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ネプの日記-

 そろそろ区切りを付けないといけないのか。
 短いような、長いような。いつの事でもそう思うのは同じだ。
 後悔はするだろう。今だってなかなか実行に移せないでいるから。
 それに、区切りを付ける事は一体誰の為なのか。
 自分勝手なだけなんだろう、本当に。



グレイの記憶-
 あんなにお祭り騒ぎだった季節のイベントも終わって、みんな忙しく働いてる。
 ぼくは『人の為に作る』って課題を気にしなくて良くなったけれど、何だか今はその事を念頭に置いて装飾を作るようになった。職人からお客さんへ、ある時はお客さんから誰かへ、装飾が少しでもいい旅が出来るように。

「んー…出来たっ!ネプ、これどうかな…」
 ぼくは出来をネプに訊くのがすっかり癖になってた。前はネプに注意されてたけれど、最近はそれも無かった。
「…いいんじゃないかな」
「う、うん…有り難う」
 でも、此処何日かネプはぼくの方を殆ど見てくれない。言葉も凄く素っ気無い。ぼくが話しかけてもちゃんと聞いてくれない。こんな事初めてだった。
 親方に作品を確かめて貰って、ぼくがまた戻って作業をしていると、ネプから声をかけられた。只、ぼくの顔は見てくれない。

「もうやめなよ、俺に訊くのは。全くの無意味だし」
 注意みたいでも、突き放すような凄く冷たい感じがした。
「無意味なんかじゃ…」
「俺には装飾の何たるかなんて解らない」
「でも、職人じゃない人の意見も聞いてみたいし…」
 何より、ぼくは嬉しかったんだ。まるでネプの為に作ってたみたいで。
 もしかしたら、ネプと一緒にいるようになってからはそうだったのかも。

「解らないものをどうだと訊かれても返答に困るだけとは思わないのか?」
「うう…」
 その時、隣で作業をしてた先輩の職人がネプに話しかけてきた。
 「そんなつれない事を言わんでもいいじゃないか」
 だって。

「…」
 ネプはなんにも答えなくて、不機嫌そうな顔をしただけだった。
 本当にどうしてなんだろう…。




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