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グレイの日記-

 今日、無事に護衛の人が見付かりました。
 装飾品を扱うから、持ち物が高価だと思われて狙われるよ、って言ってくれた工房の人に報告しないと。
 いい人だといいな、いい人だろうな、目が優しかったから。
 一番は、ぼくの手を離したりしなかったから。



ネプの記憶-
 転がる果物を手早く集める。集め終わると、一緒に転んでいた持ち主の手を引いて立たせてやる。
「手が冷たいけれど大丈夫?」
「ごめんなさい、気持ち悪いよね」
「ううん。大丈夫ならいいよ。ほら早く立って」
「…うん」
 驚いた顔をされた。今の言葉におかしい箇所なんてあっただろうか。
「怪我は無いか。じゃあ、気を付けてね」
「あの…」
「何?俺は協会に行くんであんまり時間が無いんだけれど」
「ぼく、一人じゃ危ないから誰か護衛の人を探しなさいって言われてて」
「そう」
「だから、あの、精霊協会の人だよね、協会の人なら信用出来るし、貴方にお願い出来ないかな」
 なんて安直な子なんだ。疑う事を知らないのか。
「だから…えっと」
「…ネパトラート・ククエ、ネプでいいよ」
「じゃあ、ネプ、駄目かな…」
「あのね。断るんだったら、愛称まで教えないよ。すぐ戻るから」
 そしてどうして、俺もこんなに安直なのだか。



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