチート。
「あ、あ、あの…ひっく…えっと…グスン…こんに…ひっく…あの…お薬…ぐすっ…」
「ほら、リュンヌが怖いって泣いてるよフェール」
泣きじゃくるクチート、フェールを紙袋に戻しながらジャンヌが言う。
「あ、で、この人、誰?」
「…病人。ほら、向こう行くよ…薬、どうする?」
…どうするも何も無い。不運。

民宿tifon、宴会場。
アイリ達がまるまる占領中。ウルフとウキョウ一行も来た。
「…へー。そりゃ大変だねー。頭痛薬あんまなくて残念。っつーかあんまじゃねーか」
「全くだ…」
「そうそう年末年始だっつーのにナメコとか変なのに会うしな」
「ジャンヌ、少しは気を使ったらどうですか」
「まだ抜かれたとこ痛てーよ…」
「だれがナメコだっ!」
「そうそうツッコミにセンスのないナメコさんが…」
「やめようよクレセント…」
「何がナメコなんでしょう…?」
「さあ…?」
「変なところでこだわるな;」
「…」
「というか私は手伝いあるから抜けるねー」
「あ、私も手伝います」
「ばいばいセツカちゃん」
「ばいば〜い♪」
「ほい」
「ひっく…ぐすん…」
「平気ですか…?」
「お茶おかわり!」
うわ、長い。
上からジャンヌ、ウルフ、エデン、リュンヌ、アブソルことフーガ、リズム、クレセント、テンポ、アイリーン、ライカ、グラン、バシャーモ、セツカ、ジャスミン、ナツキ、レナ、アイリ、フェール、ショコラ、ウキョウ。
多っ。宴会場占領も納得。みんなが食べてるのはいろいろ。
おせちとそばメイン。余りの在庫処分も兼ねているので格安。
「で、ジャンヌが持ってる紙袋、何?」
アイリがフェールじゃないほうの紙袋を指差しながら言う。
「戦利品。ゲーセンであたいが取ったのとフェールが賭けで勝ったもの」
そう言って紙袋を逆さにする。
ブランドバッグ、正月飾り、ぬいぐるみ…
「凄っ」
「あそこのゲーセン、入る時にふういん使われて念使えなくてさ〜。これ100%実力」
「うわ、ジャスミンとは大違い」
「こっちのサーナイトとも大違いだな」
「というかテレビ出られるんじゃ…?」

ナツキが言った時、舞台の幕が開いた。
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えるる #15☆2005.01/02(日)21:03
民宿tifon、宴会場。幕が開く。
今回は殆どセリフだけでいきます。誰だかは勝手に予想を。
「はいはいこんにちは〜。毎度お馴染み、プラスルのテンポで〜すw」
「はいどうも〜。マイナンのリズムだよっ!」
「二人合わせて『信号機』です☆」
「ちょっとまってよ!信号機って何さ!てかその星何!」
「だって青黄赤だし」
「そりゃそうだけどそんなコンビ名じゃないから!」
「え〜…。だってプラマイコンビじゃぱっとしないよ」
「プラマイじゃないし。リズテンだし」
「あ、そっか。なんてったってぼく精神年齢3さいだからw」
「いや、それボケはじめる年齢じゃないっしょ」
「ま、初心に帰ることも大事だし」
「いや、帰りすぎてコンビ結成前になってたじゃん」

「そういやリズム、この間ぼくのところにファンレターが来たよ!」
「えぇ!?やっとあたしたちも売れてきたんだね〜!こないだ100円飛んできたし〜!」
「じゃ、読むね」
「うんうん」
「リズテンさんへ…『あけましておめでとうございます』」
「いやちょっとまてや!!それ年賀状だし!他になんか書いてないの!?」
「…(笑)って書いてあるよ」
「それファンレターじゃないし!(笑)ってなんだよ!(怒)」
「かっこわらい…」
「読み方なんて聞いてないし!」
「わらいがかっこいい…?ヨン様?」
「ヨン様の笑いはかっこいいじゃないし!というかヨン様とうちらは関係ないから!」
「あと、こんなんも送られてきたよ(小さな箱を出す)」
「何それ?」
「…サボテン君栽培セット」
「要らねぇよ!!誰だそんなん送ってくるのは!!」
「ペンネーム『破壊神真里菜』さんだって」
「誰だよ!てか何そのツッコミ所満載なペンネーム!」
「やぶこわかみしんさとな…?」
「何その読み方!はかいしんまりなでしょ!」
「いや、ふりがなで…ではその破壊神真里菜さんリクエストの『めざせポケモンマスター』を!」
「もういいよ。てかラジオじゃないし」

「んで、テンポ。2004年のニュースといえば?」
「デビュー。たしか5月くらいにほのぼのキャラとして森の中でデビューしたよね」
「そうそう。嘘っぽいけどほんとね」
「ふっ…あの時からアイリは服装こそ違えどあんなキャラだった…ごふっ!(アイリのハサミが飛んでくる)」
「ほらそんなこと言う…。ジャスミンはもっと悪キャラだったよね」
「そうだね。ま、ぼくはなんかものすごい突飛なゆ○ーばみたいなキャラだったけど」
「いやちょっと!んなわけないだろ!ほんとのこと喋ってる時に訳分からんこと言うな!」
「だって一応ボケだし…」
「他になんかニュースは?」
「吉○家の牛丼…」
「ああ、カレーカレー喜んでたっけね。結局連れてってもらえなかったけど」
「…」
「テンポ?」
「何?(顔がのっぺら)」
「ぎゃあぁぁ!!…ってそのネタ前にもどっかでやったし!ほら、パソコンの前で呆れてる人がいるよ!」
「ほら、いいから続けて」
「はいはい…どしたのその顔!?」
「(のっぺらマスクをべりっとはがして)『顔がないよどうしよう病』の患者なの!」
「んな病気あるか!てかそれニュースじゃねぇ!!」
「むぅ…わがままだなぁ…」
「何がだよ」

「では、ありがとうございましたー!(幕が下りる)」
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えるる #16★2005.01/08(土)10:55
「…なんかネタ増えてた気がするけど気のせい?」
席に戻ってきたリズムとテンポにアイリが言う。
「ふっ…気のせいだと思えば全て気のせいになるのさ…」
「たぶん気のせいじゃないとおもうよ。てかその親父の哀愁@リストラまぢかみたいなオーラやめてくれない?」
「おやぢって…ぼくまだ若いよ。頑張れ若僧っ!」
「黙らっしゃい!」
舞台から降りたにもかかわらずまだ漫才モードの二人にアイリがモヤっとボールを投げつける。
このモヤっとボール、いつかくじ引きでショコラが当てたもので相当な数持っているらしい。。
もちろん捕獲用ではない。
「痛いっ!痛くないけど痛いっ!」
「どっちだよ!」
テンポにすかさずエデンの突っ込みが入る。
「だから静かにしてろっつーの!」
再びアイリのモヤっと攻撃。
テンポとエデンに20個くらいボールを投げつける。
さらにもっと大きいモヤっとクッションも投げる。
そして当たって跳ね返ったり外れたボールがなぜかいつもジャンヌに乗られているアブソル、フーガの方に飛ぶ飛ぶ。
「痛てぇっ!痛くないけど数が多いと痛てぇっ!」
「ジュースもってきたよ〜…うわっ!何コレ!?モヤっとボール!?」
そしてのほほんと部屋に入ってくるセツカ。
「なんで…そのバッグにそんな量が入るんですか?」
アイリに疑問をぶつけるアイリーン。
「なんでって…超たくさん入るし…。モヤっとボール200個は入ってるけど?ほかにも着替えとか捕獲用グッズとか回復道具とか」
「四次元バッグか;;」
「まあそんなとこ?」
聞くバシャーモに答える。まあそんなとこってほんとに四次元なのかい。
「そんなとこって…;;」
「だって…リズテンくらいなら入るし。ってうわぁっ!!」
突然アイリの真横に短剣が飛んできた。
まだ次々剣が飛んでくる。
まず舞台のまん前の壁。短剣が刺さった瞬間そのすぐ上からラティアス、ネーベルが出てきた。
それから立て続けにライカの尻尾と体の間を通ってセツカの足元、ショコラとレナの間を抜けてフーガにくっついていたフェールの後ろの顎(てっぺき使用済)、そして当たり前に避けたけどグランのバシャーモ。
そしてまたクレセントとケンカを始めたリズム、仲裁のアイリーンの方に2本。一本は見事リズムのイヤリングをかすって下に落とした。
最後にお互いの不幸について語っていたエデンとフーガの間に長剣。
フェールに当たった剣は跳ね返って近くのモヤっとボールに穴を開けた。
「あ、ちゃんと避けてくれたねー。よかったー」
剣を投げたのは舞台の上のウキョウのサーナイト、ジャンヌ。
隠し芸らしい。しかもジャスミンの「ふういん」により念使ってない。すごい。
「よかった…って…」
「俺達を殺す気か!」
やはり怒りだすフーガとエデン。
冷たく睨むリュンヌ。
「いや、殺す気はないって。たぶん。不幸を一つ増やす気はあったかも」
「ジャンヌ!」
少し牙を剥くリュンヌ。
「ほらエデン…こっちにはこんなサーナイトがいるんだよ…」
「てかほんとに危ないよ」
「はいはい。ったくあたいが外すワケないじゃん。避けそうな人は普通に投げたけど」
…つまりバシャーモには本気で当てる気で投げたと。
「…ほどほどにしときなよ。というか危ないから投げたのちゃんと回収しとけよ」
「わかってるって。さ、今日は遅いしもう寝るよ」
ジャンヌがそう言うと、ウキョウ一行(ウキョウ、ジャンヌ、ネーベル、フェール、フーガ、横で観ていたリュンヌ)と剣が消えた。
そして向かいの通路に現れ、店に入っていった。
「さ、部屋案内するよ。モヤっとボールは…片付けとく」
「ところで、モヤっとがあるってことはスッキリもあるのか?」
グランが聞く。
「あるよ。ほら。『スッキリ』!」
アイリが言うと畳の隙間や座布団から例の花が出てきた。
「意味あるのか、これ?」
「…ないけどちょっと使える。スッキリスッキリスッキリスッキリ!」
アイリが言うたび花がどんどん長く大きく生長する。
「痛てっ!」
そしてそれにつまづいてコケるリズム。
「ほら」
「…」
こうして長い一日は終わるのだった。
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えるる #17★2005.01/10(月)19:49
「起きろ──っ!!」
「朝ですよ…あの…起きてください…」
朝。ジャンヌとジャスミンの声で起こされる。
「んにゃ…何?てかなんで薬屋のジャンヌがこっちにいるの?」
アイリが目を擦りながら起き上がる。
「メシ作る手伝いだよ。あの雪(*セツカ)とその母ちゃんだけじゃ大変だろ?しかも雪まだ寝てるし。あとなんか朝っぱらから修行してる人がいたからちょっと短剣投げてた」
「ったく朝から何を…。てか修行?」
「マジメにバトルの練習してるバシャーモとそのトレーナーとその相手してるグラエナとボケてツッコんでるプラスルとマイナンとツッコミにツッコむエアームドと巻き込まれたっぽいライチュウと身だしなみを整えてるWエネコロロとトレーナー」
「容易に想像つくね…てかみんな起きてる?」
「あと道の端っこで怪しげに笑ってるロコンもいたな…」
「ショコラ…一体何を…」
「ま、メシ出来てるからさっさと下来な。あとはウキョウとフェールと頭痛さんと雪@手伝えよとポニーテールか…」

食堂。
「何?昨日あんだけ食べたのにまだおせちあるわけ?」
テーブルに並んでいるのはいかにもお正月な料理。
「なんか漁ったらたくさん出てきてさー。お餅もたくさんあるからあとでお汁粉作るって」
まだ眠そうなセツカが伊達巻を食べながら言う。
いくら早く寝ても睡眠時間が延びるだけという朝に弱い人がセツカ。
「でもちょっと飽きない…?」
「…私は…食べられれば…(←ナツキの膝の上)」
「というかぼくリズムちゃんに起こされて眠い…」
「一応かっこよさコンプしてるんでしょ?もっとシャキっとしろっつーの…眠い…(←バシャーモとリュンヌの音で起こされた/眠れないのでライカを起こした)」
「リズム…その辺にしようよ…(←こいつも音に起こされた/ライカを起こそうとするリズム)」
「ぐすっ…ひっく…(←泣きながらかまぼこを食べている)」
「外は寒いな…(←お茶飲みつつ)」
「そうですね。(←ほぼいつもジャンヌを睨んでいる)」
「なんでそういつも睨んでいるんだ;;」
「しょーがねーろ。そういうグラエナなんだから。俺が捕まえた時からそうだったし(←昆布巻き食べつつリュンヌを見る)」
「そーそー。リュンヌは固いんだよ(←腰に短刀×5/危)」
「ジャンヌはいつも適当すぎるんだよ…痛てっ!(←ジャンヌに10本ほど毛を抜かれる)」
「うわ…アイリーン、これで平気?(←髪の毛直しつつ)」
「はい…平気ですよ(←クレセントのとなりに座っている)」
「私まだ眠いですわ…(←アイリーンにつきあって早起き)」
「ちゃんと食べてくださいよ〜…(←お茶カンと急須の乗ったお盆を持ってくる)」
「にしてもずいぶんたくさん集まったわねぇ(←余った座布団を片付けている/セツカ母)」
「結局あのモヤっとボールと花は誰が片付けたんだ?(←頭抱えつつ)」
「フェールが欲しいって言ったからあげた」
「ぐすっ…だってっ…」
「いや、理由を言う必要はねーんじゃねーのか?」
「てかなんでいつも泣いてるの?」
「んなことよりそのバシャーモのトレーナー、前に会ってねぇ?」
「え?会いましたっけ?」
「どっかでさー。ま、いいんだけどよ。俺もバトル施設周ってるからちょっと見かけただけかもしれねーし」
「ジャスミーン!お茶おかわりーっ!」
「あっ;ぼくもっ!リズムには負けないっ!」
「私も…」
「あ、ボクも」
この前に引き続きかなり人数多い。書いてるこっちが混乱します(オィ)

数十分後…
「ごちそうさま〜」
「おいしかったですよ〜」
「あら、ありがとう」

ドカドカドカ…

「何?この音?」
「ぐすっ…?あ…来た…」
さっきまでずっと泣いていたフェールが泣き止んだ。
「最近異常気象なり何なりでいろいろあるからねー。ったく協会もはやく直せっつーの。ってフェールが泣き止んだ…?」
「フェールが泣き止んだ=なんかある、だったよな…」
「いや、ぼく…なんかものすごく嫌な予感が…」
ライカの声を聞いてショコラがカーテンを開ける。
音の正体は…大量に空から降ってくるヒマナッツ。
「…え?ヒマナッツ?」
「何〜?ヒマナッツ?ちょっとかわいくない〜?」
レナが窓を開けたその瞬間、大量のヒマナッツが部屋に入ってきた。
ちなみにここは二階。
「きゃぁっ!!」
「何これ・・ヒマナッツ!?」
「いいやライカ、これはヒマナッツじゃないよ!」
「そうだね、なんか攻撃的だし…葉っぱプロペラにして飛んでるし…」
「…そう、『暇ナッツ』だっ!(リズテンハモり)」
「アホかお前ら!何だよその投げやりな名称!てかナメコ、お前はツッコミだろーが!」
「そうそう『暇ナッツ』は空から大量に降ってくる通常のヒマナッツが『ヒマつぶし』の被害に遭うことによって強くなった…」
「そしてこいつらをさらに『暇つぶし』することでこんどは『火魔ナッツ』に…」
エデンのツッコミに遭いながらもボケ続けるリズムとテンポ。
その間にヒマナッツ(リズテン曰く暇ナッツ)のはっぱカッター。
「なんでこの子達飛べるのー?ライカ、でんげきは!」
「だーっ!家ん中だと動けないーっ!なんかこいつら重いし!ジャスミン、窓にリフレクター!」
アイリがヒマナッツをつかんで投げる。直後、窓のところにバリアが張られ、中に15匹くらいヒマナッツが残された。
「多いな…バシャーモ、かえんほ…」
「家燃やす気かーっ!(←セツカ)」
「あ、すみません」
「てか痛てぇっ!痛てぇっ!やーめーろーっ!」
そして何故か一人集中攻撃に遭っているフーガ。
さらに部屋の隅でかなり紫なオーラのショコラ。何やってんの。
なのにみんなヒマナッツを追い払うのに必死なため誰も気づいていない。
そんな中、フェールがどこからか出してきたポシェットを開ける。
「フーガを…いじめないで…」
そう呟いて謎の緑色の球体を上に投げる。
「え?それ使…」
「ってか全員息止めろ──!!」
パァン!と破裂音がしてあたりに粉が降る。
ヒマナッツも気絶して床に落ちる。
そして全員の頭ににジャンヌの思考が叩き込まれる。
「(全員早く部屋から出ろ!)」

「はぁ…はぁ…」
「で、結局あの緑の玉は何だったんだ?」
一応全員廊下に避難完了。
「知りたいですか…?…ぐすっ…」
「うん。何だったのあれ」
「キノガッサの…ひっく…尻尾の…あれに…ぐすんっ・・を詰めた…ぐすっ…ものです…」
「尻尾のあれに、何だ?(あれだけで十分危ないが)」
「…ひっく…ドクケ…ぐすっ…モルフォ…ひっく…りんぷん…です…ぐすっ…」
つまりキノガッサの尻尾のあれにドクケイルとモルフォンのりんぷんを詰めたもの、と。
「ウキョウ姉ちゃん…一体ポケモンに何持たせてるの…?」
「はいはい気にしなーい。ほらほら外見てみ。まだ降ってるよヒマナッツ。出動だ出動」
「…あ」
結局のところやっとヒマナッツから逃げられたと思ったらまたヒマナッツと戦うはめになるのだった。
しかもウキョウからの答えはその後も帰ってこなかった。
「だーかーら『暇ナッツ』なの!」
「いつまで言ってるんですの…;;」
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えるる #18☆2005.01/19(水)20:42
「…どうする?これ」
アイリが大量のボールの山を指差して言う。
ざっと軽く100個はある。中身は全部ヒマナッツ。
かなり眠そうな顔をしながら毒に苦しんでいるのやら切り傷があるのやら

それなりに負傷したヒマナッツが殆ど。明らかにアイリのパチンコとジャンヌの短剣と毒の被害に遭っている。
「どうするも何も…」
「とりあえずパソコン(アイリの)に」
「ねーねー、一匹貰っていい?私トレーナーじゃないからポケモンと接したことあまりなくてさ」
「一匹減ってどうこうって数じゃないけど、いるんなら好きなのもってって」
「え?いいの?やったっ!」
セツカはアイリの返事を聞くと喜んでボールの山を漁り始めた。
「なんとかギリギリでパソコン入るかな…いざとなったらバッグに突っ込めば…」
「突っ込めるって地点で異常だよね、そのバッグ」
リズムがしらーっとした目でパソコンを開いているアイリとバッグを見た。
バッグの大きさは丁度ライカくらいで、とてもそんな量のボールが入るとは思えなかった。しかも現にモヤっとボールが大量に入っているという。
「…ところでスィエルは?」
テンポが突然に思い出した様に言う。
「スィエルさんなら、ウルフさんが倒れている間にどこかに行ってしまいましたよ」
「ああ、どっかいろいろ見てくるとか言って。ま、スィエルのことだしヒマナッツも上手く避けたでしょ」
…たぶんただでさえアイリやリズムに振り回されているのにさらに人数が増えたらやっていけないという考えだろう。
中途半端に真面目なスィエルにはややきついらしい、アイリ一行。
「ねね、この子もらうね!」
そしてやっとボールの山から出てきたセツカ。手にはアイリのフレンドボール。
「あ、うん。名前は?」
「…このポケモン何ていうんだっけ?」
「暇ナッツ。これを暇つぶしするとこんどは火魔…」
テンポが懲りずにまた言う。
「ヒマナッツね。テンポ、もっかい言ってみ?殴るよ」
「もう一回♪笑顔咲クー君とー♪」
「うっさい!」
テンポにアイリのマッハパンチ!テンポは吹っ飛んでボールの山に当たった!
「うわ…なんつートレーナーだ…痛たた…」
「ウルフもトレーナー以前にヒトか?」
「うーっ…痛いっ。ポケモン虐待はよくないよー」
テンポはボールから出したヒマナッツをクッションにして持ちこたえた!そのヒマナッツも不幸だ!
「はいうるさいー。戻った戻ったー」
すかさずアイリのパチンコ攻撃!
テンポを捕まえた!
「うわ〜…。アイリ、ほんとになんか…」
「何?」
「いや、別に…」
アイリの一行にはこれはもうすでに日常らしい。というかこんなんについていけるポケモン達がすごい。

結局このヒマナッツ騒動で半日を潰された一行は大人しく民宿で昼食を食べてから観光するのであった。
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えるる #19★2005.01/31(月)20:40
「せいやっ!!」
トウカの森の奥地。アルトマーレを離れて1ヶ月。
アイリが助走をつけて滝に一気に飛び込む。
滝の裏には洞窟が二つ。上に一つ、下にやや大きめなのが一つ。
アイリが入ったのは上の洞窟…そう、ここがアイリの秘密基地だ。
「お、ちゃんとキレイなままじゃん。…ま、誰も来ないしね」
すぐ横のホワイトボードに伝言がないか確認する。
「それはそうですわ。この私がいるんですもの、このスーパービューティーな秘密基地には…」
「はいはいんなこといいから!」
「そんなこといいとはなんですの!」
「ふ、二人とも〜…痛いっ!!」
止めようと近づいたテンポの頭上に突然金だらいが落ちてきた。ベタな罠。
「あー…自分でかかるなよ」
アイリはつかつかと基地の奥へ進んでいく。
中にはすべりだいやレンガが並べられていて、ポスターや鉢植えもある。
そして極めつけはかみなりマットの上にこれでもかとばかりに山積みにされたぬいぐるみと数々の罠。
「…んで、このアイリ様の秘密基地はただの秘密基地ではない、と」
そう呟くと近くにあった「おおきなだい」を動かした。
後ろにあったのは…ドア。しかも307号室とか書いてある。
ただでさえ罠盛りだくさんでヤバイ基地なのに、ものすごいヤバさのドア。
そのドアを開ける。
中は…思いっきりマンションの一室。電気も冷蔵庫も洗濯機もテレビも台所も完備。
もはや秘密基地じゃない。
「ハクア!いるんだろ!出て来い!買ってきてやったぞ!」
「出て来いも何も…そこにいるじゃないですか…初対面ですけど…死んでませんね…あなた…」
「そうそう。ほら、そこにいるじゃん」
アイリが部屋の中に向かって叫ぶ。そして新品の限定品ジラーチドールを投げる。
その後ろで洗濯機の上をじっと見つめているショコラ、テーブルを見ているリズム。
「おうっ!ありがとよっ!っつーかそのロコン、マジでオレのこと見えるのか?すっげーっ!リズムはどこ見てんだよ!」
アイリが投げたぬいぐるみがむくっと起き上がって、宙に浮かぶ。しかも喋る。
「な、なんですの…ぬいぐるみが…」
「あ、クレセントさんとショコラさんは初めてでしたね。あの方…とは言っても私にはそのままじゃ見えないんですけど…は、ハクアさんと言って」
「千年に七日しか起きないジラーチってポケモンだよ」
ジャスミンを遮ってアイリが言う。
「ジラーチ…ですか…」
「あの、願いを叶えるっていうやつですの…?」
「そーだよ!このオレがあのカナズミ…って今は言うんだっけ?の神社で祀られてるこの森の守り神、白亜様だ!偉いんだぜ!凄いんだぜ!」
クレセントの問いに、ハクアが得意げに答える。
「…おじいちゃん…ですね…」
「ご利益ありますの?」
「おじいちゃんって何だおじいちゃんって!オレはまだ6000年と578年しか生きてねーんだぞ!」
十分おじいちゃんじゃないですか;
「ご利益?あるさあるさあるともさ!オレだって1578年前は将軍様をパートナーにして軍を勝利に導いたんだぞ!578年前は地震で困ってたやつらを新しい島創って助

けたんだぞ!今はあんのか分かんねーけどマボロシ島ってとこだ!」
何創ってるんですか;
「で、そのオレがなんで今ここにいるのかっつーと、ほら、千年も寝てると暇なわけよ。もう暇ナッツの嵐だね。っつーことで体から魂引っ張り出してここのぬいぐるみに入

ってるってわけよ」
「説明滅茶苦茶…つまりユーレイだね」
「そうさ!分かってんじゃんテンポ!だからあんまりこの森から離れるとマジで死んじゃうわけよ。てか最近の食い物は美味そうで」
「はいはいうっさい。掃除もちゃんとやってるみたいだし、いいじゃん。でも電気ってどうしてるの?」
延々と喋るハクアを遮る。
「電気?ああ、オレもこの状態じゃさすがに念くらいしか使えねーから神っぽく呪符で」
「呪符?まーた変なのを…」
「オレは神サマだぜ?一応守り神だぜ?」
バラッと広げた紙には怪しげな模様が筆で書かれていた。
「…百鬼不接符、ですね…」
「えぇ!?何で分かるんだ!?何?お前呪術師か?」
ショコラが呟く。それにひどく驚いた様子のハクア。
「送り火山で育ちましたから…これは凶運転換符・・これは五穀豊穣呪…」
並べられた呪符の種類を言っていく。ちなみにこれは全部実在の呪符。
「な、なんで分かるんですの…」
そんなこんなでショコラにまた違う恐怖を抱くクレセントだった。
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えるる #20☆2005.02/07(月)20:15
「あ、んで、ね。うん。電気を呪符でってのは嘘だから。ナディに頼んでるから。うん。殴んないで。蹴らないで」
言ってみたはいいけどショコラがいろいろ知っていたため何かと訂正するハクア。
ナディは気まぐれにアイリのところと秘密基地を行ったりきたりしているらしい。
「へー…。でもそんなこと言われてもぼくにはピンとこないんだよね」
「ま、凡人だからな」
「それなりに…いろいろ要りますし…」
「そうそう。オレはこまごました物はなくても簡単なのなら出来っけど」
「私も…普通の人よりはできますよ…」
「へぇ。何?オレと戦おうってか?」
「そんなこと言ってませんよ…でも…面白そうかも…」
「てかそろそろ下流のハツネさんのとこにお茶飲みに行きたいんだけど…来る?」
ハツネというのはアイリの秘密基地のちょっと下流に小屋を建てて勝手に住んでいる人のことである。
もう80超すか超さないかのお婆さんで、いつもお茶をご馳走してくれる。
「あ、あたし行くーっ!」
「ぼくもっ!」
「私も行きますわ!森のお茶会なんてステキですわ!」
「なら私も。クッキー持って行きますね」
「私は…遠慮します…」
「オレも。あのばーちゃん何かとオレにかまうからなー」
「あっそ。じゃ、船で行くかな…」
秘密基地にはショコラとハクアが残ることになった。なんかキケンオーラな二人。
「あ、テレポート使えますよ?スィエルさん呼ぶのもなんですし…」
ジャスミンがクッキーの入った袋を持って言う。
「平気。この辺には栗花落兄妹もいるから」
誰ですの?とクレセントが聞こうとした時にはもう、アイリは階段を下りていた。「栗花落」は「ついり」と読む。
階段の下は大きい方の洞窟につながっていて、そこにはアルトマーレから持ってきたらしいレース用の船があった。
えい、っと軽く声を出して船を水に浮かべる。
「ハツネさんのとこの栗花落の誰か、いる?」
そして水に向かって話しかける。
しばらくすると数匹のミニリュウが顔を出した。
「あーっ!!アイリちゃんじゃない!久しぶりーっ!!」
「ほんとだーっ!!いつもここで呼ぶのは白亜ちゃんだけなんだもーんっ!」
「…やあ…久しぶりだねぇ…エネコロロさん…初めまして…」
「ふんっ…元気そうじゃん…」
「あんれまほんとに久しぶりやなぁ。どお?旅って楽しい?」
「えっと…シュンリンとシュウリンとライウとサバエとズイウだよね?」
5匹を見てテンポが言う。ライウとズイウが♂で、あとは♀。シュンリンとシュウリンは双子。
「大当たりーっ!あたしいつもシュウリンと間違えられるのにどーして分かったの!?」
「…勘」
「うわ−っ!すっごーい!」
「マグレじゃん…」
「で?今日は僕らに何の用があんねん?」
「ちょっとあんたらのご主人様の所まで。久々だからちょっと遊びに」
ぼそりと冷たく呟いたサバエを無視して話を進める。ちなみにサバエはシュンリン&シュウリンの妹。
「うん…いいよ…じゃ…ぼくは先に行って…伝えておくね…」
「この船引っ張ればいいんだよね!私たちに任せといて!」
ライウは水に潜ると、すごい速さで泳ぎだした。
シュンリンとシュウリンは船のロープの輪に体を通して、サバエとズイウは潜ってどこかへ消えた。
「リズテンはあたしの肩に乗るとして…ギリギリ入るね。シュンリン、シュウリン、落とさないでよ」
全員なんとか乗って、前の二匹に注意する。
「はーいっ!では、出発!」
「って速ーっ!」
リズムの叫びは泳ぎ始めた二匹にはとどかなかった。
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えるる #21★2005.02/09(水)20:14
「あらあらいらしゃい。久しぶりねぇ、アイリちゃん」
「あ、久しぶりー」
「こんにちは…」
「いや、え?はぁ。…ってなんでセツカがここにいるの!?」
あまりの船のスピードに気絶したテンポと青くなっているクレセントを抱えて船から下りるアイリ。
そして陽だまりの中でのほほんとお茶を飲んでいるのは…従姉妹のセツカとハツネお婆さん、そしてセツカとアイリよりだいぶ年下とみられる少女だった。
川のところではヒマナッツとピチュー二匹、ミニリュウ3匹が眠っている。
「なんでって…あの後帰ろうと思って船に乗ったら乗り間違えててミシロに着いてー。かーさんは自力で帰って来いっつってテキトーだしー。しょうがないから森を彷徨ってたらここについた」
「…遭難?」
「そーだね。うん」
「ダメじゃん!てかなんつーテキトーな親!」
平然と話すセツカにリズムがつっこむ。
てかテンポが気絶してるのにピンピンしてるよ、リズム。
「あ、そうそう、そこのヒマナッツ、名前はポプラね。今寝てるけど」
「例の暇ナッツだね。飛ぶでしょ?」
「ええ。さっきまで起きてたんですけど、私のミニリュウ達と仲良くしてましたよ。はい、お茶どうぞ」
そして雰囲気からかのほほんモードになるこの空気。
「…この子は?」
ハツネの隣に座っていた少女を見てアイリが言う。
「私、リイカっていうの。今寝てるけど、あのピチューはアカリとヒカリっていうの」
「なんだかこの子も森で迷っちゃったみたいでねぇ。セツカちゃんといっしょに森から出てきたの」
「遭難が二人も…」
「ダメじゃん!」
再びリズムのツッコミ。
「とりあえずこっちのプラスルとマイナンはテンポとリズム、サーナイトがジャスミン、エネコロロがクレセントね」
「ふぁ…ん?あ、あの時のサーナイト!」
ずっと眠っていたヒマナッツが起き上がって言う。
「あら…お久しぶりです。あの時は思いっきりやっちゃってごめんなさい…」
「あ、そんなそんな。アタシはへーきだから。ほらほら生きてるし」
川辺でヒマナッツが死んでたらコワイって。
「私はジャスミン。ポプラさんでいいんですよね?」
「うんっ。でも呼び捨てでいーよっ!」
「元気ですわね…」
やはり船のスピードでげっそりしているクレセントが呟く。
「そういえばさっきから森の中でなんかやってるような音がするんだけど」
「この間から森で修行しているトレーナーさんがいたからねぇ…たぶんその人だよ。森のところどころが凍ってたり焼けてたりしたからねぇ」
割と耳がいいリズム。
寝ていたミニリュウとピチューが起き上がる。
「ふぁ…あ、プラスルだーっ!」
「あっ!マイナンだーっ!」
「…あれ…アイリ!」
「久しぶりっ!」
「やっほ!」
「また五月蝿くなる…」
頭を抱えるセツカ。
メンバーがあまりにも五月蝿いので寝かしつけたらしい。
「ねぇねぇおうえんポケモンってホントなの!?」
「ねぇねぇ名前何ていうの!?」
「ねぇねぇ旅おもしろかった?」
「ねぇね…」
「いや…ちょっとまってよ…」
思いっきり質問攻めに遭うリズムとテンポ。
「ヒカリ、アカリ、迷惑かけちゃダメでしょ!」
そしてそれを止めるリイカ。
でも少なくとももうお茶どころではなくなっていた。
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えるる #22☆2005.02/09(水)20:14
「「千里遥かに生えたるツタが、生きて根を絶ち葉を枯らす!!」」
「何やってんの…」
ハツネ達と別れて秘密基地に戻ってきたアイリ。
だが留守番のショコラとハクアは基地の外で何か怪しげな言葉を唱えていた。
しかも二人の周りは焼け焦げていたり植物が異常に生長していたりクギが刺さっていたりと明らかに変だった。
「下より奈落の火炎…あ…お帰りなさい…もう少し遅くてよかったのに…」
「上より真黒き雨…あ、お帰り。ちっ、中断か…」
小声で言う二人。
「何やってたのさ…」
「「…ちょっとね…言えませんね…」」
ヨコシマな笑顔でハモる二人。
強烈な黒オーラ。ショコラがどんどん黒くなっていく。
「…ま、いいけどさ」
「よくないよ!このままじゃぼく呪い殺され…」
「考えすぎですよ」
言いかけるテンポをジャスミンが遮る。
「しょうがないですね…何やってたのか見ます…?」
「遠慮します」
ショコラの足元には散らばった藁とクギ。テンポ、さっきと言ってること違うよ。
「ま、いーんだけどよ。てかショコすげーな。いくらぬいぐるみとはいえこのオレについてくるとは…」
「家系と…ちょっと昔ね…」
いかにも悲しい過去ありげに呟くショコラ。
「昔、なんだ?」
「冗談ですよ…家系は本当ですけど…」
冗談も言えるようになったのか、ショコラ。
「ショコラさんの家系ですの…さぞかしすごいのでしょう?」
「そこは…もう…ふふ…w」
ショコラのオーラがさらにどす黒くなる。
見えないけれどびりびり感じる。コワイ。
「へー…てか藁、何それ?」
アイリが聞く。恐いもの知らず。
「どーでもいーだろそんなこと。一応オレもいろいろ投げたし」
「投げるなよ」
「んじゃ飛ばしたし」
「飛ばすなよ!」
「んじゃショコに攻撃したし」
「やめろよ!あんたそれでも神サマか!」
「一応。最近鈍っててさー」
「私もですよ…みんな気づかなくて…」
「だよなー、だよなー。この辺に近づくと敏感な奴は気づくんだぜ?」
見渡してみると本当にポケモンがいない。
「私もいるから尚更…」
「オレとコンビ組んだら最強だぜ?」
組んだらいろいろ終わります。
「確かに。てかまたどこかに行こうと思うんだけど…リクエストは?」
「モエギ草原!」
「シオンタウン…」
「どこでもどうぞ」
「海がいいですわ!」
「オレあんま遠くに行けない…いや、行けるな。ウバメの森に行きてぇ。友達がいるんだよ」
そう言うとハクアの入ったぬいぐるみが地面に落ちる。
しばらくするとまた宙に浮かんだ。
「オッケーッ!次に起きた時が怖いけど!」
「どこが変わったの?」
「…言ったって分かりませんよ…それ…疲れるでしょう…?」
「ああ。起きた時頭がぐわんぐわんする」
「じゃ、目的地はスオウ島で宝探しね」
「「えぇーっ!?」」
みんなの一斉ブーイング。

「全ての権利はトレーナーのあたしに有り。さ、いくよ!」
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えるる #23☆2005.02/09(水)20:17
エピローグ

ホウエン地方、どこかの秘密基地。

一人の少女が青い装丁の本を閉じる。
「へー。結構よく書けてるじゃん。手紙で無理矢理頼んだのに」
「うわー…スイウさんかわいそ…」
となりにいたプラスルが言う。
「住所も分からなかったからコガネにいたブラッキーに頼んだんだけど…うん、スゴイ」
「よく届いたね」
「奇跡ですわ…」
後ろのマイナンとエネコロロが呟く。
「1ページ足りなかったけど…どうしたんだろ?」
「きっと…風の吹き抜ける海を…漂ってますよ…」
膝の上のロコンも呟く。
「でもオレの出番少なかったなー。すげーのに、オレ」
「しょうがないでしょ、ぬいぐるみなんだから」
「でもよー…」
不満そうな声で喋るジラーチぬいぐるみ。宙に浮いている。
「ま、いいじゃないですか」
サーナイトがなだめるように言う。
「てかそのブラッキー、オレに心当たりが…」
「へ?」
「スイウ…翠…あ!思い出した!」
「何?」
「そうだ…あの一人だ…」
「はい?何ですの?」
「とりあえずオレの知り合いのとこの知り合いだ!」
「わかんないよ!」
マイナンが言う。
「わかんないか?んじゃ、会ってみるか?そいつに」
「うん。ヒマだしお願い。これ返してきて」
少女がサーナイトに本をわたす。サーナイトはテレポートでどこかへ消えた。
「長旅になりそうだけどな…ま、久々に会うのも悪くないか」
するとぬいぐるみはぶつぶつと何かを呟き始めた。
「…また高度なのを…」
「何?何?」
戸惑うプラスル、平然としているロコン。
するとどこからかキキーッという耳障りな音が聞こえてきた。

「さあ、来るぜ!!」

空物語〜雲の巻〜
        E N D
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[470]

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ぴくの〜ほかんこ