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まがじそ

 「トッキュー!」に五十嵐機長が登場した。喜ばしい。

 千堂は一歩の家に泊めてもらったが、柳岡はどうするんだ。おそらく時刻的に泊まりになるのを覚悟して宿は事前に確保しておいただろう。それにしても千堂がいないときの柳岡、というおそろしく貴重な姿を拝めるとは。ふふふ。
 今週でひとまず怒涛の柳岡ラッシュは落ち着いた風だが、千堂が宮田のスパーリングパートナーになったら、次なる登場も期待できるな。ふふふのふ。
 …とまあ、先日からアホに磨きがかかった日記だ。これからも尚一層励んでいく所存である。

 さて、宮田父と柳岡は現役時代対戦したことがあるのではないか、といういち(柳岡)ファンの手前勝手な妄想が実現し、私は目が飛び出るかと思うほど衝撃を受けた。実を言うと、もとは私ではなく友人が思いついたのだが、いかにもありそうだと私の脳内設定に採用させてもらったのである。
 森川ジョージは読者が喜ぶことを心がける漫画家だ。サービス心がある、とも言い換えられるだろう。かなり記憶があやふやだが、インタビューで「意外な展開で読者を驚かせたりするより、喜ぶ話にしたい」というようなことを語っていた。そのことは、一歩のかつての対戦相手たちが今でもときたま姿を見せたり、ブライアン・ホークのトレーナーについていたミゲル・ゼールが戦後編では進駐軍の兵士として登場していたりするなど、読者を「ここにこういう繋がりがあるのか」とにやりとさせる形で表われている。一歩と間柴、宮田と千堂のように、対戦が難しいボクサーを同士をスパーさせるのも読者サービスの一環と思われる。
 だから、宮田の世界戦と絡めていずれ描かれるだろう宮田父の若かりし日々に大阪弁のボクサーが登場したとしても、画面的にはおかしくないと思えたのだ。むしろ台詞がなかろーが外見がモヒカンだろーがスキンヘッドだろーが、試合のシーンがあれば対戦相手を柳岡として認定するぞという心意気でいたのである。アホか、と思っていただいて構わない。自分でもアホにしか見えないから。
 いざ蓋を開けてみれば、回想シーンどころか憧れの(強調)相手と会えたことで浮かれた柳岡が二人で飲みに繰り出して酔っ払う、という私の脳裏にマガジンお家芸の「!?」が乱舞する話になっていたが。いったいどこに向けてサービスしているんだ森川ジョージ。

 しかしながら、「はじめの一歩」が最も面白かったころ、つまり40巻ごろの森川ジョージならこうしたシーンは描かなかったにちがいない。そう思うといささか複雑な感がある。
 一歩が日本王者となった以上、展開の方向性が防衛、つまり安定を指向するのは当然のことだが、安定と停滞は表裏一体だ。またそれ以上に、連載の長期化に伴い、ひとつひとつの試合やエピソードが間延びする一方なのも辛い。描かなくてもいいことを画面上に表しすぎるからだ。…なんか近麻に同じような道を辿っている漫画家がいるな。
 けして今の「一歩」がつまらないわけではない。だが以前と比較すると、どうしても質が劣ると映ってしまうのである。
 願わくは、将来完結した際に頭から読み返して尚、すべてのエピソードが愛おしいものとならんことを。

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