真っ白な世界
-1-
F4×牧野つくし


前回:敵わない 続編3(美作あきら×牧野つくし)

「ねぇ、つくし今月の25日ってバイトあいてる?」
「なんで?一応あいてるけど、
滋さんから予定聞かれると嫌な予感がするんだけど……。」

疑いの眼差しを向けるあたしに気付く事もなく
滋さんは一気にまくし立てる。

「それがさ、聞いてよつくしー!!

パパが家族で泊まろうって計画たてたのはいいんだけど、急な取引で無理になっちゃってさぁ。
友達と泊まればいいんじゃないか?
って言ってきたけど、その日は私用事あるし。
良かったらつくしどうかな?泊まってくれない?スウィートルームだよ。」

ス……スウィート!?
あの貧乏人には全く手のでない一泊何十万もとるような部屋!?

「でもそんなの悪いよ。 キャンセルしたらいいんじゃないの?」
「うーん、なんかパパの友達のホテルだからキャンセルとかは
なるべくしたくないみたい。迷惑だしね。」
「だけど……。」
「いーの、いーの!! つくしに泊まってほしいし、気にしないでよー。」

半ば滋さんの押しの強さに負けてあたしは承諾した。

正直うれしい。
せっかくのスウィートだし、満喫してやる!

けど、わざわざその事を伝えに英徳まで来てくれたのかな。

「とりあえず私すんごいお腹減っちゃってさ!
一緒にランチ行こーよ!この滋さんがおごっちゃる!」

――本題はそこか。
思わず笑っちゃった私の笑顔を快諾と捉えたのか
グイッとの腕をひっぱるとズルズルとあたしを引きずって行った。


━━━司Side━━━


あーッ!クソ!!ムカつくぜ!
牧野のやつ類なんかにヤられやがって! 俺様のもんだって自覚がなさすぎるんだよ!

けど飲ませたのはやりすぎたか?
牧野苦しそうだったしな……。
イヤイヤイヤ!!
あれはしょうがねぇ!
あんなヤラシイ顔見せられたら、 誰だって理性ぶっ飛んじまうよな!なっ!

牧野、あれで俺の事嫌いになったり……
イヤイヤイヤイヤ!!
ない!絶対ない!!ないだろ!!

――ない……よな?
チクショー!! こんな所でイライラしてても仕方ねぇ。
よしっ!牧野に会いにいくか!
『急がば回れ』だぜ!

俺は牧野の教室に向かった。
あいにく牧野の姿はなかったが、その辺の女に聞くと
滋がわざわざ英徳まで来て牧野を連れてテラスに行ったらしい。
しゃーねぇ、行くか。


━━━類Side━━━


……牧野、今何してんだろ?
最近忙しそうで非常階段にも来てないしさ。
ここで牧野とダラダラひなたぼっこするの好きなんだけどなぁ。

牧野の事をぼーっと考えていると、前の事を思い出す。
ここで見せ付けるように牧野を抱いたっけ。
司が来たらめちゃめちゃ慌ててやんの。

俺は思わずククッと思い出し笑いをした。
いつも大口あけてケラケラ笑ったりガキみたいにビービー泣いたり
司開いてにギャンギャン怒ってる牧野があんな顔するなんて正直ビックリしたよ。

あんな顔見せられたら、男なら誰だってイチコロだろうね。

――もちろん俺も、だけどね。

牧野との情事を思い出しているうちにいつの間にか
欲情している自分に気付く。
ズボンの中で窮屈そうに頭をもたげたソレに
おさまりを持たせる為に、手元の本に目を落とした。

ほんと、牧野は俺の感情を揺らせてくれるよ。
体が落ち着いた頃、俺は牧野を捜す為に重い腰を上げた。


━━━総二朗Side━━━


「ねぇー、今日はどこのクラブ行くのぉ?
一緒に行こうよー。最近全然誘ってくれないんだもん。
マキ拗ねちゃうよ〜?」
「あらら、俺の大事な姫様が拗ねたら大変だ。
とりあえずまだクラブ行くかどうか決めてないんだよね。
ランチでも行こっか、何食べたい気分?」

そういいながら、絡ませてくるマキの腕をさりげなく振りほどいた。

今までなら女の頼りなさやしたたかさを可愛いと思っていたのに、
ここ最近ベタベタされる事に僅かな嫌悪感を抱いてしまう。
もっと自分をしっかり持っていてベタベタしたりしない、
甘えるのが下手くそでしたたかに生きる事もしない。
普段は女らしさのカケラも見せねぇのにベッドの中では
妖艶に乱れ、俺を誘い惑わせる。
そんな女が……。

ここまで考えたところで俺は自分の馬鹿さ加減にうんざりした。

――まんま牧野じゃねーかよ。

女ったらしの名がすたるぜ、全く。

「マキちゃん、ごめん用事思い出しちゃった。
また今度埋め合わせするね、またね。」
「えっ!? ちょっ!!」

面食らうマキちゃんの頬にキスをすると踵を返して英徳へと向かった。
牧野の事だからくそ真面目に授業受けてんだろ。
バイト行く前に捕まえねーとな。


━━━あきらSide━━━


さみーなー……。
こんな寒い日は鍋でも食いてーな。
だけど香織さんや彰子さん家で食わせて貰う訳にもなぁ。
旦那にぶち殺されるっつーの。
そもそもマダム達はネイルにも金かけてるから料理なんかしねーか。

あー、牧野なら作ってくれそう。つか絶対作る。
しかも美味そう。
あいつ何してんだろ。
最近顔みてねぇぞ?
この前俺も結構激しくヤッちまったし、牧野から誘ったみたいなもんだから恥じらってんのか?

俺もあれから恥ずかしくてあの店行けねーよ、ったく。
牧野に詫びって事で鍋でも作って貰うか。すげーナイスアイデアじゃね?

俺は、一通り勝手な考えをまとめて牧野を捜しにうろつく事にした。

――あー、マジでさみーな。



「おいひーっ!何コレ!?幸せー。」
「でっしょー!つくしなら気にいってくれると思ってた。
この前たまたま食べにきたらすっごいおいしかったからつくしと食べたかったんだ!」

とりあえず3500円のランチで良かったー。
おごりで食べるのは気がひけちゃうもん。バイト代入ったばかりだし払えるや。
けっこう痛い出費だけどたまにはいいよね。
ムシャムシャとランチを頬張っているあたしの鞄から、携帯の着信音が聞こえた。

―ピピピピッピピピピッピピピピッ―

「あ、つくし電話なってるよ。」
「ほんとだ。……ムグッ。……もひもひ?」

「てめー!テラスにいねぇじゃねーかよ!フザけんなよ!」
「……は?何が?」
「今どこにいんだよ?」
「表参道のBlueBeadっていうパスタ屋さんだけど…。」
「絶対動くなよ!? いいな。」

――ガチャッ…プッ…プーッ…プーッ――

「……どうかした?」
「……訳わかんない。道明寺が勝手に怒鳴り散らしてた。
さっ、ご飯の続き続き。」

―ピピピピッピピピピッピピピピッ―

「また道明寺かな。もー!」

―プッ―

「もしもしッ!?」
「あ、ごめん取り込み中だった?」
「はっ、は、花沢類!?ごめん、違うの。」
「ククッ、すごい元気だね。 今何してた?」
「滋さんとBlueBeadって所でご飯食べてたよ。」
「ふーん……そうなんだ。俺も散歩してるから
もしかしたらちょっと寄るかも。いい?」
「もちろん、ランチ食べてるね。」
「うん、またね。」

――ガチャッ…プーッ…プーッ…――

「花沢類からだった……。」
「へー、珍しいね。」
「ほんと。珍しい、ちょっとビックリしちゃった。」

―ピピピピッピピピピッピピピピッ―

「…つくし……これドッキリか何か?」
「……あたしもそう思う……。」

プッ 「もしもし?」
「あー、牧野?今授業受けてた?」
「西門さん? 受けてないけど……。」
「へぇー、サボリ?珍しーじゃん。」
「サボリっていうか滋さんとランチ食べてるから。」「いーじゃん♪どこ?」
「BlueBeadって所だけど……」
「あぁ、あそこのランチうまいよね。
そっか、わかったわかった。んじゃーね。」

――プツッ…プーッ…プーッ…――

「もー!落ち着いてご飯も食べれないよ。
せっかくのおいしい料理なんだから冷める前に食べちゃう!3500円もするんだから勿体ない!!」

―ピピピピッピピピピッピピピピッピピピピッ―

「――つくし…なんか私怖いんだけど……。」
「何!?なんなのよ!?」

―ピピピピッピピピピッ―

「………もしもし……?」
「おぉ、なかなか出ねーからバイト中かと思ったよ。で、今どこ?」
「…美作さん?今は…BlueBeadっていうお店でランチ食べてるけど……。」
「わかった、サンキューな。」

――プツッ…プーッ…プーッ――

「つくし人気者だねー。」
「っていうか今あたしずっと店名ばっかり言ってなかった……?」
「めちゃくちゃ言ってた。
店のCMかって位言ってたよ。」
「アハハハッ、ほんとにね。あたしも言いながら思ってた。」

「それにしてもF4全員から電話ってすごいね、しかも同じようなタイミングで。
なんか用事だったの?」
「それが全然わかんない。
なんか聞きそびれたし。まぁ、いいや!ご飯ご飯!」
「F4となんかあったんじゃないの〜?
教えてよー!」
うりうり、と指先で肩を突きながら滋さんがニヤニヤと茶化した。
「なっ、なんにもないわよ!ある訳がないじゃない!」

思わず赤面してしまう。
なんかは、ある。
吹雪の中ロッジであった事も花沢類に非常階段で抱かれた事も、
道明寺と非常階段でした事も西門さんや美作さんとまでした事も
全部、桜子や滋さんには言えないでいた。

言える訳ないっつーの!
あたしは動揺をごまかすようにムグムグと口を動かした。

「あ、つくし後ろ……。」
「……んむ?」

振り向こうとしたあたしの視界が一瞬遮られたかと思うと、
首もとにフワッと柔らかいものが触れた。

「マフラー?」
「こんな寒いのに、マフラー位しなきゃダメだよ。
風邪ひいちゃうでしょ。」

花沢類があたしの首に丁寧にマフラーを結んでくれた。

「……ありがと。」
「花沢さん優しー♪ あの獰猛な誰かさんとは大違いだね、つくし。」
「――それ誰の事だよ!?滋!」
「司!!……なんでいるの?」
「俺はなぁ、ずっとずっとずーっと牧野を捜しまくってたんだよ!フラフラすんな!ボケ!」

走って来たのであろう道明寺はハァハァと肩で息をしていて
鼻は真っ赤になっていた。

「ボケって何よ、会ってそうそう!なんで捜してたのよ!?」
「それは……だなぁ……、その……。」

道明寺はチラリと滋さんを見ると言いにくそうに語尾を弱めていった。
滋さんがいたら話しにくい事?

「そっ…それよりッッ!なんでここに類がいるんだよ!猿とランチしてたんじゃねーのかよ!」
「滋って呼べって言ったでしょ!」
「うっせー猿!!黙ってろ!」
「俺?散歩してたから寄り道がてら来ただけだよ。

(ほんとは牧野に会う為に散歩してたんだけどね)」

「そっ、そうかよ、だったらいいんだけどよ!」

あぁ…せっかくのランチが……。3500円が……。
ギャーギャー騒いでる間にどんどん冷えていく……。

あたしがガックリと肩を落としていると、店の外に高級そうなリムジンが止まった。
それをみた道明寺が気付いたように言う。

「なぁ類、あれあきらのリムじゃね?」
「あぁ、ほんとだ。凄い偶然だね。」

―バタン―

運転手が丁寧にドアを開閉すると、中から美作さんが出てきた。
キョロキョロとガラス越しに店内を伺うと、あたしを見て一瞬頬が緩んだかと思いきや
あたしの周りの人達を見てちょっとビックリした顔をした。
そりゃそうか、結構な大人数だもんね。

「――久しぶり。」
「久しぶりだね……。」

何か美作さんと会うのはちょっと照れくさかった。
バーで会ったきりだったから……。
あー!もう、あたしってばなんて醜態をッ!。
恥ずかしくて会わす顔がなくて、F4を避け気味に過ごしてたもんだから
ちょっと気まずい……。
滋さんだけが救いだわ……。

「どーしたの? なんか美作さん顔赤いよ!つくしに会いたかったの?なんちゃって〜。」

ちょっ、滋さん!!
――だめだ、滋さんは助けにならない……。

「なっ、んな訳ないだろ!」

慌てる美作さんと顔をあげられないあたし。
道明寺が美作さんとあたしの様子を伺っているのが痛い程わかる。

そんな重苦しい空気を破ったのは脳天気な声だった。

「おぉ!すげー大人数だな。まさか俺抜きでランチしてんの?ショックー。」
「西門さん!?なんでここに?」
「決まってんじゃん。牧野に会いに来たんだっつーの。」
「あっ、あたし!?」
「まぁ冗談はさておきマジでお前ら何してんの?」
「――(コイツッ!) 滋さんとランチだけど。」

西門さんはF3を一瞥すると声をかけた。

「お前らは?」
「俺は朝から牧野を捜して、走って来たんだよ!」
「俺は散歩の途中で立ち寄っただけ。」
「俺は、たまたま車で通り掛かったから…。」
「――ふぅん。ま、いいけど。」

二人掛けのテーブルなのに四人も増えたもんだから、狭くてランチも食べにくいし
長身の男がテーブルを取り囲むようにいる様は異様で周りの目を引いている。

「俺注文するわ、横のテーブル開いてるし。」

道明寺があたしの隣側にドサッと腰掛けた。

「「「じゃあ俺も。」」」

F3も何故か競うように隣のテーブルに腰掛けた。
みんなが思い思いの物を注文すると滋さんが口を開いた。

「みんなさー、25日って何してるの?」
「別に。」
「知らね。」
「さぁ。」
「……。」

「その日はつくしがリーフホテルのスウィートに泊まってるから
遊びに行っちゃえば〜?
ワイワイ騒いで過ごしたら楽しいよ!
私は参加出来ないんだけどねー。」

『『『『!?』』』』

「悪ぃな、猿。俺はちょっとのぐれ用があって無理だわ。」
「司、それは【野暮用=やぼよう】っつーんだよ。
まぁ俺もちょっと女の子と約束があって無理だな。」
「俺もマダームが待ってるからなぁ。」
「俺は眠いし無理……、つかダルい。」

あぁ、良かった。滋さんなんて事言い出すのかと思ったわよ。
F4がみんなこないならゆっくりスウィートを満喫出来そう。うれしーい!

「なーんだ、残念。ま、また私も参加出来る日に集まればいっか。」
「そうだよ、せっかく集まるなら滋さんや
優紀や桜子がいる日の方が絶ッッ対楽しいって!!」
「そうだよね!つくし。じゃあ25日はゆったりスウィートでリラックスしなよ。」
「うん!」


╋╋25日╋╋


━━━司Side━━━


っしゃーッッ!
今日は牧野がホテルに泊まるって言ってたな。
滋が言い出した時に用事があるって言っておいて正解だぜ!
あいつらもみんな用事だっつってたし、俺は天才だな!

牧野とはあれからどうもぎくしゃくしちまってるし、ここはちょっと二人っきりでだなぁ…。
フフ……フハッハッハッ!!
牧野のやつ
『道明寺来てくれたの!?あたし嬉しいっ!』
なんつって抱き着いてくるかもしんねーな!
一応シャワー浴びていくか。
べっ、別に下心なんかねぇけどな!一応、一応だ!
マナーってやつだ。
一緒に晩飯食いてぇし5時位に行くか……。


━━━類Side━━━


ふぁ〜あ……。
よく寝た。今何時?
――カチッ――
3時…か。
牧野は今ごろホテルでくつろいでるかな? 急に行ったらビックリするかな。
今日は牧野は一人で過ごしてるみたいだから、俺の独り占めだね。

ここ最近なんかワクワクしてたなぁ。
俺、やっぱ牧野の事すげー好きみたい。

早く顔みたいなぁ。そろそろ用意するか……。


━━━総二郎Side━━━


あいつら怪しい……、あきらのデートと類の付き合いの悪さはいつも通りだけど
司が野暮用!? ありえねぇだろ!
まぁ何を企んでるかは知らねーけど、牧野は俺が貰うぜ。悪ぃな、司。

牧野は他の女とは違う、俺にとって必要なんだ。
スウィートで牧野と二人っきりの夜を過ごさせて貰うぜ。
ああ見えて牧野は以外と古風な女だ。品物よりも花に喜んだりするだろう。
ホテルに向かう途中に花でも用意してもらうか。

牧野、待ってろよ。
花はオマケでしかねー。お前に最高の夜をプレゼントしてやるよ。


━━━あきらSide━━━


司は野暮用、総二郎はデート、類は寝てんだろ。
今日は牧野と二人きりだな。 あの夜以来だぜ。
牧野っつー泥沼にハマッてからは他の女には目もくれてねぇ。
今まで周りの事ばっか気にしながら生きてきた俺から
理性もなにもかも取っ払ってくれた女だ。
あいつはすげぇ。 俺より年下のくせに俺を簡単に包み込めるだけの器量を持ってやがる。

おふくろからわけて貰ったバラを片手にリムジンに乗り込む。
俺が女に花持っていくなんざ激レアだぜ?
これが惚れた弱みっつーやつか。
初めての経験だな。

――もう夕方か、そろそろ出るか。



〜リーフホテル〜

オリーブの葉をモチーフにしたこのホテルはスタイリッシュな外観から一変、
中は女性の好みそうな
暖かみのある雰囲気になっていた。
そんな暖かみのあるロビーに四人、寒々しく肩を落とした男達がいた。

「どういう事だよ!」
「司野暮用じゃなかったの?」
「――グッ!類だってダルいとか言ってたじゃねーかよ!」
「……言ったっけ?」
「マジかよ……。」
「まあ気を落とすなよあきら、結局みんな同じ考えでいたって事なんだろ。」
「総二郎……、お前冷静だな……。」
「俺だって牧野を独り占めして最高の夜を作る予定だったっつーのにガッカリだぜ。
けど集まっちまったもんはしゃーねえよ。」
「つーかお前らみんな牧野とヤッたんだろ?
俺、ロッジの時だけだと思ってたから知った時すげぇビックリしたんだけど。」
「何ぃっ!?総二郎とあきらも牧野とヤッたんかよ!
類とヤッてたのは知ってたけどマジかよ……。」
「まぁそうショックうけんなよ司、今日は楽しもうぜ♪」
「――!?まさか、また五人でヤルつもりなのかよ!?」
「あのなー、俺だって牧野を独り占めしてぇの。
だから花まで買って来てんだよ。
けど絶対誰も譲らねぇだろ?」
「おお……。」
「だったら……ヤルしかねぇじゃん。
まぁ牧野を1番喜ばせてやれるのは俺だろうけどな。」
「何っ!? お前ら……牧野とヤッた時の事教えろよ。
知らねぇのは嫌だからな。類から話せよ。」

「……俺から? まぁいいけど……。」

――ゴクリ――

「別にたいした事してないよ。非常階段で抱いただけ。
あぁ、司には見えるようにしたけどね。
後ろから突いてあげたらすごい感じてて可愛かった。」

「司、マジで!?見たんかよ!」
「……まぁな。」
「類、お前非常階段って……。野外プレイじゃねーかよ!
って店でヤッちまった俺が言えた事じゃねえな……。」
「店!?お前も何やってんだよ!」
「司、落ち着け。」
「いや、なんか一緒に呑んでたら牧野が欲情してきてさぁ。
我慢しようと思ってたんだけど普通に無理だわ。」
「牧野が…牧野が……?」
「司、勃ってんじゃねえかよ!」
「たっ、たっ!たってねーよ!!服のシワだよ!!
総二郎何言ってんだよ!」
「次は……俺か。
悪いけど普通だぜ。和室で抱いた。
着物で、牧野がすげぇ乱れて潮までふいちまうもんだから俺も理性ぶっ飛んじまったぜ。」
「潮…潮って……?」
「司、落ち着け。あと前屈みにしてろ。」
「司は?」
「俺は類と牧野が非常階段でヤッたって知ってからすげぇ嫉妬して
非常階段で……顔に出しちまった……。」
「顔射!?」
「ひでぇ!」
「……鬼畜だね。」
「いや……、……口に……。」
「「「うわぁ……。」」」

「そろそろ部屋、行くか。大河原が最上階っつってたな。」
「行くのはいいけど総二郎、どうやって入るつもりだよ。」
「まぁ任せてな♪」

――ピッ、―ヴーン……――

「やべぇ、なんか緊張してきた。」
「司エレベーターの中で出すなよ。」
「出さねぇよ!!」
「ビンビンじゃねーかよ。」
「総二郎もたってんだろ!」
「つーか俺もだけどみんなたってんじゃん……。」
「類、言うな。」

――ガチンッ、―プシュー――

「着いたぜ。ワンフロアスウィートだから間違いねぇ、牧野はここだ。」
「じゃあ総二郎、頼むぜ。」
「――ああ。」


――コンコンッッ――


「失礼します。ルームサービスです。」
「ブフォッ!!」
「司、笑ってんじゃねーよ! あきら、司の口塞いでろ!」
「……怪し過ぎない?」


『ハーイ!!』

――ガチャッ――

ええええええっっ!?
なんでF4がみんないるの!?
用事だって言ってなかった!?

「どう…したの?」
「俺らのお姫様に最高の夜をプレゼントしにきたんだよ。」

西門さんがあたしに花束を渡すと奥に入っていった。

「これも。すげぇいい香りだぜ。」

あたしが美作さんからもバラを受けとっているとすでに花沢類が室内で寛いでるし……。
嫌な予感……。

グイッと肩を寄せられたかと思うと、あたしの唇は塞がれていた。

「…ん…ぅ…」

道明寺がキスを終えると言う。

「この前は、悪かったな。無理矢理すぎた。
今日は……優しくするから。」

今日は!? どういう事!?まさかまた……。

あたしの質問は道明寺の咥内へ消えていった。
舌が入って来たかと思うとあたしの舌を優しくまさぐる。

…ちゅ…クチュ……
だめ…だよ……力が入んなくなっちゃう……。


「司、ベッドに連れてこいよ。」

美作さんがそう言うと、あたしの足がフワリと宙に浮いた。
道明寺にお姫様だっこされたままベッドにおろされる。
有無を言わさずスルスルと服を剥ぎ取られ、下着まで脱がされてしまった。
足に、胸に、頬に手がのばされる。

「――んっ…や…ぁ……」
「ん?もう気持ち良くなってきちゃった?まだまだだよ。つくしちゃん♪」

西門さんの指があたしの唇を開いて舌の上で滑らせる。
反射的に舌で西門さんの長い、綺麗な指を舐めとる。

「――そう…イイコだぜ……ッ。」

「牧野の足すげぇ綺麗。」

美作さんがあたしの太ももにキスしたかと思うと緩やかに舌を這わす。
くすぐったいのに、そのまま上がってくるんじゃないかという期待感に蜜がジワリと滲むのが分かった。

目の前には花沢類のアップがあった。
両手をあたしの頬辺りに掴むように延ばし、押し付けるような激しいキスをする。
少し冷たい花沢類の指が、耳をかたどるように触れる。

「……んっ…ぅ…」

―グチッ…チュ…チュ…―

「牧野……、俺…あんたの事、……すげ…愛してる…。覚えてて…。」

キスの合間合間に花沢類が耳元で小さく囁く。
その声が色っぽくて切なくてなんだか涙が滲みそうになった。

「…花沢…る…ぃ……ッ…。」

あたしの体が後ろから抱え起こされる。

道明寺……?

「牧野、会いたかった…。毎日お前の顔見ねぇと
耐えらんねぇよ……。」

首筋にアツい舌が触れた。
背骨にそって下りていく唇は、時折甘噛みしてあたしを高ぶらせる。
うっすら開けた瞳の端で、西門さんが冷蔵庫を開けているのが見える。

何してるの……?
聞こうとしてもあたしの唇も、舌も、今は花沢類と一つになっているから声が出せないよ……っ…。

道明寺はあたしの胸にある小さな頂きを、慈しむように優しく優しく愛でる。
前の時の激しさはカケラも残っていなかった。
足を愛撫する美作さんの髪が、サラサラと太ももにあたって
敏感になったあたしの体がそれに反応する。

――クチュ…カプ…カプ…

花沢類があたしの舌を軽く吸いながら舌先に歯をたてる。
痛いようなむず痒い感覚を、貪欲に求めるように手を延ばす。
花沢類の髪に絡み付いたあたしの指先は、
スルスルと抵抗のない綺麗な髪に流されてしまう。
それでもなお、頭に腕を回し
花沢類の咥内に舌を入れた。


――パタン――

遠くで冷蔵庫の閉まる音と共に、近付いてくる西門さんの足音が聞こえる。

「いいもん見つけちゃった。」

何か企んでるような笑顔で西門さんが持ってきたのは……。

ウェルカムフルーツの……苺?

「せっかくのウェルカムフルーツなんだ。いただかないと♪」

西門さんはニコッと笑うと、あたしの体の上で苺を握り潰した。
プチュッと水気を含んだ音がして、胸に、お腹に赤みを帯びた水滴が落ちる。
西門さんはいくつも苺を潰すと、あたしの体中を濡らした。

「へぇ…、イイモン見つけたじゃん。」

美作さんが足についた苺を舐めとる。

「牧野の胸にある苺も食ってやるよ。」

道明寺が胸にある、赤く色づいた実を口に含む。

「俺はイチゴミルクが好きなんだけど……しょうがないか。」

花沢類の頭がスッと下がったかと思うと、いきなり下腹部も通り過ぎて
あたしの1番感じる所へ……。

「――ッッ!…あぁ…アッ!!」

急激な快感に思わず眉をひそめてしまう。
花沢類の舌が、触れるか触れないかの弱さで割れ目をなぞる。

「牧野、ココすごい甘くなってる。
ミルクいらないね。」
「…アッ…アッ……ヤァァ…!!」

「なぁ、俺の指濡れちゃった。綺麗にしてくれる?」

西門さんの甘いトロトロの指をくわえ、イチゴを舐めとる。

―ちゅぷ……ちゅッ……

「――あー…俺、これすげぇクるわ…ッッ。
フェラ…されてるみてー。…くっ……はぁ…ッ…。」

「…んぅ…チュ…クチュ……」

舌を西門さんの指先に巻き付けるように絡めて、
ジュプジュプと出し入れする。

「――くっ…!!……アッ…も…いい…ッッ!」

西門さんが慌てた様子で指を引き抜いた。
指先とあたしの口元が糸で繋がり、離れた。

「…ハァッ…ハッ…。」

西門さんが引き抜いた指で自身を握り、押さえつける。
自身の先からは透明な汁がツツ…と滴り落ちた。

「―ッ…ヤベー……ハッ…ハァッッ…。溜まってたから
もう少しで出ちまいそーだったぜ……情けねー…。」

西門さんの苦しそうに我慢する顔を見るだけで
あたしの蜜壷はズクンと疼いた。

「…牧野…溢れてる…。」

足の間から花沢類があたしを辱める。
その舌は、蕾を下から舐め上げたかと思うと中に入ろうとさえする。
見なくてもわかるほど濡れているのに、指先すら入れて貰えないものだから
じれったくて腰が浮いてしまう。

「ね、なんでこんなにヒクヒクしてるの…?
…はぁ……俺まで我慢出来なくなっちゃうじゃん……はっ……。」

花沢類のあたしを見る顔も、熱に浮かされているみたいに色っぽい。

「牧野、前みたいに…舐めて。」

美作さんが自身を口元に持ってくる。

「―いい…よ……アッ…!」

硬くなった美作さんのソレを躊躇いなく口に含む。

「すげ……ッッ。牧野…口ん中アツイな……。」

全部口に入りきらない分は、手で根本を優しく扱いた。
口の中でビクンビクンと時折脈打ち、先走り液が滲み出る。

「……はぁ…ハァ…ァー…ッッ…」

美作さんは眉間にシワをよせると息を弾ませる。

「お前のココ、すっげぇ硬くなってる。」

道明寺があたしの胸の実を指で、舌で刺激する。
ピン、と勃ったソコを口に含んだままレロレロと攻める。

「……んんっ…。」

ヒクヒクと動いてしまう身体を、道明寺が背中にまわした腕で抱き留めてくれる。

「――も……限界…っ、入れさせて…。
今日は…そんなもたないかも……ハァッ……。」

美作さんが口からズルリと自身を引き抜くと、花沢類と場所をかわり割れ目にあてがう。
今まで表面だけの愛撫で溢れているソコは、触れているだけの
硬くそそり立ったモノを待ち侘びていて、あたしも限界だった。

「美作さ…ん…ッッ…、お願い……奥ま…で……ア…。」

二、三度割れ目に自身を擦りつけると、最奥までグウッと貫いた。

「――あああっ!!あっ!アッ!……くぅ…ッッ!」
「――うー……ッッ!!……ハッ、ハッ…」

キュウキュウと疼き、締まっていたソコに美作さんの熱い高ぶりが押し込まれる。
グッ、グッと腰を揺らしあたしを突き動かす。

西門さんが後ろに回り、突かれているあたしの足を開いた。
赤ちゃんにおしっこさせるようなポーズをとらされて、
グチュッグチュッと美作さんをいやらしく咥えているのがまる見えになってしまった。
西門さんは汗ばんだあたしの身体を抱えたまま、
今にもイキそうでフルフルしている下の蕾に指をのばした。
指で蕾を挟んだり、扱きあげたり
円を描くようにヌルヌルと押し潰す。

「アッ、アッ…ダメっ…それ……イッちゃう…ッッ!!――だめぇっ!…アアアアッッ!!」

ガクガクと身体が痙攣してピュッピュッと熱い液が溢れる。
ドクドクと蜜壷が収縮し、呼吸がおいつかない。

「あ……ッッ牧野!!……俺も…イク…っ……
…愛…してる…から…な…クッッ!!」

美作さんの腰がブルブルと震えてあたしの中に熱が広がる。

「…ハーッ……ハーッ……。」

ポタポタと美作さんの前髪から落ちる雫があたしの頬に数滴落ちた。

「…俺、もうお前以外抱けねーよ……。」

あたしにキスをするとフラフラともう一つのベッドに行き、仰向けにバサッと倒れた。








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