schole〜スコレー〜
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 帰り道。
「いや、しかし何とかなって良かったな明里君!」
「何とかなっても説教するってのは絶対に変えねえからな」
「そ、そんな…………!」
 結局、トワイはぶっ壊れた優勝旗と賞状の修復もいとも簡単にやってのけた。このぐらい余裕余裕、らしい。だからそ
れを先に言え。
「まぁまぁ夏太郎。少しは反省してるみたいだし。許してあげたら?」
「邦公は黙ってろ。こいつは一回しめとかねえと駄目だ。再犯の危険性がある」
 すでに埴岡さん、水無さん、健太の三人とは別れた後だ。
 埴岡さんは可哀想に、本当に可哀想に、あの後、容態が悪化し病院へ運ばれていった。今回、一番不幸だったのは
どう考えても埴岡さんだな………。
 健太は疲れ果てて眠ってしまい、水無さんに背負われて帰って行った。ガキの特権って奴だ。
「トワイ。後で埴岡さんとかにも謝っとけよ。マジでやばそうだったし」
 まぁ死にはしないと思うが。
「いや、彼もボクのために尽くして死んでいくのなら本望だろう」
「お前は何を言っている!?」
 尽くしてもねえし死んでもねえ!!
「今後も皆、ボクを思う存分楽しませるように」
 ………………もう良いや。突っ込む気力もねえ。
 無事に家に帰る事ができるという事実だけで十分じゃねえか俺。
 ありがとう神様。ありがとう仏様。俺は生まれて初めてあなた方に心の底から感謝をします。
「それじゃ、夏太郎にトワイさん。僕は向こうだから」
「おう、またな邦公。おつかれ」
「石田君……………………僕に勝利した事を反省しろ!」
 最後まで悪態ついてんじゃねえよトワイ。
「ふぅ、さて帰るか明里君」
 切り替え早いなおい…………て。
「そういやお前俺ん家に住んでんじゃん……き、気が滅入りそうだ」
「失敬だな。説教を抜きにしてくれるんなら、今日一日、龍宮真澄でいてやっても良いが?」
「それはちょっと惹かれるが、説教はするぞ」
「…………明日から毎朝、明里君のベッドにマムシを放り込もう」
「俺死んじまうじゃねえか!!」
 そんな会話をしつつも、俺はトワイと帰路を行く。
 まぁ、終わってみたらそこまで悪い一日じゃなかったのかもしれないな。
 貴重な体験っつったら………貴重な体験だったし。
「そうだろうそうだろう」
 心の声に返事すんじゃねえよ。
 さて、じゃあ、家でゆっくり飯でも食うか。
 





 その二日後、砂原が学校を休んだ事については、気の毒としか言いようがない。





 あ、埴岡さんよりも不幸だった人いたよ………。
 


 

 第一章、終。



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