プロローグ~お茶会
GM
アリス。愛しいアリス。
GM
世界のどこにも居場所のないアリスたち。
GM
籠の中で、ゆらり、ゆらりとお眠りなさい。
GM
此処で得られるは、ささやかな平安。
やがて訪れるは、ゆるやかな死。
GM
二人、手と手を取り合って。
同じ場所で終われたら、一体どれほど楽でしょう。
GM

――それでも、死よりも苦しい明日を望むのかしら?
GM

神様からも人間からも救われ得ぬ、哀しき二人のアリスへ捧ぐ

Dead or AliCe『鳥籠』
プロローグ
GM
『必ず助けるから』
その言葉の通り、助けることはできた。
GM
けれども果たして、信用に報いることはできただろうか?
GM
あの日から数日後。
対峙した件の救世主は、心を奪う手段に長けており、
あなたたちを徹底的に追い詰めた。
GM
辛くも勝利したけれど、刻まれた疵はあまりにも深い。
GM
休息をとるために廃村を訪れるまではよかった。
その中のひとつ、休めそうなあばら家を見つけてからは、いよいよ狂った。
GM
ヘレン。
あなたは囚われている。
ほかでもない、あなたの仲間の手によって。
GM
GM
あなたたちのことを教えていただきましょう。
ヘレン
St.E-ヘレン。
巨大コロニー恒星船『ノーチラス』をサポートする、管理システムAI。
ヘレン
多くの移民を乗せ、星間を移動する宇宙船。その中枢と言える存在。
その役割は船内の安全を保ち、航海を正しく導くこと。
ヘレン
いつものように人々を乗せ、数十日の航海の末に目的地へと到達するはずだったその船は、しかし襲撃を受けてその行方をくらませた。
ヘレン
船が沈めば、その一部……あるいは船そのものとも言える自分も沈む。
創造物にとってそれは死なのか、あるいは眠りにつくようなものなのか。
ヘレン
答えは後者だったのかもしれない。目覚め、行きついた先は堕落の国。
ヘレン
……ここに来てからの時間はそう長くない。己の世界の感覚だったらね。
数か月はこの世界では長いのかもしれないな。
ヘレン
世界の説明を受けてからしばらくして、エル…エレオスを拾った。倒れていたからね。
それから一緒に行動をしてる。旅は道連れ、なんて言葉もあるけど……今では良い友人だと思うよ。
ヘレン
つい先日までは、そうしてうまくやっていたのだけれど。
GM
ありがとうございます。では、もう一人。
エレオス
エレオス。
灰が降りしきる名もなき世界の小さな町で墓守をしていた男。
エレオス
一年中降りしきるその灰は魔力を帯びていて、死者を亡者として蘇らせた。
それを、再び殺して地に埋めていた。
エレオス
埋めども殺せども終わりはなく。
けれど生者に害を及ばせまいとひたすらに務めを果たした。
エレオス
──それが良くなかった。
エレオス
一心不乱に亡者を殺す男の姿を見て、町の者たちは亡者よりも男をこそ嫌悪した。
エレオス
慈悲がない。
死者への想いはないのか。
俺の。私の家族になにをする。
エレオス
それらの想いは男への迫害に繋がって、やがて一つの事件をきっかけに男は追放された。
エレオス
打ちのめされ、けれど抵抗もせずに放り出され。
気がつけばこの堕落の国に堕ちていた男は、求められるがままに救世主として生きるようになった。
エレオス
…そうして過ごすうちに…ヘレンと出会ったんだ。
エレオス
優しくて、色んなことを知っていて。
暖かくて。なんでも出来て。
…それで…オレの傍に居てくれる。
エレオス
ヘレンはオレの全てだ。
…だから、あの救世主に連れ去られた時は気が狂うかと思った。
エレオス
だから。
エレオス
次からはもう…誰にもそんなことはさせない。
ヘレンは誰にも傷つけさせない。
エレオス
オレが守るって決めたんだ。
GM
GM
1d6 (1D6) > 4
GM
4:夕暮れ時。焼けつくような色を帯びるはずの空には、昏く、薄く、重い灰が広がるばかりだ。
GM
廃屋の中。
しかし、扉も窓も壊れておらず、今この場においてはまさしく籠だった。
GM
施錠されており、気づかれずに外へ出るのは困難だ。
エレオス
夕暮れ時。一日が終わりゆく頃合いの入り口。
その時刻になって、廃屋の扉が開く。
エレオス
「…ただいま」
エレオス
その手にはいくらかの食料と木々の枝。
三月兎の亡者の革で作られた袋にはまだ飲める部類の水が汲まれている。
エレオス
「…今日は鼠が獲れたから、一緒に食べよう」
エレオス
そう言って、夕食の準備を行おうとする。
エレオス
誰が傷つけられるだとか。誰を傷つけるだとかそんなことはない。
何の変哲もない、ただの日常のような会話。
エレオス
ただひとつ。
…ヘレンがずっとこの廃屋に閉じ込められ続けているということを除けば。
ヘレン
「や、おかえり。」
ヘレン
扉が開き、声がすれば。
窓へ向けていた視線をそちらへ向ける。
ヘレン
「鼠なんてよく見つけたじゃないか。
1人で大丈夫だったかい?」
ヘレン
外へ出られない、出ることができない。
そんな状況を見なければ、ごくごく普通の会話を返す。
エレオス
「…大丈夫、だよ。最近は何だか調子も良いみたいなんだ」
エレオス
出迎えの言葉に。労いの言葉に笑みを浮かべて。
エレオス
「…久しぶりの亡者じゃない肉だから、これはヘレンが多く食べて欲しいな。そのために頑張ったんだ」
エレオス
扉を締めて。部屋に踏み入って。
灰を纏った体が。異能を携えた体がヘレンへと近づく。
エレオス
そうして、じっと顔を覗き込んで。
エレオス
「…ヘレンはオレが居ない間、大丈夫だった?」
エレオス
そう、問う。
エレオス
その問いへの答えがなんであろうと、”どうであったか”はこの廃屋に満ちる灰によって既に知っている。
エレオス
その上で”聞いている”。
ヘレン
「問題は無いよ。」
ヘレン
「誰も近づけないだろう、ここらへんにはさ。」
ヘレン
あたりには灰が満ちている。彼の異能だ。
このあばら屋に閉じ込められた時、彼が外出するのに続いて出ようとしたことがあった。
しかし、それは灰によって阻まれたのだ。
ヘレン
ほの光る瞳が見つめ返す。
ヘレン
「俺よりも……エル、君だよ、君。
調子が良いって言ってるけど、異能の使い過ぎじゃないか?」
ヘレン
ほら、と腕を広げるポーズ。
ヘレン
「頑張ってくれるのは嬉しいけどね~。
俺はそっちのが心配かな。」
エレオス
「”大丈夫だよ”」
エレオス
それは心配をかけさせまいとする心が生み出した言葉で。
エレオス
それ以上に、これをやめるつもりはないという拒絶の意思を伝える言葉だ。
エレオス
「…あんなことがあったから。
…これから先、オレは出来ることをもっともっと増やさないといけないんだ」
エレオス
「…これはそのためでもあるから、頑張らせて欲しい」
エレオス
”ヘレンを守りたいから”。
エレオス
そう、目が言っている。
GM
他の人の目から見れば、その行いは『バケモノ』かもしれない。
[ エレオス ] 亡者 : 0 → -1
GM
傍に居てもらえるような存在にも値しないかもしれない。
[ エレオス ] 迫害/孤独 : 0 → -1
GM
それでもここにいる限り、守り続けることができるはずだ。
救世主の狂気が、そう語っていた。
GM
「狂人」 ⇒ PC2
セッション開始時点で心の疵が両方とも抉れ〈発狂〉しています。
このMODの対象者は裁判開始時点で抉れている心の疵の数だけ、威力が増加します。

このMODで付与された〈発狂〉は、裁判開始時までに疵がひとつも抉れていなければ解除されます。
ヘレン
「そう。」
ならば、大丈夫ではない。
ヘレン
「でも、無理はよくない。分かってるだろう?
エルが倒れたらそれこそ本末転倒だ。」
ヘレン
「頑張った分、ちゃんと休んでくれよ?」
ヘレン
今の状況が変わる兆しは見えない。
ヘレン
最後の裁判からはまだそう日は経っていない。
しかし、これが長く続けばどうだろうか。
ヘレン
責務もそうだが、なによりも。
心の安定を乱した状態は、救世主にとって良いものではない。
それは己が受けた仕打ち以上に。
GM
その受け答えだけを抜き取れば、ささやかな平安とも言えよう。
GM
けれど、狂気に侵されていない救世主ならば、行き着く果ては理解できるはずだ。
GM
示される道は二つ。

クエストを公開します。
GM
クエスト『説得』
条件:PC1のみ挑戦可。
概要:あなたはPC2の狂気が鎮まると信じている。ゆえに、共に外に出て、旅を続けるようPC2を説得する。
目標値:12
消滅条件:お茶会終了と同時に消滅。
成功:狂った救世主は何も答えない。しかし、その瞳には葛藤が宿っているようにも見えた。
失敗:暴力を伴う否定の返答。二人きりの籠の中で、それを阻む者は誰もいない。HPが1点減少する。
放置:何も起こらない。
GM
クエスト『脱走』
条件:PC1のみ挑戦可。
概要:あなたはもうPC2が元に戻るとは思えない。ゆえに、たった一人で脱出の手筈を整える。
目標値:12
消滅条件:お茶会終了と同時に消滅。
成功:脱出時に使える道具を揃えることで、離別への覚悟が決まる。もう隣に立つことはないだろう。
失敗:PC2に気付かれ罰を受ける。「二度としない」と答えるまで、入念なしつけが続く。HPが1点減少する。
放置:何も起こらない。
GM
……或いは、そのどちらをも選ばぬことで切り開ける道だってあるかもしれない。
GM
いずれにせよ、ここからは
GM
『お茶会』の時間だ。
お茶会1ラウンド目
GM
順番は、1d100で決めましょう。高い方から。
ヘレン
1D100 (1D100) > 84
エレオス
1d100 (1D100) > 74
GM
ヘレン→エレオスの順。
お茶会1ラウンド目 ヘレン
ヘレン
シーン表振ります
ヘレン
1D6 (1D6) > 5
GM
5:夜。宵闇に包まれた空間。壁に取り付けた松明のほのかな灯が、互いの顔をちらちらと映し出す。
GM
視界に映るのは雪のような灰と、二人の顔だけ。
ヘレン
日が落ちていく。
休んでくれよ、とその言葉の通りに休息を促す。
ヘレン
料理を用意すれば「手伝おうか」などと声をかけ。
空き家の壊れかけた椅子やベッドの端に腰を掛け。
ヘレン
やはりそこだけ見れば普段通りのような。
エレオス
「ありがとう」
エレオス
お礼を言って受け入れる姿も普段のようで。
エレオス
けれど、窓の外で深々と振り続ける灰が。
身に纏うように舞う灰が、今が異常であることを現していて。
エレオス
「ヘレンは灯りをお願い」
エレオス
それでも、やはり”守るべき安穏な日常”なのだ。
少なくともエレオスにとっては。
ヘレン
「了~解」
ヘレン
合図を受ければ指を松明の先へ向ける。
火をつけたかのように、ぼうっと光が浮かび上がった。
ヘレン
暗闇を照らす光。人々を導く光。
今は、空き家の中で二人だけを照らしている。
エレオス
その灯りを受けながら、手元で白兎の亡者の骨を木々に向かって打ち付ける。
エレオス
叶わぬ恋に狂った兎の骨は、躯となっても燃えやすい。火種を起こせば革袋から鍋へと水を注いで煮立たせていく。
エレオス
「鼠はスープにしよう。暖まるから」
エレオス
僅かばかりの香辛料と、以前の依頼で貰った塩を振って。残りの臭み消しは革袋から移ったワインの残り香がしてくれる。
エレオス
そうして、この日の夕餉が出来た。
ヘレン
「うんうん、温かい食事はいい。
体が冷えると気持ちも落ち込むものだからね。」
ヘレン
エルは料理が上手で助かるよ、なんて声をかけながら
エレオス
壊れかけのテーブルには二人分のスープといくつかの木の実。そして数片の乾パンが並んでいる。
エレオス
それをつまみながら、笑顔を返す。
エレオス
「オレも、ヘレンが居てくれて助かってる。
…ヘレンが居るといつも明るいんだ」
ヘレン
「そりゃあ、明るくするのが俺の仕事だからねえ。」
冗談めいて言う。
ヘレン
「明かりっていうのはあると安心するものだよ。
真っ暗闇を歩くのは心細いだろう。」
ヘレン
……”普段通り”を続けているのは、何もそれを受け入れているわけではない。
様子を見、刺激しないこと。話し相手になり、その心を癒すこと。
ヘレン
これが真実の安寧ならばいざしらず。
この生活を続けるのは彼の為にはならないだろう。
ヘレン
「明かりーー火は文明の起源だよ。
明かりがあるから人は夜を恐れず行動するようになった。」
ヘレン
「それに、料理の起源でもあるね。
火を通した食事は安全で、何よりも美味しくなる。」
ヘレン
料理の味付けに雑談を添えながら。
宙に指を向ければ、ルームライトのようにぽつんと光が浮かぶ。
ヘレン
「……こうして、家事の手伝いをするのもいいけどね。」
ヘレン
「”明かり”としては……そうだな。エルが外に行く時も手伝ってやりたいかな。」
ヘレン
「そっちの方が……そう、楽しいだろう、きっと。」
ヘレン
こちらの行動は…エレオス『迫害/孤独』の疵舐め。および『説得』のクエスト挑戦で。
エレオス
横槍はしません
エレオス
やっぱりします 試練に打ち勝って愛を示してください
エレオス
choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 愛
エレオス
愛です
エレオス
愛に勝ってくださいね
GM
愛ですねえ
エレオス
2d6+2>=7 【愛】判定 (2D6+2>=7) > 9[5,4]+2 > 11 > 成功
[ エレオス ] HP : 21 → 20
エレオス
1d6 (1D6) > 4
エレオス
このくらいなら乗り越えられますよね?
ヘレン
圧 つよ~ ティーセット使います
[ ヘレン ] ティーセット : 2 → 1
ヘレン
では才覚で判定~
GM
どうぞ!
ヘレン
2d6+3+2-4=>7 才覚+ティーセット クエストは12以上 (2D6+3+2-4>=7) > 10[4,6]+3+2-4 > 11 > 成功
GM
判定には成功。
クエスト『説得』には失敗。
[ エレオス ] 迫害/孤独 : -1 → 0
エレオス
「………”外”」
エレオス
「……だめ、だよ。ヘレンは外に出ちゃだめだ」
エレオス
「……外に出たら…また、傷つけられちゃう。そんなのは嫌だ」
エレオス
「…ヘレンはここに居てくれたらいいよ。オレが全部をやるから。食べ物だって、ほら。ちゃんと集められてる」
エレオス
「最近は異能の使い方も上手くなったから、一人でも大丈夫だから。ヘレンは…ここに居続けて欲しい……」
エレオス
「…オレは、オレが楽しいよりも。
ヘレンが無事で居てくれる方がずっと良い」
ヘレン
「そう。」
ヘレン
「じゃあ……いつまで居続ければいいかな。」
ヘレン
「エルが全部をやれるくらい強くなるまで?」
エレオス
「…?ずっとだよ」
エレオス
「ずっと、ヘレンはここで過ごすんだ」
エレオス
「誰も寄せ付けない。責務なら、オレが誰かのコインを奪ったあとでヘレンのために連れてくる」
エレオス
「だから、ヘレンは危ないことをしなくていいんだ」
エレオス
それは、返答になっているようでなっていない答え。
エレオス
正常な判断力もなく。
エレオス
先を見通す才覚もなく。
エレオス
ただ、そうしたいから。そうしようとしているから。それが成る筈だという狂気の思考。
エレオス
それに付き合わせていることを、エレオスは自覚していない。
エレオス
最善を行っていると思っている。
ヘレン
「危ないことかあ……」
ヘレン
全部をやる、か。
あるいは自分の仕事もそうだったかもしれない。
ヘレン
船内の全てを管理する。安全であるように。
しかし、それは一時のこと。
ヘレン
人は、その先を目指し、歩んでいる。
安全とは、それを支えるためのものだった。
ヘレン
「じゃあ、そうだな……俺が、エルと一緒に外に出れたら楽しい……って言っても?」
ヘレン
「危険だからだめかな。」
ヘレン
ここはどこだろう。箱舟の中?それとも外?
エレオス
「……ヘレン」
エレオス
「外は危ないんだよ」
エレオス
そう答えるエレオスの目は、ヘレンを見ながらにして過去をも見ている。
エレオス
灰が降りしきる世界。お母さんと過ごしていた日々。
エレオス
「…オレの母さんも、外に出て亡者に殺されたんだ」
エレオス
「大丈夫だよって言ってくれて、オレはそれを信じてしまって」
エレオス
「行かないでって言えば良かったって、それからずっと思ってる」
エレオス
「……ヘレンがあの救世主に攫われた時に。亡者にやられた時に、そのことを思い出して」
エレオス
「また、強く想って」
エレオス
「だから、いやだよ」
エレオス
「また同じ気持ちは味わいたくない」
エレオス
言いながら、どこへも行かないようにヘレンの手を取って。
エレオス
「ヘレンはオレを置いていかないで。危ない目に遭わないで」
エレオス
言葉でも、伝えて。
エレオス
その込められた想いの分だけ、手にも力が加わる。
[ ヘレン ] HP : 17 → 16
ヘレン
「……力込めすぎだよ、エル。」
ヘレン
「そんな強く握らなくたって、俺はここにいるだろう。」
ヘレン
「置いては行かないよ。」
ヘレン
それは本心だ。できることならそうしたいという。
ヘレン
しかし、救世主には皆疵がある。
彼の狂気を抑えるためには、まだ、”傍にいてやらなければならない”。
エレオス
「………うん」
エレオス
込められた力を指摘されれば手を緩めて、離して。
エレオス
けれどヘレンを手放すつもりはないというように、周囲には変わらず灰が舞っている。
エレオス
「ずっと、ずっと一緒だ」
エレオス
安心するように笑うその顔は、依然狂気を宿している。
エレオス
この歪な鳥籠は、未だ閉ざされたまま。
日々が過ぎていく。
お茶会1ラウンド目 エレオス
GM
時間を経過させたい場合は、シーン表をどうぞ。
エレオス
1d6 (1D6) > 6
GM
6:深夜。虫の鳴き声ひとつ聞こえない。静寂の中、二人のアリスが佇むのみ。
エレオス
夜。外には変わらず深々と灰が降りしきっていて。
エレオス
灯りの消されたあばら家の中で、壊れかけのベッドの上で。
…2人寄り添い横になっている。
エレオス
「…ヘレン」
エレオス
いくらかの静寂が続いたあと、それを破るように名前が呼ばれる。
ヘレン
「……なんだい?」
エレオス
「…また、”はこぶね”の…”星空”の話をして欲しい」
エレオス
*ヘレンの『箱舟』を愛で抉ります
ヘレン
横やりしま~す
GM
ではランダム判定を。
ヘレン
choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 猟奇
ヘレン
猟奇か… ティーセットはなし
ヘレン
2d6=>7 猟奇横やり判定 (2D6>=7) > 12[6,6] > 12 > 成功
GM
実はめちゃくちゃあったのか?猟奇
GM
スペシャルです 価値10の範囲で小道具を1つ入手します。
GM
ヤリイカではないなら、手番終了時に決めてもいいですよ。
ヘレン
じゃ~先に振っちゃいます
ヘレン
1D6 効果量 (1D6) > 1
GM
では、-1での判定です。
エレオス
2d6+2-1>=7 【愛】判定 (2D6+2-1>=7) > 12[6,6]+2-1 > 13 > 成功
GM
なんだこいつら……
ヘレン
どうなってるんだ?
GM
えっと……手番終了時にでも二人とも小道具を宣言してください
ヘレン
はい
[ ヘレン ] HP : 16 → 15
[ ヘレン ] 箱船 : 0 → -1
ヘレン
「了解、夜伽話の所望だね。」
ヘレン
指を天井に向ければ、ひときわ明るい星が灯る。
添えるように、まばらな星屑を広げながら。
エレオス
それを見上げる。眩しいものを見るように。
宝物を見るように。
エレオス
…憧れの光景。それに向かって届かぬ手を伸ばした。
エレオス
「…キレイだ」
ヘレン
「……あれは北極星。地球という星において、北を示す印になった星。
遥か昔の船人にとって、航海を導いてくれる大事な星だったものさ。」
ヘレン
「遠くにあっても、それが導となり、安息をもたらしてくれる。
これもひとつの”明かり”だろうねえ。」
ヘレン
「今――俺の世界基準の今だけど――では、星というものは遥か遠くではなく、文字通りに目指し、手の届くものとなったのだけれど。」
ヘレン
指先を動かせば、星空がゆっくりと動いていく。
ヘレン
「人は、星を目指し、新しい世界を目指し、さらなる未来へと歩んでいった。
そういう人々を運ぶのが、俺の箱舟。」
ヘレン
人々を守り、導く船。
ヘレン
「ごらん、流星塵だよ。
彗星の尾には毒がある、なんて昔は言われてたけれど……その正体はこんなにも美しい光なのさ。」
ヘレン
重く灰色の灰とはまた違う、煌めく塵のようない光の粒子が周囲に広がる。
エレオス
偽りの星空の下で、明かりに照らされた灰が僅かに煌めいて。
エレオス
けれどやっぱり、灰は灰で。
天井に照らされた星空の煌めきには比べるべきもなくて。
エレオス
繰り広げられる光景を見ながら、語られる言葉を聴きながら、”本物”の光景に思いを馳せて。
エレオス
「………ヘレンは」
エレオス
「本当の星空の中を飛んでいたんだっけ」
エレオス
以前に聞いた身の上話。
それを、エレオスなりの解釈で覚えた上での質問。
ヘレン
「そう。見上げるだけじゃない、空想の中でもない、本物の星空をね。」
エレオス
「……そこで、大勢の人たちを守ってた」
エレオス
船として。管理AIとして。
…その意味はよく分からないけれど、でも…人々を守っていたということだけは理解している。
エレオス
「…どんな日々だった?」
エレオス
人々を守る日々を過ごしていたのは、エレオスも同じだ。
エレオス
そして、そこには痛みや苦しみが伴っていた。
エレオス
「…大変じゃなかった?」
エレオス
「……皆は、ヘレンを人間として扱ってくれていたのかな」
エレオス
言いながら、そっと手でその体に触れる。
エレオス
ぬくもりがある、人の身体。
技術の粋も知らず、遠く離れた文明に居たエレオスから見て、ヘレンは人間に他ならない。
ヘレン
「大変か。忙しい、とか、つらい、とか、大変っていうのにも色々な意味があるだろうけど……。
俺のそれは、大変ではなかったかな。」
ヘレン
「自分に与えられた任務を、自分の持つ最大限の力を持ってこなす。
そうして人々の役に立ち、皆から感謝される……」
ヘレン
「話を振られれば、それに思考し、適切に答える。相手との会話が弾めば、それを楽しいものだと感じられる……」
ヘレン
ホログラムでできた肉体は、しかし人とほとんど変わりなく熱と質量を持っている。
ヘレン
「今まで会ってきた人々の全てが、俺のことをどう思っていたかは分からないな。そういう機械だと思われていたのかもしれないし、本当に人のように思っていたかもね。」
ヘレン
「……でも1人、おそらく確実に、本当に人間のように思ってくれていた人はいたかな。」
エレオス
「…どんな人?」
ヘレン
「俺からすれば、馬鹿な人だよ。」
ヘレン
「俺の船が沈んで、逃げなければ死ぬって時に、残り続けてた。」
ヘレン
宇宙線が襲撃を受け、制御が失われていく中でも、できる限り人々を助けようとした。
脱出ポットを用意し、浸食されゆく船よりも安全な場所へ、一人でも多く。
ヘレン
「……『St.E-ヘレンはノーチラスの乗組員の一人であり、我々の仲間であり、航海を共にした友人である』と。」
ヘレン
「そんな理由で残るかな。」
ヘレン
当時の艦長、エド・アロナックス。沈みゆく船に残り続けた人間。
エレオス
「…残るよ」
エレオス
「大切な人を失いたくないっていう気持ちは、死ぬ怖さより強いから」
エレオス
そう、呟いて。
エレオス
「…オレも、そうするよ」
エレオス
「ヘレンが大切だから」
エレオス
「守りたいから」
エレオス
「死なせたくないから」
エレオス
「何だってやる」
エレオス
その言葉をどんな表情で言っているのか。
天井だけが照らされた暗闇の中では分からない。
エレオス
けれど、発狂をして…歪んでいても尚、エレオスにとってヘレンが大切だというのは間違いのないことで。
エレオス
大切だからこそ歪んでしまっていて。
エレオス
その想いは一身にヘレンへと向けられている。
エレオス
「オレも、ヘレンを守りたい」
ヘレン
『私はこの船の管理AIにして皆様の友人、St.E-ヘレンでございます。』
ヘレン
その通りに、人々とコミュニケーションをとった。それができる思考があった。
それに、本当に”友人”としての気持ちを見出すものがいた。
ヘレン
それから”友人”とは何たるものかを思考し続けている。
ヘレン
己もきっと、それが大切だと思考したから、故に。
ヘレン
「……ありがとう。」短く答える。
ヘレン
「そう思ってくれることが嬉しいよ。」
だから、守りたいのだと。
ヘレン
「……もう寝るといい。疲れただろう。
眠れないなら歌ってあげよう。」
エレオス
「……うん。おやすみ…」
エレオス
眠りを促す言葉にはそう答えて。
エレオス
瞳を閉じる姿は隙だらけで。
その心臓が脈打つ胸も、喉笛も無防備で。
エレオス
ただコインだけは灰の中に守られている。
エレオス
歪めども、ヘレンに対して信頼と信用がある。
それ以上に譲れない思いがある。
エレオス
そんな寝姿を見せながら、歪みと安息の入り混じった夜が深けていった。
ヘレン
……星々がまどろむ中、静かに歌が流れていた。
遠い昔の録音を再生しているかのように。
GM
人として扱われるからこそ、生まれる悲劇もある。
かつてのように。
そして現在のように。
GM
小道具の宣言をどうぞ。
ヘレン
スペシャル分でとうみつを取得します
エレオス
とうみつを頂きます
お茶会2ラウンド目
エレオス
1d100 行動順 (1D100) > 39
ヘレン
1D100 行動順 (1D100) > 18
GM
エレオス→ヘレン の順ですね
お茶会2ラウンド目 エレオス
エレオス
1d6 シーン表 (1D6) > 4
GM
4:夕暮れ時。焼けつくような色を帯びるはずの空には、昏く、薄く、重い灰が広がるばかりだ。
GM
しんしんと、灰が降り続けている。
GM
赤かったはずの空が、薄くて暗い。
GM
世界が、彼の心に染められているかのよう。
エレオス
あれから、何日か経って。
エレオス
けれど、エレオスの心には一向に回復の兆しはない。
エレオス
代わりに降りしきる灰の量が増すばかり。
エレオス
*ヘレンの『生存戦略』を愛で抉ります
ヘレン
横やり しましょう
GM
ランダム判定をどうぞ。
ヘレン
choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 才覚
ヘレン
ティーセットはなしで
ヘレン
2d6+3=>7 才覚横やり判定 (2D6+3>=7) > 5[1,4]+3 > 8 > 成功
ヘレン
1d6 効果量 (1D6) > 4
[ ヘレン ] HP : 15 → 14
エレオス
2d6+2-4>=7 【愛】判定 (2D6+2-4>=7) > 9[5,4]+2-4 > 7 > 成功
GM
成功。
エレオス
降りしきる灰の量は日に日に増して。
エレオス
ヘレンをこの小さな世界で守ろうとするエレオスの意思は頑なで。
エレオス
けれど、生活は存外に回っていた。
エレオス
「…今日は旅の行商に会えたから、リンゴが買えたよ」
エレオス
少ししなびてはいるけれど、紛うことなき赤い実を一つ、テーブルの上へと置いて。
他にもいくらかの、この国にしては上等な食べ物を置いて。
エレオス
”大丈夫”だと言ったのが本当だったと言える程度には、ここまでの日々はエレオス一人でも何事もなく保てていた。
ヘレン
「そりゃあついてるね。だいぶふっかけられたんじゃないか?」
ヘレン
変わらず、閉じ込められたまま。外に出ることのない日々を送っている。
エレオス
「…?貴方は救世主だからって言って、買いやすい値段にしてくれたよ」
エレオス
狂気を宿した瞳に、制御しきれぬ異能が溢れた灰を纏った救世主。
エレオス
それに話しかけられた行商は吹っかけることなどとても出来はしなかった。
エレオス
恐れ、避けようとしていくらかの商品を渡して逃れようとしたところをエレオスが引き止めて、気持ちばかりの…本当に気持ちばかりの金銭を握らせたのがコトの顛末だ。
エレオス
「リンゴなんていつ以来だろうな。
大事に食べよう」
エレオス
その行商の心中も今のエレオスには理解できることもなく、ただ親切だったなと思うばかり。
エレオス
まるで気にすることもないように、リンゴを切り分けヘレンへと差し出す。
ヘレン
「……それはまた親切なことだね。辺鄙な土地だっていうのに……」
切り分けたリンゴを受け取る
ヘレン
どこまでが真実か、狂気をはらむ救世主が本当に1人でやっていけているのか。
確かめる術も、籠の中では得られない。
ヘレン
「ま、確かに……リンゴでさえも久しぶりだね。大きな街に行ければもっと手に入れやすいかもしれないけど……」
ヘレン
「すっかり外は任せっきりだね。苦労してることはないかい?」
エレオス
「大丈夫だよ。…ずっと調子が良いんだ」
エレオス
「…ほら、見て。灰の扱い方も上手になってる」
エレオス
そう言って手を動かせば、積もった灰が一所に集まって腕のような姿を形作る。
それを2,3。自在に操ってみせた。
エレオス
「まるで手足が増えたみたいだ」
ヘレン
「それは中々見たことないな。凄いじゃないか。」
それを生み出す疵の力は、いまだ安定から遠いだろうに。
エレオス
「もっと、凄くなるよ。…ヘレンのために」
エレオス
そう言って、自分の手と灰で形作られた手でヘレンの頬に触れて。
エレオス
「ここは辺鄙だけれど。だから安全で。
…美味しいものはオレがどこからでも持ってくる」
エレオス
「本が読みたいのなら買いに行くよ」
エレオス
「だから、全部オレに任せてほしい」
ヘレン
「……エルは、それでいいのかい?」
ヘレン
「慎ましやかなのも悪くないけどね。
もっと……遠くの星を追いかけるような、そんな望みは無いのかな。」
ヘレン
「君も、ここから遠くにはいけないよ?」
エレオス
「遠くの…”星”………」
エレオス
そう、問われて。
エレオス
小さく笑って。
エレオス
「オレの星は、”ヘレン”だよ」
エレオス
そう、答えた。
ヘレン
「そう。」
変わる気配はない。それどころか。
ヘレン
狂気の晴れぬ彼の、安寧はここにある。
ここは行先の無い箱舟の中なのだと。
ヘレン
彼の小さな箱舟を維持するために、自分がいる。
ヘレン
「……じゃあ、離れないようにしないといけないなあ……」
ヘレン
自分が彼のもとを離れては、彼の為にならない、それもまた真実だろう。
ヘレン
星に手が届いたというのなら。
願わくば、その狂気が晴れてほしい、けれど。
ヘレン
「……安全ってなんだろうね。」誰に言うでもなく言葉がこぼれる。
[ ヘレン ] 生存戦略 : 0 → -1
エレオス
「……?」
エレオス
その言葉には不思議そうに首を傾げるばかり。
エレオス
だって、今がまさにその”安全”の中に居るんだから。
エレオス
…少なくとも、エレオスはそう思っている。
ヘレン
「いや、なんでもないよ。」
首をかしげる様子には、そう返して。
ヘレン
……この”安全”を続けることは、お互いの為にならないだろう。
小さな鳥籠の中、閉じた世界で、行先も無く生き続ける。
その果てにあるものは、想像に難くない。
ヘレン
彼の狂気が晴れぬ限り、己は外へ出られないだろう。
彼の目を外へ向けるには、傍にいて、その心を宥めなければならない。
ヘレン
彼の狂気の矛先は、己だ。
己を大切に想い、守りたいと思っている。故に閉じ込める。
故に、この小さな”安全”を守ろうとしている。
ヘレン
己も、そうだ。
”友人”である彼が好きだからこそ。守りたいのだと。
ヘレン
…………
ヘレン
そうして、食事が終わる。
今日が過ぎていく。
ヘレン
夜に沈んでいく中、また、小さく歌が鳴っている。
ヘレン
♪Whether she loves me or loves me not,Sometimes it's hard to tell……

”彼女が僕を愛しているのかいないのか、分からない時もあるけれど……”
ヘレン
♪Yet I am longing to share a lot Of beautiful Daisy Bell……

”それでも、僕は多くを分かち合いたいと願うんだ。美しいデイジー・ベルを……”
GM
GM
愛は人を狂わせる。
彼は未だ、正しい答えを返してはくれない。
GM
お茶会2ラウンド目 ヘレン
ヘレン
1D6 シーン表 (1D6) > 4
GM
4:夕暮れ時。焼けつくような色を帯びるはずの空には、昏く、薄く、重い灰が広がるばかりだ。
GM
閉じた世界に波乱はない。
静かに朝を迎え、そうして暮れていく。
ヘレン
今日も変わらない。閉じた安寧を守る日々が続いている。
守っているのは、どちらなのか。
ヘレン
エレオスの疵『亡者』を舐めます。クエスト『説得』も同時に
GM
横槍はありますか?
エレオス
2回続けて説得を選択した心意気に免じて…しないであげましょう
エレオス
特別ですよ
GM
では、判定をどうぞ。
ヘレン
ティーセットを使用しましょう
[ ヘレン ] ティーセット : 1 → 0
ヘレン
2d6+3+2=>7 ティーセット使用才覚判定 クエストは12以上 (2D6+3+2>=7) > 8[4,4]+3+2 > 13 > 成功
GM
舐めの判定に成功。クエストも成功です。
ヘレン
……今日も、彼の帰りを待つ。それを出迎える。
エレオス
「…ただいま、ヘレン」
エレオス
夕暮れの頃合い。いつもの時間にいくらかの食料を手に帰ってくる。
…もうすっかり日常になった光景。
ヘレン
「おかえり。」
ヘレン
「今日はどうだい。亡者には出くわさなかった?他の救世主には?」
ヘレン
それは今の平穏を崩す存在だろう。
エレオス
「救世主には会わなかったよ。
…でも、小さな亡者は仕留めた」
エレオス
救世主一人でも勝てる程度の、小鳩の亡者。
その肉をテーブルへと置く。
エレオス
幸いなことか、それとも今後の暗礁を思わせることか…こうなってから、救世主と出くわしたことはない。
エレオス
それだけ辺鄙な場所に居る。
ヘレン
「君1人で勝てる相手でよかったよ。」
ヘレン
「外にはついていけないからね。」
ヘレン
「本当に、任せてばかりだな……」
ヘレン
何をするでもなく、飼われ続ける。守られ続ける。
やっていることと言えば、会話を求められてそれに応じる。そのくらい。
ヘレン
最後に救世主と戦ってから、何日が過ぎただろうか。
ヘレン
それでも、この場所は安全だ。
とてもごく狭い視点から見て。
エレオス
「オレは」
エレオス
「ヘレンに助けられているよ」
エレオス
「…ヘレンが居るから、オレは生きていられるんだ」
エレオス
「ヘレンがオレを…”エレオス”を見てくれるから、オレは生きていたいって思う」
エレオス
本当はあの日、追放された時に。
この堕落の国で負けて、倒れた時に。
エレオス
死んでしまっても良いと思っていたんだ。
エレオス
だけど、ヘレンが一緒に居てくれるようになって。
エレオス
話をしてくれて。
話を聞いてくれて。
エレオス
ただ、それだけで生きていたいと思えるようになった。
エレオス
「今オレがこうしていられる全部は、全部がヘレンのお陰だ」
エレオス
心が抉れて、狂いそうになって。
傷つけられて、本当に狂ってしまって。
エレオス
けれど亡者になり果てずにこうして保っているのは、ヘレンが居るからで。
エレオス
エレオスは歪んでいながらにして、未だ誰も傷つけてはいない。
エレオス
奪ってもいない。
エレオス
それはエレオスがそのような存在であったというだけでなく、ヘレンの存在があってこそで。
エレオス
「…オレはずっと、ヘレンに感謝をしてる。ずっと…ずっと」
ヘレン
「俺……私は……」
ヘレン
「……そうして、私を人と同じように扱ってくれる、エル……君のことが好きだよ。」
ヘレン
今の守りたいという行為には、狂気が含まれている。
それでも、そこにあるのは相手を大切にしたいという想い。
ヘレン
それが任務だから、それが必要だから、思考し動いた結果に、”人間”を見てくれる。
ならば、きっと、その間は己は人間と変わりないのだろうと。
ヘレン
どうすれば、安全な道が進めるか考える。
どうすれば、生きていけるか考える。
どうすれば、相手が喜ぶか考える。
それを望ましいと思う。
ヘレン
「だからこそ、一緒にいたいと思う。君の為に。君が望むなら。」
ヘレン
「君がそれで生きていけるなら。」
ヘレン
「もし……大切なものの危機に、己はどうするか。命をかけることができるか。」
ヘレン
「君は……残ると言ってくれたね。」
ヘレン
「私も、”友人”にそうしたいと思うのさ。」
エレオス
「…ありがとう」
エレオス
「ヘレンにそう言ってもらえて…安心したし、凄く嬉しい」
エレオス
「オレはヘレンと一緒に居ることを望んでいて」
エレオス
「ヘレンがそれを受け入れてくれるなら」
エレオス
「オレたちは、ずっと”一緒”だ」
エレオス
まるで母親に抱擁をされたような、そんな顔で。
ヘレンの言葉に笑顔を浮かべる。
ヘレン
「言っただろう。置いては行かない、ここにいるってね。」
ヘレン
「守ってくれるんだろう…エル、君が。」
ヘレン
「優しい君が。」
ヘレン
「君の”安全”を、私も守ろう。」
ヘレン
「君と”一緒”にいるよ。」
それは最初からずっと変わらない想い。
ヘレン
君が君であれるように。
君を助けたいのさ。
エレオス
「…うん」
エレオス
「オレがヘレンを”守る”よ」
エレオス
そう答えて。
エレオス
ずっとどこか戸惑っているように見えたヘレンがようやく受け入れてくれて。
エレオス
安心してこれからを過ごせるようになって。
エレオス
そこでようやく、今の”安全”を守るための先を見ることが出来るようになった。
ヘレン
君が夜を恐れず歩めるように。
君が生きられるように。
ヘレン
♪Daisy, Daisy Give me your answer, do!

”デイジー、デイジー、こたえておくれ!”
ヘレン
♪I'm half crazy All for the love of you!

”気が狂いそうなほど、君が好きなんだ!”
エレオス
”守る”ということ。
”守られる”ということ。
エレオス
”想いを向ける”ということ。
”想いを受け入れる”ということ。
エレオス
それはこの国では軽はずみに行えることではなくて。
エレオス
この国でなくたって、大切に想う相手になら当然のように。
エレオス
それを約束したのなら。
それを成すために全てを賭して果たさねばならない。
エレオス
…なら、どうやって果たせば良い?
エレオス
それについて考える。
エレオス
果たすためには、どんな問題を解決する必要がある?
エレオス
それについては分かっている。
エレオス
その問題を解決する方法は、ある?
エレオス
……それは。
エレオス
ここでようやく、自分の行いの歪さに。
目論見の不確かさに気付いた。
エレオス
ヘレンに受け入れられて。
エレオス
ただ一方的に大切な相手を閉じ込めるバケモノだった存在が、先を見られるようになって。
エレオス
そこで、ようやく。
[ エレオス ] 亡者 : -1 → 0
エレオス
気付いてしまった。
エレオス
どれだけ守ろうと願おうと。
エレオス
この生活に、先はないということに。
エレオス
これまでの日々に、他の救世主の影はあった?
エレオス
何もない。
エレオス
既に滅んでしまった辺鄙な村に訪れる者など誰も居ない。
エレオス
他の、殺しても良さそうな救世主を殺しに行く宛はある?
エレオス
そんなものはない。
エレオス
ここからどこか…探しに行ったとして、辿り着ける範囲で居場所を知る者は皆、殺されてはいけない良い人たちばかりだ。
エレオス
じゃあ、どうする?
エレオス
最後の裁判からの日数を指折り数える。
殺されてもいいような救世主が訪れる奇跡を待つ時間は、もう残されて居なかった。
エレオス
探しに行って、連れて帰る。
そうしてヘレンの目の前で殺す。
エレオス
そんな方法はどう?
エレオス
確実じゃない。
どうしてそんな方法が通ると思っていたんだろうか。
エレオス
ヘレンを責務から確実に守るのなら。
エレオス
ヘレンを亡者になり果たせないためには。
エレオス
一緒に探しに行って、殺すのが確実だ。
エレオス
…それを、ヘレンはずっと言っていたんじゃないの?
エレオス
それを言っていたヘレンは今、頑なに拒んできたお前の言葉を受け入れて…どうなっている?
ヘレン
……諦めたのか、いいや、それとも。
”そう”と定めてしまったのか。
ヘレン
動いていない。
もう最初のような戸惑いや抵抗は見せていない。
ヘレン
今や、君が当初望んだとおりに動くだろう。
ヘレン
『俺が、エルと一緒に外に出れた方が楽しい……って言っても?』
ヘレン
『もっと……遠くの星を追いかけるような、そんな望みは無いのかな。』
ヘレン
『……安全ってなんだろうね。』
エレオス
その姿を見て。
エレオス
受け入れてくれて嬉しいと思った心が一気に冷えて。
エレオス
ヘレンが言っていた言葉を思い出して、”その言葉”と、”交わされた約束”と、これからを掴むために必要なことのギャップを考えて、肌が粟立って。
エレオス
…自分が取り返しの付かないことをしたのだと気がつく。
エレオス
「…ヘ…レン…」
エレオス
知らず、名前が口から溢れた。
エレオス
こんなオレと…こんなボクとずっと一緒に居てくれたヘレン。
エレオス
様々なことを教えてくれて。
窘めてくれて。道を示してくれたヘレンは。
エレオス
お前の言葉を受け入れて、どうなった?
エレオス
「ヘレン……」
エレオス
もう一度、今度は呼びかけるようにして名前を呼ぶ。
エレオス
自分の知るこれまでのヘレンに、届けるように。
エレオス
届くと信じて。
ヘレン
その結果は……君の望んだとおり。
ヘレン
「エル……」
ヘレン
「今夜は何の話をしてほしい?」
GM
守りたかった。
その想いは、時に狂気と化して大事な人を傷つける。
GM
腐敗に沈みゆく心は、ついぞ覚醒した。
やがてはきたる、悖戻の報責。
GM
その狂気を正気に戻すことができるのか、
GM
あるいは共に、狂気の底に沈むのか。
GM
それはこれから、猟奇と才覚と愛を以て決めること。
GM
――お茶会終了。
GM
次回の裁判の前に、改めて願望を確認します。
GM
ヘレンの願望
〈発狂〉していない ⇒ 籠の外へ向かう。
〈発狂〉している ⇒ エレオス に飼われ続ける。

この願望が覆ることはもうありません。
GM
エレオスの願望
疵がひとつでも抉れている ⇒ ヘレン を閉じ込め続ける。
疵がひとつも抉れていない ⇒ ヘレン の「願望」を叶える。

こちらは裁判中に覆る可能性があります。
ひとつでも疵が抉れれば、心のうちに歪が生じることをご留意ください。
GM
それではアリス、素敵な裁判を。