20.
僕はつかさと、しょっちゅうキスをする。
ただいまのキスとか、バイバイのキスとか、なんでもないキスとか。
でも、それだけだ。僕たちは、なかなかその先には進めずにいた。
毎日のように彼と会って、食事をしたり、いろんな事を話したり、遊びに行くのはすごく楽しい。
だけどつかさは、午後10時を過ぎると必ず僕を家に帰した。
「もっと一緒にいたい」 とか 「まだ帰りたくない」 と訴えても、彼は絶対に聞く耳を持たない。
そしてそれは、今夜も同じだった。
最近僕は、寝不足だ。パジャマに着替えて布団を被っても、すぐに眠れた試しはなかった。
枕を抱えて思うのは、つかさの事ばかりだった。
彼の病室で、僕たち2人がやった事。
それを思い出すと、いつも頬が熱くなった。そして体は、自然に反応した。
僕の体は、つかさの愛撫を覚えている。
彼の舌は、温かかった。僕はあの時、狂ったように感じていた。
もう自分に嘘をつく事はできない。つかさの愛撫がすごく恋しい。もう一度、あんなふうに感じてみたい。
なのにつかさは、なかなかその機会を与えてはくれなかった。
だから僕は、仕方なくオナニーを繰り返す。布団の下でパンツを脱ぎ、右手で自分を導くんだ。
その行為は、もう何度も行っている。最初にやったのは、中学1年生の時だ。
オナニーはすごく気持ちがいい。だからこそ、何年経っても止められない。
でも近頃は、射精をした後すごく空しくなる。だって本当は、つかさにかわいがってほしいから。
彼はどうして僕に触れようとしないのだろう。
つかさは自分の性欲を、どうやって処理しているのだろう。
それを考え始めると、いつも眠れなくなってしまう。
僕の長い夜は、いったいいつまで続くのだろう……