まだ暑さは残るものの、秋の声が聞こえてきた今日このごろ、いっちょやってみるべえと読書にいそしんでいる。久しく本などまともに読んでいなかったので、頭からぷすぷす音を立てて黒い煙が出てきているが、がんばれ私。
さてここ数日、頭から噴き出しているのは黒煙ですまなくなってきている。もはや火炎放射器がしこまれているがごとく、火を吹きっぱなしだ。原因はもちろん、秋田禎信公式サイトで連載中のあれ。はじめこそ、気まま爆発娘らしき人物が見せる成長ぶりにほろりとしたり、のほほんと読んでいたが、11日以降はテンション上がりっぱである。
結界消失後の大陸で、あくまで人間社会レベルの話とはいえ、事態が大きく動いていることが明かされ、しかも「こいつ」登場である。連載では人名をすべて代名詞で表記しているのでそれにならうが、「こいつ」は私が青春の一時期かなりの熱を傾けたキャラなのだ。これが平静でいられようか。
シリーズ最終巻において、「世界はひとまず目前まで迫った滅亡をまぬがれました。でもいつかは滅亡するよ」と一応の解決をみたあと、めでたしめでたしと終わらなかったようだ。人間社会の趨勢はかなりのスピードで動き出している。貴族連盟と魔術士同盟の対立が先鋭化し、もはや都市間戦争もやむなしの構え。実際、キムラックは内紛から崩壊してる状態だし。
てか、なぜ結界の消滅が内紛につながったんだろね。確かに本編の時点で、裏部隊のはずの死の教師に身を置く人間が改革を望んでいたり、教会内部にはきな臭い雰囲気が漂ってはいたけど。そこらへんの経緯は説明されないのかな。
そういう、一触即発の情勢というだけでもわくわくするというのに、「こいつ」が登場となれば私の脳内油田に火炎瓶が放りこまれたようなもの。どかんどかんと火を吹くのもやむなしだ。
13日付更新分での「兄が云々」でも相当ダメージを受けたが、14日付、つまり最新の更新で繰り広げられた主人公との疲れたやりとりにはもはや息も絶え絶えの状態である。10年見なかった間に(ただし作中経過時間は半年ちょい)えらいええ男になったのう。ぐへへへへ。
ガラスの剣が折れた、てのはいかにも秋田らしい。しかし、ものものしく登場したアイテムだったわりにいいところがまったくなかったなガラスの剣。「こいつ」も「狼」や「背約者(下)」でものすごく自信たっぷりに語ってたのに威力が示されることはさっぱりなかったという。
それを役立たずな剣と評したり、自分からゲリラのリーダーやってたりと、本編時を思い返すと変化した感があるな。青春の部屋を自慢していたような子どもっぽさが今はない。
それは作家も読者も齢を重ねたからかもしれないが、そうしたキャラの心象の変化が本編の諸々を受けてのことなんだろうな、と感じ取れるのはさすがだ。
さて今回でワニ娘登場編で語られた、主人公大陸脱出への道筋がつけられたわけだが、大陸の緊張状態がどういう方向へ落ち着くのかはまだ分からない。魔王とはいえ、グロ魔術士どのひとりには荷が重い事態だ。だからまた別の要素が投入されるのだろうけど…。はたして次に何が起こるのか楽しみでならない。
しかし「一歩」で柳岡が登場したうえに、「こいつ」とまで再びまみえるとは。これは何か、天が私に出血大サービスでもしてくれているのか?