ヨモツヒラサカ
どうしたのだとお前が言うから俺は、何でもないと答えるんだ。
「嘘。」
見抜いた姜維が右手を伸ばして馬超の髪をぐしゃぐしゃにかき混ぜた。
寝台から身を起こした馬超が嫌そうに目を閉じる。汗で肌がべたつく。気持ち悪い。返り血みたいだ。
「どうして嘘だとわかる」
馬超は姜維の手を掴み、その掌を己の頬にあてた。
「貴方はいつも本当のことをおっしゃらない。馬孟起程のお方が、」
何事も無く大声を出されたりするでしょうかと言って馬超の手に自分の手を重ねる。
「…寝ている間のことなど知らん。」
姜維はため息をついてそっと馬超の手を引き剥がす。その後は乱暴に放り投げて
「じゃあ、起きてる間はお仕事頑張ってください。」
つれない顔をして出て行った。
わかってる、こう言う時調練以外の仕事全部肩代わりしてくれるって。でも俺の沢山の嘘全部は知らないんだ。俺が言わないからだけど、いつも見る同じ夢ちゃんと覚えてる多分無様な寝言も付いてるって事はばれてるけど。夢に見たあそこは黄泉の国だ。黄色い砂で出来た泉。砂が波打つ俺の故郷。だから父上も母上もいてそういえば岱はいなかったけど、懐かしい団欒があった。でも砂の波が渦巻いて全部攫ってく助けようとしたよ俺?だけど俺だけ呑まれることは無いんだみんな笑顔で砂に沈んでく。呑まれてく俺の無様で悲しい過去忘れたいわけじゃないただ覚えておくにはつらすぎてだからなに?忘れても良いかって請うのかよだせぇ。叫びながら走って砂に足取られて目の前真っ暗になったと思ったら目の前にお前がいるんだどうかしたなんていえるか畜生!
(俺の嘘いくつばれてる?)
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