狂い咲きが華
■-4
朝の日差しに目覚めて、ハーキュリーズはまだ番っている事に気付いた。どうやら一日は経ったらしいが、いつ気を失ったのか記憶を漁り、その頼り無さに諦めるしかなくなる。ひとまずジェイスンの体から退かねばと考えた頃、小さな呻きが漏れた。
「う……」
「ジェイスン」
意識を取り戻したジェイスンを気にかけるあまり、身を離す事も忘れる。緩々と開いた目には苦しみも無く、普段通りの穏やかな眼差しがあり、ハーキュリーズに安堵の溜め息を零させた。
「あ……抜くよ……」
状態に気付いたジェイスンにされるが侭に身を離すと、奥から音を立てて大量に白濁が溢れる。痴態の結果の全てを物語るようで、ジェイスンの頬が見る間に赤く染まった。
「この前、初めて、だったのに……、ごめん……」
ハーキュリーズの過去からすれば言葉は的確ではないが、言葉選びにハーキュリーズは自身で意外な程に喜びを覚える。萎らしさの持ち合わせがあったらしい。
「いや。お前には変わりないし、それだけでいい」
「うん……。ありがとう、ハーキュリーズ」
眩しい程の素直な言葉へ、素直さは伝染するのだろうかと思いながら応えた。
「お前が無事で本当に良かった」
ジェイスンは頷いてハーキュリーズを抱き寄せる。不快な状態を何も始末していないが、其処にある優しさだけは確かなものだった。
ふと、肩口でハーキュリーズが囁く。
「苦しくはあったが、悪くはなかったしな」
「……うん」
途端に小さくなった素直さへ、ハーキュリーズは満足げに微笑んだ。
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