暖かく爽やかな南風を感じながらアルルは初夏の街の中を歩いていた。
ここのところいい天気が続いていたので掃除や洗濯も量がなくすぐ片付いてしまうので
たまには街に出てウィンドウショッピングでもするかぁ、と散歩に出てきたのだ。
お金はないので欲しいものがあってもがまん、と見るだけにして。
いい天気だなぁ、とアルルは伸びをしながら歩く。
もう少し歩けば右手にウィッチの店がある。せっかくだから冷やかしにいこうかな。
目的も決まれば足取りも速くなる。自然アルルは駆けるようにウィッチの店に入っていった。
からんからん、とドアについた来客を告げるベルを鳴らしながら。
薄暗い店の中に入るとどうやら先客がいたようだった。ウィッチと何か話している。
「やっほー、遊びにきたよー!って、あれ?」
アルルは目を丸くした。ウィッチの店に誰か来ること自体珍しいのに、来客がシェゾなんて。
「珍しいね、シェゾがここに来るなんて」
「アルルか、今仕事の話をしているからちょっと後にしてくれ」
「仕事?」
「ごめんなさいねアルルさん、もう少しで終わりますから…」
二人は話の内容が気になって仕方がない僕を無視してまた会話に戻ってしまった。
なんだか、置いてけぼりにされているようでちょっとだけ面白くない。
けれど仕方が無いから来客用の椅子に腰掛けて二人の会話に耳を傾けることにした。
「この袋の中に捕まえた黒ぷよを入れられるだけいれてくりゃいいんだな?」
「ええ、ご存知のようにあの森は今の季節黒ぷよが来るということで
立ち入り禁止になってますのでそこの許可証を忘れず持っていって下さいな」
どうやら魔物捕獲の依頼をシェゾに出して、その内容について説明しているみたいだった。
おそらく僕の目の前にある机に詰まれている、寝袋のような袋に首から下げられるパスケース、
妖しげな粉薬が入った瓶が話に出てきた仕事に使う道具なんだろう。
「で、ギャラだが……」
「1匹につき1200でおねがいいたしますわ」
「おいおい、あれを捕まえるのに一匹1200は少ないだろう。2000くらいよこせよ」
「うーん…じゃあ、1400」
「1800」
「1500、これ以上は無理ですわよ」
「しょうがねぇなぁ」
「商談成立ですわね。ではその机にあるのが許可証に捕獲用の袋としびれ薬ですわ。
これで生け捕りにして下さ――」
アルルはその金額を聞いて思わず二人の話に割り込んだ。
10匹も捕まえればさっき見つけた可愛い服にセットで靴をつけて買ってもお釣りが来る!
さらに普段入れない場所に入ることができるなんて…!
「ね、ねぇねぇ!い、1匹1500?!しかも普段入れない森に入れるの?僕もやるやる!!」
僕がそう言った瞬間にものすごい勢いで二人がアルルを止めに入りにくる。
「ア、アルルさんには無理ですわよ!」
「お、お前なあ、ぷよといっても黒ぷよはその……女にはものすごく危険だろ?やめとけやめとけ!」
「それにあそこは女性は不可侵の場所だと習ったの覚えてませんの?!ずぇったいに駄目ですわ!」
二人がまくし立てるように駄目無理と言うものだから、アルルはかえって意固地になってしまった。
「でも同じ魔法使いで女の子のウィッチは許可証持ってるんでしょう?なんで僕が駄目なのさ!」
「だーかーらわざわざ私じゃなくてシェゾに頼んでますのよ!だって黒ぷよは…ゴニョゴニョ」
なぜかウィッチは急に勢いをなくしてもごもご言っている。
それが何かを隠しているようで、さらにアルルは面白くなくなってしまった。
「わかんないよ!僕にいつも負けてるシェゾが良くて僕じゃ駄目って!馬鹿にしてるんでしょ!」
アルルは机に置いてあった袋と薬、それから許可証を引ったくって店を飛び出してしまう。
「ア、アルルさんっ!まってくださいまし!」
「あ、あの馬鹿!しらねーぞ!」
「シェゾさん!もう一式道具がありますので持っていって!アルルさんを見つけたらお願い致しますわ!」
「ああもう!なんでこうなるんだ料金割増にするからな!」
シェゾが道具を引っ手繰るようにとっておいかけたが、アルルの姿は遠く既に店から見えない。
ウィッチは一人店で立ち尽くしながら、深いため息をつき待つしかなかった。
「やったー!これで12匹!」
森に入って5時間、アルルは夢中になって黒ぷよを狩っていた。
最初は陰も形も見えなかったぷよが、森の奥に入るにつれて自分に攻撃してくるようになってきたのだ。
とばしてくる粘液をかわしながら素早く薬をかけるのにはじめは苦労したしつい魔法で攻撃しそうになってしまったが、
時間がたつにつれてこつを掴んだのか難なく捕まえられるようになってきた。
「しかも1度に3匹も捕まえられるなんて!うー、これで新作のワンピースが買える!」
アルルはうきうきしながら動けなくなった黒ぷよを袋に詰める。まだまだ袋に余裕はあるけれど結構ずっしりと重い。
さっきなんて複数で攻撃してきたから何回か粘液や体当たりを喰らってしまった。
やけに取れ難いその粘液には毒でもあるのか、妙にその部分が熱くて水浴びしたくなってしまった。
もう日も暮れるし、疲れてきたしさっきから敵が集まってきているような気がしたから戻る準備をしよう。
これだけ捕まえて帰ってくればあの二人だって見返すことができるしね。
そう思いながらしっかりと入り口を縛った袋を肩に引っさげて立ち上がった瞬間、後ろから黒ぷよが頭にぶつかってきた。
「い、いったぁ〜い!」
なんでこのぷよはやたらに素早くて堅いんだ、そのくせ捕まえようとするとグネグネして捕まえ難い!
痛む頭をさすりながら薬を撒き散らす。しゅうう、と湯気を立ておとなしくなった黒ぷよが草に横たわる。
袋を置きなおして入り口を開け、ぷよをもう一匹詰めようとした瞬間後ろにいた黒ぷよに足に粘液をかけられた。
「も、もう!っと、っとっとっと…」
足に絡みついた粘液が足元を滑らせ、前のめりにつんのめってしまう。
「うわっ!?」
黒ぷよはその隙を逃さず、蓋をしたままの薬の瓶を持つ右手に絡み付く。
包み込むように黒ぷよは右手を飲み込み、アルルに攻撃を許さない。
「や、僕の手が!こ、このっ!離れてよ!」
いくら手をふっても木にぶつけても黒ぷよは離れない。
それに何匹か、様子をうかがっていたのか集まってきた黒ぷよがアルルに近づいてくる!
「ま、不味いなぁ……」
薬が使えない状態で複数に襲われたらいくら頑丈なアルルでもひとたまりもない。
こうなったらこのまま森を抜けるまで走って逃げるしかない!
「うわぁっと!」
袋を掴んで逃げるアルルを黒ぷよたちが追いかけ何度も体当たりしてくる。
黒ぷよをかわしながら奥に入りすぎた自分を少し後悔したが後の祭りだ。
右手の黒ぷよが邪魔で仕方がない上に、そこが熱くて仕方がない。
粘液をかけられたところもじんじんとして、その熱さが走るアルルの息をさらに上げさせる。
薬だけは手放すまいと右手の指をぎゅうと握るが、
右手の黒ぷよが少しずつ指の隙間から侵入して瓶を奪おうとしているのがわかる。
「あ、あああっ…!しまったぁ!」
左即頭部に体当たりしてきた黒ぷよをかわす時に右手をつこうとして、つい瓶を離してしまう。
仕方なく右手の瓶をぷよごと引き剥がす。
「くっ」
右手に気をとられたのが災いして、両足に黒ぷよが絡みつくのを許してしまう。
動きが鈍くなったアルルに、前後左右から体当たりをかまし、両手足の自由をうばっていく。
とうとうアルルは黒ぷよに身動きが取れない状態にされてしまった。
「やっ、離れて!」
体を起こそうとするが黒ぷよは身体を堅くし、地面と癒着してアルルに体を起こすことすら許さない。
身をよじることしか出来ないアルルに、集まってきた黒ぷよが身体にじりじりと近づいていく。
何をされるのかもわからずに恐怖と不安に身を堅くし、叫ぶことしか出来ない。
「やだ、やだぁぁ!」
悲鳴も虚しく、黒ぷよ達が粘液をアルルに撒き散らしながら乗っかってきた。
「えっ……」
にゅるにゅるとした冷たい黒ぷよの感触が、ひんやりとアルルの肌に触れる。
冷たいはずなのに、ふれたそこがじんじんと熱くなっていく。
「な、なにするのっ?やだぁ、やめてよぅ!」
腕に、脇に、背中に、わき腹に、顔に、首筋に、耳に、脚に黒ぷよが這いずり回る。
そのたびに、くすぐったいような、ぞくそくするような妙な感覚がアルルの背中に走った。
ふれられて熱くなったところから黒ぷよが別のところに移動すると、
空気に触れてひんやりとするのにじんじんと熱いような感じもする。
また別の黒ぷよがその部分にからみつくとさらに熱くなって、熱くて変なのに…なのに…
初めての感覚にアルルは身を震わせた。
さらにゆっくりと黒ぷよは服の隙間から中に進入していく。
「あ、あああ……な、なに?ぼく、どうなっちゃうの……?」
初めそれが快感だなど性に無知であり自慰行為もしたことのないアルルにはわからなかった。
「はぁっ?!や…ぁ…」
黒ぷよの一匹が服とアーマーに守られた胸に触手のように身を細くして入り込むと、
すでに堅くなった乳首をプルプルとはじくように弄繰り回す。
「ああっ!だめぇ!やぁ、や、だぁ!」
アルルが強い刺激を感じて背中をのけぞらせる。
その反応に黒ぷよたちがいっせいに上半身へもぐりこもうとし、
無理やり入ろうとする黒ぷよたちにアーマーは破壊され服も破けてしまう。
羞恥を感じる暇もなく黒ぷよがさらに集まって露出された肌にあつまっていく。
守るものがなくなったアルルの胸に、黒ぷよたちは容赦なく刺激をくわえていた。
柔らかい胸は絶えずもまれ変形し、先端は争うよう群がられこすりあげられた。
「あ、あ、……んぁっ、だ、め……」
さらに遅れて集まってきた黒ぷよたちが、アルルが反応する場所に思い思いの攻撃を加えていく。
背中をなぞり首筋を舐めるようになで、臍をもぐりこむように愛撫し、脚にねちっこくからむ。
僕、まさか……黒ぷよに犯されちゃうの?
黒ぷよは人が感じる場所がわかるのか、アルルが強い反応を示す場所に特に群がるようだった。
「やだよ、こんなの……助けて、誰か、ああ……あっあ……」
屈辱と羞恥にぽろぽろとアルルの目じりから涙がこぼれる。
せめて声を出さないように歯を食いしばって耐えるが、それで助かるわけじゃない。
体が反応するのをおさえつけ、これは感じてなんかない気持ち悪いだけと言い聞かせつつ、
体から湧き上がってくる感覚に自分がどうにかなってしまうんじゃないかと思った。
そして、一匹の黒ぷよがスカートの中、
ふとももを守るスパッツにもぐりこもうとしているのに気が付いてはっとする。
「んんん!それだけは、やだ、だめっだめだめだめぇー!」
いくら無知とはいえ、アルルだって今自分がどんな状況かわからないほど無垢な少女ではない。
その……このぷよたちは性的に自分を攻撃していて…
自分が何をされているのか、何をされそうになっているのか考えるだけで耳が真っ赤になる。
何とか脚をぎゅうと閉じて黒ぷよの進入を食い止めようとするが、
そんなアルルをあざ笑うかのように少しずつ、少しずつ黒ぷよが脚の付け根に近づいていく…
「んっ、あっ、く……やめて……」
焦らすようにショーツの淵をなぞりうごめく黒ぷよ。
他のぷよたちも新たな攻撃個所を見つけて、ぞろぞろと隙間から入り込み、スパッツを破いていく。
「んっ?!あああっ!」
一匹がショーツの上から濡れそぼって浮き上がった割れ目をなで上げた。
思わず脚の力が緩んだのを黒ぷよたちは見逃さず、無理やり脚を開かせる。
そこに黒ぷよの攻撃がさらに集中する。何本もの指がアルルの下半身を愛撫するような感覚に、
アルルは何も考えられなくなっていった。
「やああっ、んっ、あああ!あああん、も、許し……はぁっ」
一匹がショーツの中に入り込み、ぴったりととじたそこに割り込んでアルルのクリトリスに吸い付いた。
「ああっ、ああっ、あああああ!」
びくん、と体の内側から大きな衝撃がアルルに走る。もう気持ちよさに声を我慢することも出来ない。
無理やり開かれたアルルの花びらを複数の黒ぷよが愛撫する。
そのたびにくちゅくちゅとあふれ出たアルルの愛液と黒ぷよの体液が混じり卑猥な音をたてる。
アルルはこんな音を立てている自分に余計興奮してしまい、さらに快感を高ぶらせるのだった。
駄目なのに、初めてなのに、こんな……ぷよなんかに犯されているのに……
そう思えば思うほど、体の中から湧き上がってくる欲情を止めることが出来なくなってしまう。
もっと快楽を与えようとアルルに入ろうとする黒ぷよたち。
我先に入り込もうと互いが互いに邪魔しあってしまい、
誰もが悪戯に入り口を刺激するだけでなかなか入り込むことが出来ない。
アルルはもっとして欲しくて入れて欲しくて声をあげているのか、
やめて欲しくて泣き叫んでいるのか自分でもわからなくなってきてしまった。
つい気持ちよさに腰を動かしてしまう。ぽろっと数匹、入り口から黒ぷよがこぼれた。
「うあああああっ!」
その瞬間、邪魔者がいなくなって入り口にしがみついていた黒ぷよが一気に奥まで入り込んだ。
既に体中を愛撫され、体液をさんざん塗りこまれたアルルは痛みすら快感に変わっているようだった。
「はうあっ、ぼくこんなの、こわれちゃうよおお!」
奥に入り込んだ黒ぷよはアルルの中をほじるように暴れまわる。
入り口を広げ、余すところなく中を攻め立てる黒ぷよに、アルルは息も忘れてよがり狂う。
「なにか、なにかくるう、なにかきちゃうよ、怖い、何、ぼく、あ、あああああああー!」
その瞬間、アルルは頭の中が真っ白になった。
「あああ……あ、あああっ、は、あ……」
びくん、びくんと体を痙攣させて…アルルは、初めてのエクスタシーを体験した。
あわせてアルルの中から、満足したのかにゅるりと黒ぷよが出て行く。
終わった?と思ったのもつかの間、別の黒ぷよがアルルに入り込んできた。
「あっ……も……ほんとに、死んじゃう……死んじゃうよおぅ……」
まだ体の痙攣すら治まっていないアルルに、容赦なくぷよたちはまだまだ快楽を与え始める。
「は、ああっ、おねがぃぃ、も、ぼくぅ……だめぇ、だめらろぉ……」
ろれつすら回らなってきたアルルの身体を、黒ぷよたちは入れ替わり立ち代り犯していく。
「や、汚いよぅ、そんなところ……」
黒ぷよがアルルのお尻にまで触手を伸ばしていく。しかしアルルは抵抗する気力すら湧かない。
「あ……あああ……駄目……」
中をほぐしながら少しずつ進入し、傷みも感じさせず黒ぷよは粘膜から媚薬を吸収させる。
苦痛に近いほど感度をあげられ前も後ろも攻め立てられたアルルは更に上り詰めていく。
果てない快楽に、アルルの正常な意識はだんだんと壊れていった。
「こっちか?」
シェゾは逃げる黒ぷよを捕まえつつ、アルルを探しながら森を走り回っていた。
警戒し逃げる黒ぷよはものすごく捕まえ難い。それこそド○クエのメ○ルキングのように。
が、女のおとりがいれば話は別で、あいつらは一箇所に集まっていくはずだ。
アルルという絶好のおとりがいる以上、黒ぷよを追っていけばアルルも見つかるはずなのだが……。
既にシェゾの袋が幾つか一杯になるほど黒ぷよが集まってきている上に、
黒ぷよが逃げる方向も一定方向になっている以上どこかにアルルがいることは間違いない。
「あっ、あそこか?!」
少し開けた場所に、黒ぷよの黒山が出来ていた。
集団で反撃されたらこっちの身も危ないので、周りの黒ぷよを薬で減らしつつシェゾは距離を詰めた。
ある程度周りの黒ぷよを減らし、アルルを助けようと近くの大木から身を隠し
アルルの様子をうかがってみようと顔だけ出して様子をうかがってみた。
――シェゾは、目の前の光景に一瞬フリーズしてしまう。
コレが、アルル?
「あ、ああっ、もっと……おくぅ、気持ちいいよぅ……」
アルルの目はうつろに、口からはよだれをたらし恍惚な笑みを浮かべていた。
ほぼ全裸で腰を浮かせ、黒ぷよに全身を愛撫され快楽に身をゆだねている。
肌は黒ぷよの粘液でてらてらとひかり、後ろと前に黒ぷよを受け入れ喘ぎ声を漏らしている。
あちこちに黒ぷよたちに破かれたのであろう服が散乱していた。
予想できた光景のはずなのに、普段のイメージからは程遠い状態のアルルに、
シェゾは本当に目の前の女が自分の良く知る少女なのか目を疑わずにいられない。
「あああっ、また、またくるぅ!あう、ぼく、ぼく、いっちゃうよお」
わずかに身を震わせて、シェゾが近くにいるのにも気が付かずに達してしまったようだった。
黒ぷよもアルルに夢中でまだシェゾの存在に気が付いていない。
ごぼり、と黒ぷよがだらしなく開かれたアルルの脚から零れ落ちるように出てきた。
数時間前にはまだ誰にも見せたことがなかったであろうアルルの秘所から、
愛液と体液が交じり合ったものがこぼれ地面を濡らしている。
「ああっ、早く入れて!ぼくぅ、ぼくたまらないの!」
自ら入り口を開いて異物を迎え入れるアルルをみて、シェゾは目をそらした。
調教用の媚薬を作るのに黒ぷよがの粘液が使われるのは知っていたが、ここまで効果が強力だとは。
心臓がバクバク言っている。自らの分身が熱を持っているのを感じて思わず自分をしかりつけた。
落ち着け、これじゃ俺は本物の変態になってしまうぞ……
息を落ち着けようとする間にも、アルルの痴態が、あられもない声が目に耳に入ってくる。
一旦そらしたはずの目が、アルルの体から目が離せなくなってしまっている。これでは逆効果だ。
シェゾは意を決して一足でアルルの場所まで飛び、アルルにたかる黒ぷよたちに薬をぶちまけた。
薬の攻撃から逃れた黒ぷよたちはシェゾを見て半分以上がさっと飛びのき逃げていくが、
せっかくの獲物を取られてたまるかといきり立った残りの黒ぷよたちがシェゾに襲い掛かる。
「お前ら、これは俺のものだ!人の獲物に手を出すとどうなるか思い知れっ!」
シェゾはもう一本の薬の瓶の蓋を開け両手に瓶を持ちながら黒ぷよたちに威嚇する。
それでも襲い掛かってくる黒ぷよに、シェゾは遠慮なく薬を振りかけていった。
もはや動くものがなくなったのを確認して、シェゾはアルルに駆け寄り黒ぷよを引っぺがす。
アルルはなすがままにされつつも身体を動かす気配もなく呆然と宙を見つめている。
時折うわごとのようにうう……という声が漏れる程度の反応しか見せない。
シェゾは構わずアルルから黒ぷよを取り除きつつ袋に詰めていった。
あまりの数にすぐ袋が一杯になってしまうが、アルルのまだ空の袋につめ全て捕獲した。
最後にアルルの開かれた脚の間にいるぷよをどうしようかと一瞬迷ったが、
その部分をなるべく目に入れないようにしつつ黒ぷよを引き抜いた。
ごぽ、と音を立てて抜かれたアルルの愛液まみれになった黒ぷよを袋に詰める。
「う、ああ……もう……おしまい?」
アルルが焦点のあっていない目をシェゾに向ける。
アルルの何かを求めるような潤んだ目と裸を目の前にして性欲を抑えつつ
ほぼ裸のアルルにマントをかけ、目を覚ませとシェゾはアルルのほおを軽く叩いた。
「あ、シェ……ゾ?」
「そーだ俺だ。だから危険だから止めろっていったんだ。帰るぞーってうおおおんむ?!」
多少周りが認識できるほどには意識が残っていたか、と安心した瞬間、
アルルがシェゾの首を引き寄せ、キスをした。慌てて飛びのくシェゾにアルルがしがみつく。
「お、お、お前っ!なななななにをすっ」
「ね、シェゾ。おねがい、ぼく、もう」
普段のアルルからは想像もつかない力でアルルはシェゾを押し倒し、
シェゾの腰に自分の股間を擦り付けてくる。
あっという間にシェゾの股間がアルルで濡れていく。
胸板に形の良い乳房を押し付け、もう一度アルルがシェゾの口に口づけ、舌を割り込ませてきた。
節目がちに濡れた目が、誘うように怪しく揺れる。
流されそうになるのをこらえながら、渾身の力を込めてシェゾはアルルの身体を押し返す。
「ま、まてまてまてま」
「お願い、シェゾ……シェゾがほしいのは僕の魔道力だけだって知ってるよ?
でも僕、いまとってもしたいの。僕ごとあげるから。ね、いいでしょ……?」
「な、アルル、なにいって」
「ほらぁ、シェゾだってこんなに……ねぇ、ちょうだい?」
アルルはシェゾの固くなったものに手を添わせ、服の上から唇を寄せた。
張り詰めていたものにふれられ、うっとシェゾの口から思わず声が漏れる。
お前初心な振りしてどっからこんな知識や台詞を仕入れているんだ。
あれか?ちょっと前に話題になった少コミとかいう女の子向けエロ本ってやつか?!
「わ、わかったわかったから!してやるからまず離れて、立って後ろ向いてくれ」
「こう?シェゾは後ろからするのがすきなのかな?早く……シェゾ……」
してやる、という言葉にアルルは素直に立ち上がり、木に手を付いて後ろを向く。
「悪いが、このままじゃ俺の理性が持たんっ!性欲をもてあますっ!」
「え」
シェゾは後ろから思いっきりアルルの頭を闇の剣でぶん殴った。
ばごん、といい音が森に響く。
「ばたんきゅ〜」
アルルが目を星にして倒れこむ。
たんこぶが出来てしまったがこれなら当分目を覚まさないだろう。
もう一度マントでアルルの身体を包み込み、テレポーテーションの魔法を唱える。
白い光が二人の身体を包み込む…。
シェゾは黒ぷよでつまった袋を何袋も持ってウィッチの店に戻ってきた。
心配でたまらなかったウイッチはシェゾに駆け寄るが、肝心のアルルの姿が見えない。
「大漁なのはいいのですがアルルさんは…見つかりませんでしたの?!」
息を切らし店に駆け込んできたシェゾにウィッチは問い詰めるように質問を投げかけた。
「安心しろ生きてる。金は後で良いから解毒剤よこせ」
「ア、アルルさんはどうしましたのって聞いてますのよ!」
「案の定黒ぷよに囲まれてた。初めはぶん殴ってここにつれて来ようと思ったが
荷物の重さもあったしここにつれてこられるような格好じゃなかったし
迷ったが気絶させたまま森の近くの俺の隠れ家に放り込んできた。
だから早く、目を覚ます前に解毒剤よこせっつってんだ!」
あっ、と返答の意味を察してウィッチは目を伏せた。
黒ぷよに囲まれて、ってことはアルルさんは…
「ひでーめにあったぞ。」
いぶしげにウィッチはシェゾを見つめる。
アルルを付けねらってるこの人には絶好のチャンスなのに、どうして…。
「断っておくが何もしてないしするつもりもない。俺はそこまで変態でも外道でもない」
「あ、案外優しいんですのね……アルルさんの魔動力を奪って見捨てるなり
解毒剤も飲ませずこっそり囲って好き放題にする事だって出来ますのよ?」
真意を測りかねて目を覗き込んでみるが、何かを隠したりごまかしたりする様子もない。
「冗談じゃない、据え膳は食わない主義だ。そこまでうえているように見えるか。
放置したりこんな状況で手を出したらお前らに殺されそうだしな。
あいつには幻覚っつーことででごまかしておくからお前もそうしとけ」
ウィッチはシェゾの台詞に驚きつつ、待っている間に用意しておいた解毒剤をシェゾに渡す。
「こんなに捕まえてくるなんて予想してませんでしたから手持ちが明らかにたりませんの。
金額は口座に1割増で振り込んでおきますわ…早く飲ませてあげて下さいまし」
解毒剤を受取り、懐に入れながらシェゾは一つ黒ぷよの袋をウィッチに差し出す。
「この黒ぷよが一番少ない袋がアルルが捕まえた分だ。解毒剤代を引いて金を渡してやれ」
さらに意外な、とても闇の魔導師とは思えない言葉に
ウィッチは目の前の変態男を少しは見直す思いで見つめた。
「意外に、変態は変態でも筋の通った変態でしたのね」
「……なんか聞こえた気がするが。まあいい。帰るぜ」
シェゾは額にしわを寄せつつ言い終えるまもなく闇にとけていった。
ウィッチは手元の本に目を落とし、今日何度目になるかわからないため息を深くついた。
黒ぷよ(クロプヨ)
ぷよの一種であるが、その生態は不明なことが多く今も謎につつまれている。
大きさは普通のぷよより小さめ。警戒心が強く、人間が近くによるとすぐに逃げてしまう。
戦闘態勢にはいると身体の表面が鉱物のように堅くなり、
粘っこい粘液を放出するなど普通のぷよには見られない行動が見受けられる。
また、魔法攻撃が一切聞かない上打撃攻撃も効き難いため厄介な相手であり、
捕獲や退治は薬物に頼らねばならない。
初夏の満月の日近くが繁殖期にあたり、生息地近くにあるいくつかの森に集まり
メスが気に入った相手と生殖活動を行うことが知られている。
繁殖期にはオスはメスを呼び寄せるために人間の媚薬に近い成分を粘液から放出する。
メスよりオスが生まれる確率のほうが高いらしく、メスを見つけるとオスが何匹も群がってくる。
気に入った相手を見つけて生殖活動を済ませたメスは早々に森から逃げ去るが、
弱いメスの固体はオスたちから逃げきれず何匹ものオスになぶられ命を落すこともある。
メスのフェロモンも人間女性のフェロモンに酷似している為、
繁殖期に人間の女性がメスに相手してもらえなかったオスに襲われ、大変危険である。
一般人の安全と種の保護のため繁殖期には森に近寄らないよう立ち入り禁止の場所が殆どだが、
オスが放出する粘液から作られる媚薬が高額で取り引きされる為密漁する人間が後を立たない。
繁殖期に生息地に立ち入る場合は政府が発行する許可証が必要である。
捕獲に特に許可は必要無いが、メスを捕獲してしまった場合戻すのが望ましい。
本には黒ぷよについての説明と、解毒剤や捕獲用の薬の作り方や、媚薬の抽出の仕方、
メスとオスの見分け方についてかかれていた。
「さて……気にはなりますけどわたくしは自分の仕事をやるしかありませんわね。
これだけ量があると今夜は眠れそうにありませんわ」
メスの特徴について目を通しながら、ウィッチはぱんぱんにつまった袋をあけて
一応メスがいないか確認と、数を数えながら大きな鍋に黒ぷよを放り込んでいくのであった。
その頃シェゾは悶々としながら夜をあけるのを待っていた。
さすがにアルルと同じ部屋で寝るのはためらわれ、外の木にもたれ寝転がっているのだが……
あの後すぐに隠れ家に戻ってきたシェゾはまず解毒剤をアルルに飲ませ、
体液でベトベトになった身体をぬぐいながらあざや怪我の手当てもしてやった。
裸で寝せたらさすがに風邪を引かせてしまうので自分の部屋着を着せたが、
起きた時自分の姿を見てどう思うか……ウィッチが着替えさせたことにすれば良いか。
見ないようにと思っていても目をつぶって手当てや服を着せられるほど器用ではない。
体の柔らかさや、女性独特のの甘い匂いがさらにシェゾの理性をえぐるように削る。
自分だって成人男性だ。いくらまだ幼さがのこるとはいえ目の前に裸の女が寝ていたら
手を出したくなるのは自然なことで、ましてや目の前にいるのは自分が狙っていた女。
「しかしっ、ここで手を出したら俺は変態どころか犯罪者の烙印を押されてしまうっ!」
シェゾは頭をかきむしって脳裏に浮かぶアルルの身体を、声を消そうと何とか努力する。
が、考えないようにすればするほど思い出しては危険なことばかり思い出してしまう。
黒ぷよに犯されてあられもない声をあげるアルル。
俺に裸で迫り、唇をむさぼるようにってあああああああああああああああああ!!!
「駄目だ駄目だ駄目だ……俺は闇の魔導師……ぶつぶつ……」
木の幹にがんがんと頭を打ち付けて正気を保とうとするが、傍から見たら確実に危ない人だ。
シェゾの理性が負けるのが先か、夜が明けてアルルが目を覚ますほうが先か、
のた打ち回りながらおのれの煩悩と戦うシェゾを月が優しく照らしていた。
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