ぴくの〜ほかんこ

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連載[749] 帰ってきた! 思冒短編連作編

リクト #1★2005.07/22(金)22:46
対決! 不落のウェル

「そういえばボク、お前とは一度もバトルしていなかったよな?」
不意にグランがウェルに言った。
「そういえばそうだね。色々あったから、バトルしていなかった気もする」
「…なら、一発やるか?」
ボールを手に取り、グランが言う。
「断る理由は…僕には無いよ」

グランの住む街にある、バトル広場。
ここでは、連日のようにポケモントレーナーが己の力を鍛えるべく、試合をしている場所である。
グランとウェルがバトルをするという情報は、瞬く間に街を駆け巡った。
「おい、聞いたか? グランとウェルがバトルするんだってよ!」
「面白え! 見に行こうぜ!」
あっという間に、バトル広場にはギャラリーが集まった。
「…凄いな、これは」
ウェルが辺りを見回した。
「正直ボクも、こんなに集まるなんて思っていなかったさ」
「よーう、お前ら」
グロードがやってきて、右手をあげた。
「…ひょっとしたらと思うけど、まさかお前が集めたんじゃないだろうな?」
グランが聞いた。
「オレは何にも。ただ、お前ら2人がバトルするって言っただけだぜ」
「…」
グランはウェルと顔を見合わせた。そして、2人同時に溜め息をつく。
「…まぁいいや。お前、審判やってくれ」
「よっし。分かった」

「使用ポケモンは一体ずつ。シングルバトル、開始!」
「いくよ。…いけ、サマヨール!」
ウェルが出したのは、持久戦向きのサマヨールだ。
(サマヨールは防御性能が高い。…なら!)
グランも、使用するポケモンを選んだ。
「頼むぞ、グラードン!」
「あのグラードンか。…だけど、並大抵の攻撃では、僕のサマヨールは倒せないよ!」
「そっちがそう言うなら、生半可な実力じゃ、ボクのグラードンは倒せない!」

「あ、もう始まったの?」
審判をしているグロードの側にフィーユが歩いてきた。
「おう。防御のサマヨールと、攻撃のグラードン…面白い戦いになりそうだぜ」
「…私が思うに、このバトル…相当危ないわよ、グランは」
「は?」
グロードは訳が分からず首を傾げた。
「この街でのグランの異名は『速攻のグラン』という事は知っているでしょ?」
「それくらいならオレも知ってる」
「同じ様に、ウェルにも異名があるの」
「へぇ、意外だな。で、それって何だ?」
グロードが聞く。
「…彼の異名は『不落のウェル』 …その名の通り、彼は持久戦のスペシャリストなのよ」

「グラードン! 日照りで威力の上がった『かえんほうしゃ』をお見舞いするんだ!」
グランの指示を受け、グラードンは『かえんほうしゃ』を使用した。
「…『かげぶんしん』」
サマヨールは攻撃を『かげぶんしん』でかわした。
「…さらに『かげぶんしん』」
気付いた時には、グラードンはサマヨールに取り囲まれていた。
『ぐ…流石の俺様もピンチみたいだぜ』
「慌てるな、グラードン! 全部のサマヨールに『かえんほうしゃ』だ!」
「…無駄だよ。サマヨール! 『どくどく』攻撃!」
指示を受けたサマヨールが、グラードンに向けて毒液を射出する。
「しまった!」
「…さあ。何時まで耐えられるかな?」

「マズイわね。ウェルの得意戦法に、グランはまんまとはまってしまってる」
「グラードンには毒を浴びせ、自分は『かげぶんしん』で回避する。オマケに特性『プレッシャー』でグラードンの技ポイントも削る…か」
グロードは唸るように言った。
「さらに、持たせている『たべのこし』で少しずつ回復させているわ。…これが『不落のウェル』と呼ばれている訳よ」

「…なかなか頑張るね。だけど、そろそろ終わりにしようか」
(…っ! このまま、ボクは負けるのか…!?)
「さあ、サマヨール! トドメのシャドーボー…」
「こうなったら一か八かだ! グラードン! 『じわれ』だ!」
「…最後は運を天に任せるというのか…」
この攻撃が外れれば、グランの負けは決定的である。
「頼む…当たれ―――ッ!」
「無駄だよ。回避率を上げている僕のサマヨールには…」
次の瞬間、ウェルは我が目を疑った。
攻撃を受け、サマヨールが倒れていたのだ。
「やった…当たった…」
「サマヨール、戦闘不能! グラードンの勝ち!」

「あー…マジで負けるかと思った…」
グランはその場に座って言った。
「…僕の負けだ。やっぱり強いね」
「いや、アレは単なる偶然。あのままいってたら、確実にボクは負けてた」
「いや。…運も実力のうちとも言う。最後の最後、僕の運は悪かったみたいだ。…今度は負けないから」
ウェルは、グランに手を差し出す。
「ああ。…何時でも相手になる」
グランは、その手を強く握り返した。

              END
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リクト #2☆2005.07/24(日)01:53
抜け殻とハエ、再び

「あー、五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い――!」
おーい、どうしたよ、主人公君よ。
「そこに居るハエと抜け殻が五月蝿いんだよ! 作者、何とかしろ!」
オレに言われてもなぁ。自分で何とかしてくれ。そのハエと抜け殻はオレの手に負えねぇよ(何)
「頼りにならない作者だな」
…ほっとけ。

ケース1・蝉と抜け殻がグランに迷惑をかける場合。
『ハァ。オイラはなんてカッコイイんだろーか』
『黙れ抜け殻。そのナルシーな性格で俺が迷惑してるって知ってんだろ!?』
「…いや、ボクにとっては、そこの虫2匹がひっじょおぉぉ――に邪魔なんスけど…」
「まぁ、そこは抑えて抑えて。自称ヘタレの神のワタクシのポケモン、ヌケとテッカであるからして…」
…あり? グランが震えてるぞ。アイツ怒ってるぞ。知らないぞー(何)
『おい、ブレ。何か震えてるぜ。今は夏なのに寒いのかねぇ、コイツは』
…おーい、ヌケ。そうじゃねぇんだってば。
「黙れこの抜け殻! さっさと黙んねーと秘密兵器キン○ョー○持って来てオミマイするぞコラ!」
あーあ。遂にグランの奴壊れちまったよ。キレルと怖いんだよコイツ。
『ブンブンブブブン♪ モンスターボール、ブンブン♪』
「1個、ブンブ…じゃなくって! 黙れ攻め! …じゃなくて、咳! …じゃなかった。蝉!」
何かワケわかんねぇぞ。

ケース2・蝉と抜け殻がフィーユに迷惑をかける場合。
オイ。グランが相当振り回されたようだから、アンタも注意しとけ。
「言われなくても分かってるわよ。…あ、来た。いかにも騒々しそうね」
な。だから言ったろ。
『おお―――! 美しいあなた様、お名前は?』
「…噂に聞いた通りのナンパ師ねぇ…」
『褒め言葉として貰っておきますわい。で、お名前は?』
「名乗りたくないんだけど、私。正確には、名乗る気しないんだけど」
おーい。言っとくけど、可愛いからってコイツ怒らせたら後が怖いぞー?
『黙れこのナンパ抜け殻!』
おー、目にも止まらぬスピード。抜け殻が一撃だ。
「いやぁ、僕のポケモンが全く失礼を。…ところで、一緒にお茶でも…」
あ、えっと、ブレだっけ? そんな風にフィーユをナンパしてると…
「フィーユに手ぇ出すんじゃな―――い!」
決まったー! ここでグランのすてみタ―――ックル! これは効果的です!
…ってなるんだけど、言ってももう遅いわな(汗)

ケース3・蝉と抜け殻がグロードに迷惑をかける場合。
『何だこのツンツン頭は。変なの〜』
何だよ。今度のターゲットはグロードかよ。
「…オレ、髪型をバカにされると、すっげー腹立つんだが」
…そうそう。コイツ、この髪型気に入ってるんだよな。
「…オレの髪型バカにしたからには、覚悟は出来てるんだろーな、そこの抜け殻! ついでにそこの蝉もだ!」
うわー。グロードの奴本気になっちまったよ。
『この、どの世にも輝きを放つ宇宙一可憐な黒薔薇ことヌケ様に逆らうってか?』
『この銀河を翔る超高速の蝉ことテッカ様に逆らうとはねぇ』
おーい、そこの2匹。言っとくけど、コイツ、ケンカはメチャクチャ強いぞー?
『覚悟しやがれ、ツンツン頭――!』

…3分後。

『バカな…こんなハズは』
…な? だから言ったろ。コイツ強いって。
「で、そこのアンタもコイツらの仲間か?」
「あー、いやいやいやいやいや。俺はこの2匹とは一切合財関係ありませんですハイ」
「そっか。なら帰っていいや。…さーて、抜け殻と蝉。お仕置きはまだ終わってねぇぞ」
『ブレの奴―――! 後で覚えてろ―――!』

…うーん、オレが以前遭遇した時よりヒートアップしてるなー、あの2匹。
よくあの2匹退けられたもんだ、アイツらは。
…ちなみに、この2匹と1人がこの後どうなったかは、オレも3人も知らんぞ(ぇ)

              END
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リクト #3★2005.07/24(日)20:14
勃発! ある意味おかしな対決

「誰のポケモンだか知らないけどさー、人ンちの前でイチャつくの、止めてもらえねぇかな」
迷惑げに言うのは、自称最強の二刀流兼ポケモントレーナーのリク。
「オレさぁ、そーゆー光景見てると、どうも自分が置いてけぼり食らってるようでイヤなんだが」
リクが続けるが、その2匹は聞く耳持たず。
「…それを言うなら、あんたのポケモンだってそうだろう」
突然現れた人物。リクと同年代くらいか。
「…う。そういや居たな、ウチにもバカップル2匹が。つか、アンタ誰だよ」
「…カナタ。ポケモンレンジャーやってる」
「ちぇ。何か無表情な奴だな」
「元からこうだ。あんたにとやかく言われる筋合いは無い」
「…何か、ムカつくヤローだな…」
実際リクはそう思っていた。自分をバカにされる事が一番嫌いだからだ。
『…誰だ、カナタをムカつくと言った不届き者は』
1匹のジュカインが、ゆっくりと立ち上がって言った。
『ほらスイラン。ちょっと落ち着いて』
『ム…』
スイランと呼ばれたジュカインは、一緒に居たチルタリスに言われ、それ以上は何も言わなかった。
『しかしヒビキ。オレ達のマスターを悪く言う奴は…』
『いいたい人には言わせておけばいいの。こういう人は普通の人に比べてノウミソ少ないんだから。ね?』
ヒビキと呼ばれたチルタリスは、リクに聞こえない程度の声で言ったつもりだったが、リクは通称地獄耳。しっかり聞こえていた。
「…やっぱりトレーナーに似るのか、ポケモンって」
『…しかしオレは、あそこに居るバシャーモとキュウコンがどうも気に入らん』
「は?」
『つまりね。リーダーは自分達と同じ位仲良さそうなの見て、気に入らないって事』
何時の間に出てきたのか、ブーピッグが言った。
「…レンジュ。オレはボールから出した記憶は無いぞ」
『あたしのサイコパワーなら、そんなの朝飯前よ。だけどあたしは、そこのポケモン2匹はともかく、そこの人間がどーもいけ好かないのよねぇ』
「ってオイ! オレかよ!」
今回もリクは、また色々と畳み掛けられるような事を言われるねぇ(何)
『とにかくオレはキュウコンはまだしもあのバシャーモは気に入らん。覚悟!』
いきなりスイランはバシャーモに攻撃を仕掛ける。
キュウコンはその場からすぐに逃げたが、バシャーモは寝ていたので動かない。
と、いきなりバシャーモは目を開け、スイランの動きを見切っていたかのように攻撃をいとも簡単にかわして見せた。
同時に、何かを試すかのようにヒビキに向かって小さな炎の弾を数発打ち出す。
『きゃ…!』
『…ッ!』
スイランはすぐさまヒビキの居る位置に戻り、炎の弾を打ち消した。
『…なるほどな。守りたい存在があるというのは、お前も同じってワケかよ』
バシャーモが静かに言った。
『貴様…! ヒビキを傷付けようとするとは、許せんッ!』
『あーあ。リーダー怒らせちゃった。知らないよー。リーダー、姫を傷付けようとする奴には容赦しない性格だから』
「ってか誰だよ姫って!」
『決まってるじゃない。ヒビキの事よ』
リクのツッコミ(?)に、レンジュは普通に返した。
レンジュの言った通り、スイランはバシャーモに連続攻撃を仕掛けていく。
対するバシャーモはというと…
『…』
「あのバシャーモ…寝ているのか…?」
カナタが呟く。その通り、ハシャーモは立ったまま寝ていた。
『…バシャーモさん、本気みたいですね』
『眠ってて本気…って事ですか?』
キュウコンの呟きに、ヒビキが不思議そうに聞いた。
『バシャーモさん、睡拳会得してるんですよ。ですよね、ご主人様』
「そう。オレのバシャーモは、眠ってても戦える。寧ろ寝てる時の方が強い」
それは、素早いスイランの攻撃を全て回避している事からも明らかだった。
『…ところで、止めなくていいんですか? スイランとバシャーモさんのバトル』
ヒビキが聞いた。
「別にいいんじゃねー? ほっときゃ止まるだろ」
『ううん。あれじゃリーダーはバシャーモ倒すまで止まらないわ。何せ姫を傷付けられそうになったんだから』
『だったら、早いところ止めないと、この家まで壊れてしまうかも知れませんよ?』
キュウコンが言うと、
「それは大変だ。よし、オレに任せろ!」
そういうと、リクは家に戻ると、ギターを持って来た。
「…拙者、ギ○ー侍じゃ…」
そして、例のフレーズを演奏する前に、
『オレをバカにするつもりかダメトレーナー! 略してダメトレ!』
『オレは本家の波○○区は嫌いじゃないが貴様がやるのは絶対に納得いかん!』
「ふざけるなこのバカが! 中途半端なギャグ野郎!」
『私そのギャグはもう嫌になるほど聞かされましたよ!』
『何故か分かりませんけど、私も何か腹立ってきましたよっ!』
リクがギターを持ち出した途端、カナタ、スイラン、ヒビキ、バシャーモ、キュウコンの怒りを買ってしまった。
「ってかオレ何かアンタらの神経に触る事したのか――!?」
『…自分のポケモンにまであんな風に攻撃されるなんて、やっぱりあのバシャーモの言う通りダメトレねぇ。フ…フフフ…』
ただ1匹残されたレンジュが不敵に笑った。

結局、リクを追い掛け回していた事でバカップル対決は中止になってしまったとさ(ぁ)

          END
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リクト #4☆2005.07/26(火)01:28
悩み相談員には全く向いていない二刀流ポケモントレーナーの話

「あぁ、後何度戦えば私の戦いは終わるのかしら…」
「おーい、もしもーし? 誰か分かんないけど、人の家の入口前で右往左往しながら悩むのは止めてくんねーかなー」
リクが言った。つい数時間前は何処かのバカップルポケモンが居て、リク自身がある意味でかなり迷惑をこうむったばかりである。
「このままでは私の心はマルマインの『だいばくはつ』のように爆発して崩壊して…」
「あのー、聞いてますー?」
やけにマイナス思考な子だなーとは思いながらも、自分の家の前で悩まれたら彼にとってはたまったもんじゃない。
『こういう時は、無視するに限る。気にしない事だ』
「…気にするなっていったって、気にするのがオレだって事くらい、一番付き合い長いお前ならよく知ってるだろ」
『だからこういう時は、家に戻って、寝不足した分寝貯めをしておくのが得策なのだ』
ミュウツーに言われると、
「…そう言われればそうだなー。んじゃ、家に戻って…」
「ちょっと! 女の子が困ってるのに、見捨てていくつもり!?」
「いや。アンタが困ってても、別にオレは困ってねぇし」
「そういう意味じゃないでしょ!」
『…聞かなかったら、クチバの海に沈められそうだな』
「うげー。…マジ?」

「私の名前はリオ。記憶した?」
「えっと…世界に数本しかない剣の1つを持つ天才剣士…」
「名前似てるけどちがぁう!」
「んじゃアレか。とっかの熱血二刀流剣士の親父さんと親戚関係でもあるのか?」
「それもちがぁう!」
「んじゃ何だ。オレもミュウツーも、アンタの事は知らんぞ」
リクが言うと、ミュウツーも頷く。
「えー? でも私は、ある人からあなたを紹介されて来たんだけど…」
「…誰だそれは」
「えっと、確かグラン…っていったかなぁ」
「…あの野郎。自分は相談受ける奴ってガラじゃないから、オレに押し付けたな」
リクは、今度グランに会う機会があったら覚えてろと本気で思った。
『あの、リオの悩みを聞いたあとはわたしの悩みも…』
近くにいたフライゴンが言った。
「…オレは悩み相談員じゃねぇんだぞ、ったく…」
「ダイナイドの悩みも聞いてあげてよ。グランって人も『アイツなら聞くだろ』って言ってたんだから聞いてくれるんでしょ?」
リクは、改めて「あの野郎覚えてろ」と思った。

「…んで、アンタの悩みって?」
ぶっきらぼうにリクが聞いた。彼の心の中は、こうである。
(いいや。適当に悩み聞いて、理由つけて帰ってもらうか)
「えっと、このマイナス思考を何とかしたいの」
「マイナス思考ねぇ。例えばどんなんだよ」
「例えば…地下鉄に乗ってる時に天井が崩れてきたらどうしようとか、足滑らせてバトルタワーから落ちたらどうしようとか、私が留守の時に自分の家が崩壊したらどうしようとか…」
「もういい。大体分かったから」
リクはこう言ったものの、心の奥ではこう思っていた。
(…余程の事が無い限りどれも普通現実にはありえない事ばっかじゃねぇか)
「で、私はどうすればいいのか聞きたいの」
「…マイナス思考になったとしても、すぐに元に戻るオレには良く分かんない」
「なーんだ。頼りにならないわねー」
リオに言われ、本気で腹が立った。例の如く自分をバカにされるのは大嫌いなのがリクなのである。
「じゃあ、次はダイナイドの悩み、聞いてあげてよ」
すると、先ほどのフライゴンがやってきた。
『あの、これは完璧に分からないっていう相談、あります?」
「オレに全く分からないのは、学習、恋愛、その他諸々」
『あ、じゃあ駄目ですか…』
「学習相談ならラティオス、恋愛相談ならキュウコンに聞けよ。バトル相談ならオレの専門なんだが」

さて、ダイナイドが相談している相手は、キュウコン。
『あそこのバクフーン…ですか?』
『はい…片思いなんです。ちなみに彼、ズッカっていう名前なんです』
『見た感じ、気難しそうな感じしますね。…まぁ、あそこにいるバシャーモさんもそうなんですけども』
キュウコンは苦笑した。
『それで…いつかは気持ち打ち明けたいんですけど…』
『ところで、具体的にはどんな感じなんですか?』
『ええと、自分の意見には一直線。引っ込み思案な人とかは好きじゃないみたいです』
『そーいう事は、当たって砕けろ精神でやりゃいいんだろ? そんぐらいオレにも分かる』
何時の間に近くに来たのか、バシャーモが言った。
『…そうは上手くいかないのが、恋ってものなんですけどねぇ』

バシャーモが向かった先は、例のバクフーン…ズッカの場所だった。
『おう、暇そうだな』
『暇だ。最近は戦いの機会が少ない。これでは俺の体が鈍る』
『オレも最近は戦う機会が減った。リクの奴、バトル好きなクセして大会には出ようとしねぇ』
それがバシャーモにとっては納得出来ない事である。
『…ところでお前、今は戦いしか考えてねぇのか?』
『当然だ。俺はまだまだ強くなる。その為には、もっと力を付けなければ』
『…なるほど。お前の考えは分かった。邪魔した』

『…というワケだ。しかしオレを偵察に向かわせるとは性格の悪い』
戻って来たバシャーモは、キュウコンに言った。
『そうですか…今は戦いの事を…』
『どうする…つもりですか?』
『まだしばらく…このままでいくつもりです』
『きっと…伝わりますよ。私なんて、このバシャーモさんを落とすのにどれだけ時間が…』
『何か言ったか』
『いいえ。何にも?』
キュウコンはダイナイドと顔を見合わせて笑った。

          END
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リクト #5☆2005.07/28(木)01:21
必殺砲丸投げラーッシュ!な話(タイトルと話には関係は無いと思う/ぇ)

あるところに、かなーり元気であると同時にかなーり危ねぇ少女がいました。
その少女の名前はユイというのですが、どこが危ないのか。
実はこのユイという少女、平気で鋼鉄3tバットを片手で振り回しているのです。
そんなとっても危険な彼女がやってきたのは、ポケモンリーグ優勝経験のあるグランという10代の少年のところでした。

バトル中に街でいきなりご指名を受けたグランは、渋々ユイのところにやってきました。
「何か用か? ボクは今手が離せないんだけど」
ちなみにバトルの方は、グランがあらかじめポケモンに指示しておいたので、勝手に続いています。
「えーと、グランさんですね。本物ですね」
「…確かにボクはグランだけど、用件を早く言ってくれ」
「簡単です。ポケモンリーグの優勝カップ、アレ、私に下さい」
普通ならそんな事は誰も言いません。グランは自分に「これは夢だ。悪い夢だ」と言い聞かせました。
「えーと…今、何て言った?」
「だから、優勝カップ下さいって」
グランは腹が立ちました。いや、優勝カップ下さいと言われただけでも十分腹は立ったのですが、相手の頼む態度がなっとらんと思ったのです。
何しろユイは、ラーメンを食べながら頼んでいたのですから。
『あのね。ユイを怒らすとね。大変なの。怒らすとラグちゃんも手を付けられないなの』
ラグラージらしからぬ性格のラグラージが言いました。愛称が「ラグちゃん」というらしいです。
「嫌だね。ボクが苦労して優勝して手に入れたんだ。そう簡単に渡せるか。つか、やれるか」
『早いトコ渡さないと、ユイが3tバット振り回して追いかけてくるよ。早いトコ渡しちゃいなって』
「私はそんな乱暴少女じゃないよ、きのっち。…事と場合によるけど」
『ラグちゃん、ユイが怒ってるの見るの嫌なの。早く渡してほしいなの』
「嫌だ」
『お願いなの』
「嫌だ」
『お願い』
「ダメだね」
「お願いしますよー」
「だから嫌だっつってんだろーが!」
おっと、グランがキレてしまいました。
「じゃあ、しょうがないか。悪いですけど、しばらく眠っててもらいますよ」
遂にユイが最終兵器鋼鉄3tバットを持ち出してしまいました。危険です。
殴られたら気絶だけでは済みません。大変です。命に関わります(汗)
「覚悟はいいですかー?」
片腕だけで3tバットを振り回すユイ。かなりの怪力の持ち主です。
「うわー、やるなー。そんな凄いバット振り回すなんてさ」
グランはその様子を見て、いたって普通の口調で返します。
「だけどボクも…こんなトコで倒れるつもりは無い。…アイツを置いて、1人で死ねるワケないだろ」
そう呟くと、何処から持って来たのか、グランも鋼鉄バットを取り出しました。
そこには何かが書いてありました。
ユイはその数字を見て驚愕しました。
「え―――っ!? 10t!?」
グランが持ち出したのは、ユイの鋼鉄バットの3倍以上の重さのバットです。
『うわ。ラグちゃん怖いなの。ある意味ユイより怖いなの』
『ちょっとちょっと。これヤバいんじゃないの?』
「う…この程度の事で私が負けるワケ…」
「もし、まだ優勝カップくれって言うんだったら…こうなるぞ?」
グランは砲丸投げの要領でその場をグルグル回り始めました。
そして、もうそろそろ頃合かなと思った状態で、バットをポイしてしまいました。
10tバットは、いとも簡単にお空の彼方へさよーならです。
「と、アンタ達もこんな風にすっ飛ぶけど…どうする?」
その様子を見て、流石のユイも言葉を失ってしまいました。
「きょ、今日はこの辺でカンベンしてあげますっ! いつかまた貰いに来ますからね!」
『あー、待ってなのー!』
『…はぁ。今日のユイは珍しく振り回されてたなぁ』
1人と2匹の姿が見えなくなった時、グランは呟きました。
「に、二度と来るな〜…」
ちなみに、ほったらかしにしていたバトルは、グランが勝ったとか(何)

            END
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リクト #6☆2005.07/30(土)23:49
シリアスムードにギャグ話ってどんなんだろうと考えてる奴の話

『レイ様。どうやらここのようです』
一匹のミロカロスが、隣にいる人物に声をかけた。
「…みたいだ。教えられた場所とも一致しているな」
『そうかい。俺の獲物がここにいるってかい』
今度はザングースが言った。
「獲物…とはちょっと違うな、ザングース。僕としては、調査対象と言ってもらいたいね」
『ザングース。キミはそうやっていつも何かあると獲物だ獲物だって言うねぇ。ボクには真似できないよ』
『…うるせぇよ』
サンダースにツッコミを入れられ、ザングースは黙った。

さて、その調査対象とやらの人物は誰かというと。
『…?』
「どうした、キュウコン」
何かを察したらしいキュウコンに、リクが聞いた。
『何かの気配が…こちらに向かってきています』
「…敵意は?」
『よく分かりませんが…』
「とにかく、用心しておくに越した事は無い。万が一に備え、応戦準備だ」
『承知しました』
リクの表情にも、自然と緊張の色が出て来た。
『気配…ドアの前で止まったみたいです』
「油断するな。何時突入してくるか分からないぞ」

しかし、いくら待っても相手は突入してくる気配は無かった。
「…どうなってるんだ?」
『分かりません…どうしたんでしょう』
「…仕方ない。ドアを開けるぞ」
そう言うと、リクはゆっくりとドアを開けた。
「…はぁ。やっと出て来てくれたよ…」
『長かったですね、レイ様』
『待ちくたびれたぜ…』
『ボク、もう疲れました…』
リクとポケモン達は、その様子を見て唖然。
「アンタら…1時間もここにいたのかよ」
「ええ。でも何時まで経っても出て来てくれないんで、僕達もそろそろ疲れてきたんです」
先ほど、レイと呼ばれた少年が言った。
「なら、聞かせてもらおうか。そこまでしてオレに会いたいという理由」
『それでは、僭越ながら私の方から』

『ついこの前、リクさんはもう1人の自分に打ち勝ったと聞きました(第五章参照)』
「あぁ、確かに勝ったけど、それが何か」
『それで、是非自分自身と戦った時の感想をお聞かせ願いたいと思いまして』
ミロカロスが言い終わると、
『でもそれは建前で、本当はその心がどんな構造してんのかの調査なんだよな、クク…』
ザングースがすかさず言った。
『…よ、余計な事言うと同行してくれませんよ、ザングース』
「こ、構造? 同行?」
リクは何が何だか分からない。
「え、ええとつまり、自分の心の闇の原因を解明するお手伝いしていただけたらなぁ…と」
『つまり、解剖実験に協力してくれって事。執刀は俺。クックックッ…』
「か、解剖実験!?」
リクは驚いた。それはもう驚いた。そんな死に方はまっぴらゴメンである。
「ザ、ザングース! 余計な事言うなよ!」
「…アンタなー。そんな荒っぽい方法じゃなくて、もっと別の方法考えろよ」
「僕達に思いつくのは、これくらいしかなかったもので」
レイは表情1つ変えずに言った。
『ボクは、止めた方がいいって言ってるんですけどねー』
「そのサンダースの言う通りだ」
「じゃあ、いい方法教えて下さい」
『あの、私が思うに、それは自分の心が一番よく分かっていると思うんですけど…』
「そうそう。キュウコンの言う通り。分かったらとっとと帰って研究しな」
レイ達は、キュウコンの言葉の意味が分からないから納得出来ないと言いたかったが、そう言うとリクのポケモン達に総攻撃を受けそうだったので止めておいた。

『ふう。ご主人様が連れていかれたらどうしようか、本気でヒヤヒヤしましたよ』
「ほう。そんなにオレが心配か」
『もちろんですよ。ご主人様が居なくなったら、私の大好きなシューマイが食べられませんからね」
「ってそっちかよ!」

         END
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リクト #7☆2005.07/31(日)18:16
だからいい加減にやめろっつってんだろと言っても中々止まんないダメ作者Rが書く話

「おっかしいなー。ここでいいハズなんだけどなー」
1人の少年が、何やら困った顔をして言った。
『ふん。また引っ掛けられたのではないか。お前はいつもそうだ』
「うるせー! おれがクルミちゃんのファンだって事知ってんだろ!?」
『だけど、ここにはそのアイドルどころか、人っ子一人居ないぜ?』
アブソルに言われ、少年の何かが切れた。
「五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い―――!」
『何? そうまで言うのであればこちらにも考えが…』
『はいはい。ストーップ』
一触即発の状態だったが、エネコロロの『アイアンテール』に止められてしまった。
「邪魔するなシスカ! これはおれとアークの問題だぞ!」
『じゃあそのケンカの後始末するのは誰だと思ってるのよ、ゼン! 分かってないわねぇ!』
ゼンと呼ばれた少年は、これ以上相手なんてしてられないと思い、何故お目当ての人物が居ないのかを考えてみた。
「場所は間違ってない。冷静なおれだから場所を間違えるなんてありえない」
『…まーた始まったぞシスカ。ゼンの自己冷静論が』
『放っておけばそのうち終わるから、しばらくそっとしておいた方がいいわね』
アークとシスカは、ゼンが自己冷静論を語っている間に邪魔をするとどうなるかは重々承知している。

「…しまった―――!」
突然、ゼンが何かに気付いたかのように大声をあげた。
『どうした、ゼン』
『何か分かったの?』
「今日は…今日は…エイプリルフールだ―――!」
…違う違う。4月1日はもう過ぎてるって。
『…素直に騙されたと認めろ。お前はすぐに乗せられる』
「ちっきしょー! 前に会ったグランとかいうトレーナーに『詐欺には気をつけろ』ってしつこく言われたのに―――!」
『まぁ、これもいい経験だと思って、これからはもっと物事を冷静に…』
「おれはいつも物事を冷静に見ているぞ! 文句あるか!」
『…また始まったよ、自己冷静論が…』

「つまり、おれの冷静さは群を抜いているワケであって…」
延々と続く自己冷静論は、とても退屈なものだった。
『…ゼンも懲りないわねぇ』
『把握しているだけで奴は1578269754315896475257416983回騙されているからな』
『…それ、毎回数えてたの?』
『当然だ』
しかし、それが本当であれば、いくらなんでもゼンは騙されすぎだ。
「…であるが故に、おれは冷静なんだ。分かったかお前ら…って寝るな―――!」
『…やっと終わったか。これでもう3時間だ』
『さすがにそんな退屈な話延々と聞かされてたら眠くもなるわよ』

「よーし、今度は騙されないぞ」
『…と言ってる側から、また騙されるんだよな』
アークがぼそりと言う。
『そうそう。それでまた自己冷静論が展開されるのよねぇ』
「今度は大丈夫だって。ほら、行くぞ!」
『…ずっとそんな事言って、本当に大丈夫だった試しが無いだろう』

そして、少年は再び旅に出る。
頑張れゼン。負けるなゼン。ウソツキ達の罠を跳ね除ける力を身に付けるその日まで!(ぁ)

               END
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リクト #8★2005.08/11(木)21:33
アーヴァイルの災難

やあやあ皆様、多分はじめまして。
私の名はアーヴァイルという。以後お見知り置きの程を。
さてさて、最近私は、少々困っているのだ。
それというのも、私はただ女性に優しく声をかけているだけなのに、変な目で見られるのだ。
ただ私は「あぁ可愛い小鳥よ。私と一緒に恋のチャンピオンロードを歩もうではないか」と言っただけなのだが。
そんな事を、この前出会った、10代後半くらいの髪の長い少女に言ったところ…
すぐさま変な奴がすっ飛んできて私に頭突きを食らわせてきた。
まさか、この変なガキがこの麗しき少女の…と思うと、何故か吐き気がしてきた。
まぁいい。これから詳細を語る事にする。心して聞くがいい。

「それ以上さっきみたいな事言ってみろ。ボクがただじゃおかない!」
おやぁ。ヤキモチとは見苦しいぞ、ガキンチョ。
「ボクはガキンチョなんて名前じゃない! 『グラン』っていう親からもらった名前がある!」
五月蝿い奴だなぁ。こんな奴と一緒だとは、ハニーも災難だねぇ。
「…」
おやおやぁ? どうしたんだい、ハニー。
「…私のストライクに斬られたくなかったら、動かない方がいいわよ」
おっと。随分乱暴なお嬢さんだこった。
私の男の色気に気付かないとは、一緒に居る奴の影響なのか。かわいそうに。
『あーっはっは! あーっはっは! 言われてやんのー!』
ちょっと黙っていろ、レイオル。
まったく。このサンドパンは聞き分けが悪くて困ったものだ。
『レイオル。とりあえず年齢的精神的には、貴方よりアーヴァイルの方が上なのだから、その様な言い方は不適切ですよ』
まぁレルオルの言う通りだが、とりあえずという所が気に食わない。
『しかしアーヴァイル。このお嬢さんが嫌がっているみたいですので、ここは…』
なんだと。このような麗しき女性が、このような下劣な奴と一緒に居るのを見過ごせというのか。
「…誰が下劣な奴だ」
とまぁガキンチョはほっといて…さあハニー。私と一緒に愛のチャンピオンロードを…
『…マスターに手を出す者は、拙者が斬り捨てます故、お覚悟を…!』
なんだ、このジュカインは。
「あー、フィーユのジュカインは、侍みたいに妙に忠誠心の厚い奴でさ。用心棒みたいな奴だから強いぞ」
それを先に言え、ガキンチョ。
『立ち退いて頂きましょう。…リーフブレード!』
うおっと、危ない。そんなに私と一緒に行くのが嫌なのかい、ハニーよ。
「だから私は嫌だって!」
…おお、そうだ。このガキンチョを倒せば、自然とハニーは私の物となる事に何故気付かなかったのだろうか。
そういうワケなので、キミには消えてもらうよ、ガキンチョ。
さあ行くのだ! レイオルにレルオル! ガキンチョを倒せ!

「…何だよ、もう終わりかよ」
な、何故だ。私のレイオルとレルオルが! これは何かの間違いだ! きっとそうだ!
『アーヴァイル…彼の強さは異常です。ここは引きましょう』
『アーヴァイルの指示が悪かったからやられてんだよねー。あーっはっは! あーっはっはっ!』
五月蝿い。元はといえば、レイオルがバトル中1人ジャンケンしていたからレルオルだけで戦うハメになって負けたのだろう!
『あーっはっはっ! ボクのせいにするんだー。へーえへーえ』
うるさ―――い!
「五月蝿いのはアンタだ! とっとと出てけ!」
ぐあ。蹴られた。
しかし私は諦めんぞ! 何時の日か、きっとハニーを私の物にして見せるぞ――ッ!
「…に、二度と来るな〜…」

           END
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リクト #9☆2005.08/10(水)02:11
ノリノリコーディネイターと消極的二刀流が噛み合わなかった話

リクは思っていた。
どうしてこうも最近は自分の家の前にある意味怪しげな人物ばかり出没しているのだろうかと。
今回出没したのは、こんな人。
「よーう! こんちゃー!」
「…誰? アンタ」
リクがそう聞くのも無理は無い。
何の前ぶりも無く相手がいきなり話し掛けてきたからである。
「おーいおい。冷たい少年だなー。冷たい血しか通ってねぇのかーい?」
「…誰が冷血だ」
リクは、冷血と言われた事はこれまでに一度も無かったので、正直腹が立った。
「ところでよぉ。この辺りにコンテスト会場ってねぇか?」
「…コ、コンテスト?」
「名前くらいは聞いた事あんだろ? ポケモンコンテスト」
リクは少し考え、
「まぁ確かに聞いた事はあっけど…つまんなそうだからやった事なんてねぇや」
「つ、つまんなそうだって…?」
「うん。オレ、コンテストよりバトルの方が好きだし」
「…なら、俺がコンテストの素晴らしさを今ここで証明してやらぁ!」
「言っとくけど、オレはコンテストのルールは全然知らねぇんだぞ」
リクが言うと、
「それは心配ご無用だぜ。コンテストにもちゃーんと『コンテスト用』のバトルがある」

「…で、コンテスト用のバトルって?」
リクははまだよく分からない。
「いいか。会場では、バトル中のポケモンの行動も審査されんだ。当然コンテストだから、魅せるのが中心だ」
「…」
「自分の技で相手の行動を邪魔するのが、コンテストバトルでの基本ってトコか」
「…何か、眠くなるようなバトルなんだな」
正直な話、リクはそう思った。
「んじゃ、思い切り戦えないじゃねーかよ」
「話は最後まで聞け。バトルオフ、所謂戦闘不能になると、その場で試合終了だ」
「って事は、バトル派のオレでも何とかなるってワケだ」
リクが言った。どうやら彼は、魅せる事は放っておいて、直接戦闘不能を狙うつもりらしい。

「おーっしゃ。おっぱじめるか」
「つか、アンタ誰だよ」
リクは、まだ名前を聞いていなかった事を思い出した。
「あり? 言ってなかったか。俺はシーマ。シーさんって呼んでくれよな☆」
「…やだ」
リクは即答した。ニックネームと呼ぶのは苦手というか性に合わないのだ。
「ま、それは置いといて、キーラ、ササラ! 行ってこーい!」
シーマが繰り出したのは、キングドラとサクラビス。
「…両方水タイプ、か。バシャーモ、キュウコン。任せた。苦手なタイプだけどお前らなら大丈夫だろう」
『そんな無理難題押し付けられても困るんですけどねぇ、ご主人様』
「…とまぁ口うるさいのは放っておいてバトル開始…」

ピーッピピピ―――ッ!

いきなり聞こえた笛の音。
吹いていたのはシーマである。
「いきなり何だ!」
「ちょい待ちちょい待ち! そのキュウコン、普通のキュウコンより毛並みが乱れてるぞ!」
コーディネーターであるが故の反応であるが、リクは、
「…あのなぁ。オレはコーディネーターじゃなくてトレーナーなんだよ。バトルの回数こなして、いちいち毛並みの事なんて気にしてられるか」
『時々整えてはくれるんですけど、すぐにまた乱れちゃいますね』
「…ったく。んじゃま、俺がコンテストでよくやるネタを見せてやるか」

「キングドラ! 『れいとうビーム』乱射!」
「ら、乱射!?」
『オラァ、いくぜ! キサマら全員カッチコチの氷付けだ――』
どうやらこのキングドラ、暴走しだすと止まらない奴らしい。
『仕方ない方ですねぇ。ほらキーラさん。落ち着いて下さい』
『うるせー! 乱射してるんだからちょっとくらい黙ってろ!』
『…ホントに仕方ない人ですねぇ。それなら、実力行使しちゃいますよー』
その言葉どおり、ササラはいきなり『ハイドロポンプ』を発射。
その激流はキーラに直撃。吹っ飛ぶ。
この様子を見て、リク、バシャーモ、キュウコンは唖然。
「…とまぁ、コンテスト会場ではこんな風に漫才風にアピールをして…」
シーマが力説するが、リク達はというと完全無視。
「…せっかく俺がコンテストを語ってたのに…」
そんなシーマの後ろには、何時の間にか一匹のゴクリンが。
「って、メロン、お前! 何時からそこにいた!」
「…何か聞いた事あるようなニックネームだな。…って、コイツ! あのジャーナリストの持ってた、あの…」
「あ? どうかしたかー?」
「別に。前にも似た様なゴクリン見た記憶があったような気がしただけ」
「ほー。…っと、じゃあもう一度俺の華麗なコンテストテクを…」
「…バシャーモ。直ちに追い出せ」
結局、シーマとポケモン達は、バシャーモによってコンテスト会場のある町の方角へと放り投げられてしまったとさ(汗)

            END
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リクト #10☆2005.08/13(土)01:00
釣りの最中のトレーナーは見た!

「…まったく。何でボクが魚釣りなんて」
何やらブツブツ言っているのは、グラン。
「はぁ。フィーユの奴、『魚も焼きたいから海で何か生きがいいの釣ってきて』って言うけど…」
何故グランが魚釣りをしているのかといえば、仲間達と一緒に海にキャンプに来て、バーベキューやろうぜという事になり、ちょっとちょっと肉だけ焼くんじゃ面白くないわよとフィーユが指摘し、グランの提案によりじゃあ魚も焼こうかという事になり、そんじゃあジャンケンで負けた人が海で釣りしてくる事にしようぜとグロードが提案してジャンケンをした結果、グランが負けたからである。
「…はぁ。クチバでギャラドス釣った時みたいに、簡単にはいかないモンなんだなー、実際の釣りってモンは」
そう簡単に当たりが来ないという事はグランも重々承知はしているが。
そしてグランが、もうそろそろ釣竿持つのも飽きてきたなと思った時である。
『いぇーい!』
「『いぇーい!』?」
声のした方にグランが視線をやると、やや沖の方で1匹のランターンが超高速で泳いでいた。
「…ランターンって、あんな早く泳げたんだ…」
グランは、野生なら捕獲してやろうと思ったが、
「ほーら、モレンド! またそんな事して、防波堤に頭ぶつけても知らないよー!」
上空から、チルタリスに乗った、そのランターンのトレーナーらしき少女が声をかけた。
『だーいじょーぶだーいじょーぶ! 前みたいな失敗するほどあたしはバカじゃ…』

ゴンッ!!

「…うっわー。すげー音」
モレンドと呼ばれたランターンは、防波堤に頭から激突。グランは呆然。
「あちゃー。またやっちゃったよモレンドったら」
『ほら見ろマチカ。だから私が言っただろう。あのランターンに何言っても無駄だって』
「あのねーアンダンテ。これでもあたしはモレンドのトレーナーなんだから、安全に気ぃ配る責任があるって…」
『あー、五月蝿い五月蝿い』
『あの、五月蝿いのはマチカさんのアンダンテさんの方だと私は思うのですが…』
そういうキレイハナをキッと睨みつけ、
「『うっさい黙れマルカート!!』」
『な、なんやて!? ワテが五月蝿いやて? アンタらの目はどんな作りしとるんやワレ!!』
いきなりマルカートが暴走。
『…あ、いけない。私とした事が』
どうやらこのキレイハナ、怒ると関西弁になってしまうらしい。
『わーい、きゃっほーぅ!』
「…またやってるよモレンドったら。…アンダンテ!」
『はいよ』
いきなりモレンドに向かってアンダンテが『れいとうビーム』発射。モレンド固まる。
「まったく。少し黙っててくれればいいのにねぇ。行くよ」
『あの、モレンドさん置いてっちゃっていいんですか?』
「多分だいじょーぶ。自然に付いて来ると思うから」
…そういう問題か。

「…なんだったんだアイツら」
グランは今まで起こった内容を見た総合評価を下した。
「…って、海が凍ってる! これじゃ釣り出来ないじゃないか―――!」

         END
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リクト #11☆2005.08/13(土)22:20
空回りした話

(この話は、第3弾のコロシアム編の少し後のお話)

「さてと。さっさとやっちゃおう。ラルガタワーの大掃除」
右手にちり取り、左手にバケツを持った少年が言った。
…この装備では掃除が出来ない。
『イリアスはやる気はあるんだけど、それはいつも空回りするんだよねぇ』
イリアスと呼ばれた少年は「バカにするな」と、空回り発言をしたジュペッタ――ナイト――を一喝。
「俺だってやる気はあんだよ。…そこのラグラージのせいで」
『は? 僕のせい?』
「そう。ライウ、お前のせいで俺のやる気が空回りするんだ。責任取れよな」
『…自分のやる気の無さを他人に押し付けようとするとは。嘆かわしいねぇ』
「てかオメー、人じゃねーだろが」

「…さーて、終わったぞ…」
イリアスは汗を拭う。
「おい、バイト!」
「あ、はい」
イリアスに掃除を任せた人物が血相変えてやってきた。
「あ、掃除終わりましたよ」
「終わったのはまぁ良しとして、なんだあの状態は!」
「はい?」
イリアスは意味が分からず、首を傾げる。
「ちょっとこっちに来なさい!」
いきなり引っ張っていかれる事となった。

「まずは、このロッカールーム!」
「あぁ、ここは苦労しましたよ」
イリアスが言った。
「なんだコレは! ただ水技ぶっかけただけじゃないか!」
「面倒だったんで、水洗いだけでいいかなーと」
「よくな―――い!」
「何だよこのオヤジ! せっかくちゃんとやったの…にっ!?」
『スミマセンスミマセン。コイツにはよーく言い聞かせておきますんでご勘弁を…』
いきなりウインディ――レッカ――が、頭を何度も下げて謝りだす。
「ここだけならまだしも、まだある!」
『…と言いますと?』
「ついて来なさい」

連れてこられたのは、今度はコロシアム。
「ピッカピカにしてくれとは言ったが、カッチコチにしろとは言ってないぞ!」
「いや、ピカピカじゃないですか。氷がキラキラ光ってるし」
『ここは僕がやったのさー』
『…ライウ。覚悟は出来ているだろうな』
レッカの怒りは頂点に。
『だーいじょうぶだよー。ここをスケートリンクにすれば済む話であって…』
『そういう問題じゃな―――い!』
ここでレッカの『とっしん』炸裂! ライウ気絶(汗)

…結局イリアスは、やる気が空回りしたせいで、掃除のバイトをクビにされてしまったとさ(汗)

       END
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リクト #12☆2005.08/14(日)17:37
心を閉ざされた存在

2年前、私は1人の人間に拾われました。
当時の私は、心を失った、戦うためだけの存在。
でも私は、後に「用無しだ」と言われ、捨てられてしまった。
感情を失ったまま、辺りを放浪していたのです。
この話は、その助けてくれたトレーナー。…そう、ご主人様と出会った時のお話。

「森の中は、いろいろなポケモンが出て来るから、トレーニングに向いてるな」
リクは、度々訪れる森を見回して言った。
「オレの手持ちは今3匹しか居ないから、そろそろ何か新しいポケモンが欲しい頃だな」
『同意する。色々な意味で、3匹だけで生活するのはいささか辛いものがあるからな』
ミュウツーも同意する。
『けどよ、どんなポケモンが欲しいんだよお前は。リクの考えている事って、どうも読み難い』
バシャーモが言った。
「…オレって、そんな性格か?」
『知らん。自分の胸に手を当てて聞いてみろ』
「…はぁ」

『…何かが聞こえる』
突然、ミュウツーが呟いた。
「何かって…何がだよ」
リクには聞こえないらしい。
『…だんだんとこちらに近づいてくるぞ』
「何だと…?」
リクはミュウツーの示す先を見据えて言った。
すると、一匹のポケモンがいきなり飛び出してきた。
「あれは…キュウコンだ! でも何か様子が…」
『ああ。オレにも分かる。…あのポケモンの目には、感情がこもっていなかった』
「ひょっとして、アレがウワサの…」
『恐らく、ダークポケモンだろう』
ダークポケモンといえば、何処か遠く離れた地方で暗躍していた悪の組織によって、人工的に心を閉ざされたポケモンの事だ。
「とにかく、助けよう。いくぞ、バシャーモ、ミュウツー!」

「…ッ! 見つけた!」
しばらく森を探し回り、出口付近でようやくリクはダーク・キュウコンを発見した。
すると、いきなりダーク・キュウコンはリクに突進してきた。
「…っと! ダメだ、戦う事しか頭に無いみたいだ」
『リク、捕獲だ!』
バシャーモが叫ぶ。
「よし。…いけ! モンスター…ボール!」
ボールをキュウコンに向かって投げる。そして命中。
「よし! これで…」
しかし、ボールが当たったハズなのに、ダーク・キュウコンはボールに吸い込まれなかった。
「なっ…!?」
『ボールが…当たったのに捕まらないだと!?』
『まさか、かつてこのポケモンを使っていた者が居たのではないか』
「それじゃ、どうしようも無いじゃねーか!」
リクが叫ぶ。この可哀想なポケモンを救ってあげたい。それなのにどうする事も出来ない。
彼にとって、これほどもどかしい事は無い。
『…オレは他人がどうこうしようと特に干渉するつもりはねぇが…これは酷すぎる』
「ああ。だけど、僅かだけど聞こえる! あのキュウコンの心の声…『苦しい、助けて』って!」
『ならば尚更だ』
「だけど、現状はこうだ。オレには…どうにも出来ないのか…!?」
そう言いながら、リクは再び空のボールを手に取る。
「…いや、何とかしてやる!」
再びボールを投げるが、ボールには入らない。
ただ、ボールが地に付く音が虚しく聞こえるだけ。
その間にも、ダーク・キュウコンは暴れ回っている。
「こんな事にポケモンを使って…何がトレーナーだ――――!」
その瞬間、リクの持つボールが発光した。
「…!? これは…」
『まさか…これはスナッチボールの効果か』
「スナッチ…ボール?」
『スナッチマシンによって、相手のポケモンを奪う事が出来るようになる』
「って事は、今ならこのキュウコンを…」
『だが、この効果はこれ一回きりのようだ。このチャンスを逃すと…次は無いぞ』
「分かった。…行け――――っ!」
リクは、スナッチボールと化したモンスターボールを投げた。
今度は、ダーク・キュウコンはボールに吸い込まれる。
リクは、息を呑んだ。
―――やったか?
ボールは数回揺れ、そして止まった。
「…ふう。やーれやれ」
リクはその場に座り込む。
『何とか、捕獲出来たな』
『だが、まだ私達がすべき事はまだある。それは分かっているな』

リク達による、所謂『リライブ』が始まった。
最初のうちは、多少暴れ回ったりしていたが、だんだんとリクや他のポケモンにも馴染んできた。
そして、遂に訪れた瞬間。
『リク。…キュウコンの様子が』
「どうした?」
『わ…わた…し…』
「キュウコン、分かるか!?」
『何だか…心につかえていた何かが…すっかり無くなった様な…』
リクはその言葉を聞き、心が完全に開いた事を悟った。
「よかった。元に戻ったな」
『はい。…ご主人様』
「え? 今、何て…」
『だって、あなたが私の心を開いて下さったんですよね。私を助けてくれたんですよね』
「…オレだけの力じゃねーよ。バシャーモにミュウツー。リザードンも頑張ってくれたからこその結果だ」
『…フン』
バシャーモはそっぽを向いたが、功労者として名前を挙げてもらった事を内心喜んでいるのだろう。
『…!』
キュウコンは、突然顔を赤らめ、下を向いた。
「…どした?」
『いえ…何でも無いです。とにかく、ありがとうございましたっ!』

そして私は、二年前のあの日、ご主人様とバシャーモさん、ミュウツーさんにリザードンさんに助けられました。
今になって思えば、あの時に出会っていなかったら、今の私は無かったでしょう。
さらにあの時感じた気持ちは…今も繋がってます。

           END
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リクト #13★2005.10/02(日)08:31
青年セイナの毒舌談

皆様こんにちは。
私、ポケモントレーナーのセイナと申します。以後、お見知り置きを。
さて、今日は私の得意な事についてお話しましょう。
ただ、これは人格を疑われそうな気がしないでもないので、心して聞くように。


「どこかに、私の得意分野を発揮出来る相手はいないだろうか…」
『セイナ様。あの、どこからどうみても頭の出来が悪そうな男性はどうでしょう?』
セイナの近くにいたロゼリア(ロゼと呼んでいる)が言った。
『そーだね、ロゼちゃんっ! オイラもあのダメ男がターゲットでいいと思ったんだよ!』
『あなたなんかに聞いてないわ。ねー、セイナ様』
ロゼにバッサリ斬り捨てられ、タツベイ(ニックネームはタツ)は、これでかなり落ち込んだようだ。

「眠い。凄く眠い。果てしなく眠い」
毎日毎日同じ様な事を言っているのは、ダメトレ(彼の手持ちのバシャーモ談)のリク。
『さっきまで3時間も寝てたのにまだそんな事言うんですか、ご主人様』
彼の手持ちの一員であるキュウコンが呆れて言った。
「眠いもんは眠いんだよ。もうしばらく寝かしてほしいくらいだ」
『ダメです』
キュウコンはキッパリと言い切る。
そんなやり取りをしていたが、この後リク少年には未曾有の(?)災難が待ち受けていようとは。

「どうも、はじめまして」
突然の来訪者に、3時のオヤツ(ぇ)を食べ緑茶(ぁ)を飲んでいたリクは、
「…誰?」
そりゃ、見ず知らずの人がいきなり尋ねてきたら、普通はこう言うわな(何)
「私、セイナと申します。以後お見知り置きを」
「で、オレに一体何の御用で?」
「ちょっと、私の趣味に付き合っていただきたくてね」
「…趣味? ポケモンバトルか?」
二刀流。早とちりもいいとこだぞ(ぁ)
「いえ。ただあなたには、私の話を聞いてもらっているだけでいいのです。で、あなたのお名前は?」
「リク。アンタの話の内容がつまんなかったら、即刻追い出すぞ」
…何もそこまでしなくてもよかろうものを。

「さて、では早速始めましょうか」
そこで一呼吸置き、
「…なんかリクさん、あなた、友達少なそうですねー」
「…うっ」
『図星みたいですよ。よかったですね、セイナ様』
「何言ってやがるそこのロゼリア! ソイツ黙らせろよ!」
『セイナ様の趣味を邪魔する人は、誰であっても許しません』
「ってかコイツの趣味は何だ!」
『性質の悪い事に、人を落ち込ませる事なんだよ』
「なにぃ―――!?」
リク、絶叫。
他人にバカにされる事が一番嫌いなリクとしては、これは黙っておけない。
「まだまだありますよ。あなた、自分のポケモンから見放されてますね」
「ゲッ」
…そうなんだろうか。作者にはよく分からんのだが。
「特にバシャーモに」
「見てねーのに、何故オレの手持ちが分かるんだよテメーは!」
「長年のカンですよ、カン」
リク少年の怒りメーター、現在75%(何)
「それにその剣。何か使い道無さそうですねぇ。鬼に金棒じゃなくて、猫に小判か豚に真珠ですよ」
「…腹立つなー、コイツ」
リク少年の怒りメーター、この時点で95%(ぁ)
「これだからあなたは、いつまで経っても運命の人に出会えないんですよ」
怒りメーター、振り切れる(ぁ)
このパンチは効いたらしい。しかし二刀流。キミはまだ18なんだから焦るな(何)
しかし二刀流のリク君は中途半端な故にとても単純。間に受けてしまうのは世の常(そうなんか)
「オレってやっぱ、クズだったんだ〜…」
「ほら、ごらん」
『やりましたねセイナ様。これで記念すべき1000人目ですよ』
『くそー。また止めらんなかったか。オイラの計画っていっつも失敗するんだよなぁ』
「さて、十分楽しんだし、行こう」

『ちょっとちょっとご主人様。あんなにボコボコ言われてていいんですか?』
「あー、オレはやっぱダメトレだぁー」
『…当分治りそうにないですね、これは』

            END
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リクト #14☆2007.01/29(月)11:25
拘りは時に仇となる(タイトルと内容は関係無いと思う/ぇ)


「いってぇ…寝違えたかな」
首に手を当て、何度か回しながりリクは呟いた。
『寝すぎなんですよ、ご主人様は』
現在時刻、正午。
「休みの日くらい寝かせてくれたっていーだろ。ったく…」

ピンポーン☆

『あ、来客みたいですよ』
「出てー」
『寒いから嫌ですー』
「オレだって嫌だ」
で、ここから低レベルな言い争いが始まる。
「今日の晩飯お前の好きなシューマイにしてやるからキュウコン行って来い」
『今日の晩御飯私の好きなシューマイにしなくて良いですからご主人様行って下さい』
どう見ても低レベルである。
『仕方ないですね。ボクが行きますよ。はぁ…』
リクチームの中では一番真面目なラティオスが玄関まで進む。
『はい。どちら様ですか?』
「たのもー!」
声からして、女。
「たのもー?」
リクは言葉を漏らす。
『えーと、どんなご用件ですか?』
「だから、ポケモンバトルの申し込みに」
(…どうします? リク)
ラティオスは小声で聞く。
(多分ご主人様の事ですから、断るでし…)
「やる」
『珍しいですね』
『珍しい事もあるものだ』
2匹は声を揃えて言った。何故か何時の間にバシャーモも居る。
「今オレは寝起きで機嫌悪いんだよ。そんなトコに訪ねてきやがって。さっさと片付けるぞ」
何時の間にリクは着替えていた。トレーナーの上に上着を2枚着込み、さらにコートを羽織った。完全防寒仕様である。
相手に自分の手の内を見せないように、ポケモン達をボールに戻すのも忘れなかった。

「待たせた」
「うーん…そんなカッコイイ男じゃないけど…ま、いいか!」
「『ま、いいか!』じゃねぇ! 寝起きで機嫌悪いトコに突然来やがって! この無礼者! そこへ直れ!」
『何処かで聞きましたね、そのフレーズ』
ボールの中からラティオスが呟く。
「えっと、私、サン。自称、最強のドラゴン使い! キミは?」
「自称かよ。オレ? …リクだけど」
明らかに自分より年下なのに、気安く「キミ」と呼ばれる筋合いは無いとリクは思った。
「とにかく…お願い! バトルしてw」
リクはそれには答えず、何度か指を鳴らす。
「…寝起きで機嫌悪いオレのトコに来た事、後悔させてやるよ…来い!」
「へぇ…腕はそれなりにありそーね…」

「まず私の一番手は…ズルナ!」
『ああ、ご主人様。どうされました?』
サンが繰り出してきたのは、チルタリス。リクのキュウコンと同じ呼び方でサンを呼ぶらしい。
「なるほどな。ドラゴン使いって事はあるな。…そんなら」
リクもボールを手に取る。
「行ってこい、リザードン!」
『よーやく俺の出番ってワケですかィ』
「さて、と。私のチルタリス、バトルになるとちょっと怖いけど?」
「…は?」
リクが怪訝そうに返すや、ズルナはいきなり突っ込んできた。
「いいっ!? 何だあのスピード!?」
「言ったでしょ? ちょっと怖いって」
「ちょっとどころじゃねぇよ! 目つき変わってんぞ!」
『ダンナ! 指示を!』
「指示の暇なんて与えない! ゴッドバード!」
「ち…回避!」
『間に合わねぇ!』
ゴッドバードはリザードンにクリーンヒットした。さらにそのへ「かえんほうしゃ」で追撃していく。
『ぐあ!』
猛攻を受け、リザードン墜落。
『す、すまねーです、ダンナ…』
「…少々、甘く見ていたか。戻れ」
「ふふっ! どう? 私の実力!」
「…アンタ…オレを本気で怒らせたな。オレより年下だし女だしでちょっと手加減してたけど、その必要もねぇか」
「…?」
「アンタの残りの手持ちは、そのチルタリスを入れないで何匹だ」
「え、2体…」
「なら、オレも残り2体でいくか。こっからはダブルバトルといこうじゃねーか」
サンは息を呑んだ。さっきまでとは、オーラが全然違っている事は分かる。
しかし、挑まれたからには受けたい。トレーナーとして。
「…受けて立つわ! メイ! レイザ!」
サンはズルナを戻し、代わりにミロカロスとフライゴンを出す。
「ミロカロス、フライゴン…やっぱり龍型か。なら…」
リクはボールを2つ取り、
「今回はオレも、ドラゴンでいかせてもらう。最強とも目される兄妹コンビ…行け!」
リクが繰り出したのは、ラティオスとラティアスの兄妹だった。
「…!!」
いきなりラティ兄妹が出てきたので、サンは面食らった様子である。
「…本気でいけ」
『いいんですか? リクさん』
ラティアスが聞く。
「さっさと片付けてくれ。オレは昼寝してぇ」
『兄様。リクさんはそう言ってますけど…?』
『バトルを終わらせたい理由はどうあれ、指示だから、しっかり遂行しよう』
「相手が何であろうと、ただ挑むだけ! メイはハイドロポンプ! レイザは上空35度から『かえんほうしゃ』で攻撃!
『はい、ご主人様』
『任せろ、サン!』
「…回避」
リクはそれだけ呟く。
「え…い、いない!?」
サンは辺りを見回す。しかし、兄妹は何処にも居ない。
「どこよ…」
「…真上がガラ空きなんだよ!」
その言葉を合図にするかのように、ラティオスは『かみなり』を、ラティアスは『れいとうビーム』を放った。
「いけない! 直げ…」
『きゃああーっ!』
『ぐわああーっ!』
勝負は、一撃で決した。

「地上から水技で攻撃するミロカロスは、発射軸からして攻撃は正面だけ。フライゴンは、上空35度からと言っても、狙ったのは下。それなら、上に回避してそれよりもさらに上から攻撃すりゃいい。リザードンを倒されたのは予想外だったけど、それがアンタの敗因だな」
「う…」
「けど、まぁ…久々に楽しませてもらったが」
リクは踵を返し、家に戻る。
「ふあぁ…眠ィ…」
さっきまでのクールさは何処へやら。また何時ものリクに戻っていた。
「…何、あの人…寝てばかりだっていうからタカくくってたけど…強い…」
『あのー…』
リクのキュウコンが、サンに声を掛けた。
『来た時間が悪かったのかも知れません…寝起きにポケモンバトル挑まれると、ご主人様は怒っちゃって普段より数倍バトルで強くなっちゃうんです』
「…え?」
『そ、それでは…私はこれで…』
「…何か、リクって凄く謎な人物な感じ…」

             END
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リクト #15★2007.04/27(金)23:48
雪解け

「…」
天気は快晴。眼前には青い海。そして時折優しく吹く風。
そんな素晴らしい陽気と景色とは裏腹に、海を眺める1人の人物の表情は、どこか寂しげ。
歳はだいたい、10代の後半あたりだろうか。長い髪を持つ。
「…みんな…元気かな…」
ぼそりと呟く。どうやら、仲間達とは別れ別れになっているらしい。
あ、誰かが呼んでるような。けれど、もう少しだけこのままでいたい。
会えない仲間達を、思っていたい。
そして…大切な人を、思っていたい。
『フィーユさん! 聞こえてないんですか?』
「えっ?」
フィーユと呼ばれた女性は、ようやく声に反応して振り向いた。
『ここの所ずっとですね。大丈夫ですか?』
「うん…平気。キュウコンは、心配しないで」
『どう見ても平気そうではないですよ。この数ヶ月、ずっとこんな感じですよ?』
「そう…もうそんなに時間が過ぎているのね…」
フィーユは空を見上げる。雲1つ無い。
『…グランさんもグロードさんもウェルさんも、街には居ませんしね…』
「グランも、もうポケモンバトルの最前線からは退いているものね…彼ほどの実力があれば、ジムリーダーも狙えるかも知れないのに」
『そうですよね…どうしてなんでしょう…』
「私ね、この前、その事をグランに聞いてみたのよ。そうしたら彼、何て答えたと思う?」
『えーと…うーん…』
「『ボクはプロとして戦うよりも、趣味としてポケモンバトルを楽しみたいんだ』って」
『グランさんはお父さんの仕事のお手伝いで長期留守中。グロードさんとウェルさんは長期里帰り中。一気に寂しくなりましたね』
「そうね…」
1人と1匹は、一緒になって空を見上げていた。

「…あら?」
家に戻ろうとしたフィーユは、砂浜で本を読む1人の少女を見つけた。見慣れない子だ。
最近では話し相手が少なくなっているからか、少し退屈していたフィーユは、少し話をして気分を紛らわそうと考えた。
「こんにちは。何を読んでいるの?」
優しい口調で尋ねた。警戒心を持たせてしまっては、気分が悪い。
「『ポケモンバトル必勝論』です。…読書中です。邪魔しないで下さい」
「そうね。ごめんなさいね」
数年前…それこそ15歳くらいの頃のフィーユであれば、さらに突っ込んでいただろう。
「…何で怒らないんですか」
「…?」
「突き放すような事を言って、何であなたは怒らないんですか」
「些細な事にばかり目くじらを立てているようじゃ、どうにもならないと感じるようになったから…かしらね」

さて、その頃キュウコンサイドはというと。
『読書邪魔した人とハイナが、普通に喋ってる…あたい、信じらんないよ。どう思う? レンディア』
『オレが遭遇した中でも、今までに無いケースだな。珍しくオマエと意見が合ったじゃないか、レント』
『なんですって?』
『やるか?』
レントと呼ばれたライチュウと、レンディアと呼ばれたウインディ。まさに一触即発。
『あのー…ケンカは止めておいた方が…』
フィーユのキュウコンが止めようとするも、
『『外野は黙ってろ!!』』
2匹に一喝されて黙り込んでしまった。
『レントさん…羨ましいです…』
『え?』
キュウコンが止めるのも聞かずに始まったレントとレンディアの口論。
それを見ていたロコンが、何故か羨ましいと言った事に、キュウコンは疑問を感じた。
『えーと…スミアさん、でしたよね。どうして、羨ましいと思ってるんですか?』
『その…よく、ケンカするほど仲がいいと聞きますよね…?』
『え? ええ…聞きますねぇ…』
『という事は、レントさんとレンディアさんも、仲がいいって事ですよね…』
『まぁ…そういう事になりますよねぇ…』
キュウコンはそこまで言ってから、気付いた。
『あ、つまり…アレですか。「やきもち」ですか?』
『え!? い、いえ…そんなのじゃなくって…ただ…面白くないなっていうだけで…』
『そういうのを「やきもち」って言うんですよ』
『その…レンディアさんに、私の気持ち、伝えたいといつも思っているんですけれど…』
『いいじゃないですか。伝えちゃいましょうよw』
『いえ…それが、何時も何かハプニングとかがあって、伝えられないまま終わっちゃうんです…』
スミアはがっくりと項垂れて言った。
『うーん…私からは、頑張れとしか言いようが…』

「それじゃあ、ハイナちゃん。そろそろ私は帰らないと」
「え? もう帰っちゃうんですか?」
「あら。結構長い時間、お話してたと思うけど?」
そう言われてハイナは時計を見る。既に2時間半経過していた。
「あたし、こんなに長時間話す事なんて滅多に無くて…」
「そうなの? 私の退屈な話ばかりで、疲れてない?」
「あ、いえ、全然…」
「でも、驚いたわ。話し始めた時は、結構きつい口調だったのに、今はこの変わりよう」
「それは…その…フィーユさんの人柄のせいです」
「私の…人柄?」
フィーユは首を傾げて尋ねる。
「フィーユさんって…落ち着いてて、大人な感じがして…」
「これでも何年か前までは、こんな感じじゃなかったんだけどね」
「確かに…お話を聞く限りでは、随分と行動的な女の子だったんだなぁと…」
「でも、その何もかもが良くも悪くも経験になって、今の私があると思ってる」
ハイナは、真剣に聞き入っている。一字一句聞き逃すまいと。
「あなたもきっと、この先色々な経験をすると思う。それは、きっとあなたの助けになるから」
「わかりました。…覚えておきます」
「それじゃあね。…あ、読書の邪魔して、本当にごめんなさいね」
フィーユはキュウコンを手招きで呼び、去っていった。

「経験は力になる…か…」
ハイナは空を見上げる。日は傾き始めていた。
「みんな! いくよ!」
ハイナは、自らの仲間達に向かって、元気に叫んだ。

             END
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リクト #16★2007.07/28(土)11:51
指導は要領よくするもんだって誰か言ってなかったっけ


「いい? 戦闘の際は、ポケモンに見えていない部分を、トレーナーがカバーすること」
「は、はい…!」
とある地方のとある場所。ポケモンバトルの練習中のようだ。
教えている1人は、長い髪を持つ女性。教わっている1人は、セミロングの髪の少女。
「それじゃあ、試しにちょっと戦ってみましょうか」
「あ、はい。じゃあ…グレイシア、行ってくれる?」
『えと…あ、はい…。うう…ぼくに出来るでしょうか…』
少女に呼ばれたグレイシア。何だか、気の弱そうな感じである。
「気が弱くちゃ始まらないよ。お兄ちゃんに言われた事、忘れちゃったの?」
『それは忘れていませんけど…ぼく、ちょっと小心者みたいで…」
「リノアさん…どうしたらいいんでしょう…?」
リノアと呼ばれた女性は少し考え、
「その性格は、元々の物みたいだから、直すにしてもかなり時間が掛かると見ざるを得ないわね」
「あの、リノアさん…」
「何?」
「戦闘面じゃなくて…『心』の面の強化の指導をお願いしたいんですが…」
「『心』ね…。いいわ、そうしましょう」

「まず、そのグレイシアは、何だかちょっと暗い感じがするわね…」
『その…ぼく、話に入っていくのがちょっと苦手で…』
言い難そうにグレイシアは言う。かなり控えめな性格らしい。
「でも、それなりに話はしますよ。…かなり控えめな喋り方ですけどね」
「うん…じゃあ、ちょっとこのグレイシアにも協力してもらって…」
『な、何ですか…?』
「エレキ!」
リノアはモンスターボールからポケモンを出す。ライチュウだ。
『呼んだ?』
「そのグレイシアには、私のエレキよりも早く、ツッコミを入れてもらうわ」
「ツッコミ、ですか…?」
「そう。ツッコミよ」
『あの…ぼく…』
グレイシアが何か言い出そうとしたが、やはり中々言い出せない。
「じゃあまずは、このポケモンのボケに、エレキよりも早くツッコミを入れる事」
『おっと、ついに俺の出番か!』
そう言うや、カイリキーはいきなりリノアを持ち上げ、胴上げ。
「ちょ、ちょっと…! 降ろし…きゃあっ!」
『降ろしたぜ』
「あんた、そんな降ろし方は無いでしょう!?」
確かに降ろし方に問題アリ。胴上げ止めたモンだからリノアは落下してしまったのだから。
『ちょっと、マッスル!』
『おう、何だ?』
マッスルと呼ばれたカイリキーは、至って普通の表情で返す。
『あんた、あの降ろし方は無いでしょう!? リノアに何かあったらどうするの!』
『俺はただ、命令に従っただけなんだがなぁ…』
「いたた…マッスル、もう戻って」
『せっかく出番来たってのによォ…』
「…」『…』
少女とグレイシアは唖然。ツッコミ入れようにも入れられない。

「…じゃ、じゃあ次」
「あの、リノアさん…腰、大丈夫ですか…?」
「何とか、ね」
『大丈夫なんでしょうか、この調子で…』
グレイシアの心配ももっともである。
「じゃあ、今度こそ…ブレイン」
『次は俺か』
(真面目そうなフーディンだけど…)
少女とグレイシアはそう思っていたが、
『…ラッキーを捕まえ損ねてアンラッキー』
「…?」『…?』
『寒いっ!』
エレキのツッコミ、炸裂。
「…どうしたの?」
「いえ、今の…突っ込む場面でしょうか?」
少女は怪訝そうに聞いた。
『その…寒くて、突っ込む気も無いんですけど…』
グサッ。
『…今、何かが刺さった音が聞こえませんでした?』
『俺の駄洒落が、寒いだなんて;;』
「…落ち込んじゃいましたよ、あのフーディン」
『いいの。いつもの事だから。しばらくすれば、コロッと直ってるから』
エレキは事も無げに言った。

「…結局、大した訓練にならなかったわね」
『すみません…ぼくがこんな性格なばかりに…』
落ち込むグレイシアの頭をリノアは撫で、
「悪いのはあなたじゃないわ。そもそも、マッスルが…!」
「カイリキーのせいなんですか;;」
「…もう、日が沈むわね…今日はここまで。またね」
「あ、はい…」
「マッスル…絶対許さないわ…」
「…」『…』


「ただいまー…」
少女はかなり疲れた表情で家に入った。
「あら、お帰り」
「ただいま。叔母さん」
「お疲れ様。どうだった?」
「うん…何だか個性的な人だった」
「…? そうそう。あなたに手紙が届いているわ」
「私に?」
叔母から手紙を受け取る。宛名は当然、自分。
裏を返して、差出人の名前を見た少女は、表情が一気に輝く。
「お兄ちゃんからだ…!」
少女は逸る気持ちを抑えながら、封筒を開けた。


              END
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リクト #17☆2009.02/04(水)20:54
趣向変え? リクの新たなキャラ道確立への道


「さて、久しぶりに何をしようか考えていたわけだが…」
唐突にリクが切り出す。
と言っても、大概彼がやる事為す事は唐突な事が多いのだが。
『何故でしょう…「やっとか」という感が否めないんですけど…』
手持ちであるキュウコンが複雑な面持ちで返す。
「どこが。オレはここ数ヶ月は大変だったってのに」
『それこそ、どこが? と聞きたくなるんですが…』
キュウコンが呆れている。もちろん、これも何時もの有り触れた光景であるのだが。
「で、具体的に何をすりゃいいのかをお前らに問いたい」
『珍しいですね。ご主人様が意見を求めるなんて』
『何時ものダメトレなら「オレは誰の指図も受けないぜ」とか言う所だがな』
これまたリクの手持ちであるバシャーモが口を挟む。
しかし、トレーナーに対してダメトレはないだろう。しかしこれも何時もの事である。
こうした有り触れた日常の会話としか思えない所から、彼らの談義は始まっていくのである。


「まずオレが気になる事は、だ」
リクが人差し指を立て、口を開く。
「どうも、オレのキャラが薄い気がする」
彼自身は至って真面目な口調で言ったつもりであったのだが、
『前からだろう』
『前からじゃないですか』
あっさりそう返された。
「あのな、そういう時親身になって受け答えするってのは出来ないのかよ」
『無理だ。ダメトレだからな』
『無理ですね。ご主人様ですし』
「オイ!?」
すかさずツッコミを入れるが、
『ツッコミ役はキャラが薄くなる気がするからな』
『ボケ役だったらあるいは…でも、ご主人様ってボケを飛ばす事出来ましたっけ?』
「…そういえば、ずっとツッコミばっかだった気がする」
『じゃ、ダメだな』
『ダメですね』
「あっさり片付けたなオイ!」
こうもあっさり片付けられてしまっては、意見を求めた意味も無い。
『…あ、じゃあ恋愛要素を…』
『キュウコン。大事な事を1つ忘れている』
『え?』
『コイツにそのような要素が期待出来るかどうか、という事だ』
『出来ませんね、まず間違いなく』
「うぉい!?」
これは痛い。まさしくクリティカルヒット。遠まわしに「モテない」と言われているようなものである。
寧ろ、ここまでくると「遠まわし」でも何でもない感が否めなくなってくる。
『ボケ転向もダメ、恋愛要素もダメ。ならこのダメトレには何が残っている』
『まず、何も残ってませんね、不発に終わりやすいツッコミという武器しか』
「不発に終わりやすいは余計だろが!」
『うーん…』
キュウコンはまた暫く考えていたが、何やら閃いたような笑顔で、
『ありましたよ! キャラが濃くなる方法が』
「マジか?」
『ええ。ツッコミ役にしかできないとも言えるかもしれないポジションです』
「そんなの、あんのか?」
『はい、もちろんです』
そしてキュウコンは、これ以上ない程いい笑顔を作り、

『「弄られキャラ」というポジションですよw』

リク君、絶句。


「嫌だ! そんなのは嫌だ! オレは弄られキャラなんぞにはなる気は全く無い! 全くないぞォォッ!」


END
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