6.

 ほとんど周りが見えない暗闇の中で触れ合うには、耳で聞こえる情報と手の感覚だけがたよりだった。
雅春に抱き締められると、僕の体温が急に上昇した。
彼の息遣いがすぐ近くで聞こえた。
彼が動くたびに布の擦れ合う音が部屋の中に大きく響いた。
やがて雅春は体を起こして布団に潜った。彼のシルエットが足元へ移動すると、僕の緊張はピークに達した。
気がつくと、彼の頭が僕の胸あたりにあった。僕は右手で彼の髪をそっと撫でてあげた。
すると彼の両手が僕のパジャマをまくり上げ、やがてその細い指が2つの胸の突起を探し当てた。
彼の指に乳首をつままれると、僕は思わず息を呑んだ。
でもそれは、まだ始まりにすぎなかった。
雅春が再び動くと、彼の手が僕の胸から去り、ベッドが微かに軋んだ。
その後、仰向けに寝ている僕のふくらはぎに雅春の全体重がかかった。彼のシルエットは、ぼんやりと足元の方に見えるだけだった。
そして彼の両手が僕の腰のあたりをまさぐり、雅春は僕のパジャマのズボンを下ろそうとした。
その時僕は反射的にそれを拒む態度を取ってしまった。
僕が両手でパジャマのズボンを押さえると、雅春は抵抗を感じて小さくこう囁いた。
「亮太、嫌なのか?」
そう言われても、僕には何も答えられなかった。
僕は決して彼に触れられるのが嫌だというわけではなかった。ただ十分に反応を示している大事な物をさらけ出すのが恥ずかしかったんだ。
「いいだろう?どうせ暗くて何も見えないよ」
雅春のハスキーな声が、そう言って僕を誘惑した。
僕は結局その後体の力を抜いて完全に雅春に身を委ねた。

 僕は彼の手によってあっさりパジャマのズボンを膝まで下ろされてしまった。 その時の感覚は、言葉では表現できないほど狂おしいものだった。
雅春が、足元でクスッと笑った。そして彼は僕をどんどん興奮させていった。
「もうパンツが濡れてるよ」
そう言われた時、頬がカッと熱くなるのを感じた。
「あっ…」
彼の手が足の付け根に触れた時、僕は思わず小さく声を上げた。それはくすぐったいような、気持ちいいような、なんとも言えない 感覚だった。
雅春の手は暗闇の中で僕の体に次々と触れた。
彼は僕のへその下あたりを集中的に触り、それから股のあたりに何度か触れた。
その後彼はもう一度クスッと笑った。
「亮太はまだ毛が生えてないんだな」
彼の声がそう言った時、僕は恥ずかしくてますます体が熱くなった。もう脇の下にはしっとりと汗が滲んでいた。 雅春の手は、さっきからずっと僕のヘアーを探し求めていたんだ。
「もう硬くなってるよ」
その声の後、僕の体に電気が走った。それは、とうとう彼の指が僕の1番敏感な部分に触れたからだった。
「亮太のは小さくてかわいいね」
「あぁ!」
雅春の指が小刻みに動き始めると、喉の奥から溢れ出す声を止められなくなった。 もう何も考えられず、脳みそが融けてしまいそうだった。
「あ…あぁ」
「ダメだよ亮太、静かにして」
暗闇に響くその声はひどく矛盾していた。僕を興奮させているのは雅春なのに、その彼が静かにしろというんだから。
「あ…あ…」
やがて、言う事を聞かない僕の口は彼の唇によって塞がれた。
雅春は不器用に僕の舌を吸いながら、指の動きも決して止めなかった。
彼の体が僕の胸にのしかかると、苦しくて息ができなくなりそうだった。 僕は彼の肩を両手で叩いて必死に苦しさをアピールしていた。でも本当は苦しさよりも気持ちよさの方が圧倒的に勝っていた。
彼の指も、彼の舌も、僕の脳を刺激して止まなかった。
ダメ。雅春、これ以上続けたら我慢できなくなっちゃうよ。
僕は心の中で必死にそう叫んでいた。限界はもうすぐそこまで近づいていた。
僕の先端から少しずつ体液が漏れ出している事はもう明らかだった。 雅春が指を動かすたびにその刺激で体液がピチャピチャと音をたてていたんだから。

 それでも僕は、もう少し我慢できると思っていた。だけどその瞬間はすぐにやってきた。
彼の手の中で射精した時は、気絶しそうなほどの快感が脳に押し寄せてきた。
僕の先端からドクドクと熱いものが飛び出した時、雅春はすぐその事に気付いて指の動きを止めた。 だけどその瞬間も彼の舌はまだ僕の舌を吸い続けていた。
僕が1番恥ずかしかったのは、実はその後だった。
頭の上の方でティッシュが取り出される音が何度か響き、その後雅春は手探りで僕の先端を綺麗に拭いてくれた。
しかも僕はその時また感じてしまい、小さく声を上げてしまった。
僕がベッドの上で脱力していると、すべてをやり終えた雅春が小さく息をついてすぐ隣に横たわった。
その時は彼の吐息が耳のすぐそばで聞こえた。
「気持ちよかった?」
僕は彼の問い掛けには答えず、布団の下で静かにパジャマのズボンをずり上げた。
その後すぐに彼の唇が僕の熱い頬に短いキスをしてくれた。
「この次は、1つになろうね」
雅春のハスキーな声がそう言うと、僕はゾクゾクするほど興奮した。
彼と体を重ねた時いったい自分はどうなってしまうのか。それを想像すると、また体が火照ってきた。
「ねぇ亮太、俺のもやって」
僕の耳に彼がそう囁くと、僕はすぐに右手で彼のパジャマのズボンを下ろし始めた。
僕は雅春がやってくれた事を手本にして、彼と同じ指の動きをしていた。
彼の大事な物は、やはり硬くなって濡れていた。
へその下あたりからどんどん手の位置を下げていくと、フサフサしたヘアーがすぐに僕の手に触れた。
その時は、なんだかちょっと悔しかった。