3.
暗い部屋の中で、ビデオが再生された。
裸の女が1人でベッドに横たわり、ゆっくりと目を閉じる。そして彼女の右手は、モザイクの中へ。
彼女が指を動かして自分の体を愛撫すると、その濡れた唇から甘い吐息がこぼれた。
真っ直ぐな長い髪はベッドにかぶされた白いシーツの上で激しく乱れた。
「あぁ…」
上ずった女の声が、僕らの耳に小さく響く。
テレビ画面の中には信じられないような光景が広がっている。
痩せ型の女は股を大きく開いて、モザイクがかかっている部分を自分の手で擦り続ける。
すると、ちょっとずつちょっとずつ白いシーツの上に丸いシミが作られていった。
パンツの中の大事な物が、あっという間に頭をもたげてくる。
体がすごく熱い。僕はその時、震えるほど興奮していた。
僕が体の火照りを意識した時、2人きりの部屋の中に女の呻き声より大きな物音が響いた。
カチャカチャとベルトをはずす音。毛布の下で何かがもぞもぞと動いた。
それは、雅春の手だった。
「何してるの?」
僕は驚き、雅春の端正な顔を見上げた。すると雅春もその時僕の顔を見ていて、囁くような声でこう言った。
「オナニーした事ある?」
「な…ないよ」
「してみようよ。本当は亮太もしてみたいんだろう?」
「…」
僕は恥ずかしくて、頷く事も声を出す事もできなかった。
「早くパンツ脱げよ」
雅春はもう僕から目を逸らし、テレビ画面に映る裸の女を見つめた。
暗闇の中でベッドが小刻みに揺れる。それはすぐ隣で雅春が自分の指を動かしているからだ。
彼と2人なら…何も怖くはなかった。
僕は彼に遅れる事30秒。毛布の下でパンツを脱いだ。
そして僕の指が自分の大事な物に直に触れた時、不思議な感覚に陥った。
「う…あぁ…」
女の呻き声と雅春の呻き声が重なる。雅春の端正な顔は今、喜びに満ちているだろう。
長いまつ毛もきっと、彼の手の動きに合わせて小刻みに揺れているだろう。
僕が指を動かすと、すぐに大事な物の先端から何か込み上げてくるのが分かった。
僕はあっという間に…雅春よりも先に射精してしまった。
毛布の下で生温かい物が僕の手にまとわり付く。
ティッシュが欲しいけど、こんな事になるとは思わなかったからそんな物は用意していなかった。
雅春は、気付いただろうか。
僕が女の声よりも彼の声に興奮していた事に、雅春は気付いただろうか。