4.

 僕たちはその翌日も同じように2人きりのビデオ鑑賞会を開く事にした。
雅春が仕入れたアダルトビデオは2本あったから、次の日はその2本目を見ようという事になったんだ。
そして…その2本目のビデオが僕らを大きく変える事になってしまった。

 僕たちは消灯時間の少し前からビデオを見る事にした。
その要領は前の日とまったく同じだった。
机の向こうの窓に厚いカーテンを引き、ドアに鍵をかけ、 各部屋に備え付けられている14インチのテレビデオを椅子に乗せて僕のベッドの横へ持ってくる。
そして雅春が部屋の電気を消し、僕らはベッドの上に座った。
昨日と同じように、壁に寄り掛かると背中がとても冷たかった。でもビデオを見始めたらすぐに体が温まる。 僕たちはちゃんとその事が分かっていた。
やがて暗闇の中で雅春がリモコンを操作し、音を最小限に絞ってビデオが再生された。
僕と雅春は昨日と同じように1枚の毛布を半分ずつ分け合って腰の辺りまでを覆った。 それでもまだ少し寒かったから、僕たちは体をぴったりくっつけてテレビ画面を見つめていた。

 最初にビデオに登場したのは下着姿の2人の女だった。1人は髪が短く、もう1人は髪がすごく長かった。
彼女たちは向かい合ってお互いの下着をそれぞれ脱がせ、その後2人は抱き締め合った。
僕はしばらく女同士で触れ合う2人を見つめていたけど、それを見続けても全然興奮しなかった。 それは雅春も同じだったようで、隣の彼が興奮する様子はまったく見受けられなかった。
少しの間そんな退屈な場面が続き、やがて2人の男たちが登場した。1人は筋肉質で、もう1人は痩せ型だった。
僕はその時やっとおもしろくなりそうだと思っていた。テレビの中には女と男が2人ずつ。彼らが絡み合う事は容易に想像できた。
だけど2人の男たちが登場すると最初に映っていた女たちは全然画面に出てこなくなった。

 やがて筋肉質な男と痩せ型の男が裸で抱き合い、ベッドの上で絡み始めた。
痩せ型の男は筋肉質な男の手によってベッドに押し倒され、彼らはそれからすぐにキスを交わした。
激しく舌を絡ませ合う2人の姿が画面いっぱいに映し出されると、僕はだんだん体が熱くなってきた。
キスが終わると筋肉質な男がもう1人の男の体をゆっくりと触り始め、乳首を噛まれた痩せ型の男が小さく呻き声を上げた。
モザイクがかかっていてはっきりとは見えなくても、男たちの体が十分に反応を示している事はすぐに分かった。
筋肉質な男は痩せ型の男の両足を開き、モザイクではっきり見えない部分に唇を寄せた。 すると痩せ型の男はきつく目を閉じて何度も大きく声を上げた。
その頃もう僕の体はすごく熱くなっていた。そしてパンツの中の大事な物はとっくに硬くなっていた。
僕はその時、どうしようもなく興奮していた。僕は隣に雅春がいる事も忘れ、ずっとその画面に見入っていた。
しばらく同じ場面が続いた後、遂に2人の男たちが1つになる時がやってきた。
たくましい両腕が痩せ型の男の小さなお尻をぐっと持ち上げ、筋肉質な男が十分に反応を示す彼自身をそれに近づけた。
ビデオはいつも大事な部分にモザイクがかかっていたけど、筋肉質な男が腰を振り始めた事で彼らが1つになった事がすぐに分かった。
痩せ型の男は額に汗を滲ませ、上ずった声で何かを叫び続けていた。
筋肉質な男の腰の動きに合わせてベッドが揺れ、白いシーツに彼らの汗が飛び散っていた。
僕の頭の中では、裸になった自分がベッドの上で腰を振っていた。 その時僕の下になって上ずった声を出しているのは雅春だった。
彼の柔らかそうな髪はベッドの上で乱れ、その端正な顔には薄っすらと汗が滲んでいた。 スッとした鼻は真っ直ぐ僕に向けられていて、キリッとした口許から零れ落ちるのは上ずった喜びの声ばかりだった。

 「あ…っ!」
テレビのスピーカーから思いがけず大きな声が響いた後、痩せ型の男のへこんだ腹の上に彼の白い体液が飛び散った。
その瞬間、雅春は突然リモコンを鷲づかみにしてテレビの電源を切ってしまった。
彼はそのまま僕のベッドに倒れ込み、頭から毛布をかぶってしばらく動かなかった。
僕は雅春に声を掛ける事ができず、消灯時間になるとしかたなく彼に背を向けてベッドに横になった。
その時僕は興奮が冷めなくて本当はすぐにオナニーをしたかった。 でも隣の雅春がちっとも動こうとしないので、僕もなんとなく動き出す事ができなかった。