■-46
ネプの記憶-
どうやって戻ったのか訊くと、グレイは自分の記憶や感情を凍結させ、拠り所が無くなったフェニックスを消したらしい。
「元々君の力は熱を奪い取るだけだったのに、どうしてそんな事が出来たんだ?」
「多分、精神だけになったから干渉出来たんじゃないかな。ほら、強い感情の事は熱意っていうし」
「そんな無茶苦茶な…事が通ったから、君は今此処にいるんだよな」
凍結した記憶はまだあるかもしれないけれど、支障は無いだろう。支障がある部分は俺が補えばいい。そのくらい一緒に過ごしてきた。
「羽も無くなってるし、本当に良かった」
「え?あっ、ほんとだ!」
グレイは全身を手で探って、羽が一つも残っていないのを確認した。羽があった耳の部分には鰭が付いている。元々のサラマンダーの体なんだろう。
「もう、治癒は出来ないんだね」
「それが普通だよ。あんな物に頼ったらいけなかったんだ、軽々しく怪我をする物じゃないし」
「そっか…そうだよね」
確かに、治癒出来ていい物かもしれなかった。その点だけを見ても、あれは甘くて恐ろしい罠のような物だったんだろう。
「ところで、ぼくの協会への登録ってどうなってるの?」
「ああ、それは凍結されてるけど継続されてるよ、削除はされてない」
「じゃあ…」
グレイは嬉しそうな顔で話してくれた。
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