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乱蘭 | #bak1★2005.01/27(木)22:01 |
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「お嬢様」とは名ばかり〜真実の理由〜 一話「プロローグ」 「まったく…」 手にした企画書には厄介な依頼が書いてあった。 その名も「クイーンとキングの真実」 クイーンとキングというのは、「生徒会長」と「副会長」のこと。 その二人はタックバトルのパートナーとして。 また、シングルスの優勝者としての仮名だ。 クイーンの会長「久野 彩」(くの あや)は、 大きな会社のお嬢様で「称号」が「回生のトレーナー」 キングの副会長「新居橋 帝」(にいばし みかど)は、 両親は交通事故で死んだとか・・ 「称号」が「バランスのトレーナー」 ちなみに「称号」とは、この「聖ポケアメンス学園」の生徒に与えられる仮名みたいなもの。 おっと人の紹介ばっかりじゃなく自分の紹介もするよ。 俺は新聞部の「盛羅 義貴」(せいら よしたか)。 「称号」は「鏡のトレーナー」 第一にキングとクイーンは謎だらけで、しかも学園1恐れられている。 特別等の最上階が生徒会長室で、鍵がかかっていては入れる人はほとんどいないし、カーテンも閉まっているから中が分からない。 でも、今はチャンスだ。 窓が開いているから一番見やすい気の上に上っている。 だが… 「うわっぁ」 身を乗り出したら安定が悪くなり地上に落ちる! どすっ…と鈍い音と共に砂ぼこりが舞う 「危ないじゃない。木登りは校則違反でしょ」 この声は… つづく |
乱蘭 | #bak2★2005.01/23(日)16:57 |
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2話「言葉」 「黒パンツ…」 「・・あのね、もうちょっと雰囲気をつかめないのかしら?」 黒パン・・じゃなくて、その声の主はまぎれもなく会長。 しかも上っていたのは学校開設記念の大切な木だった。 「すっすいません!」 「まったく…気をつけてください。」 「はい。」 「フシギダネ。この紐をつかってあの気の補強をしてくれる?」 「ダネっ」 背中のツボミからツルを出し、紐で折れた枝を直した。 「気をつけるのよ。それから、あくまでも生徒会室を除こうとはしないでほしいわね。」 「はっはい!以後気をつけます会長!」 「・・会長じゃなくて「絢さん」でいいわ。今までと同じように」 「ぇ?」 「別に深い意味はないの。深く考えないで…」 いったい何が言いたかったのは分からないが、何か心のそこで動くものがある気がする。 のどに小骨が詰まったような気分だ・・ 「たかちゃんったーかーちゃーん!」 「んあ?」 「んあ?じゃないの! まだ記事できいないのに居眠りして・・ また部長にしかられても知らないよー?」 「…お前が調べろよ・・これ・・」 「やーだ。これ以上お姉さまとはかかわりたくなーいの!」 この会話からして、分かる人は少ないと思うが この「たかちゃん」と呼ぶのは 「久野 利耶」(くの りや) 苗字を見て分かると思うが絢の双子の妹。 称号は「薔薇のトレーナー」 「何だよ兄弟の癖に…」 「だってぇー…」 この二人兄弟の癖に全然似てない。 外見から性格までもが反対で、とても同じ親から生まれたとはいえない。 「そぉーだ! 今度のトーナメント、ペア組もうよ!」 「いいけど・・別に・・」 「なぁによ。 まさかまたお姉さまと組みたいとか考えてるんじゃないでしょうね!」 「はぁ?俺がいつそんなこと考えたって? 何年何月何日何時何分何秒?!」 「・・もういいもんっ…」 「うわっなくなよ! 泣くなってば!」 意味わかんないし。 だいたい組もう思ったことなんて一度もないし 会長とは学年が三つも離れてる。 兄弟そろっていったいなにわけ分からない言葉を俺に言ってるんだよ。 窓から顔を出すと寒すぎる冷気が頬に当たる。 いつもより寒くく感じる十二月は 心のどこかを凍らせる つづく |
乱蘭 | #1★2005.04/08(金)17:34 |
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プロローグのあった場所です。 このころはまさかあんな結末になるとは思わなかったなぁ・・ 多分ここには全然違う物語が書かれるはず。 |
乱蘭 | #2★2005.04/08(金)17:36 |
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第2話「黒パンツ」の跡地。 何故こんな題名になったのか自分でも分からん。 とにかく都合上ぴくしぃに物語りを書くことはないだろうと思える。 |
乱蘭 | #3★2005.01/23(日)17:00 |
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3話「フシギダネとユンゲラー」 学園内がざわつき始めた。 明日は冬休み前の、学園トーナメントの日だ。 一週間にわたるこの競技は、生徒が一番楽しみにしている行事だった。 『 聖ポケアメンス国立学園大会 競技内容 ・シングルバトル戦 ・ダブルバトル戦 ・コンテスト戦 注意事項 生徒は必ず1つ以上の競技に参加し、クラスごとに 会長室に届けること 』 「利耶。コンテストに出るのか?」 「うんっ。 もちろんダブルバトル戦にも出るよ。」 学園内にある七個のスタジアムで、決まった曜日に決まった競技が行われる。 その間授業はないが、この大会は自分の称号に記録が残るので 皆張り切っている。 ちなみに会長と副会長にトーナメントで当たったやつは運が悪い。 会長のじわじわ吸い取って回復する戦い方と 副会長の状態異常を使う二人のコンビネーション技が痛い。 いや、それ以前に戦略なしでも強いが… 「じゃあさ、ためしにわたしと勝負しようよ。」 「腕試しに」 「由宇。私のフシギダネ知らない?ポロックあげようと思ってたんだけど」 「あっ、絢。俺のユンゲラーもいないんだけど」 「へんね。ポスター張りするときいたんだけど」 「まさか・・」 「あれ?なんでこんなところにフシギダネが?」 試合をするため校庭に移動している俺と利耶の後ろに二匹のポケモンがくっついてきた。 「これ…お姉さまのフシギダネと、副会長のユンゲラーじゃない?」 「何でこんなところに・・」 するとユンゲラーの尾っぽあたりになんかついていた。 「これ・・」 つづく |
乱蘭 | #4★2004.11/28(日)11:51 |
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四話 「写真」 何かきらりと光る紙がついていた 手に取ると写真だった。 そこには見たこともないポケモンと、それを抱いている 少女。 それをはさむように二人の少年が立っていた。 名札がついているが反射していて見えない。 「ピジョッ」 その写真をもっとよく見ようと動かしたとき、ピジョットが 俺のてから奪っていってしまった。 その泥棒(と思える)ピジョットは、特別棟の方に飛んでいってしまった。 それに続きフシギダネとユンゲラーも同じ方向に走っていってしまった。 「イマの写真・・」 あの写真に写っているのは知らない人たちだった。 だけど、どこかで見た写真だった。けれど、思い出せない・・ 「なにやってるの? 早くしようよ。時間なくなっちゃう」 「うん・」 「チリタリス! ドーブルにりゅうのいぶき!」 「ドーブル! よけてスケッチしろ!」 利耶のチリタリスの攻撃はパターン化しているが、チリタリスの弱点をつくのはなかなかむずかしい。 ただ、ドーブルのスケッチであればたいていのドラゴンタイプには攻撃できる。 『チリタリス戦闘不能。 貴の勝ちっ』 ガイドしているのは最機能の「バトルガイド」だ。 この学校の生徒なら誰でも使用できる便利な自動ガイドだ。 「あーあ・・やっぱり負けちゃった・・」 「攻撃は計画的に」 「・・CMのまねですかぃ」 「ばれた?」 「ばればれです」 なんて変な会話を何気なくしていると、写真のことを思い出した。 「ごめんっ! 俺先に帰るわ」 「ちょっ…ちょっと貴っ」 利耶が呼び止める暇もなく、俺は全速力で家に帰った。 「見られたかしら?」 「別に見られても害はないだろ? 貴はもう忘れているんだ」 「でも、簡単に解けてしまう・・。 忘れさせたのではなくロックをかけただけなのよ? もし、この写真を見ていたら分からなくても少し解けてしまうのよ」 「その時は全てを話す。 どうせそう長くは持たないだろう?」 「近いうちにその時が来るわ」 「心の準備が必要だ。絢。」 「分かっている」 つづく |
乱蘭 | #5★2004.12/10(金)20:59 |
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夜の商店街は、ネオンの光と人々の声で埋め尽くされていた。 聞いてしまったんだ… 会長と副会長の会話を… 何を「覚悟」するのだろうか? 自分にみんなが隠していることは何か? それだけで頭がいっぱいだった… 結局優勝できないまま終わった大会も、ほとんど記憶がない。 全てあの言葉でいっぱいだった… 五話「あの言葉」 朝は寒い。 俺は冬休みの間、アルバイトをしていた。 明日がクリスマスイブであったこの日は仕事がやたらと多い ポッポのムークとともに、町内の宅配をする。 「次は…あぁ、隣か」 マンションの内部はやたらと数が多いことは、自分の体で体験しないと分からない。 呼鈴をならすと、ばたばたと音を立ててドアが開いた。 イマはまだ7時なので、出ない家が多かったが… 「すいませ…」 てできた女の人の顔色が変わった。 まだ起きたばかりのようで、眠そうに目をこすっている… 茶色がかったセミロングが爆発。 「カイチョー?」 パジャマを着ていて、髪形も違うけれどこのひとは「会長」だ。 ビックリしてカタカナ言葉になってしまった・・ 「ありがとう・・はい、ハンコね・・」 俺の言葉を無視して信じられないという目のまま、ハンコを押した。 「これ…来ないと損するからね・・」 渡されたのは紙切れだった。 『明日の夜六時に、いつものところで…』 それだけが走り書きで書いてある。 足元がゆれるほどの勢いでドアが閉まった。 頭に浮かぶのは会長の顔だけ。 心が締め付けられるように痛い。 うるさいくらいに張り裂けそうな鼓動の高鳴りは、一体・・ 何を意味しているのだろうか… つづく |
乱蘭 | #6☆2004.12/10(金)20:58 |
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いつのことだろう よく夢に 手を振っている君がいた・・ 「君って?…」 六話「思い出の場所」 「いつものばしょ・・か・・」 利耶の家から帰ってきて何気なく時計を見ると 時刻は六時半すぎであった。 テーブルの上のメモを見ると 『明日の夜六時に、いつものところで…』 とだけ記してあるだけだ。 『来ないと損するから』 「・・損? なんで・・」 そんな疑問を持ちながらも、いってみたい気持ちは山々だ。 けれども、「いつもの場所」って・・どこだろうか? その時呼び鈴が鳴った 「はいはい。だれですかっ…!」 それは黒いオタチ… このオタチ、大会で見たような・・ 確か決勝戦で・・ 「会長のオタチ?!」 きゅーきゅーないてるオタチは確かに会長のだ。 「だめじゃないか ほら帰らないと心配するよ。 ・・ってちょっ ちょっとどこ行くんだ!」 ちょこちょこ小走りで階段を下りるオタチを 俺は夢中で追いかけた。 アパートをでて、商店街の真ん中突っ走って、学校の校門くぐって・・ 校門?! 気がつくとそこは屋上で、人影が見える。 「あいつ来るのかな?」 「さぁ。…でも、来るよきっと。 ほらね」 小さめの男らしき人影に指を指されてちょっと ビビッタリした俺。 よく見ると人影は 「柊山 和貴」(ひいらぎやま かずたか) 「七梅雨 泰」(ななつゆ ゆたか) 「室柁 真」 (むろだ しん) 「大口 詩織」(おおぐち しおり) 称号は上から「樹海」「雨天」「雷雲」「氷点」のトレーナーと 会長と副会長。 いずれも学校中の注目人物だ。 しかし、なんでこんな人たちが 俺なんかに用があるのだろうか・? 会長が手を振っている… その光景はまるでどこかで見たような 懐かしい光景であった… つづく |
乱蘭 | #7☆2004.12/11(土)22:38 |
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ただ君を見ているだけで 俺の心には 何か言葉では表せないような 感覚が走った。 もし君の心理を知れたら… 七話「鍵がかけられた記憶」 「おい。盛羅、ここに座れよな」 「はっ・・はい・・」 いきなり室蛇先輩に話しかけられたので少し戸惑う俺。 けれども皆の表情はあたたかい まるで、「友達」を見る眼差しだった。 「だーめ。真君の隣じゃなくて、この世界の美少女「詩織」ちゃまの隣に座るんでース。」 「はいはい…自称世界の美少女さん、落ち着きないし」 一見ふざけているように見えるが実際本性だったりするアア愚痴先輩の言葉に会長がとげを刺す。 「貴。今まで無理に思い出させたくないと思っていたんだが、急遽予定変更だ。 今すぐに思い出してもらう」 「はぃ?」 俺の頭は?マークがぎっしりである。 いきなり呼ばれていきなりそんなことを言われたら誰だってそうだが… 「よっ・・」 「!!℃£★」 イキナリ会長に手を握られて、声にならない声を上げた。 そのまま、俺の記憶はそこでおしまい。 次、目を開けたときに 目の前には意外な光景が広がっていた… つづく |
乱蘭 | #8☆2004.12/14(火)19:27 |
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ここは…どこだろうか? すべて今までのことが夢のような気さえするほど 長い時間を とても長い時間を さまよっていた気がする… 八話「光とは導きのためにあれ」 「く…」 「気づいたか?客人」 「・・どこだよ・・ここ…」 「心配するな客人。そなたは死んだ訳ではない」 「じゃあここは何処なんだよ?地獄か?オマエは死神か?」 「死神など人聞きの悪いことをぬかす小僧だな。よかろう教えてやる。ここは…「記憶の墓場」だ」 「記憶の墓場?」 「さよう。ここは死んだものの記憶や必要ではない記憶を葬る場所」 黒いマントを羽織り、月のペンダントを下げている奇妙なヤツは意味の分からないことを言った。 男か女かも分からないが、体にくる重々しい声が この不思議な空間にに響き渡る。 「我は「ブラックムーン」。真実を守るこの城の神官だ」 「で、なんで俺はここにいるんだよ?」 「そなたは鍵を持つものにコチラの世界に送られた。そなたのソなたの鎖は今にも切れそうだが、その鎖を切れるのは姫のみ」 「じゃあ、さっさと切ってもらおうじゃねぇか?皆が隠してきた真実を知りたいんだ」 「覚悟はできているようだ・・」 板がきしむ音とともに「姫」とかなんとか言うやつが出てきた。 「悲しみは蘇らす事は今憎しみを呼び覚ますことに等しい。もう二度と繰り返してはならぬ」 一歩一歩近づいてくる人影。それは 白のマントを羽織、輝く太陽の杖を持つ姫だった。 「全ては尊い命の犠牲を生むことがなかろうことを祈る…」 腰のモンスターボールが突然と輝き始め、中に浮かび上がった。 …おかしい… 俺の持っているポケモンは四体。 なのに五体有る。 そして、そのうちの見慣れないモンスターボールが光っている。 「我が命令の元この代価が釜となることを契約する」 つづく |
乱蘭 | #9☆2004.12/16(木)21:32 |
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目を開けるとそこは懐かしい風景が広がっていた。 「小等部の保健室」 そこは、自分にとっての大切な場所であった。 けれども何が大切なのかは分からなかった。 怪我をしてここに来ても何も大切な物は見つからない・・ けれど、今は感じる「大切なもの」 九話「魂に値するもの」 手に握っているのは多分あの釜だろう。 光るモンスターボールが釜に変化し、俺がそれを握ったらまばゆい光が俺を包んで…ここにいつの間にかいた。 けれども、自分はそこに存在するものではなかった。 そこは自分の過去。 こままでの足跡を見ていただけであった。 その時間は俺の記憶となり、よみがえった記憶から自分の本当の 「意思」 が注ぎ込まれた。 重い過去と自分の侵した罪は未来の俺を幸運へと導くのだろうか? それとも、これは夢なのか…… 「…し! た・・し・・! 貴!」 会長の呼ぶ声で目が覚めた俺がいたのは会長室のソファーだった。 不安ながらも安心した気持ちの混ざり合った顔の副会長は、何か小瓶のようなものを持っていた。 「分かるか?これが…」 「魂?」 「そうだ。未練のない魂。 完全な球体の魂だ」 「これはたぶん、貴の記憶の魂よ。本物の記憶が入ると前の魂が出てしまうの。 本物の魂が入るから」 その時だった… 静かなはずの会長室に爆音が響き渡った。 破壊されたドアの前に立っていたのは、何かの鎖に縛られた物体であった。 いや、「人間」だ。 「チェーンソウルだ!」 チェーンソウル…それは悲しみと憎しみの魂に取り付くポケモンのこと… それの力は大きく、普通の人間には使えないが、悲しみと憎しみで「受け入れる器」が大きくなると己の魂を食い尽くすまで強力な技を繰り出す…。 それは 世界の絶望を あるいは・・ 宇宙の絶望を 「招きかねないポケモン」 つづく |
乱蘭 | #10☆2004.12/17(金)20:46 |
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人生は短いけれど その短い間に どんなことが待ち受けているかなんて誰にも分からない。 悲しみか、憎しみか、怒りか、愛か… それぞれの色でそまった自分は もう上から塗りつぶすことは できない 十話「孤独と人生」 「り・・や…?」 まさしくそこに立っているのは利耶であった。 けれどもそれは「利耶」ではなく… 何か別のもののようだった・・ 「キサマラゼイインコロス…」 抜け殻のような利耶の体に巻きつく憎しみの大蛇・・ それこそがまさに「チェーンソウル」だ。 その大蛇は糸を吐き、俺達は身動きができなくなってしまった。 避けようにも目にも止まらぬ速さで飛んでくる攻撃はいくらすばやさが高いポケモンでも逃げられないだろう。 絢がボールを投げてブースターに糸を焼いてもらうが 焼いても焼いても再生する。 「完全無敵って分けかよ」 「ワレニコウゲキハデキヌ…」 「だったらこっちにも考えがある。」 和貴がボールを投げると、鍛え抜かれたチャーレムが姿を現した。 「チャーレム!ひかりのかべ!」 「ムダダ…ワレハムテキ」 輝く破片となったひかりのかべも糸を裂くがまた再生してしまう。 それどころか次第に量が多くなり、繭のようになってきた。 「泰!この糸の成長を止めないか?」 「したいけどどうやってしろって言うんだ!考えろよ真も」 「分かった!泰のルンパッパですいとらないか?」 「そうか!ルンパッパ、やどきりの種だ!」 見事命中!だが… 「俺達の体力も奪われるだろぅが、これじゃ・・」 「こんなときこそ世界の美少女詩織の出番!」 「こんなときこそ真面目にしろよ…」 「ルージュラ!ふぶき!」 しかし結果は毎回同じで、反対に俺達が凍る羽目になった・・ つづく |
乱蘭 | #11★2004.12/22(水)22:07 |
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実は今までの記憶は植えつけられたもので 前の記憶は悲劇で 前の記憶がもどって このまま重い罪を背負って 前にすすむ。 自分が自分であるために 11話「罪色」 「だからまじめにしろって言っただろ!」 半冷凍状態の繭の中で絢が叫んだ。 「だったら、何か考えはあるの?」 「…ある・けど・・」 「何?」 「今思い出してるんだってば!」 「もしかして、この前読んでた「ああ無効」の内容?」 「由宇…ああ無効じゃなくて、罪無効。」 「別に同でもいいし・・」 「よくないでしょ!」 本当の記憶が戻っていなかったらこの人たちの素顔に驚いていただろう。 けれど、この状況は昔、よくあった出来事だった。 今は、「生徒会委員会」の殻を脱ぎ捨てた会長と副会長。 生き生きとした姿は、今までとは全然違った。 「えーと・・そうだ!」 「何々?!」 「『罪色に染まった心を時の鎌で裂き、そのさきには・・』」 「どういう意味?」 「っぃった… おい貴、その鎌直せよ。」 「鎌?・・もしかして…ちょっと貸て!」 絢は俺の手から鎌を乱暴に奪い取り、繭を切った。 「ムダダ・・ソノマユハ、キズツケルコトモデキナイ」 「それはどうかな・・利耶・・」 「リヤ・・?ソンナナマエキイタコトガナイ・・!?」 さっき傷を付けたことろは、見る見るうちに穴が広がって 俺達を繭から解放した。 「たとえどんなことがあろうと、解決はできるんだよ。」 「絢…」 そう、今から七年ほど前だろう。 あの時、まだあの時は貴は記憶は失っていなかった。 広間に筆箱を忘れたので、放課後取りに行ったら、貴と絢が喧嘩していた。 いつものことなので、とめようとはしなかったが・・ 『黙れ馬鹿!』 『あんたみたいな馬鹿に馬鹿とは言われたくはない。』 ふざけているようにしか見えない貴と、あくまでも冷静さを保っている絢。 不釣合いで、釣り合っている。 そしてあの後、貴が絢の好きな人をばらした。 そのまま絢は泣いて出て行って… 今でも覚えているあの光景。 貴が記憶を無くした時、絢は「解決できない物事はない」といった。 突然の告白。 今の気持ちは絢と同じ。 「好き」 「好き」があれば「嫌い」もある。 それはあのポケモンが好きとか、嫌いとか、そういう感情ではなく、愛しているという意味。 その「好き」と「嫌い」の二文字が、憎しみを生むことも有る。 そう・・ 今の利耶のように…。 つづく |
乱蘭 | #12☆2004.12/23(木)11:13 |
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私は親友として ずっといっしょにいて 喜びと悲しみを分かち合って 子供っぽい私はいつも前にすすむ道を分かっている 絢にあこがれていた… 十二話「戦い」 「利耶…ゴメン」 「ナゼアヤマル。スギタコトナドオボエテイナイ」 「ゴメンね・・」 あんなに落ち込んでいる絢を見たのは久しぶりだろうか。 確か、七年ほど前にすごく落ち込んでいた時期があった あの時は貴が言わなくていいことを喋った。 そして、泣くよりも、怒るよりも、深い悲しみを背負った。 その悲しみを隠すように、絢はポケモンを育てるのに熱中した。 そのおかげで今の絢がある。 最初は落ち込んでいたけど、「悪いのは私だった」と言って 日に日に元気になっていった絢を私は親友としてみてきた。 けれども、心の傷は決して癒されない。 絢の心にはもっと大きな傷が残っているのを知っている。 その時だった。 まぶしい光があたりを照らし、そこに道ことのないポケモンが現れた。 「お久しぶりです。ご主人様」 「り・・リーフェ!」 そのポケモンは写真に写っていたポケモンだった。 そしてその写真に写っているのは 「絢」「由宇」「リーフェ」…そして俺だった。 記憶が戻ってから思い出したリーフェの存在。 八年ほど前、絢が拾ってきた見たこともないポケモンを 三人で育てたんだ… 「チェーンソウルを倒すには、あなた達の力が必要です。そのポケモンを信じ心が強さに変わるのです。」 「ポケモンを信じる力・・?」 「戦いなさい。繰り返さないために・・」 「戦って…意味はあるの?」 「少女の魂を奪う前に、ソールチェーンを倒しなさい。早くしないと少女の命はない」 「分かった・・」 みんなそれぞれ、今までともに戦ってきたポケモンと共に新たな戦いをする。 それは、自分自身の戦いでもあった つづく |
乱蘭 | #13☆2004.12/24(金)21:31 |
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俺は少し口が軽くて そのせいで一人の大切な人を傷つけてしまって でも、それをポケモンとみんなが慰めてくれて だけど心の傷が癒されないのは一緒で だから誓った。 13話「強い心」 「戦って・・利益はあるの?」 「分からない。けれど、このままでは世界が危ない」 「その世界のためにたった一人の妹を殺せって言うの?大切はポケモンで…」 「ちがう。おそらくまだ完全に食われていない。魂さえ残っていれば…」 「ちがう・・一度失ったものは取り戻せない・・絶対に」 「私は不可能を可能にすることができる」 「けれども違う。私が癒してあげないと意味がない・・」 皆は黙り込んで、今にも涙があふれそうな絢の目を俺は見つめた 変わっていない。 強がっていても、本とは泣き虫のまま。 あの時も君はそんな顔をして俺に言ったよね 「一度失って物は取り戻せない」と。 傷ついた絢の心を誰も癒せないことは分かっている。 けれど、誰かが支えないと君の心は消えてしまいそうだった・・ 「戦う。世界で一番の私の妹のために・・」 「いい・・のか・・?それで・・」 「大丈夫。きっとできる。由宇・・あなたがいるから」 「絢…」 絢はそういい終わると、顔を軽くたたいていつもの顔に戻った。 けれども君は強くない…だけど、強くなれるよ・・君なら。 「ラプラス・・信じているわ・・」 勢いよくボールを投げると、美しいラプラスが姿を現した。 それを合図に、皆が投げた・・ 自分自身の戦いのために・・君のために・・ 「ラプラス!波乗り!」 「ムダダトイッタダロウ・・」 「どこが?」 「ナッ・・」 みるとソウルチェーンの硬そうな体は見る見るうちに溶けてきた 「いいぞ絢。ユンゲラー、サイコキネシス!」 「続け!ルンパッパ!あまごいだ」 「ルージュラは冷凍ビームよ!」 「デンリュウ!かみなり!」 不利に思えた戦いは、逆転し有利となった。 「ソンナハズハ…」 とけていくソールチェーンは、利耶の体だけを残して消えていった。 けれども、利耶が生きている保証はない。 絢が利耶の体温を確認すると… つづく |
乱蘭 | #14☆2004.12/25(土)20:54 |
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過去と未来がぶつかり合って そして今が在って もし時間が戻せるとしたら 平和だったあのころに戻りたい… けれどもそれは出来ない。 僕らが歩いてきた道をもう一度 …振り返ることは出来ない… 14話「尊いもの」 「利・・耶・・」 静かな生徒会室の中にポケモンたちが戦った後と 僕達が暴れた後と ソールチェーンの死骸と…利耶の亡骸が残っていた。 枯れるほど泣いた絢の目には、血の涙が浮かんでいた。 「ごめんね。利耶…助けられなかった」 「だけどあなた達は戦った。それだけでもいいでしょ・・」 「リーフェ…あなたは一体何者なの?」 「何もしないで失うよりも、何かして失ったほうがいいの。私は太陽の姫君。「サン・プリンセス」。ただ人の死を見届け、記憶を守るもの」 「だから・・だからなんたっていうの!?私はたった一人の妹をなくした…」 慰める言葉も、かけてあげる言葉も見つからない僕達は見守っているしかなかった。 「そろそろ時間です。城に戻らねば」 「まって!リーフェ…私達は何のために生きているの?」 「その答えを見つけるのが人生です。」 消えて行くリーフェの姿は最後には人間の形になった。 それは、あの神官がいた城の姫君だった。 「…絢・・」 「由宇・・みんな・・もう少しこのままでいさせて・・」 「分かった」 利耶を襲った恐怖と悲しみは、「嫉妬」。 利耶は姉の絢に全てを取られてしまった。 「勉強」「コンテスト」・・そして、「俺」という存在を。 その嫉妬から生まれた憎しみをソールチェーンは食べにきた。 けれども、絢は利耶よりも重い苦しみと悲しみの傷を ずっとずっと今まで引きずってきた。 その悲しみの元が「貴」・「俺」だった。 彼女の過去に背負った悲しみは… つづく |
乱蘭 | #15☆2004.12/26(日)19:12 |
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僕があの時 あそこにいなかったら こんなことにはならなかったかもしれない だけど もしそうだったときの今の自分なんて考えられないほど 君は僕にとって かけがえのない存在なんだ… 15話「あの時、あの場所で・・」 今から八年も前の話。 聖ポケアメンス学園の小棟部の裏庭に、昼休みに行った時のことを君はまだ覚えているかな… 「はらへった〜・・飯〜・・」 今にも倒れそうなくらい空腹の俺は、日差しの強いこの校庭のどこかに日陰はないかとさまよっていた。 別に教室で食べてもいいのだが、今日はなぜか外に行きたかった。 ちょうど腹の虫がなったとき、小棟部の裏庭に俺はいた。 涼しい裏庭は、どこか寂しげで… 「にゃあ!」 ずいぶんと下手な猫の鳴きまねが聞こえた。 …というか悲鳴だ。って・・人が上から降ってきた! 「いたたた・・」 「だいじょうぶ?」 いや、そんな気の聞いたセリフを言ったのは俺じゃなくて その人に近づいてきた人影だった。 で・・その落ちてきたのが絢だった訳。 しかも気の聞いたセリフをいったのは由宇で 二人の運命?の出会いの現場を目撃したのが俺、「貴」だった訳。 そんなこんなで裏庭であった僕らは気が合う友達としてスタートした。 で、なんで絢が空から落ちてきたかというと・・ 木の上から落ちてきたポッポの卵を、もどしに行った時 バランスが崩れて落ちちゃった・・と。 そんな運動神経で木の上に上るから… で、「超運動オンチ」の絢、「目立ちたがりや」の由宇、「超落ちこぼれ」の俺との、ねじれにねじれて360度回転した関係の真実?は・・っと・・ もうこんな時間だ! じゃあ続きはまた次! つづく |
乱蘭 | #16☆2004.12/27(月)15:32 |
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たとえ何があっても あなたを攻めたりなんてしないわ 全て私が悪いの 「ごめんなさい」って謝っても もう二度と取り戻せなくなるものもあるから どんなに謝っても 傷が癒せるわけじゃないから… 16話「過ちと過去」 いまさらあんたを攻める気にはなんないし もう過ぎたことだから、いまさら言っても遅いわね。 ねぇ、あのときの会話覚えてる? 八年前、放課後に話したこと… 「あーあ・・傘忘れた・・」 「私も〜」 朝はあんなに暑くて、太陽もカンカン照りだったのに ヨリにもよって、帰ろうとしたとたんどしゃ降りってことはないでしょ! しかも、傘を忘れて残っているメンバーがこんな組み合わせって有ですか?! …まぁ、いいかな・・ 「ピッチャー貴!第一球を投げましたぁ!」 ドアを開けたとたん、貴の声とともにモンスターボールが私めがけて飛んできた。 そこまでは、いつもどうりだったんだけど・・ 今日はついてない・・ 自慢の高い鼻に当たったうえに、出てきたのはメタモンじゃなくて、トゲピーだった。 「いったぁ〜…何すんのよバカシ!」 「何度も言うけどおれは「馬鹿し」じゃなくて貴だ!」 「能無しカカシ野郎!馬鹿変体ドアホ!」 「あーあ・・また雷が落ちるよ」 「本物と一緒に落ちたから迫力満点」 なによなによ、貴と真はともかく由宇君まで言って! 「だいたい俺の何処が変体・・ぶぁっ」 「そぅいぅ所!」 「kO!」 「真、由宇君、そう言う突っ込みは・・いいかげんにしろ!」 毎回毎回何かで転ばせてスカートめくる悪趣味な野郎は 毎回パンツを見て、「また黒かよ!」と言う。 しかーし!今回は違うわ! 今回は白よ!・・とか威張って言っている場合じゃない。 「姉貴、こいつどうしますかぃ?」 「始末しましょうかイ?」 「そうね!それがいいわ!こいつを始末すれば、こんなする再毎日からオサラバ&地球がきれいになって、いいことづくし!」 由宇君と詩織と、冗談話をしていると、真が割り込んできた。 「じゃあ姉貴、こいつ黙らせとくからちょっと来てくださいよ」 「何よ。もぅ・・」 教壇の後ろに隠れて、なにを話すかと思うと… {なぁなぁ、好きな人、いる?} {はぁ?そんなこと聞いてどうするのよ} {いいからいいから、教えろよ} {別に教えても利益はないし} {じゃあそいつのことを調べてきてやるから} {本当?} 半信半疑だったが、真剣な顔で迫られて裏切ると言うことはなさそうだと思い、ついしゃべってしまった馬鹿な自分。 {じゃあ…いいけど・・} {誰々?} { ゆ・う・く・ん } {ありがとっ!} 別にどんなことがこの先おきるかも分からなかったのは 私だけじゃない。 真もだった… つづく |
乱蘭 | #17☆2004.12/28(火)16:29 |
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命をかけてもお前を守る・・ そういうと、君は怒るよね。 「勝手に死なないで!」・・と。 そう、彼女は目の前で自分のために人が死に掛けたとき 悲しんだ… もう泣き顔を見たくないから だから、僕はいつもそばにいるんだよ・・。 「絢」・・。 17話「最悪な一日」 もう過ぎたことを悔やまない・・ それが俺様と絢の進み方。 今日の気分は最悪だ。 宿題を忘れて、しかも怪我をした。 今日はバスケがあるのに、掃除したときに筆箱を忘れてしまったので今から教室から離れた理科室に取りにいかないといけない。 「あれ?」 だれもいないはずの理科室から怒鳴り声が聞こえる。 そっとドアを開けると、絢と貴が何か言いながら実験をしていた。 「あんたのせいで、また居残りになったじゃない!」 「知るか! ビーカーの液体を零したのはオマエだろ」 「あんたが押したから零れたのょ!」 どうやら今日の実験は「ピーピーエイドを作ってみよう!」 だったらしい。 巻き込まれると災難なので、きずかれない様に入った。が… 「あれ?新居橋君、どうしたのょ?」 「あ・・ぃゃ・筆箱を忘れたから・・ちょっと」 「そう。」 「由宇〜久野がいじめる〜」 「いじめてないし・・。大体あんたが教科書に零したから・・」 いつものことだし、心配する必要はないろう。 かかわると災難だし・・さっさと取って戻ろうとした時・・ 「由宇〜久野が言いたいことがあるんだって〜」 「はぁ?なに言ってるのょ・・さっさと火をつけてよね!」 「盛羅・・手伝ってやれよな・・」 「久野が由宇のこと・・」 そこからははっきり覚えてる・・ 次に貴が口を開くと、とんでもない言葉が出てきた 「好きなんだって〜」 一度赤くなって、真っ青に変わった絢の顔は、今でもはっきり覚えてる。 教室から背を向けて飛び出して行った時、かすかに絢の目から涙が零れ落ちているのが見えた。 かける言葉もなく、去っていってしまった絢がどんなに傷ついたか知っている。 「貴・・手伝うよ・・それから誤れよな・・」 「ぉぅ・・」 しかし、最悪はここで終わらなかった・・ そのことがずっと気になっていた俺様は、バスケの練習のとき 誤って滑って、骨折してしまった・・。 おっと・・もうこんな時間だ。 続きがどうなるかは貴に聞いてくれよな。 つづく |
乱蘭 | #18☆2004.12/29(水)09:59 |
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大体いつもオマエは偉そうな口聞いてるけど 本当はヤバイ位のドジ野郎だぜ・・まったく・・ 横断歩道を渡るときは手を上げろ! コップは両腕使って二個まで! バケツは一度に二つまで! ・・おまえといるといつもヒヤヒヤの連続だぜ・・まったく。 でもさ、オマエといるときが一番すきなんだよ。 だからさ、心配かけるようなことすんなよな? オマエのことを心配しているヤツが沢山要るって言うのに・ まあ、鈍感だから仕方ないけどな・・絢。 19話「危険人物」 昨日のことがあって、絢に誤れないまま放課後になってしまった。 絢は絢で口を訊いてくれないし、さっさと帰る支度をしている。 そこに絢と大口の会話が飛び込んできた 「絢〜・・ほんとに一人で行くの?」 「ぅん・・ちょっと気まずいけどさ…」 「大体、なんで練習中に滑るかな・・」 「あはは・・外がちょっとフシギなんだよね。スポーツ万能なのに」 「考え事でもしてたんじゃないの?まぁ、病院で騒がないようにね」 「わかってるって。」 「あっちは動けないんだからさ、押し倒して・・」 「何危ない想像してるのよ?私はあくまでも貴が変なことを言ったから由宇君にあやまりにいくのよ?」 「はいはい・・じゃ、気をつけて行ってらっしゃい」 「うん!」 勢いよく飛び出していった絢の姿を見届けた大口は「さて、私も帰ろうかな・・」と言った。 まてよ・・今の話が本当なら、絢は由宇の見舞いに行くってことか? 走って校門から出て、絢の姿を一番に探した。 この辺で一番近い病院といったら、国崎病院だ・・ だったら、こっちか? ・・いた・・ きずかれない様に物陰に隠れながら絢を追跡する。 これじゃまるでストーカーだけど… 少し離れて様子を見ていると、横断歩道を渡るところだった。 すると・・まだ赤なのにニャースがトラックの前に飛び出してきた。 それを、絢が助けようと・・ 「絢!危ない!」 無意識のうちに口が開いて言葉が出てきた。 無意識のうちに体が動いていた。 絢とニャースをかばう様にしてトラックの前に倒れこんだ俺は、もう・・そこまでの記憶しかなかった。 次ぎ起きたときは、三年後の春だった… 記憶を植え付けられた俺は、中学の一年だった・・ でも・・忘れた記憶も扉の向こうにあった。 絢達と、リーフェと、ポケモンと… 触れ合うごとに少しずつ鍵が外れていった。 そう、一度忘れた記憶でも記憶のかけらは残っていたんだ・・ 一度翼を失った鳥ポケモンは、二度と羽ばたけない。 けれども、記憶を完全に失うことはできない。 絢、この世界って…不思議なものだよね。 水平線の世界で会えるのは一掴みの命だけだから… だから短い一生に、何が起きてもおかしくはない。 そうだろ? つづく |
乱蘭 | #19☆2005.01/03(月)20:58 |
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最初はいつも一緒で 二人で一人だと思っていた だけどある日を境に だんだん遠くへいってしまっていた… けれども私は一人じゃなかった リーフェがいた。由宇がいた。詩織がいた。貴がいた。フシギダネがいた。 いつか取り戻せることを信じていた けれども違った・・ あなたは・・ 利耶は・・ もう合えなくなっていたんだ・・ もう二度と、あの笑顔が見られなくなったんだ・・ 居場所をなくした小鳥は いつしか幻へと消えていった。 十九話「居場所を失くした小鳥」 利耶・・ゴメンね・・気付かなくて・ いつも一緒だった私達。 けれど、四年生へと進学して、利耶は遠ざかって行ってしまった。 なぜなら、両親は、利耶を見捨てたから。 がんばれば何でもできる私と違って、利耶はがんばっても結果は「平均」。 何をやっても普通だった利耶を親は見捨てた。 利耶は居場所を失くしてしまった・・ 私は利耶に恨まれていた。 自分の苦労を、がんばりを、見捨てた両親が選んだ私を。 気付かなかった・・今まで。 気付いたときは、もうろくに会話をしてくれなくなった中一の時。 それから私は、親に私への後継ぎの証明書を利耶に譲るように言い、家を出た。 けれども、昔のような私に向ける利耶の笑顔は見れなかった。 由宇と家に暮らしし始めてから三年がたち、中3になった。 病院から知らせが届いた・・ 「貴の意識が戻った・・」 けれども、意識は戻っても記憶は無かった。 ただ、覚えているのは自分の名前と、自分のポケモンのことだけだった。 私が入院一ヶ月で済んだのも貴のおかげだった。 貴は、私とニャースをかばって、自分が車に轢かれる前に言った。 ただ・・「愛してる」・・それ一言だけ。 だけどもうその言葉を貴に口にしてもらいたくなかった。 その言葉は、利耶と私の関係をますます崩して行く様で・・ 利耶は・・妹は・・ポケモンよりも、家族よりも、貴のことを愛していたから・・ だから、ニセの記憶を植えつけた・・ 怖かったから。強がっても自分は弱かった・・ お漏らしをした子供がシーツを隠すのと同じように 私も、思い出したくない記憶を隠すために その記憶は、貴を苦しめることになると思った・・ あの後、由宇から聞いた… 貴は謝りたいと言っていた・・と・・ 貴が自分自身を攻めないようにするためにしたことだった。 けれども結果は・・ それ以上に貴を苦しませるようになってしまった・・ つづく |
乱蘭 | #20☆2005.01/04(火)15:01 |
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幼かったころ、親に「人は何処から着て何処に行くの?」と聞いたことがあった。 幼い自分にとっての最大の疑問だった。 ポケモンも、人間も、何処から着て何処に行くのだろう・・と・ もし自分が死んだら何処に行くのだろう。 もしこのポケモンたちが死んだら何処に行くのだろう。 その答えがずっと分からないまま生きてきた・・ そんなある時、絢に出合った。 俺様たち二人の両親は高校からの親友だったので、家族連れだった。 妹の利耶ははしゃいで俺様のケーシィーと遊んでいるのに、絢だけ黙り込んで星が輝く空を眺めていた。 「どうしたの?」とたずねると「また命が1つ消えたわ」と答えた。 絢はこう言った。 「人もポケモンも木も草も、命のあるもの全てが命が尽きたときに星になるんだ」と。 そんな考え方をする絢は、何か他の人には持っていないものを持っている気がして、俺様は引かれた・・絢に・・ もしそんな絢の考えがあっているなら、この会長室から見える星の中に、俺様の両親の・・利耶の星もあるのだろうか・・ ふと、1つ星が増えたような気がした。 最終話「星が輝くから」 「どうして早くきずかなかったのかな・・」 「さぁ・・でも、気付いていてもどうにかなる事じゃないだろ」 「…利耶は、なんで死んだのかな・・」 「偶然」 「・・人の死がどんなに重いものなのか分かっているでしょう?由宇。 そんなものを「偶然」で済ませなれると思ってるの?」 「人が生まれるのも偶然。死ぬのも偶然。この世界は偶然と奇跡で成り立ってる・・。俺様たちがここで出会ったのも偶然だ」 そう・・運命なんて存在しない。 世界で何が起きるか分からないんだ・・ それは全て偶然だと思う・・ 今一瞬、空の星が強く輝いたような気がした。 次の瞬間!・・ まばゆい光が辺りを包んだ。 すごくまぶしい…。だけどとても暖かい光が・・。 「お姉様・・お姉ちゃん・・おねえちゃんっ!」 「利耶・・利耶なの?!」 「お姉ちゃんゴメン・・気付かなかったのは私なの。」 「利耶・・」 「お姉ちゃんが家を出た後、お母さんからもらった契約書・・。あの時、私はおねえちゃんを恨んだ・。私に情けをかけたみたいで嫌だったから・・」 声はするけど姿は見えない。 けれど、絢はまるで見えているかのようにある一点を見つめていた。 ・・いや・・見えていたのかもしれない・。 「だけど死んでから分かった・・。あのね、言わなきゃいけないことがあるの・・。 私は…ずっと前に死んでいたの」 「え…」 「ソールチェーンは、私の体と精神だけの肉体を食い尽くそうとした。ソールチェーンが取り付くときには、崖から落ちて死んでいたの。その魂だけが抜けた体で、少しだけの記憶を使って私に成りすましたソールチェーンが・・こんなことに・・」 「利耶・・自分を思いつめないで。魂だけでも、前にすすむ道はあるの・・。過去を悔やんでたら前へ進めない」 「おねえちゃん・・ありがとう。あのね、私、ポケモンに生まれ変わったの。」 「生まれ変わった・・?」 「そう、だからね・・一つの技を使っておねえちゃんに・・皆に恩返しをしたいの・・。 技の名前は…」 声が少しづつ消えていって、最後のほうの技の名前は聞き取れなかった。 そして…虹色の光が部屋中を照らして、あまりの眩しさに俺様達はおもわずめを瞑ってしまった・・。 次、目を開けるとそこは中棟部の裏庭だった・・ 「嘘だ・・信じられないわ。時間を戻すなんて・・」 「だけど、実際に戻っている・・。これが現実だから…」 「奇跡…かしらね・・」 満天の星空の中、俺様たちはただ、優しい風を受けながら星を眺めた。 利耶が使った技は、名もない不思議な技だった。 利耶が生まれ変わったポケモンは、おとぎ話に出てくるようなポケモンだった。 星空がきれいだ… ふと、利耶の声が聞こえたような気がした。 「私・・ジラーチに生まれ変わったんだ・・」と。 その声が皆聞こえたのか、顔を見合わせ笑った… そうえば絢は言ってたっけ…。 七夕の日が、私達双子の誕生日・・と… また、合えるよ…必ず。 偶然のような奇跡で… 終わり |
乱蘭 | #21★2005.02/20(日)18:56 |
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番外編「君が居る限り(その後の彩)」 あの後は本当に不思議だった。 利耶は卒業式の三日前の日に帰らぬ人となっていて その上、私達はつい一週間前に中等部の入学式を終えたばかりだった。 これもたぶん利耶の力だと思うけど、もっとビックリしたのは 私の、私達双子の誕生日が変わっていた事だった。 本来なら、七夕の日だった誕生日が1月25日に変わっていたのだ。 なぜそうなったのかは分からない。 だけど、それが利耶の意思だったから技がこのように発動したようだ。 番外編の公開は終了しました。 |
乱蘭 | #22☆2005.01/22(土)19:15 |
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君を見ていることしか出来なかった 傍に居てあげることしか出来なかった かける言葉を失いただ見守っていて… 君の心に背負った傷は治らない 数え切れない傷を抱え込んでいて・・魂が奪われそうで・・ 君がいつ居なくなるのかと不安だった・・ そして・・その不安は現実になってしまった… どうしてこんな運命を君は背負ってるんだ・・ 世界で一番愛している君に・・降りかかった不幸は 誰の手にもとめられずに 君の体に毒を回す… 番外編「君と共に(その後の帝)」 不幸はとつぜん現れた その日はよく晴れた平日… 「「おまえら二人にタックバトルを挑む!」」 「あぁん?いきなり何なんだよ」 短い優雅な一時・・昼休み… 絢といっしょに弁当を食べ終わり、ポケモンと遊んでいるときだった。 二人は義貴(よしたか)と真(まこと)。 俺の親友であり、彩の呪いの相手… 「はっ!俺様にタックバトルを挑むとは生意気だ!」 「…帝の言い方は悪いけど、私も同感。だって学園の黄金ペアに勝負を挑むなんてぼこぼこにされるのがオチよ・・」 「そんなオチは俺ら宝石ペアには無用!」 「そんなオチはもう有り得ないのだ!」 「・・一言言うけど…あななたち、いつ「宝石ペア」になったの?てか、宝石ペアって何よ?」 「生まれたときから宝石ペア!」 「そして黄金と互角の宝石なのだ」 「はぁ…」 「なんだソリャ」 突然意味不明な言い争いが始まり、周りは巻き込まれないように非難した… 「おいっ!そこのチビ介っ。どっちのペアが強いか言ってみろ!」 「そっそれは・・黄ご…」 「へー…」 真は怖い顔をした! チビ介はひるんだ! 「そっそれは宝石ペアですよ。きっ決まっているじゃないですか」 「あぁん?こら、一年。お前は二年学年委員のペアよりそっちの負け組の味方か?」 「こら!二人とも大人気ないわよ」 とめようにも止められない… もちろん彼女が止めても止まらず 殴り合いと化した… 「ぃててて・・」 「動かないでって!消毒中よ」 「なんでとめたんだよ!決着がまだ…」 「はいはいっ!そんな決着つけんで良し! はい、帝消毒終わったよ」 彩は俺達を怒鳴った後、消毒瓶を戻そうと棚に歩いて行った だが、彩に任せなければ良かったかもしれない… 瓶が割れた音と共に、消毒液とガラスの破片が飛び散った。 「彩っ大丈夫か?」 「う・・ん・・」 次の瞬間、いきなり彩は力が抜けたように床に倒れた… 頭の中をSOSのサインが鳴り響く… 病院の廊下の長椅子に三人で腰掛長い沈黙が続いた と、ドアが開いて院長が出てきた。 「彩は…彩はどうなんですか?」 「今のところ命の危険性はない…ただ・・このまま悪化すれば…」 「…そんなに悪いんですか?」 「あぁ・・たった一年やそこらの病気じゃない。多分生まれたときからの病気だろう」 「そんな・・」 「だけど、まだ三十年以上は命の保障は有るから、そのころには病気の治療法が分かる。だから、心配しなくいい」 「・・本当・・ですか・・?」 「あぁ、保障するよ」 「よかった!」 いつ命が尽きるか分からない・・ だからこそ不安の色を見せずに・・君に心配をかけずに 君と共に生きていくんだ・・ 番外編2終了 (登場人物の名前の変更があります。少しづつ一話から変更していきます) |
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