冷たさの奥にいる


■-3

「すっかり夜だなあ」
「そうだな」
 辺りは宵闇に満たされ、家々では明かりが灯り始めていた。此処まで遅く帰るのは初めてだ。
「みんな心配してるかもだし、早く帰ろう」
 するとハーキュリーズが笑い出す。また普段通りの余裕が戻っていた。
「ジェイスン。こういう時、あいつらは察しがいいぞ」
「え!」
 驚くジェイスンへ、ハーキュリーズは微笑みを崩さずに告げる。
「観念したほうが楽になるぞ」
「……そうする」
 今夜の食卓には便乗の祝杯が踊りそうだった。



Previous

Back