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藍李 | #1★2005.08/15(月)13:36 |
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プロローグ ボォー… 船の汽笛が鳴る。 そして今、カイナシティに入港したばかりの船から3匹のポケモンと共に1人の男が降りてきた。 男の足取りはふらふらしていて今にも倒れそうだ。 「…おい、大丈夫か?顔色がかなり悪いぞ」 そう言ったのはウインディ―レッカ。さりげなく男を支えている。 「あぅ…酔った。俺船ってやっぱり苦手…」 物語の冒頭から船酔いしているのはイリアス。一応この物語の主人公である。 「ホウエンに来るには船しかなかったんだから仕方ないよ」 他人事のように言ったのはジュペッタ―ナイト。実際他人事だ。 「でも6時間ってのはいくらなんでもきついよ…」 「きっとイリアスの特訓が足りないんだよ」 そう斬って捨てたのはラグラージ―ライウ。 「ちょっとポケモンセンターで休憩しようよ…」 イリアスはそう言ってレッカに思い切り圧し掛かった(!?) イリアスのポケモン達は一勢にため息をついてポケモンセンターに向かった。 最初から先が思いやられるような出発である…。 |
藍李 | #2★2005.08/21(日)18:33 |
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「ジョーイさん、本っっ当にすみません!この船酔いトレーナーのせいで!!」 ぺこぺこと頭を下げるのはレッカ。イリアス達はイリアスが船酔いから回復するまでの間ポケモンセンターにいることになった。 それだけならまだよかったのであるがイリアスの船酔いが頑固でなかなか直らない為、ポケモン専用の筈のポケモンセンターで薬を処方してもらったりと迷惑をかけてしまっている。 ちなみに処方してもらった薬は9種類である。中には怪しげな紫と茶色と暗い緑色を使ってマーブリングした紙のような色の薬もあった。 それを笑顔でジョーイさんに渡された時にはイリアスも引いた…結局その薬を飲む勇気が出なくて飲むのは断念したのであるが。 「ほら!イリアスも謝る!」 レッカがイリアスの脛(すね)をバシリと叩く。かなり痛そうだ。 「…ジョーイさん、すみません」 「いえいえ、良いんですよ。お大事に」 ジョーイさんはにっこりと笑ってそう言うと治療室の方に去っていった。 「…これからどうする?」 ナイトがそこら辺を飛びまわりながら聞く。 「まずはイリアスの船酔いが直るまでじっとしてようよ」 毛づくろいをしながらライウが大して興味もなさそうに言った。 「それもそうだな。じっとしてよう。無理矢理外に出ても倒れてまた此処に来ることになるだろうし」 「俺も…賛成…」 イリアスの船酔いが直ったのは2時間後のことだという…。 |
藍李 | #3★2005.08/21(日)20:25 |
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すっかり船酔いも直ったイリアス達はキンセツシティに向かうべく、次々と勝負を申し込んでくるトレーナー達を倒しながら110番道路を突き進んでいた。 110番道路に入って30分もした頃、ライウがイリアスのズボンを引っ張った…勿論イリアスは転んだ。 「あいたたた…ライウ、どうしたんだよ?」 「あれは何?」 ライウが指差したのはやたらと派手な建物…カラクリ屋敷である。 「さぁな、急いでるわけじゃないし、入ってみるか…」 ここはところ変わってカラクリ屋敷。 「誰かいませんかー!?」 イリアスが叫ぶが返事が無い。 「誰もいないのかなぁ…」 イリアスががっかりしたように呟く。 「ねぇ、何かが机の下で光ってるよ」 ナイトが指差した先を見ると…確かに何かが怪しげに光っていた。 「何が光ってんだ?」 イリアスが机の下を覗き込むと…ド派手なおじさんが飛び出した。 「むぅ…、このワシを見つけられるとは…できる!ワシはホウエン最大の謎の人物、カラクリ大王!さてはわしのカラクリに挑戦しに来たな!?いいだろう、挑戦を認めてやる!そこの掛け軸から入ってくるが良い!わしは奥の部屋で待ってるぞ!」 そういうが早いか「カラクリ大王」は消えた。 「…まぁ折角の好意を無駄にしちゃなんだし、入ってみようか」 レッカは唖然としながらもそう言った。 他の3人(1人と2匹)は頷いて掛け軸をくぐった。 からくり屋敷に入って10分。 イリアス達は1本の木の前で立ち止まっていた。 「…どうする?」 イリアスは秘伝マシン1『いあい切り』を持っていない。 当然前には進めないはずである。しかしイリアス達に常識はほとんど通じない。レッカは怪しく笑うと木を火の粉で焼き払った。 「おぉ!そういう手もあったか!」 イリアスとレッカは火の粉で木を焼きながら進んでいった。ライウとナイトもこれでいいのかな…?とか思いながらイリアスに付いて行った。 20分後… 合言葉も手に入れ、イリアス達はからくり大王の所にいた。 「むむっ!!このわしのからくりを潜り抜けたというのだな!わしの次の次の…(中略)…にすごい!!よし!!褒美としてこれをやろう!」 イリアスは不思議な飴を貰った!▼ 「ありがとうございます!」 イリアス達は意気揚々とからくり屋敷を出て行った。 勿論レッカがやったことは4人だけの秘密である(おい) |
藍李 | #4★2005.08/21(日)20:26 |
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少し闇が忍び寄ってきた頃… PM6:30 「う〜ん…、今からキンセツに行ったら着くのが8時になるよ…。電車に乗るだけじゃ冒険の意味がないし…カイナに戻る?」 ナイトが頭の中でカイナシティからキンセツシティまでの地図を思い浮かべながらぼやいた。 「じゃ、多数決で決めよう。カイナに戻りたい人!!」 ナイトが1匹虚しく手をあげた。 「…でも暗くなると危険だよ?誰もフラッシュ覚えてないし」 ナイトが一応忠告する。しかしイリアスは聞いてもいなかった。 すたすたキンセツに向かって歩いている。 「あ、待ってよー!」 30分後… ぐにゅっ! 変な音を出してイリアスが何かを踏んづけた。 恐る恐る足元を見てみると…いたのは1匹のゴクリン。寝ているところを踏まれてしまったらしく、相当怒っている。 (…嫌な予感) 「ぐぅおーくぅー!!(泣き声適当です)」 ゴクリンが雄たけび(?)をあげた。 2秒後(早っ!!)ゴクリンがわらわらと集まり始めた。その数およそ200匹。ゴクリンはイリアス達を取り囲んだ。 「…どうしよう…囲まれた…」 イリアス達がゴクリンに囲まれて数十秒…イリアス達はゴクリンのスモッグ攻撃から逃げ回っていた。 しかし200匹同時のスモッグから逃げられるはずもない。とうとうナイトが毒を受けてダウンした。 「ナイト!?」 レッカが真っ青になって叫ぶ。叫びながらも足はしっかり動いている。 「こうなったらしょうがないな…ライウ!地震!!」 ライウの地震攻撃!▼ ゴクリン達は倒れた!▼ この時点でイリアスは1つの失態を犯していた。レッカを戻し忘れていたのである。当然炎ポケモンにとって地震は致命的。 レッカは倒れた!▼ 「ぎゃっ!レッカ!!ごめん!!」 この後、イリアスはライウだけを頼りにキンセツシティまで駆けて行ったという…。 |
藍李 | #5★2005.08/10(水)16:22 |
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「とうとう真っ暗になったな…」 イリアスが言う通り、周りは真っ暗で懐中電灯をつけないと進めないほどだ。そしてキンセツシティの通りには誰もいない。 「…ポケセンも今日は何故か開いていないからな〜」 ライウが爪を弄くりながらぼやく。 「…あれ?」 「どうした?ナイト」 ナイトはレッカの問いかけに答えず、周りをきょろきょろ見回している。 「どうしたんだよ、ナイト?何かあったのか?」 「師匠…。今は夜の8時ですよね?」 「あ…あぁ、それが何か?」 「夜なら普通民家には明かりがついているはずなのに…今はどの家にも明かりはついていない…」 確かにどの家にも電気はついていなく、街灯もあるのについていない。 「う〜ん…、停電かな?」 イリアスは次の瞬間ライウに突き飛ばされていた。その拍子に懐中電灯がフッと消える。 「ライウ!!痛いじゃないか!!」 よく見るとイリアスが2秒前にいた場所は黒く焼け焦げていた。ライウが突き飛ばさなかったらイリアスの命は無かったかもしれない。 「あ…あはは、前言撤回。ライウ、ありがとう…」 「どういたしまして」 ライウは警戒しながらイリアスに手を伸ばして立たせた。 「どこのどいつだ?いきなり襲ってくるなんてな…」 レッカはそこらを見回しながら舌打ちした。 「気をつけて!!師匠!!何かの気配が近づいて―」 ナイトは注意を言い終わる前に強力な電撃を受けて麻痺した。 「あ、そうだ。懐中電灯!」 イリアスが急いで懐中電灯をつける。 照らし出された先にいたのは巨大なマルマインだった。 |
藍李 | #6★2005.08/14(日)18:02 |
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マルマインは自分に向けられる懐中電灯にも無頓着にイリアスに向かって次の電撃を繰り出してきた。 (俺は…死ぬのか) イリアスは死を覚悟して目をつぶった…しかしいつまで経っても電撃は来ない。 (…何故だ?) 薄く目を開けてみるとライウが目の前にいた。どうやらイリアスをかばって電撃を受けたらしい。 地面タイプなので電撃は吸収されたらしく、ダメージは一切受けていないようだ。 「ライウ!!地震!!」 イリアスは考える間もなく本能的に叫んでいた。 今度はきちんとレッカとナイトを戻す。 ライウの地震攻撃!▼ マルマインは倒れた!▼ マルマインが倒れた瞬間、キンセツシティのあちこちで電気がつき始めた。 「この停電はマルマインのせいだったのか…」 「そうみたいだね。ところでイリアス。ポケセン開いてるけど」 「あ…あぁ、そうだな。今日はあそこに泊まろう」 「あ、そうそう。イリアスもピンチの時ぐらいはボケッとしてないで早く指示出してよ。ついでに攻撃受けそうになったら自分から避けて」 「あぅ…分かった…」 その夜、イリアス達は疲れていたのかベッドに入ってすぐに深い眠りについた(ナイトは不眠のため、下の階で本に熱中していた) 当然、窓の外を過ぎった影には誰も気づかなかった。 そしてその影がかすかに笑ったことにも、イリアスに良く似ていたことにも…。 |
藍李 | #7★2005.08/21(日)18:31 |
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朝のできごと… AM9:00 昨日はかなり早く寝たはずなのにイリアスはまだぐっすり眠っている。 やっと本に飽きたらしいナイトがナイトヘッドをお見舞いしても(軽くうなっただけ)イリアスの顔で福笑いをしても(反応なし。すごいことになったからナイトが無言で顔を戻した)レッカに頼んでのしかかってもらっても(バキッという嫌な音が聞こえたので慌ててのしかかるのをやめた。本人は「あはははは〜」と笑っただけ。多分寝言)起きなかった。 「もういいや」 ナイトはとうとう起こすのを諦めた。 ふと部屋の隅を見るとライウがイリアスのリュックからペンを何本か取り出している。 「…何してるの?」 「ちょっとね〜」 そのときナイトはライウがやろうとしていることに気がついた。 「や、やめたほうがいいよ!!取れなくなったらどうするのさ!?それに怒られるよ!!」 「水性だから大丈夫」 ライウはイリアスに覆いかぶさって何かをし始めた。鼻歌まで歌っている。 ナイトとレッカははらはらしながら見ていた。 AM11:00 「ふぁ〜(欠伸)よく寝た〜」 その時ライウがにやりと笑った。 「顔洗ってきなよ」 「…うん、そうする…」 10秒後、洗面所の方から悲鳴が聞こえてきた。 |
藍李 | #8★2005.08/10(水)16:23 |
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「朝っぱらから悪戯なんてひどいよ…ブツブツ…」 顔を洗って10分、イリアスはぼそぼそ愚痴を言いながらトーストを頬張っていた。 「食べるか愚痴るかどっちかにしろよ…」 レッカが顔を少ししかめた。彼は結構作法に厳しかったりする。 しかしイリアスは聞いてもいない。ひたすらブツブツ言っている。 よほどライウが悪戯した後の顔がショックだったのだろう。 ちなみにライウはナイトを誘拐してどこかに逃げた(え) 「ところでイリアス…これからどうするつもりだ?」 「え?あ、うん。ジム戦にはあんまり興味ないし、キンセツの観光なんてどう?」 レッカの言葉でとうとう覚醒したようだ。 「…まぁ、それも良いかもな…」 1時間後… イリアスはレッカと砂浜でごろごろしていたライウとそこら辺の植物を調べていたナイトを連れ、キンセツシティをのんびり歩いていた。 「あ、ゲームセンターなんてある…。サイクリングショップ?入ってみようかな…?」 その時、後ろから誰かが叫んだ。 「あ!私のバッグ盗んだ人!」 その声と同時に冷凍ビームが飛んできた。 「うぉわ!!…何か俺って最近よく襲われるよな…。ゴクリンの大群とか、マルマインとか…」 イリアスは冷凍ビームをかわそうとしたがかわせず、氷付けになった。足だけ。 レッカが火の粉で氷を溶かしていると1人の女の子が威圧的につかつか歩いてきた。 そして女の子の後ろにはチルタリスとキレイハナがいる。 「あたしのバッグを返して!!」 女の子は何の前触れもなくいきなり叫んだ。 「へ?」 イリアスは何ともなさけない声を出した。当然何も盗んだ覚えはない。レッカ達もイリアスの横で固まっている。 女の子の後ろではチルタリスが冷凍ビームの準備をしていた。イリアスが凍ることを覚悟した瞬間、思いがけないところから助け舟が出た。 「ちょっとまてや…ちょっと待ってください。この人はマチカさんのバッグを盗んだ人ではないと思いますよ。髪の毛の色違いますし…」 女の子の後ろにいたキレイハナだ。 「う〜ん…そう言われてみれば…。ちょっと良い?」 女の子は答えも待たずにイリアスの髪の毛を軽く引っ張った。 「…!」 突然のことに驚いて声も出ないイリアスを尻目に女の子は分析をし始めた。 「この感触はかつらじゃないし、何かを塗ったわけでもなさそう…てことは…人違い!?」 「…」 どうやら氷付けは免れそうだ。 |
藍李 | #9★2005.08/10(水)16:23 |
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「そうか…。髪の毛が黒くて短めの俺のそっくりさんに鞄を盗まれたんだな。で、間違えて俺を攻撃したと」 すっかり足の氷も融けたイリアスは近くのベンチに例の女の子と一緒に座っていた。 「そう。さっきは本当にごめんなさい。えーっと…」 「これ、イリアス。僕達のトレーナー」 ライウがナイトで遊びながら言った(!?) 「…これって何だよ…」 「イリさんで良い?あ、私はマチカ。よろしくね」 「…まぁ、よろしく。で、さっきの盗人のことだけど…もっと詳しい特徴とかないのか?」 イリアスがライウを哀れなナイトから引き剥がしながら言った。 「んー。確か可愛いブラッキーちゃんを連れてたかもvトレーナーはいけ好かないけどあのブラッキーちゃんは可愛かったーvv」 「…またマチカが暴走してる…」 ぼそっと呟いたのはチルタリス。 「何?何か言った?アンダンテ?」 どうやらチルタリスの名前はアンダンテのようだ。マチカvsアンダンテの口喧嘩が始まった。 「まぁまぁ、落ち着こうよ★マチカ、アンダンテ♪」 そう言ったのはやたらと元気なランターン―確か名前はモレンド。 「…ブラッキー…か」 「なん…何か心当たりがあるんですか?」 大阪弁キレイハナだ。名前はマルカートらしい。 「…そのブラッキー、もしかして目が灰色じゃなかった?」 「えぇ!?何でわかるの!?もしかしてイリさん超能力者!?」 やっとアンダンテとの口喧嘩をやめたマチカが叫んだ。目が異常に輝いている。 「いや…」 「じゃあ何で分かったの!?」 「…俺の弟だから」 「…へ?」 マチカは目が点になっている。 「だから例の鞄泥棒は俺の弟のオデュッセオ…長いから略してセオって呼んでるけど」 5秒後、マチカの絶叫がキンセツシティに響き渡った。 |
藍李 | #10★2005.08/21(日)20:28 |
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「あたしのバッグ盗んだのってイリさんの弟だったの〜!?」 イリアスから衝撃の事実(?)を告げられて10分。マチカは98.7回このセリフを繰り返していた。小数点以下がある理由はお気にせず(おい) 「セオであることはほぼ確定。あ〜でもセオどうしてるかなぁ〜。最後に会ったの2年前だからな〜」 イリアスがそこら辺の自動販売機で買った地獄茶を飲みながら懐かしそうに言った。 ちなみに地獄茶とは中に何が入っているかわからない危険なお茶である。何が入っているかは飲んでからのお楽しみでレモン等普通の物もあれば紅天狗茸(モモンの実とペア)・キムチ(激辛)・シシャモ・土等危険な味になる物もある。お茶自体は烏龍茶。 イリアスはこれが好きらしい。何でもチャレンジ精神が芽生えてくるとか何とかで…。 「…2年前って…そんなに仲悪いn…悪いんですか?」 「マルカート…。ブラックコーヒー飲みすぎだよ。もう10パック目だよ?」 しかしマルカートはブラックコーヒーをひたすら飲んでいた。 辛い物好き苦い物嫌いのレッカは苦笑いしながらその様子を見ていた。 「話を戻すけど俺とセオは2年前に親に捨てられてからは1度も会ってない。だから今お互いがどうなっているかも分からない」 「え!?イリさんって捨てg…ごめんなさい」 マチカは飲んでいたカフェオレをぽろりと落とした…地面に落ちる前にナイトがキャッチしたが。 「良いよ。気にしてないし…さて、そろそろ鞄を取り返しに行こうか」 イリアスはベンチから立ち上がった。 「え!?良いの!?」 「あぁ。で、どこら辺で鞄を取られたんだ?」 「え〜と…こっちの方」 マチカが指差したのは…シダケタウンの方。 「マチカのバッグ探しに出発だー!いぇい☆」 モレンドが楽しそうに言った。いつも楽しそうだが。 マチカのバッグ(セオ)を探す為、イリアス達はシダケタウンの方に向かった。 30分後… イリアス達はカナシダトンネルの中にいた。 「…何なんだこのゴニョニョの大群は…」 トンネルの中はゴニョニョでびっしりだった。 「でも可愛いv」 マチカが近くにいたゴニョニョを撫でながら言った。 「…夢を壊すようで悪いんだが進化するとこうなる」 「…」 イリアスが差し出したポケモン図鑑の画像を見てマチカは沈黙した。 「…確かに可愛いとは言えないね…」 画像を覗き込んでいたナイトもぼそりとそんなことを言った。 「あ、光が見えるよ☆」 モレンドの言う通り、出口はすぐそこまで迫っていた。 「やっとこのゴニョニョの大群から解放されるな…」 アンダンテは少し疲れたように言った。 イリアス達がトンネルから出たその時…イリアス達の前に誰かが現れた。 |
藍李 | #11★2005.08/10(水)16:23 |
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「お久しぶりです。兄さん。2年ぶりですね」 現れたのは1人の少年だった。灰色の目をしたブラッキーを連れ、手にはバッグを持っている。そしてにっこり笑っている。 「あ!うちのバッグ!!」 マチカが叫んだ。 「おや、あなたは…「その鞄を返せ」 イリアスは威圧的に言った。しかし少年―セオは相変わらず笑っている。 「そうですね。どうしてもと言うのなら…バトルしましょう」 「え…?」 セオはもっとにっこりした。 「2対2でもし兄さんが勝ったらこのバッグは返しましょう。もし私が勝ったら…諦めて下さい。引き分けだったらどちらかが勝つまでやる…どうです?悪くない条件でしょう?」 「わかった」 マチカが何か言いたそうな顔をしたがイリアスは気にも留めず、ライウ・レッカをネストボールに戻した。 「ナイト!行け!」 「…グラール」 セオが出してきたのはヘルガーだった。 「分が悪いな…。ナイト、ちょっと良いか―」 イリアスは何かをナイトにささやき始めた。 「こちらから攻撃させて頂きますね。グラール!噛み砕く!」 グラールの噛み砕く攻撃!▼ 効果は抜群だ!▼ ナイトはふらふらし始めた。 「…なかなか強いんですね。そのジュペッタ。グラール!もう一度噛み砕く!」 グラールの噛み砕く攻撃!▼ 効果は抜群だ!▼ ナイトは倒れた!▼ その時、イリアスはにやりと笑った。 グラールは倒れた!▼ 「…え!?何故!?」 初めてセオの笑顔が崩れた。今や困惑の表情になっている。 「さっきナイトに道連れを連発しろ、って言ったんだ。セオ、見事にひっかかったな」 「…やりますね…でもそうでなくては面白くない。ウィオ!」 「レッカ!」 戦いはまだ始まったばかりだ。 |
藍李 | #12★2005.08/21(日)20:09 |
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セオはブラッキー―ウィオ、イリアスはレッカを繰り出した。 「…懐かしいですね、レッカとウィオで戦うなんて」 「あぁ、そうだな。レッカ!火炎放射!」 レッカの火炎放射!▼ ウィオは火傷を負った!▼ 「…運が良いですね。ウィオ!だまし討ち!」 ウィオのだまし討ち!▼ マチカはバトルの様子をはらはらしながら見ていた。 「どっちも互角みたい…」 「そうやn…そうですね。でもウィオさんは火傷を負っていますので少し不利かもしれませんね」 「…でもどっちも体力は残りわずかだな」 その通りだった。ウィオもレッカもあと一撃で倒れそうなほど弱っていた。 「レッカ!神速!」 「ウィオ!電光石火!」 レッカの神速とウィオの電光石火がぶつかった…先に倒れたのはウィオだった。 「よ〜し!よくやった!レッカ!」 イリアスはレッカに満たんの薬を吹きかけながら笑っていた。 「…仕方ありませんね…。このバッグは返します」 セオはマチカのバッグをイリアスに向かって投げた。 「よっと!!」 「では僕はこれで」 セオは最後に軽く笑って…煙玉を投げて消えた。 「…まぁとにかく良かったな」 イリアスがマチカにバッグを渡しながら軽く笑った。 「良かったぁ!うちのバッグー!!」 マチカは強くバッグを抱きしめながら喜んでいた。 「ところで何入ってるんだ?それ」 イリアスがふと気になって聞いた。 「ん?ハリーポッター5巻までとダレンシャン全巻とロードロスと(中略)戯言シリーズとガァニョの冒険(何)だよ?」 「…本ばっかりだな(汗)」 「で、イリさんはこれからどこ行くの?」 マチカはバッグに入っている本を1冊ずつ確かめながら聞いた。すでにマチカの隣にはイリアス(173cm)よりも高い本の山が出来ていた。 「一応シダケ観光した後フエンタウンにでも行ってみようと思ってるけど…何で俺のリュックより小さい鞄にそんなに本が入るわけ?」 イリアスは隣にある本の山が危なっかしげにグラグラしているのを見て少し下がった。どんどん本が積み上げられていく。 「ん〜?中身見る?」 「あぁ…これって…」 ドラ○もん…? その時本のぐらぐらが激しくなってきて…雪崩が起きた。方向は…運命の悪戯かイリアスの方。イリアスはよけ損なって本の雪崩に巻き込まれた。 「…俺って最近よく襲われるよな…あはは…」 イリアスはもうどうでも良いと言うかのように唯ひたすら笑っていた。 この後、イリアスはマチカ&アンダンテ&ナイトによって救出された。 「じゃああたし達はカイナシティの方に行くからこれで!」 「あぁ、また会えたら良いな」 マチカが見えなくなるまで手を振った後唐突にイリアスは言った。 「さて、そろそろ暗くなってきたし、今日もポケセンに泊まろう」 「うん。そうだね。明日こそは早く起きてよ」 「そういうライウこそ明日は悪戯するな。あれはある意味怖かったぞ」 イリアスが朝のことを思い出して身震いした。 「あんなの手加減してるほうだよ」 ライウはあっさりと言ったのだった…。 |
藍李 | #13★2005.08/21(日)20:19 |
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イリアス達は無事、カナシダトンネルをぬけ、シダケタウンのポケセンの1室にいた。 「じゃ、電気消して良いか?」 イリアスは返事を待たずに電気を消した。 「…ホウエン来てからいろいろなことがあるよな」 しばしの夜特有の静けさの後、レッカはぼそりと呟いた。 「そうですね、師匠。まだホウエン来てからたったの2日しか経っていないのに…イリアスが船酔いしてたのがかなり昔のように思えます」 ナイトは赤い目を懐かしそうに細めていた。 「そんな昔のことでもないのにね…ホウエンに来てから思いがけないことが沢山あるね」 ライウはイリアスの髪をくるくる指に巻きつけながら言った。当のイリアスはぐっすり寝ている。 「そうだよな…マルマインが急に襲ってきたりイリアスが氷付けにされかけたりセオにばったりあったりとかな」 レッカは少し目が笑っていた。 「でも何でセオはあんなこと…?」 「2年経てば流石に変わるもんだよ」 ライウはイリアスの髪を強く引っ張りながら言った。2,3本一気にぶちりと抜けた。 「…今度ウィオにでも聞いてみよう。2年の間何してたか」 「それが良いと思いますよ師匠…」 「お休み」 レッカは目をゆっくり閉じた。 「本当にホウエンに来てから面白くなったよ」 ライウが呟いたひと言は誰の耳にも入ることはなかった。 次の朝、イリアスは8時半にポケナビの音で起こされた。 「…むー…俺ってポケナビ使って会話するような友達いたっけ…?」 寝癖を左手で直しながらイリアスはポケナビに出た。 「…もしもし…?」 「あ、イリさん?おはよう!」 ポケナビから元気な声が聞こえてきた。マチカである。 「…どうした。こんな早朝に…」 「え?早朝?イリさん寝ぼけてる?もう8時半だよ?」 かなりマチカに呆れられている。 「…あ、本当だ…で、どうやって俺のポケナビの番号を…?」 確かにポケナビは電話番号のようなものを使わないと会話できない。マチカが偶然イリアスのポケナビの番号を知ることは有り得ない。 「ライウに教えてもらったんだよ♪ライウって優しいね。ひと言言えばすぐ教えてくれたよ」 …優しい? 「へぇ…で、何の用だ?」 「ん?唯呼んでみただけ。これからもちょくちょく呼ぶかも」 「わかった…一応番号登録しておく…じゃあな…」 イリアスはそう言うとすぐ寝てしまった。 AM9:00 イリアスはライウの波乗りで起こされた。 イリアスがライウにお説教をしたことは言うまでも無い…。 「せめて水鉄砲で起こせ!」byイリアス |
藍李 | #14★2005.08/10(水)16:25 |
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「う〜ん…それにしてもシダケって空気きれいだし、和むな〜」 ライウから波乗りをくらい、まだ服と髪が乾ききっていないイリアスが伸びをしながら朗らかに言った。 「…何かイリアスがそういうことを言うと気色悪い…」 ライウがぼそっと呟いた。 「…ライウ、気色悪いって酷いぞ…」 「ところで何処に行くの?」 ナイトが慌てて話を逸らした。 「う〜ん…どうするかな…」 イリアスは考える人のポーズになった。 「…イリアス、いちいちそんなポーズになって考える人なんてあんまりいないと思うけど…」 「あ、これ小さい頃からの癖なんだよ(え)」 ライウ達は唖然として固まってしまった。 そして昼が過ぎ、3時になった。 イリアスはやっと立ち上がった。 「よし!バトルテントに行こう…ってあれ?」 イリアスの周りには誰もいなかった。通行人が白い目で見ていたが…。 その時、ライウ達がたこ焼きを頬張りながらバトルテントから出てきた。片手にイリアスのリュックを持っている。 「あ、イリアス。考え終わったんだな」 レッカが右肩の傷を舐めながら話しかけてきた。 「…バトルテント行ってたのか?」 「うん。イリアス考えるの長すぎだから。もうバトルテントで50連勝しちゃったよ。はい、景品」 ライウがイリアスのリュックを投げてよこした。中は何でも直し等でぎっしりだ。 「…俺いなくても勝てたのか?」 「うん。イリアスあんまり頼りにならないし」 ナイトがあっさり言った。そのひと言でイリアスはショックを受けたのか地面に「の」の字を書き始めた。 「ああ神様いい事なしの人生です自分のポケモンにも頼りにならないって言われておまけにいろんな物に襲われて…」 「師匠、どうします?」 「…ほっといて平気だろう」 ブツブツ言い始めたイリアスを残してレッカ達はポケモンセンターに戻った。 その夜、夜までブツブツ言い続けたイリアスはレッカ達に声が枯れるほど長々と説教したという…。 |
藍李 | #15★2005.08/21(日)18:32 |
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次の日、イリアスの不機嫌さはすっかりどこかに吹っ飛んでいた。少し深刻な表情をしている。 「…イリアス、何かあったのか?」 レッカがイリアスをつつきながら心配そうに聞いた。 「…あと10分もすればわかるよ」 「10分…ここら辺に何かあったっけ?」 確かにシダケタウンとキンセツシティの間には特にイリアスを深刻な表情にさせるものは見当たらない。トレーナーがいてポケモンがいる…かなり平凡な風景が広がっているだけだ。 「何があるのか教えてよ」 「…わかったよ。これを見ろ」 そう言ってイリアスが差し出したのは1通の手紙。 「えーと…『明日木の実が生っている所で待っています。2年間の間にあったことをいろいろ話しましょう。もし兄さんが私と話す気があるのなら明日10時までにそこに来て下さい。 セオ』…セオ!?」 ナイトが最後まで読み上げたところで元々大きい赤い目を見開いて叫んだ。 「何でセオが…?」 レッカも不思議そうに目を細める。 「俺にもわからない。とにかく行ってみたほうが良いかな?って思っただけ。あ、着いたぞ」 「おや、やはり来ましたね。兄さん」 いつの間にかセオが木に寄りかかりながら立っていた。その目はかなりうれしそうに細められている。 「セオ…この前の行動について何か説明してくれる気になったのか?」 「どちらとも言えませんね。この前の行動に至った理由については話せません。ですが2年間何をしていたか簡潔に話すことは出来ます」 「じゃあ…2年もの間何をしていたんだ?」 「そうですね…私はカントー地方をめぐってホウエン地方に来ました。1年前のことです。そしてホウエン地方に来て自由気ままに旅してます。悪タイプのポケモンを捕まえながらね」 「じゃあ…悪の組織とかには入っていないんだな?」 「入っていませんよ。何故そんなことを?」 イリアスは肩の力を緩めた。 「良かった…てっきりセオがロケット団とかに入ったのかと思ってた…」 「おや、心外ですね。悪タイプのポケモンは好きですが悪の組織はむしろ嫌いです。私は組織とか規則とかそういうのに縛られるのは嫌なので。それにロケット団は私が1年前に壊滅させていますよ。ニュース見なかったんですか?」 セオがにっこりしながら言った。イリアスの顔も輝いた。 それから日没まで延々と2人は話していたという…。 ちなみにライウは夜までぐっすり眠っていたとかいなかったとか。 |
藍李 | #16★2005.08/21(日)18:39 |
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「おや、もうこんな時間ですね…」 セオが腕時計をふと見て呟いた。 「では私はこれで。また近いうちに会うことになりますが」 「あぁ、じゃあな」 セオはウィオを肩に乗せ、一瞬で消えた。 「…ナイト、そろそろキンセツを出て他の町にいってみようと思うんだが何処が近い?」 「キンセツからならハジヅケ・フエン・ヒマワキに行けるよ。でもヒマワキは遠いかも…」 「そうか…じゃ、次はフエンタウンに行くか」 レッカ達3匹も賛成した。 1時間後… イリアス達はロープウェイ乗り場についた。 しかし2人のどうやらアクア団の下っ端と思われる男が入り口を塞いでいた。ブツブツ言っていて近寄りがたい。近寄りがた過ぎる。 「…イリアス、先にハジヅケに行かないか?」 ライウが提案した。レッカもナイトも賛成とばかりにうんうん頷いている。 「まぁ、それしかなさそうだな。しかしどうする?俺はゴーゴーゴーグル持ってないし炎の抜け道は暑そうだし…」 「目隠ししていけば?」 ライウだ。手には何処からか持ってきた黒い布着れがある。 「前が見えないだろ…。炎の抜け道通るしかなさそうだな」 「じゃあ俺に乗れよ。出来るだけ速く走るからさ」 レッカが伏せながら言った。 「う〜ん…そうだな。それがベストだ」 イリアスもナイトとライウを戻しながら賛成した。 イリアスを乗せたレッカは炎の抜け道の方へ走って行った。 「暑かった〜…」 炎の抜け道をぬけたイリアスは汗びっしょりで今にも融けそうだった(ぁ) 「炎の抜け道の中にいた時間は1分にも満たないだろ…」 「でもあの暑さは殺人的だよ…」 ちなみに炎の抜け道の中の気温は59℃。地温(地面の温度)は何と68℃である。 「そうか?俺は何も感じなかったが…」 「レッカは炎タイプだから感じないんだよ…ライウ!」 イリアスはライウとナイトを同時に出した。 「何?」 「軽く冷やしてくれ…」 「オッケイ!」 ライウの冷凍ビーム!▼ イリアスは凍った!▼ 「…見事に凍ったな。冷凍ビームの追加効果を1発目でイリアス相手に出すなんて…ライウ、すごいぞ」 レッカが感心している。それどころじゃないだろう。 「炎の抜け道に戻したら早く融けるよ」 ナイトの一言でイリアスは炎の抜け道に戻された。 3分後、イリアスは絶叫しながらギャロップもびっくりなスピードで飛び出してきた。 |
藍李 | #17★2005.08/21(日)20:03 |
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「はぁ…俺も運がないなぁ…よりによって追加効果が出ちゃうなんてな…その前に他の追加効果が無い技で冷やしてほしかった…」 「え?他の技?…ハイドロポンプとか破壊光線とか突進とか我武者羅(がむしゃら)とか…あ、ひょっとして渦潮で一気に洗濯もかねたほうが良かったかな?」 他にも波乗り・マッドショッド・地震・守る等を覚えている。ゲームではないのだから勿論覚える技に制限は無い。ちなみにイリアスがジョウトで忘れさせた技もある。例えば「泣き声」、ライウには似合わないとか何とかでそうなった。 「もう良い…ライウには頼まない。これ以上氷付けにされたり勢いで岩に叩き付けられたりするのは嫌だ」 「え〜?遠慮しなくて良いのに…」 イリアスはライウが人をからかうのが趣味の悪魔に見えてきた。 「ところで…火山灰が降ってるけどどうする?」 レッカの言うとおり1m先は銀色の世界だった。 「あ、火山灰は吸い込むと少し咽るかもしれないけど上向いて歩く人かよっぽど鼻息荒い人じゃないかぎり大丈b「ゲホッゴホッ」 イリアスが咳き込む音でナイトの解説はかき消された。 「…イリアス、ひょっとして上見ながら歩いた?」 「あはは…ゲホッ…違うよ。俺『火山灰症』なんだ」 何だそれは…?イリアス以外の3匹はそう思った。『花粉症』ならまだしも『火山灰症』は聞いたことがない。 「…ちょっと待って」 ライウはイリアスのリュックを漁り始めた。 (嫌な予感…) 10分後… 「よし!これで大丈夫!」 イリアスはグラサン&マスク&探偵がかぶってそうな濃い色の帽子の所為でよにも奇妙な格好になっていた。 「…おい」 「うん?」 「これじゃ銀行強盗だろう」 確かに誰がどう見ても銀行強盗だ。半径10m以内には誰もいない。 「…てか何でそんなのがリュックの中に入ってるんだ」 「え?…さーて、ハジヅケに早く行こうか〜♪」 「ごまかし方がすっごく怪しいよ」 ナイトが一言言ったがイリアスは聞いてもいなかった。 2時間後… 「やっと着いた…これでこの姿からも開放されるな」 イリアスがいかにも嬉しそうに言った。 そして帽子を取ろうとした…取れない。それどころかマスクもグラサンも取れない。 「どうなってるんだ!?」 「ふっふっふ…よくぞ聞いてくれました」 ライウは怪しげに笑うと何かのチューブを差し出した。 「え〜…何々…『ドクタートーレナイ印の超強力接着剤』…接着剤ぃ!?しかもドクタートーレナイって何処の誰だよ!?」 イリアスはヒステリーを起こした。 「本名はジョン・トーレナイでわずか29歳にして天才的な接着剤の研究者。なかなか格好良いらしいよ。今はイギリスでサンバに熱中しているってどこかで聞いたことあるけど」 「いや、サンバに熱中って何だよ!?」 「あ、ちなみにその接着剤確か人肌&髪の毛には最低3週間は有効だって。ちなみに最長は1年」 「そんなに待ってられるかー!!何か取る方法は無いのかよ!?」 「無い」 レッカにあっさり言われた。 「あ、帽子だけなら何とかなるかもね。禿になるという代償つきだけど」 「嫌だぁぁー!!」 この後、ハジヅケタウンの住民の苦情により、その姿のせいもあって警察に取り押さえられた。 釈放してもらえたのは3日後だったという…。 |
藍李 | #18★2005.08/10(水)16:26 |
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釈放してもらって2日、イリアスはレッカ達を引き連れてハジヅケタウンの街中をトボトボ歩いていた。 まだ例の帽子&グラサン&マスクが取れていないせいか背中には紫色のオーラが漂っている。 「はぁ…」 声まで悲しそうだ。その時 「あ!その服はひょっとしてイリさん!?」 マチカがキンセツシティに続く道の方からやってきた。アンダンテに乗っている。 「…プッ。イリさんその顔は何?」 カタツムリより鈍いスピードでイリアスが振り返った。その顔を見てマチカは顔で思い切り笑った。 「ライウに悪戯されたぁぁ…(泣)」 イリアスの涙で川が出来ようとしていた。 「詳しく説明せ…詳しく説明して下さい(やや笑)」 いつの間にかボールから出てきたマルカートが笑いを必死にこらえながら言った。 「かくかくじかじか…ということなんだよ(ちょっと笑)」 レッカがかなり簡潔に説明する。 「『ドクタートーレナイ印の超強力接着剤』?私も取る方法がわからんけんねー…」 何弁だ…? 「口調変わってるぞ…」 「気にしないで。あ、イリさん。こっちの方が良いよ」 マチカは何かをイリアスのリュックから取り出した。 「…余計悪化してない?(汗)」 「ううん、可愛いよ♪(笑)」 イリアスは目だし帽をかぶらされていた。グラサンとかの所為で変な形になっている。 「…これじゃぁもっと怪しいよ…(泣)」 イリアスの目から洪水攻撃(何)!▼ 誰にも利かなかった!▼ イリアスはコップ10杯分の水分を無駄にした!▼ 「あっはっは!面白いよ♪(激笑)」 モレンドは体を捩って笑っていた。 「うぅ…(泣)」 その時、セオが現れた。 「…おや兄さん。随分と面白い格好をしていますね。あ、マチカさん。この間は失礼をしました」 セオがにっこりしつつ、マチカに謝る。でもいつものにっこりとはかなりかけ離れている。無理矢理声を出して笑うのをこらえている顔だ。 「いえ、未遂でしたし、良いんですよ…あははは!(笑)」 全員まだまだ笑っている。ウィオとグラールまで笑っている。 (接着剤を溶かせる汁を出す薬草知ってますけど…面白いからあと数時間は黙ってましょう…) セオはそんなことを考えていたとか考えていなかったとか。 |
藍李 | #19★2005.08/10(水)16:26 |
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「セオ…知ってるならもっと早く教えてよ…目だし帽とかの所為でまた警察署に逆戻りするところだったじゃないかぁ…」 セオから教えてもらった薬草を搾りながらイリアスはブツブツ言っていた。 「兄さん…その姿で何をやらかしたんです?」 「フレンドリィショップで凄い傷g「勝手に変な罪をでっち上げるな」…わかったよ。絶叫してた時に近くの住民から苦情があったらしくてそれであの姿の所為もあって警察署に拘束されたんだ」 「…この姿になったのもお前の所為だろう」 「あれ〜?そうだっけ?」 ライウはとぼけた。マチカはこの時イリアスの背中に殺気を感じたという…。 10分後… 「よし!取れた!」 イリアスは帽子&グラサン&マスクが取れたのでかなり嬉しそうだ。 「ところでイリさんはこれから何処行くの?」 「流星の滝にでも行ってみようと思ってるけど?面白そうだし」 「ウチはカナズミ行ってみようと思ってるから丁度そこ通るけん。付いてって良か?」 ちなみに作者はあまり方言に詳しくないので適当に頭にうかんできたものを使っている。 「良いけど…また口調変わってるぞ」 「気にしない♪」 マチカは笑いながら思い切り目を逸らした。 「じゃあ私もついて行きます。何となく兄さんが何をやらかすかが心配なので」 「お前なぁ…」 マチカ&マルカートはクスクス笑っていた。 所変わってここは流星の滝。 流星の滝の中にはロープウェイ乗り場の入り口を塞いでいたと同じような服装の男2人と白衣の男1人がいた。 「ウヒョヒョ…この隕石さえあれば…」 イリアス達が近づくと男のうち1人が振り返った。服装は涼しそうなのに顔はむさ苦しい。 「ウヒョ?誰だが知らねぇが俺達の野望を邪魔するようなら「そこまでだ!アクア団!」 近づいてきたアクア団の男の言葉を遮るようにして赤い服の3人組が駆けて来た。 「ウヒョ?マグマ団までやってきたのか…まぁ良い、いちいち相手をしてやるのも面倒だし、さっさとデコボコ山道に行くか。あばよ、間抜けなマグマ団!」 もう1人のアクア団の男を連れ、隕石を抱えるようにして「ウヒョウヒョ」言っていた男はイリアス達の脇を駆け抜けて行った。 「むぅ、時間がない!!我々も追うぞ!」 マグマ団もアクア団を追う様にして駆けて行った。 「…何だったんだ?あいつ等」 「僕はソライシ、あのアクア団に騙されて隕石がある場所を教えてしまったんだ…」 いつの間にか白衣の男が近づいてきていた。ソライシというらしい。 「じゃああたし達が取り返してきます。あの人達のことも少し気になるし…」 マチカはそう言うとアンダンテに乗り、イリアス&セオを引きずるようにしてデコボコ山道の方に向かった。 |
藍李 | #20★2005.08/21(日)20:00 |
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所変わってここはデコボコ山道。いつもはなかなか静かだが今日だけは違った。マグマ団とアクア団が戦っている。 「海を増やしたら陸のポケモンはどうなるんだ!」 「陸のポケモンなんて知るか!」 戦いの最中に1匹のチルタリス…アンダンテがマチカ達を乗せて降りてきても戦いに夢中で誰も気づかない。 「隕石を奪った男はどこかな?」 「イリさん声を低くして!気づかれるよ!」 「あ!何でこんな所にガk「黙れ」 アクア団の下っ端がサメハダーを繰り出そうとしたがアンダンテのドラゴンクローにより、サメハダーごと吹っ飛ばされる。 「うぅ…」 「隕石を奪った男は何処だ?」 いつもとは違い、威圧的な声でイリアスが聞く。 「そ…そんなの教えられる訳ないだろ!」 「ふ〜ん…あ、そうそう。最近俺ストレス溜まっててそろそろ八つ当たりする物が欲しかったんだ。ついでに俺、1年前にジョウトの地方空手大会で優勝したんだよな〜。はっはっは」 イリアスが指をポキポキ鳴らす。 「ひぃいぃいぃ〜!わかった!言う!言うからそれだけは止めてくれ〜!ウシオさんならあっちにいるよ!」 「さんきゅ。じゃ、俺達のことそこら辺でべらべら喋られても困るから…しばらく眠ってろ!」 イリアスのパンチが鳩尾に当たり、下っ端は気絶した。 「…じゃ、行こうぜ」 イリアスは髪を整えながら下っ端が指差した方に歩いて行った。 「…鬼ですね」 「何か言ったか?」 「いえいえ、何でもありませんよ」 イリアスの刺すような視線に流石のセオもたじろいだ。 その後も下っ端が何人か勝負を仕掛けてきたがレッカやアンダンテに一撃で倒された。その度にイリアスは気絶させていく。 「イリさんって強いんだね…」 マチカが気絶した下っ端達を避けながら呟いた。 「何かいつもとのギャップが…」 「マチカさん、兄さんはストレスが溜まると性格が変わるんです。ストレス発散すれば元に戻りますがね…」 「え?そうなの?へぇ〜…意外…」 影でボソボソとこんな会話が交わされていたとか交わされていなかったとか。 最初の下っ端を倒して(気絶させて)10分…イリアス達はデコボコ山道をまだ歩いていた。 「…なしてここはこんなに広いん?」 「マチカ…口調変わってる」 ライウの突っ込みはあっさりと無視された。 「でも本当に広いよねー♪何か溶岩から湯気が昇ってきて暑い☆ちょっとフラフラー♪」 モレンドは汗びっしょりで、しかし持ち前の明るさで笑っていた。 「…それ、笑いながら言うことじゃないんじゃ…?」 いつの間にかイリアスはマチカ達のすぐそばにいた。 「イリさん、ストレスはもう大丈夫なの?」 「あぁ、久々に戦ったおかげですっきりさ!」 イリアスがにっこり笑った。 「これでまた存分にイリアスに悪戯できるねっ!」 ライウが黒いオーラをまといながら発した一言でイリアスの笑みが消えていった。少し恐れているような表情になる。 「そういう運命の元に生まれたと思って諦めろ」 レッカのとどめの一言でイリアスは真っ青になった。 「おほほ…イリさんも大変ですことね…」 「だから口調変わってるって…」 「何のこと?」 マチカの口調は元に戻っていた。 |
藍李 | #21★2005.08/10(水)16:26 |
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「あ!あの人隕石を盗んだ人だよっ!新米刑事大活躍っ!ただし現行犯逮捕みたいなっ!…はぁ、元気な人の口調って疲れる…」 意図的にやってたのか…? 「…本当ですね。あの顔、見間違えようがありまs「ウヒョヒョ!流星の滝で会ったガキ達だな?ここまで追ってきたのか!でも遅かったな、残念ながら隕石はリーダーに渡したよ!」 あ!野生のウシオが飛び出してきた!▼(違) 「ウヒョヒョ!グラエナ!行け!」 「ナイト!シャドーボール!」 ナイトのシャドーボール!▼ 効果は今ひとつのようだ▼ 相手のグラエナは倒れた!▼ 「馬鹿な!?俺のグラエナが…レベル40のグラエナが…あまり利かないはずの技で…一撃だとっ!?」 ウシオはうろたえていた。 「世界は狭いんだ!「イリアス、それ言うなら世界は広いんだ!、だよ?」 ライウに指摘され、イリアス撃沈。 「とりあえず先に進もうよ!(汗)」 ウィオが叫んだのでイリアスはセオに引きずられていった。 「イリさん、ナイトってレベルいくつなの?」 「ん?え〜とゲームボーイアドバンスはどこしまったっけ?あ、あった!あ、違う。これポケモン図鑑。鉢巻…ワインのコルク…謎の薬…(中略)…林檎の芯…あった!え〜と…89だね。あと145経験値貯めたらレベル90だって」 「…兄さん、時にはリュックの中を整理したらどうです?いらない物がかなりあるような気がするんですが…」 頭にバナナの皮を乗せながらセオがイライラと言った。 「そうだな、そろそろいらない物は捨てるか…」 「何で食べ物のゴミはあるのに肝心の中身がないのさ?」 「グラール…兄さんのリュックに入っている物は安全だとは限りません。この前なんか賞味期限が3ヶ月前の裂きイカが入ってました。だいたいそんな発言をするようなヘルガーに育てた覚えはありませんよ?後でその食い意地がはったところを強制的に直してあげますから覚悟しておいて下さい」 この瞬間、誰もがセオを鬼だと思った。 「…ね、ねぇ!隕石を取り戻さなくて良いの!?」 マチカが慌てて言った。 イリアス達はアクア団のリーダーを倒し、隕石を奪還すべく、先に進んだ。 |
藍李 | #22★2005.08/21(日)18:47 |
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ここで息抜き―イリアスの地獄茶講座(ぁ) 「やぁ!皆!元気かな?今日はおr…僕、イリアスが大好物の地獄茶のことについていろいろ教えちゃうよ♪」 「誰だよ…」 「何か言ったかな?レッカ?」 イリアスが危ない笑顔でレッカに迫る。 「いえ、何でもありませんっ!!」 「よし…あ、この子はレッカ。僕の助手だよ☆」 「誰が助手d(イリアスが再び危ない笑顔で迫る)…何でもありません」 「よろしい…じゃ、まずは地獄茶の基本からいってみようかっ!!地獄茶は少し目つきが悪い緑色の竜がプリントされた赤いスチール缶に入っている飲み物で黒い筆で書いたような字で大きく地獄茶って書いてあるんだっ!!中のお茶は何茶か分かるかな!?」 「烏龍茶」 レッカが頭を抱えながら答える。 「おぉっ!正解!!レッカ!レッカに10ポイントっ!!」 「いや、ポイントって何だよポイントって!?何で地獄茶の講座で出てくる!?」 「え〜と…ポイントとは得点・点数のことd「誰もポイントの説明をしろとは言ってないっ!何でこの状況でポイントが出てくるのか説明しろって言ったんだ!!」…さて、レッカの言うとおり、どこかで話したかも知れないけど地獄茶の中のお茶は烏龍茶だよ!でも、これにいろいr「話逸らすな!!」 レッカの黒板消し投げ攻撃!▼(ぇ) 頭に当たった!▼ イリアスは頭をさすっている!▼ 「…レッカ君、私の説明を遮らないでくれたまえ」 「…じゃあさっきのポイントのことについて説明しろ。ついでに口調変わってる」 「フフフ…化けの皮が剥がれてきたね。よろしい、さっきポイントが出てきた理由…1.大王イカだから 2.アルマゲドンの気まぐれ 3.CCレモンの勝手 4.誰かの泣き黒子(ほくろ)がイジけた さぁどれ!?」 場に冷たい空気が流れた。 「…どうしてもこの中から選ばなきゃいけないのか?」 「うん」 「5.その他」 「正解は1のグラエナがポチエナになったから!でした!!レッカ残念!!」 「いや、選択肢変わってるぞ!!1は大王イカだからだろ!?それにグラエナがポチエナになるって…普通逆だろう!!」 「え〜、話がホップステップジャンプぐらいに飛んだね!元の地獄茶の話に戻そう、先ほど言いかけてたけど烏龍茶n「俺の話を聞けー!!」レッカ五月蝿い!退場!!レッドカード!!」 レッカの真下に穴が開いてレッカは落ちて行った。 「あぁぁ〜(どんどん声が小さくなる)」 「…さて、助手はウィオに交代!」 レッカが落ちて行った穴から床が上がってきてウィオが現れた。 「…さっきも言いかけてたけど烏龍茶にいろいろ入れたのが地獄茶だよ!レモン・林檎等普通の物もあれば時には卵・マーブル色の謎の生命体等、嫌な物もあるんだ!…ん?」 ウィオは部屋の隅で何やらボソボソ言っていた。 「でね、昨日…あ!イリアス!どうかした?」 「…誰と話してるんだ?」 「あ、イリアスには見えない?まぁこの人20年前に死んだ人だから見えなくても仕方ないよね」 (この部屋に何かいる―!?しかも何でそんな爆弾発言サラッと!?) 実はイリアスは霊とかお化けとかが苦手である。 「…じ…じゃあ今日の講義はこれぐらいにしておこうか…デコボコ山道で会おう…」 イリアスはぶるぶる震えながら出て行った。 「え?地獄茶の講義やらないの?まぁいっか、カリス、外で遊ぼー」 ちなみにカリスとはウィオが話していた相手のことである。 |
藍李 | #23★2005.08/10(水)16:28 |
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ウシオに勝って1分、アクア団のリーダーはすぐに見つかった。 「フフフ…この隕石があればマグマの上に雨が降ってマグマが固まり、水が溜まる…。そうすれば…!!」 アクア団のリーダーはぶつぶつ言っていた。 イリアス達が抜き足差し足忍び足で近づいていく…。しかし…、 「へぷしっ!!」 イリアスがくしゃみをしてしまったので気づかれた。 「誰だ!?」 さっとアクア団のリーダーが振り返る。 「気づかれたからには仕方ありませんね…ウィオ!!」 「この俺、アオギリと戦おうってのか…行け!サメハダー!!」 「ウィオ!突進!」 ウィオの突進!▼ 相手のサメハダーは倒れた!▼ ウィオは攻撃の反動を受けた!▼ ウィオは相手のサメハダーの鮫肌で傷ついた!▼ 「馬鹿な!い…行け!ゴルバット!」 「おっと!そうはさせませんよ!」 セオが果物ナイフを投げた。ナイフは見事ゴルバットのモンスターボールの開閉スイッチを破壊した。 「くっ!…しょうがない、ここはひとまず諦めよう…」 アオギリは煙球を使って逃げた。 「セオ…そのナイフ、どこから…?」 「兄さんのリュックから発掘したんです」 セオがにっこり笑った。 「イリさん!隕石取れたよ!戻ろう!」 イリアス達はアンダンテに乗って流星の滝に向かった。 「あ!隕石は取り戻せましたか!?」 アンダンテから降りた瞬間、ソライシが駆けつけてきた。ふとマチカが抱えている隕石を見る。 「有難うございます!あ、これは感謝の気持ちです!ぜひ受け取って下さい!」 マチカから隕石を受け取り、ソライシは何かCDみたいな形の物を3枚差し出した―技マシンである。 「それの中身は恩返しです!これで僕の研究もはかどります!」 ソライシはせかせかとハジヅケタウンに戻っていった。 「…さて、私はカナズミシティ行くからこれでお別れだみょん」 「口調変わってるよマチカ♪」 マグマから離れてモレンドは再び元気になっていた。 「じゃ、とにかく私達はこれで」 マチカはアンダンテ、モレンド、マルカートを従えてカナズミシティの方に走って行った。 「…それでは私も…。また近いうちに会うことになりそうですね」 「え?近いうちって?」 イリアスが聞いた時にはセオはもういなかった。 「じゃ、フエンタウンに行くか。あ〜…俺達だけデコボコ山道に残れば良かったかな…」 「過ぎたことはどうにもならないよ」 「そうだな、じゃ、行くか」 イリアスが歩いていった先は…何故か流星の滝の方。 「イリアス、そっちからも行けるけどもと来た道を戻ったほうが近いよ」 ナイトは何故か少し笑っていた。 「また氷付けにされたり蒸し焼きにされたり悪戯されるのはごめんだっ!!」 イリアスは問答無用とばかりに流星の滝に消えた。 「…でもそっちの方行っても悪戯はできるんだけどね」 イリアスが聞いたら固まりそうな言葉を発してライウ達も流星の滝に入っていった。 |
藍李 | #24★2005.08/21(日)20:18 |
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「しかし…この技マシン誰に使おう…?」 マチカ・セオと別れて10分、イリアスは流星の滝の中でソライシがくれた技マシンを片手に1人悩んでいた。ちなみにレッカとナイトはイリアスから5mのところでいろいろ話していてライウは滝で遊んでいる。 「ライウは…いつも悪戯ばかりしてくるからなぁ…でもマルマインの襲撃の時助けてくれたし…。一応置いとこう…。ナイトはたまにからかってきたりするけど…ライウよりはましかな?で、レッカは…いつも助けて貰ってるな…それに一番付き合いが長い…よし、レッカにしよう」 「何ブツブツ言ってるんだ?」 いつの間にかナイトと話し終えたレッカが目の前に座っていた。 「レッカ、ちょっと良いか?もうちょっと近づいて」 イリアスが手招きする。レッカは首をかしげながらもイリアスに近づいた。 「じっとしてて」 そっとレッカの額(?)に技マシンを乗せる。 レッカは恩返しを覚えた!▼ 「…何で俺なんだ?」 レッカが不思議な物をみる目つきで聞いた。 「嫌だったか?」 「え…いや、そうじゃないけど」 「じゃ、良いな」 イリアスは大きく伸びをした。ふと腕時計を見る。 「6時か…そろそろ暗くなる頃だな」 イリアスはナイトとライウを呼び戻すため、レッカを残して歩いて行った。レッカは少し目を細めてイリアスの背中を見ていた。 「ほら!そろそろ暗くなるから出発するぞ!」 「え〜もうちょっと滝で遊んでいたいんだけどな〜。流星の滝の中で野宿(?)しようよ」 イリアスが激しく頭を振った。 「駄目!!何度ズバットに吸血されそうになったと思ってる!?」 「じゃあ多数決で決めようよ。ナイトはどう思う?」 「どっちでも良い」 「レッカでどっちにするかが決まるな。レッカ!」 いきなり自分の名前を呼ばれて慌てて立ち上がった(?)ため、レッカは後ろ足を近くの岩にぶつけた。 「…ッ!!何だ!?」 「流星の滝で野宿するのとカナズミまで行ってポケセンに止まるの、どっちが良い!?」 イリアスは「カナズミまで行ってポケセンに止まるの」の部分を微妙に強調した。 「疲れてるし、流星の滝で野宿する方が良いな」 「え〜!?」 「よし決定だね!!」 ライウは思いっきり滝に飛び込んだ。その傍らでナイトが苦笑していたとかしていなかったとか。 |
藍李 | #25★2005.08/21(日)18:53 |
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次の朝、イリアスは全身水でびっしょり濡れていた。 実は昨日、流星の滝でかたまって寝ていたらライウが寝返りを打ち、その所為でイリアスは頭から水に落ちてしまったのである。不眠で起きていたナイトが慌てて助けてくれたので風邪はどうにか免れたが。 「春になると変な人が出てくるって本当なんだね」 ライウがスポーツドリンク並みの爽やかさで言った。 「誰の所為だよ…」 ナイトが差し出したタオルを受け取りながらイリアスはライウを睨みつけた。 「ラ〜グ〜(汗)」 「お前喋れるだろ…誤魔化すなよ…」 「はいはい、わかったよ。ごめん」 ライウは投げやりに言うと毛づくろいを始めた。 「まぁいっか。謝ったし」 イリアスはため息をついてレッカの日本晴れで服を乾かした。 10分後…イリアス達は流星の滝をぬけ、カナズミシティにいた。 「お腹空いてきたし、何か食べようよ」 「…ライウ、今はまだ9時だ。シダケ行ったら丁度1時ぐらいだぞ」 「え〜」 ライウが抗議の声をあげた。 「はいはい、わかったわかった。何が食いたいんだ?」 「え〜と超高級イタリアンレストランのスパゲt「却下」 ライウの注文はあっさりとイリアスに却下された。 「ときどきはおいしい物食べさせてよ!健気に食べたい物を我慢している僕の気持ちが分からないの!?」 「どこが健気だ!?だいたいいつも俺とかナイトとかレッカとかの2倍は食ってるだろ!!」 イリアスとライウは言い争いを始めた。 「…師匠、2時間は終わらなさそうですから街中を散策しに行きませんか?」 「あぁ、それも良いかもな。行こう」 言い争っている2人はレッカとナイトがいなくなったのに気づかなかった。 「やけに大きい街だな…。カイナより大きいんじゃないか?」 「同じぐらいじゃないですか?」 レッカとナイトはきょろきょろ辺りを見回しながら歩いていた。 「確かホウエンで一番広いのはサイユウシティだったと思いますよ」 ナイトが「よ」を言い終わった瞬間、レッカが誰かにぶつかった。 「痛いなの〜(泣)」 少し間延びした声を出したのはミズゴロウのようなポケモン。しかしどこかミズゴロウと違う。 「あ、ごめんなs「ラグちゃん!大丈夫だった?」 レッカの謝罪はさっきぶつかったポケモン―ラグちゃんの後ろから来た女の子の声にかき消されてしまった。 ラグちゃんはさっきぶつかったところが少し赤くなっていた。 「ごめんなさい、ラグちゃんがぶつかったみたいで…あ!!…もしかしていつぞやのウィン君?」 「いえ。俺はレッカですが。…ウィン君ってもしかして俺のじいちゃんの従姉の孫の従弟の親の従妹の子供のことですか?あのお調子者のやたらと餌付けに弱い…」 レッカは少し顔をしかめていた。ナイトと女の子は隣で混乱していた。 「…多分当たってるなの。結構お調子者だったなの。でも結構良い奴だったなの」 「…良い奴?」 その後もいろいろウィン君について話し、レッカとラグちゃんは意気投合した(ぁ) |
藍李 | #26★2005.08/10(水)16:29 |
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「へぇ〜…トレーナーが手持ちのラグラージと口喧嘩してて2時間は終わらなさそうだから街を散策しに出てきたのね…あ、自己紹介してなかったね、私はユイ。で、このラグラージが「ラグラージだったのか?」 レッカが(少し馴染んできたのでタメ口になっている)目を見開いてラグちゃんをまじまじと見た。 「ラグラージには見えないよ?」 ナイトもじっとラグちゃんを見ていた。 「うん。よく言われる。ラグラージだよ。名前はラグちゃんで…この子はアブリュー」 ユイはモンスターボールから眠そうなアブソルを出した。 「何だ?寝てたのにボールから出すな!重要なことなんだろうな!?」 寝起きで機嫌が悪いのかアブソル―アブリューはイライラと言った。 「あ、うん。えーと…レッカにナイトだよ。挨拶して」 ユイがおずおずと言った。 「よろしく。じゃあオレは寝るからな!!」 アブリューは自分からモンスターボールに入ってしまった。 「…」 気まずい沈黙が流れた。 「え〜と…イリアスとライウの口喧嘩はどうなったかな?」 ナイトが気まずい沈黙を誤魔化す様に言った。 「え?トレーナーの名前はライウなの?」 「いや、トレーナーはイリアスの方…ライウはラグラージだよ」 ラグちゃんの問いかけにナイトが丁寧(?)に答えた。その時 「お〜い!ここにいたのか!!」 イリアスが駆けて来た。後ろにライウもいる。 「何でいきなり消えたんだよ!?」 イリアスは全身びっしょりだった。どうやらライウがイリアスに向かってハイドロポンプを繰り出したらしい。 「イリアスとライウの口喧嘩は最低2時間は続くからな。暇だったんだよ」 朝と同じように日本晴れでイリアスの服を乾かしながらレッカが弁明した。レッカの後ろの方からクスクス笑う声がする。ユイである。 「レッカとナイトがお世話になったみたいで…どうもありがとうございました。え〜と…」 「あ、私ユイ。こっちはラグちゃん。あとアブソルのアブリューもいるけど起こしたら燕返し食らいかねないから…」 ユイは苦笑いしていた。イリアスは頭上に?マークを100個ほど浮かべている。 「イリアスさん…だよね?」 「あぁ、呼び捨てで良いぞ」 どうやらイリアスも馴染んだらしい。 「バトル申し込みたいんだけど」 「まぁ、良いけど。何対何にするんだ?」 イリアスはあっさり頷いた。 「1対1でどう?アブリューは起こしたら怖いから」 イリアスとユイの戦いが始まろうとしていた。 |
藍李 | #27★2005.08/15(月)13:07 |
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「ラグちゃん!行って!」 「わかったなの〜」 ラグちゃんがのんびりと前に出る。 「ラグちゃんか…じゃあラグラージ対決で…ライウ!」 ライウも前に出た。 「ラグちゃん!ハイドロポンプ!」 ラグちゃんのハイドロポンプ!▼ ライウはハイドロポンプで体力が大幅に削れた。 「ライウ!こっちもハイドロポンp「只今ストライキ中」 その場にいた全員が唖然としていた。 「ライウ!ストライキ中って何だよ!?ジョウトのバッジなら全部手に入れたぞ!?」 どうやらポケモンを従わせるためだけにジョウト地方のバッジを揃えたらしい。 「イリアスが美味しい物食べさせてくれるまで戦わない」 ライウがそっぽを向いた。 「…勝負続けられる?」 ユイの問いにイリアスが横に頭を振った。 「しょうがない…近くにラーメン店が在ったはずだから行こうか。ユイ達にもバトルを途中で放棄したお詫びとしておごろう」 ユイの目が急にきらきらと輝きだした。 「ユイはラーメンが大好きなの」 10分後… イリアス達はカナズミで1番うまいラーメン店に入った。それぞれ好きな物を注文する。 「美味しいなの〜v」 「美味しいーっ!!」byユイ そんな感想が聞こえる中でイリアスは思った。 (…どのラーメンも1000円か…とするとライウ・ナイト・レッカ・俺・ラグちゃん・ユイ・あとユイのそばでラーメン食ってるアブソル(アブリュー)で7000円か…まぁ所持金結構あるはずだから良いか) 「ご馳走様なのーw」 ラグちゃんがのほほんと言った。 「ところでライウ。今度はちゃんと戦ってくれるんだろうな?」 ライウは少し首をかしげた後、頷いた。まぁ、今日はこれぐらいで勘弁してやろう、という顔だ。 「もう1回勝負しないか?」 「良いけど…また1対1で良い?」 イリアスが頷いた。 「行って!ラグちゃん!」 「行け!ライウ!」 再びライウVSラグちゃんの戦いが始まった。 |
藍李 | #28★2005.08/21(日)20:33 |
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「疲れたなの…」 「Me too…(訳:俺も…)」 2回目のバトルが始まって10分…ハイドロポンプやら地震やらをお互いに食らわせあった所為でラグちゃんとライウは地面にへばり付いていた。 「…引き分け…か?」 「そうみたいだね…」 イリアスとユイは午後特有の暑さから逃れる為、日陰に逃げていた。ちなみにラグちゃんとライウについてはハイドロポンプを食らわせたり波乗りを食らわせたりで暑さは特には問題ない。そもそもポケモンなのでこれぐらいの暑さは平気である。 「結局決着はつかないのか…」 「まぁ同じぐらいの実力だったってことで」 がっくりうな垂れたイリアスを慰めるようにユイが言った。 「あ、ラグちゃん、そろそろ1時だから行かないと」 ふと思い出したようにユイが言った…が 「疲れてるからしばらくこのままでいさせてなの〜…」 ラグちゃんは引き剥がそうとしても引き剥がせなさそうなほどに地面にくっ付いた。 「ラグちゃん起きて!」 ユイは暑いのも忘れてラグちゃんを地面から引き剥がそうとした。しかしラグちゃんも頑固で起きようとしない。 「ユイ…引き剥がさなくても普通にモンスターボールに入れれば良いじゃないか…」 「あ、そっか!」 ユイは早速モンスターボールを取り出してラグちゃんを戻した。 「じゃ、私はこれで」 ユイはトウカシティの方に走り出そうとして…戻ってきた。 「ポケナビ登録しようよ」 ユイはポケナビを取り出した。 …登録しています… 「あ!もう1時!?じゃ、急いでるからこれで!」 ユイは猛スピードで走っていった。 「…ライウ、そろそろ起きたらどうだ?この前も融けかけてすごいことになっただろう」 ライウは地面に張り付いて1時間もすると融けだす。どうやって戻すのかは不明。ちなみに融けた状態のライウには塩が効果抜群である(ぇ) 「ワータシ二ッホンゴワッカリマセーン」 「思いっきり日本語喋ってんじゃん」 いつの間にかいたレッカが突っ込んだ。 「もう良いや。モンスターボールに戻せば…」 イリアスがモンスターボールを投げた…が、ライウはコサックダンスみたいな踊りをしながら避けた。ちなみに地面にくっ付いたまま。 「おぉー!」 ナイトは何故か感心している。 「避けるな!」 イリアスはモンスターボールをがむしゃらに投げ始めた。しかし波乗りで弾かれてしまう。 「…こうなったらあの手を使おう」 イリアスはリュックの中を漁り始めた。取り出したのは釣竿と…レモン。ライウはレモンが大好物だったりする。 「レモン――!!」 いきなりライウは突進してきた。イリアスもそれを見計らって駆け出す。この追いかけっこはカナシダトンネルに着くまで続いた。ちなみにレッカはナイトを背中に乗せてライウの後ろを走ったらしい。 |
藍李 | #29★2005.08/21(日)18:58 |
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「ふぅ…」 イリアスは汗だらだらでカナシダトンネルの床に座り込んでいた。暑い中全力疾走したのだから無理もない。 ライウはレモンをばくばく食べていてレッカとナイトは伸びをしたりそこら辺を歩いてみたりしている。 「やっぱりトンネルの中って爽快だよな。ただ…」 「ただ?」 ナイトがイリアスの顔を覗き込んだ。 「ゴニョニョが多くて狭いなー、って思って」 トンネルの中は確かにゴニョニョで溢れ返っていた。 「う〜ん…うぉくもそう思っら。あやくぬけようお」 ライウがレモンを食べながらフガフガと言った。 「そうだな。ポケセンで休ませてもらえば何とかこの暑さは乗り切れるだろうし」 何でもかんでもポケモンセンターで済ませる人、ここに1人。 結局シダケタウンについたらポケモンセンターで休むことになった。 20分後… 「やっぱりポケモンセンターはすずs…あれ?」 ポケモンセンターの中は外にも負けないぐらい暑い。 「何でこんなに暑いんだ…?」 「今はクーラーが壊れているらしいですよ。直してもらってるところです」 すぐ傍から高いとも低いとも言えない声でイリアスの疑問に対する回答が返ってきた。 「あぁ…セオか。こんなところで何してるんだ?」 「兄さんこそ」 セオはグラールが必死にポケセンの窓から見えるレストランに走っていこうとするのを止めていた。 「俺はフエンに行くところだ」 「兄さん、ひょっとして流星の滝から直接来ました?もしそうなら火山灰があるほうを通った方が早かったと思いますが」 セオは勿論何も知らない。 「あぁ…急がば回れっていうだろ?」 イリアスは背中にライウの意地悪な視線を感じながら冷や汗を流していた。セオの頭上には?マークが浮かんでいる。 「まぁともかく、そこまで送っていきましょうか?」 セオはネストボールから2匹のヤミカラスを出した。 「…ヤミカラス?空を飛ぶを使えるのか?」 セオがこっくり頷いた。 「で、どうします?」 「あぁ、頼む」 「それでは外に出ましょう」 イリアス達はポケモンを戻して(ヤミカラスは出たまま)ポケモンセンターを出た。 「ではポッカの方につかまって下さい」 「ポッカ…?」 「あぁ、目が大きい方ですよ。もう1匹はレモンです」 つなげると美味しそうだな、とか訳のわからないことを考えながらイリアスはポッカの脚につかまった。 レモンはボールの中からライウが涎を垂らして自分を見ているのを悟ったのか、小刻みに震えている。ちなみにライウは『レモン』という名前に反応し、今はレモンが果物のレモンに見えている(ややこしい) 「ポッカ、レモン、空を飛ぶ!」 イリアスとセオの姿はフエンタウンの方に消えていった。 |
藍李 | #30★2005.08/21(日)19:02 |
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2時間後… 「やっと着いた…ちょっと手が痺れたな…」 「慣れれば大丈夫ですよ」 イリアスとセオがいるのはフエンタウン。温泉があり、漢方薬屋があるお年寄りにとって最高の町である。 「そろそろ夜だな。今日はポケセンに泊まるか」 「そうですね」 2人はポケモンセンターに向かった…が 「申し訳ありませんが只今空き部屋はありません」 ジョーイさんにそう言われてしまった。 「はぁ…良いことないや…もう今日は自棄酒(やけざけ)だなっ!」 「兄さん、20歳になるまでは飲酒はいけませんよ」 セオに突っ込まれてしまった。 「じゃあやけコーラ!」 「冷たいものばかり飲んでいるとお腹壊しますよ」 「じゃあやけ海水っ!」 「飲んでも問題はありませんが止めといた方が無難です」 「やけ硫酸っ!」 「飲み物じゃありません」 「やけ地獄茶っ!」 「あ、それなら良いですよ」 いやいや、駄目でしょ! 「よし!決定だ!」 だから駄目だって! 作者の制止を聞くことなく、イリアスは自動販売機の方に走って行った。 その夜、デコボコ山道の出口の近くで地獄茶パーティーが催された(ぇ) 「あ〜!やっぱり飲み物は地獄茶に限るっ!」 「イリアス…どっかのおじさんみたいだよ?」 ナイトはレッカの傍でお摘みのスルメをかじっている。 「これで地獄茶がビールだったら宴会だな…」 ライウは地獄茶を飲んで気絶していた。どうやらガァニョ味に当たったらしい(ぁ) 「あ、結構地獄茶って美味しいかも」 ウィオは5パック目になる地獄茶をごきゅごきゅ飲んでいた。その隣でセオが必死にグラールを止めている。 「スルメ食べすぎです!」 ポッカとレモンはその様子を眺めている。 そんな感じで地獄茶パーティーはジュンサーさんに注意されるまで続いた。 次の日、地獄茶を飲んで気絶しているライウとグラールの近くでパーティーの残骸を片付けるイリアス達の姿が見られた。 ちなみにグラールは大人しくさせるためにセオが無理矢理ライウが飲んだ後の地獄茶を飲ませたらしい。 起きたのはライウもグラールも昼過ぎだったという…。 |
藍李 | #31★2005.08/21(日)19:04 |
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ここでガァニョについて説明しよう(しなくて良い) ガァニョとは…14歳にして痴呆症の緑色の生命体。ときどき大量発生する(ぇ)12.3cmで100t。死亡率…じゃなくて脂肪率99%。1匹で100匹ピラニアがつれる。密かに育毛剤を使っている(…)普通はガニョゲッヘル語を話す(ぁ)地獄茶の中ではワースト5に入る味。 起きたライウとグラールは顔に青筋を立てていた。 「うぅ…ガァニョの後味が…」 ライウは今にも失神しそうでグラールは言葉も出ないほどである。イリアスがリュックの中からオレンジジュースを2パック出してライウとグラールに渡した。2匹ともそれを1秒で飲み干した(早っ!) 「…ガァニョってどんな味なんだろ…?」 好奇心旺盛なウィオがふと呟いた。 「知らない方が…幸せだよ…」 ライウが汗をだらだら流しながら言った。 「…オレンジジュース1パックぐらいじゃ利かないようですね」 「む〜…やるなガァニョ…じゃあこれはどうかな?」 イリアスが取り出したのは…キムチ。特大サイズ。 「キムチ…!嫌だぁー!それだけは勘弁!キムチは苦手なんだぁー!!」 グラールは飛び上がってキムチから遠ざかれるだけ遠ざかった。 「おやおや…元気になったみたいですね」 セオはクスクス笑っていた。一方イリアスは… 「ライウ!ほら食え!」 無理矢理ライウにキムチを食べさせていた。ライウは抵抗する気力もないのかキムチを素直に食べた。 「…辛っ!辛すぎるよこれ!!」 ライウは飛び起きて火を噴きながらイリアスのリュックを漁って水入りペットボトルを取り出した。それをごくごく飲む。 「おぉ〜。さっすが俺認定ホウエン一辛いキムチ!利くね〜」 イリアスはうんうんと頷きながら感心していた。その前ではライウが4本目のペットボトルを取り出していた。 「ところで兄さん、そろそろ暗くなる頃ですが…」 セオの言うとおり、日は沈もうとしていた。 「今日はポケセンの部屋取れるかな…」 イリアスが荒い息をしているライウをボールに戻す。 「さて、行くか」 今日こそは部屋を取れることを祈ってイリアスとセオはポケセンに向かう。 |
藍李 | #32★2005.08/21(日)19:05 |
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日が沈んできた頃、ポケモンセンターにて… 「…はい、では9号室を使ってください…」 ジョーイさんの声が聞こえる。イリアスとセオはジョーイさんから部屋の鍵を受け取って上の階に上がった。 「このもこもことした布団!久々って感じがするな〜!」 イリアスは部屋に入って早々、ベッドの上に飛び乗った。 「兄さん、リュックぐらい下ろしたらどうです?」 「あぁ、そうだな」 イリアスは寝たままリュックを下ろそうとしてジタバタした。 「コイキングじゃないんですから!ちゃんと座ってから下ろしてください!」 セオに言われてしぶしぶイリアスは座ってリュックを下ろした。そしてすぐにベッドに倒れこみ、セオの方に向き直った。 「なぁセオ、そろそろマチカの鞄奪ったことについて説明してくれないか?」 鞄の中を整理していたセオの動きが止まった。 「…どうしても知りたいですか?」 「あぁ、どうしても。弟のことだしな」 イリアスの目は真剣だった。 「…わかりました。気乗りしませんが説明しましょう。まずアクア団の狙いはカイオーガを復活させて海を増やすことです。マグマ団というのもいますが…まぁ今回の事に関してはあまり関係ないので説明は省きます。で、そのカイオーガを復活させる為のことが書いてある本があのバッグの中に入ってたんですよ。その本をアクア団が狙っていたので私がアクア団に取られる前に奪ったんです。あの時バッグは返しましたがその本はしっかり抜き取っておきました。兄さんとのバトルも時間稼ぎです。まぁ2年でどれぐらい強くなったか知りたかった、っていうのもありますよ。私は演技とかが苦手なので悪人っぽいセリフになってしまいましたがね」 イリアスはセオの説明が終わった後も動かなかった。じっと何かを考えている。 「兄さんを巻き込みたくはありませんでしたが知ったからには兄さんも覚悟しておいてください」 セオがそう言ってもイリアスは黙っていた。しばらくしてイリアスが口を開いたがその声は妙にかすれていた。 「あの後…マチカは1冊ずつ本を確認した…何でマチカは分からなかったんだ…?」 「その本を取った代わりに複製した本を紛れこませたんですよ。カイオーガの部分のデータを書き換えた物をね」 「なるほどな…セオ、俺も協力する」 「え?」 「弟が…悪の組織と対抗しようとしているのに…見過ごせるもんか!」 「そういってもらえると…嬉しいです」 セオは笑っていた。 「それはそうと…腹減ったな…」 イリアスはそれだけ言うと布団に沈み込み、動かなくなった。 「…兄さん…ご飯食べたいなら動かないと」 「もう1歩も動けない…」 イリアスはますます布団にめり込んだ。 「…しょうがないですね」 セオはイリアスのリュックを漁り始めた。 「…リュックの中は整理しろと言ったはずですが」 セオはイリアスのリュックを逆さまにした。その途端にいろいろ床に落ちる。セオの膝ぐらいまでいろいろな物で埋まった。セオが要りそうな物だけをリュックに詰めていく。 「…これは…要る…何でペコちゃん柄の巾着なんて入ってるんですか…要らない…これ…何か変な匂いしますよ…要らない…要る…「セオ〜…腹減った〜…」これでも食べててください!」 セオがイリアスに得体のしれない缶詰を投げつけた。それが頭に当たり、イリアス撃沈。セオはそんなことお構いなしに床に転がった物をリュックに詰めていく。 1時間後… 「ふぅ…やっと終わりました」 要らないと判断された物は部屋の隅に固められている。 「後はこれをゴミ捨て場に持って行くだけですね…兄さん!少しぐらいは手伝ってくださいよ!」 「ふんぎょろへ…(謎)」 イリアスは謎の言葉を発しただけで動かない。 「…後でライウに兄さんの弱み教えてあげましょう…」 イリアスは途端に飛び起きた。 「嫌だぁぁ!それだけはぁぁ!何でもやるからそれだけは勘弁!!」 セオはイリアスにゴミ袋4つを差し出した。 「これゴミ捨て場に持っていくの手伝ってください」 この後イリアスが石に躓いてゴミ捨て場に頭から突っ込んだとか突っ込まなかったとか。 |
藍李 | #33★2005.08/21(日)19:06 |
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再び9号室… イリアスはセオが投げた得体のしれない缶詰をぱくぱく食べていてセオは缶詰に目が釘付けなグラールの健康状態を確認している。 「兄さん…その缶詰何なんです?」 「これか?…世の中には知らない方が良いこともあるんだぞ」 イリアスが静かに言った。心なしかグラールが缶詰から目を逸らしたような逸らさなかったような…。 「ところでウィオ・グラール・ポッカ・レモンの他にはどんなポケモン持ってるんだ?」 イリアスが缶詰を食べるのを止めて聞いた。 「ニューラのレイリス、アブソルのブラッド、グラエナのフォルス、ノクタスのグラス、バンギラスのクリッターですね。まぁ百聞は一見にしかずでしょう。連れてくるので少し待っていてください」 セオは下の階に向かった。 10分後… セオが5つのモンスターボールを一勢に投げた。 「何か用なの?」 ニューラ―レイリスが眠そうに言った。 「私の兄さんに紹介しようと思いましてね」 セオが空になったモンスターボールを傍らに置きながら言った。 「敬語はやめろって言ったろ?トレーナーに敬語使われるのって変な気分になるんだ」 グラエナ―フォルスがイライラと言った。 「あぁ…そうでs…そうだったねフォルス。ごめん」 「分かれば良いんだ」 そう言うとフォルスはセオが使っている方のベッドに寝そべった。 バンギラス―クリッターは何故かイリアスが食べていた缶詰を分析している。 「この匂いは秋刀魚の地獄茶漬けだな。ちなみに地獄茶はレモン味…運が良かったな」 イリアスが拍手した。 「すごい!何で分かったんだ!?」 「クリッターは匂いに敏感でほとんどの匂いの正体は当てられるんです」 「へぇ〜成る程〜すごいな〜」 アブソル―ブラッドはさっきから黙ってイリアスを見つめている。 「…」 「そんなに見つめられると照れるな…(汗)」 「…ラグラージが入っているボールからお前にとっての災いの力を感じる…あとグラス、怪しいからそんなところでじっとするな」 「え?」 イリアスが振り返った。イリアスの視線の先にあったのは…黒と黄色の目。 「う…うわあぁあ!!」 イリアスが大声を上げて飛び退くとノクタス―グラスも目を大きく見開いて布団の下に潜った。 「グラスは恥ずかしがりやなんです」 布団はガタガタ震えている。 「そうなのか…でもあれはびっくりした…」 「あの悲鳴の方がびっくりしたわ」 レイリスが布団(正確にはグラス)を突付きながら言った。 「グラスに懐かれたみたいですね〜」 セオは苦笑していた。 「グラスは心を許した相手の影にしか隠れないので」 イリアスは嬉しいのか嬉しくないのか良く分からなかった。 |
藍李 | #34★2005.08/21(日)19:08 |
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イリアスが布団を揺らす…余計震えが激しくなった。やけになって布団を剥がそうとする…剥がれない。 「ったく…じれったいわね。グラス!いい加減に出てこないと冷凍パンチくらわせるわよ!」 レイリスの脅しは効いたようだ。グラスが布団の下からすごすごと出てきた。 「えっと…さっきは驚かせちゃってごめんなさい…」 おどおどとベッドの陰に隠れるようにしてグラスが謝った。 「良いんだよ。俺も驚かせちゃったことだし…」 イリアスが頭を掻く。次の瞬間勝手にモンスターボールが全部開いてレッカ、ナイト、ライウが出てきた。グラスはびくりとしてイリアスの影に再び隠れた。 「いや〜…何か騒がしいなぁ〜って思ってね」 「そういえば兄さんは他にポケモン持ってないんですか?」 セオがふと気づいたように聞いた。 「3匹だけだぞ。そろそろ新しい仲間増やそうと思ってるけど」 「その『新しい仲間』ってすっごい不幸だろうね…」 ライウがボソリと呟いた。 「何か言ったか?ライウ?」 「ううん。何にも。空耳じゃない?」 「あ、もう12時ですね。私はちょっと下のパソコンにブラッド達を戻しに行って来るので…」 その瞬間、セオのポケモン4匹からブーイングがあがった。 「冗談じゃないわ!久々に外に出られたのに!」 「俺もちょっと退屈してたところだからな」 「右に同じ」 「何かウィオとかグラールとかだけ…ずるいぜ」 「僕にとって外の世界は刺激が強いから僕は…」 上からレイリス、フォルス、ブラッド、クリッター、グラス。 「分かりm…分かったよ。じゃあ連れて行くのはレイリス、フォルス、ブラッド、クリッター、ウィオだね。グラスは良いの?」 グラスが布団から出てこくりと頷いた。 「では私は下に行って来るので…」 セオはグラスをモンスターボールに戻して出て行った。 ポケモン達は部屋中に散らばった。 レイリスはレッカと話し始めたブラッドにくっついている。クリッターは何やら笑いながらライウと話していてナイトはそこら辺を飛び回っている。フォルスはベッドの上で規則正しい寝息を立てていた。イリアスはベッドでウトウトしている。セオはまだ戻らない。 こんな平凡(?)な風景が広がるポケモンセンターの1室で何かが起こるなんて誰も知る由もない…。 |
藍李 | #35★2005.08/21(日)19:09 |
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部屋にいた全員が眠くなってきた頃…事は唐突に起こった。 セオが猛スピードで部屋に飛び込んできた。急いでドアの鍵をかける。 「はぁ…はぁ…はぁ…」 息が荒い。そして外からはドアを叩くような音がする。 「…セオ、どうしたんだ?」 イリアスがむくっと起き上がる。寝癖が凄い。 「…マチカさんが…私が摩り替えた本が…偽物だと気づいたようで…」 セオはドアに凭れ掛かって息を整え始めた。 「ふーん…ポケナビ使うだけ使ってみるか」 イリアスのポケナビは特殊加工がしてあって室内からでも呼び出せる。 「もしもし、マチカ?イリアスだけど…」 ドアを叩く音が止んだ。 「イリさん?どうしたのこんな遅くに」 ドアの外からもボソボソと声が聞こえる。 「この前アクア団と戦ったろ?マチカはそのアクア団の目的知ってるかな?って思って」 「知ってるにょろ。海を増やすことにょろよね?」 「マチカ…口調変わってる。まぁそれは置いといて当たり。じゃあ海を増やすには?」 イリアスがさり気なく問いかけた。 「雨を降らせる…?」 「当たり。じゃあ雨を降らせるためには?」 イリアスが更に追い討ちをかける。 「ポケモンを使う…?…カイオーガ!」 「そう。セオが摩り替えた本にはね、カイオーガを復活させる為のことが書いてあったんだ。セオはその本がアクア団に奪われることを恐れて…摩り替えたんだ」 「…そう…だったの…?」 セオがポケナビを指差して…自分を指差した。『ポケナビを貸して』と言いたいのであろう。イリアスが頷いてポケナビを渡した。 「…マチカさん、アクア団を壊滅させたら本は返しますよ。約束します」 セオはいつの間にか取り出した本の擦り切れた背の部分を無意識に撫でていた。 「…わかったなり。でも同じ本持っている人なら「いえ、あの本はかなり貴重であなたが持っているのも含めて2冊しか出版されていません。もう1冊は私がすでに持ち主に頼んで貸して貰ったので…」そうなのであるか?」 「そうなんです。ところで…何でここが分かったんです?」 「ん?本への愛の力、とでも言っておこうかな」 (マチカさん/マチカから本を奪ってはいけない) セオと隣で盗み聞きしていたイリアスはそう思った。 「あ、もうこんな時間?魔法が解けるから早く帰らなきゃ!」 いきなりマチカが叫んだ。 「マチカさん…それはシン○レラです。しかも今12時過ぎてますよ?」 「まぁとにかく私は帰るからこれで!」 プツッ…ツー…ツー…ツー… 「…眠くなったし…寝るか」 「そうですね」 フォルスがセオに退かされた際にブツブツ寝言を言った。 |
藍李 | #36★2005.08/21(日)19:20 |
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次の朝… 「まだ起きないの…?」 ウィオは早起きでどんなに遅く寝ようと7時には起きる。 「まぁ昨日は12時過ぎまで話してたからね…それに何故かイリアス達が寝ようとした瞬間にポケセンの外で何者かがソーラン節踊り始めたし。イリアスなんかうんうん呻いてたし。外に行っても誰もいなかったんだよなぁ…」 ナイトは苦笑していた。ナイトは不眠でいt(しつこい) 「それ…大問題でしょ。そして何故ソーラン節?」 「さぁ…?」 セオがもぞもぞ動いて…起きた。 「あれ…?もう朝ですか…?」 セオが寝癖を整えながら近くに置いておいた腕時計を見た。 「…ん…11時…11時ぃ!?」 セオの叫びで寝ていたイリアス&ポケモン軍も飛び起きる。 「どうしたセオ!?はッ!もしかしてライウに化粧されたk「そんなことするかっ!」 ライウが投げた枕がイリアスの顔に見事命中。 「しそうだよな…現にイリアスにはしたことあるわけだし…」 レッカの呟きは微かなものだったがライウには聞こえたらしい。 「何か言った!?」 「ううん!何にも!」 レッカは波乗りの構えに入っているライウを見てブルブル頭を振った。 「11時…約束の時間まであと9分じゃないですか!早く行かないと!あぁああの人結構時間に関しては厳しいから…兄さん!私はもう行かないといけないので…もし遅れたら何て言われるか…ウィオ!おいで!」 ウィオを肩に乗せつつ他のポケモンを戻して出て行くセオをイリアス&イリアスのポケモン達はぽか――んとしながら見ていた。 「…セオも忙しいんだな…さて、もう少し寝るか…」 「イリアスー。寝すぎると頭痛くなるよー」 しかしイリアスはもう布団に潜って寝ていた(早っ!!) 「ライウ…やっちゃって」 ナイトが突き放したように言った。 「いぇっさー」 ライウはどこから持ってきたのか巨大バケツを抱えていた。 「おい…」 「うん?」 「普通に波乗りくらわせれば良いだろ。それでも水ポケモンか」 「これに入ってるのが普通の水だと思ってない?」 ライウは怪しく笑った。 「これにはねー冷凍ビームで凍らせた水をハンマーで叩き割って水を混ぜた物が入ってるんだよ。これをイリアスの頭にかければ…えい!」 おもむろにそれをイリアスの頭にかける。 「うっぎゃあぁ!」 イリアスの頭に一際大きい氷が落ち…イリアスは気絶した。 「意味ないし…」 「う〜ん…冷たすぎたかな?」 「はぁ…」 考え込むライウと呆れるナイトの傍らでレッカはため息をついた。 |
藍李 | #37★2005.08/21(日)19:24 |
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「あ〜…頭痛い…寝すぎたかな…」 イリアスは頭に氷水を当てながら砂漠に向かって歩いていた。 「寝すぎただけじゃないと思うぞ…」 レッカがボソリと言った。ちなみに一瞬の出来事だったからなのか単に寝ぼけていただけなのかイリアスは氷が落ちてきた時の記憶がない。 「イリアスは寝ぼすけなんだから」 笑いながら言うライウをナイトは冷めた目で見ていた。 「そんなに痛いのk――?」 レッカが言い切る前にイリアスはレッカに圧し掛かった。 「このままでいさせて…」 「しょうがないなぁ…心優しい僕が薬を調合してあg「それだけはやめろ…」 イリアスがレッカの背中に乗ったまま呻いた…が、 「遠慮せずに」 ライウはもう薬調合の体勢に入っていた。何かライウの周りには怪しげな模様が書いてある。呪いをかける時に使いそうな模様である。 (ひぃぃ――!!) 「あ、あのさライウ。気持ちだけで十分だよ!だ、だからさ「気持ちだけじゃ頭痛は治らないでしょ!…よし!できた!さぁ飲んで!」 ライウが不気味に泡立っているエメラルドグリーンの液体を差し出した。烏賊の足のような物が数本はみ出している。 イリアス(+レッカ、ナイト)はずざざざざっ!と後ずさった。 「い…いや…本当にいいからさ…」 「飲まないと直らないよ!」 ライウが迫る。その時、砂漠の方から声がした。 「あの〜…どうしました?」 そこにいたのは…マグマラシ。普通のマグマラシより耳と爪、毛が長い。ライウが持っている液体に目が釘付けになっている。 「少し頭が痛くて…」 「よく利く薬草知っていますよ。ついて来てください」 イリアスは藁にも縋る思いでついて行った。 (セオの時といい今日といい…作者って何でも薬草に頼るよね…) ナイトがそんなことを考えていたり。 「ちょっと楽になったな…有難う、え〜と…」 「あ、俺はウェルズです」 「有難うウェルズ。でもこの草、苦いn」 バシッ! 「余計なことを言うな!」 レッカがフンッ!と鼻を鳴らした。 ちなみにさっきの音はレッカがイリアスの脛を叩いた音である。イリアスはひたすら痛がっていた。 「くっ…!今度は脛が…!」 「あはは…」 マグマラシ―ウェルズは苦笑いしていた。 「まぁ馬鹿はほっといて…ウェルズは何でこんなところにいるんだ?」 「え…俺ですか?俺は…ホウエン地方を旅しているんです。理由は特にありませんg「あ〜…やっと脛の痛みがとれた。そうだ、ウェルズ、助けてくれたお礼に地獄茶おごるよ」 イリアスがレッカとウェルズの会話に乱入してきた。‘地獄茶‘の3文字を聞いてウェルズが真っ青になったのは気のせいではないだろう。 「え?お…俺地獄茶はちょっと…」 「遠慮することないって」 イリアスはすでに地獄茶を5本持っていた。 「僕はちょっとなぁ…」 ライウ、地獄茶にトラウマ有り。 「じゃあライウはコーラにするか?」 イリアスの隣ではウェルズが逃げようとしゃかしゃか足をバタつかせていた。しかし足元の草が絡まって逃げられない。 「はい、ウェルズの分」 「ほぎくぇじょいえあほいげ」 ウェルズの顔はすでに真っ青を通り越して白くなっている。イリアスが何も知らずに地獄茶を飲ませると…! |
藍李 | #38★2005.08/21(日)20:29 |
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「ぐぎゃあぁぁ!」 ウェルズの頭と尻尾(?)の炎が激しく燃え上がった。目の色が変わっている。 「ウ…ウェルズ!?どうしたんだ!?」 ウェルズは無言でイリアスに向かって火炎放射をお見舞いした。 「ち…ちょっと!ウェルズ!?どうしたんだよ!?」 イリアスがぎりぎりで炎をかわす。 「あー…これはあれだな。イリアスが飲ませた地獄茶で発狂したとか…」 ライウが呑気にコーラを飲みながら言った。 「ウェルズ!正気に戻ってくれ!」 「うるせぇ!!」 (怖っ!!) この場にいたウェルズ以外の全員がそう思った。 「と…とにかくウェルズを元に戻さないと…」 ウェルズの炎をまとったブレイククローがイリアスの頭をかすった。髪の毛が数本ちりちり焼ける。 「どうしたら良いんだ!?」 「イリアスがウェルズと格闘してウェルズを倒せば元に戻ると思うよ」 ライウはすでにウェルズから10mぐらい遠ざかっていた。レッカとナイトもライウの隣にいる。 「ライウ!何とかしてくれよ!タイプ的にも有利だろ!?」 「何を言う…若者よ…わしはもうよれよれの爺さん…老いぼれに無理をさせるというのかね…?とんだ薄情者じゃな…」 ライウはどこから持ってきたのか杖をにぎりしめてぷるぷる震えている。 「いきなり老けるな!!お前何歳だよ!?」 イリアス、攻撃を避けながらの必死の突っ込み。 「えぇい小賢しい!避けるな!!」 ウェルズの声が微かに苛立っている。 「避けないと死ぬだろが!俺人間なんだぞ!!」 「やれやれ…しょうがないか…」 ライウの波乗り!▼ 効果は抜群だ!▼ ウェルズは倒れた!▼ 「情けない…あれだけで倒れるなんて」 ナイトがついでに倒れたイリアスを見ながら頭を抱えていた。 10分後… 「う…うん?」 イリアスとウェルズが同時に目を覚ました。 「あれ…俺は何をして…」 「覚えてないの…か?」 「?…ええ」 …只今さっき起こったことについて説明しています… 「そう…ですか。俺は地獄茶が苦手でガァニョに当たると暴れだしちゃうらしいんです…ところで誰か怪我しませんでした?」 ウェルズが恐る恐る聞いた。 「いや、俺は髪の毛数本焼けただけだし」 「そうですか…良かったです」 「あ、さっきは地獄茶飲ませちゃってごめんな」 「そうそう、イリアスは鈍感なところがあるからね〜困ったもんだよ。許してやって?」 ライウが踏ん反り返って偉そうに言った。 「お前なぁ…(怒)」 「と…ところで皆さんはこれからどこへ行くんです!?」 ウェルズが戦闘態勢に入ったイリアスを見て慌てて言った。 「え?俺か?砂漠に入ろうと思うんだが…」 「ゴーゴーゴーグルは持っているんですか?」 ウェルズの問いでイリアスがリュックを漁り始めた。 「リュックに入っているかな…って…セオがこの前整理したんだったあぁぁ!…あ、でも…まだ残っている可能性が…ぎゃっ!俺手製の呪いのお札が消えてる!…うぁ〜…あれ力作だったのに…「でもお札の形をした紙にへろへろもへじ描いただけでしょ?」黙らっしゃい!」 ライウの突っ込みも退けてイリアスはリュックを漁っていた。 「え〜と…ない!もうこうなったら…気合で入る!」 「止めた方が良いですよ!」 ウェルズの忠告に耳を貸すこともなく、イリアスは1人で砂漠に入っていった。 「ウェルズ、目を瞑ってた方が良いよ」 ナイトが意味ありげに言った。ウェルズが慌てて目を瞑った5秒後… 「うっぎゃあぁぁ!目が…目があぁぁ!!くっ!今度は背中が!あっ!口に砂が…ぺっぺっ!うぇ!苦い!!っぎゃあぁぁ〜!!」 何があったのかは想像にお任せします(おい)とりあえずイリアスはウェルズ達に助け出された。 放浪の旅〜イリアスの災難〜 完 放浪の旅2〜アクア団の野望〜(仮題)に続く |
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