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司8.6 (2)

◆aPPPu8oul.氏

司の膝の裏に腕を差し入れ、もう片方の腕は背中に回して、軽々と抱き上げる。
隆也の首に腕を絡ませた司の頭が、嬉しそうに擦り寄る。
その頭に猫耳がついているせいか、仕草もやけに猫っぽく見える。
「うちの猫ちゃんは甘えん坊だな」
からかうような口調に、司も挑発的なことを言ってみせる。
「でも猫は気まぐれだよ? 」
「言ったな」
笑って、ベッドに下ろした司の額に唇を落とし、頭を撫でるついでに猫耳も撫でてみる。
上体を起こしたままの司の横に腰を下ろして、首輪の周りをくすぐりながら思案する。
「…司」
「何? 」
ドン引きされそうな予感もするがそこはチャレンジだ。
「とりあえず『にゃん♪』って言ってみようか」
「やだ」
予想通りきっぱりはっきり断られてしまったが、思ったほどダメージはなくて済んだ。
というのも、司の頬が赤く染まっていたからだ。
これならいける、と隆也が次の手を考えている間に、司の手が猫耳に伸びる。
「やっぱり趣味だったんだ…」
「いや待て、それは違う! こういうもんはふいんき(ry だろうが!」
慌てて止めた甲斐あって、猫耳はなんとかまだ司の頭に落ち着いているが、
いぶかしげな視線は痛いほど隆也に突き刺さる。
「…ほんとにそれだけ? 」
「それだけだって! あんまり司に首輪が似合うからやってみたくなっただけで…だから、な? 」
何がだからなのかはさておき、司はしばし黙り込んで。
「……わかった……今日だけだからね? 」
結局折れてしまうのは、司もまんざらでもなかったのか、ほれた弱みという奴か。


「さんきゅ」
躍る胸のうちを押し隠して、隆也は司の唇を塞ぐ。
深く口付けを交わしたまま首輪の周りをくすぐると鼻にかかった息が漏れ、
司の舌が痺れて動かなくなるまでじっくりと舌を絡めあい、口内を貪ってようやく口を離すと。
「ふ…にゃ、あ」
やばい。思った以上に破壊力がある。
「か…わいい……可愛いなぁもう! 」
たまらず頭を抱きしめて、(猫耳がずれない程度に)むちゃくちゃに頭を撫でてやる。
「ひゃっ……せ、せんせ、ちょっと……」
「ん、ちゅっ…ちゅ……れろ……」
ぐいぐいと服を引っ張って抵抗する司の(ホンモノの)耳にキスをして、舌でなぞるとまた甘いため息が漏れる。
「ふ、あ……ゃあ、んっ……」
「ちゅ……『にゃあ』は? 」
鼻の頭をくっつけて意地悪く言うと、触れそうに近付いた唇から可愛い鳴き声が発せられる。
「う……にゃぁ…」
なんというかもう、好きとか萌えとかではなく、ただただ可愛い。
こねくりまわして可愛がって可愛がって、もっと鳴かせたい。
いや、もちろんまっとうな意味とは違う意味も含んではいるが。
「司っ……」
顔中にキスして、襟を後ろから前へなぞってボタンを外していく。
「んっ……ぁ……」
細めた目を瞬かせながら、司の手が隆也の服を同じように脱がしていく。その手が、シャツを掴んだまま止まる。
「んぅ…っ…は……」
はだけたシャツの間から差し込まれた男の手が、僅かな膨らみをいとおしそうに撫でさする。
「ふ……にゃあ……」
恥ずかしさに耳まで染まった司の口から鳴き声が漏れるのが、隆也にはたまらない。
赤く染まった首を飾る首輪に指をひっかけて、ぐいとひき寄せて腕の中に収める。
「…どうせなら尻尾もほしかったな」
つ、と腰に回した手で背中をなで上げ、下ろしてズボンの中にまで手を入れる。
「にゃっ……し、しっぽ? って、やっぱ先生本気……」
どうせなら、とまた余計なことを考えながら、
下着と肌の狭い隙間に手を差し込んで指先と掌で滑らかな丘をくすぐる。
「どうせなら、で思いついたんだが、この場合俺は飼い主、つまりご主人様だな? 」
「だな? って……ひゃっ!? 」
ちょっと冷めた視線を感じつつ、隆也の手は司の尾てい骨をくすぐり滑らかな尻の谷間をすべりおりる。
アナルの周辺を指先でくるくるとなぞると、司の肩が震える。


「ふ、やぁ、そんなとこっ……」
「いや、尻尾があったとしてもここくらいしか付けられそうなとこないよなぁ、と思って」
ふるふると震える司の頬に口付け、アナルに指先を埋めようとすると、腰が浮く。
「やだ、そこっ……せんせぇっ」
逃れようとする腰を抑えて(実際は腕にズボンがひっかかっていて、どうあっても逃れられないのだが)、
耳元で囁く。
「ご主人様、だろ? 」
「ふ、にゃ…ご主人様…やだ、やめてくださいっ」
自分で言わせといてなんだが、ものすごく危険な世界にハマりこもうとしている。
かもしれない。いやけっこう。かなり本気で。
「ん、よくできました」
満面の笑みで指を戻して、腰を抱いて押し倒す。そのままズボンを下着ごと引き摺り下ろして、膝下で止めてやる。
「は…はぁ……」
ぐったりと体をなげだした司の口からは、熱い息が吐き出されている。
「…いやいや言いながらアナルで感じちゃった? 」
意地の悪い笑みで隆也が問うと、むっとした表情がむけられる。
しかしどうも迫力がないのは、赤い頬だけでなくやっぱり可愛らしい耳と首輪のせいだろうか。
「悪い悪い、もう意地悪しないから…な? 」
頭を撫でてやると、今度は怒ったような困ったような、微妙な表情を浮かべる。
「……ほんとに? 」
「ほんとに。約束す…る」
一瞬考えこんでしまった隆也の語尾が気に食わなかったらしく、司はがば、と起き上がる。
「やっぱやだ。付き合ってらんない」
「あー、待てって! なぁ、ほんとに、約束するから! 」
頑張れ隆也。スレの皆の期待がお前に寄せられている。
シャツは前回で片方肩から滑り落ちていて、膝下までズボンと下着をひき下ろされて大事なところが丸見えで、
猫耳首輪装備の司の痛い視線が刺さる。
これはお預けくらってるのは飼い主の方のような気がするが我慢して、むっと閉じられている口が開くのを待つ。
「……付き合ってあげるんだから、なんかちょーだい」
そうきたか。ただせっかくの譲歩を逃す手立てはない。
「……何が欲しいんだ? 」
「シルバー925のリング。12800円」
リアルな数字がちょっと胃に響く。夜の市場価格と比べたくなるのは汚い大人の性だろうか。
「わかりました……」
がくりとうなだれた隆也の頭に、細い腕が伸びる。顔を上げると、膝立ちの司の胸に抱えられた。
「……じゃあ可愛がって」


頭に吹きかけられた息がくすぐったい。12800円はあっという間に頭の隅に追いやられて、胸に吸い付き押し倒す。
「ちゅ…ん…ほんとに気まぐれだな」
「んっ…そ、だよ……」
司がごそごそと足を動かして、膝下でわだかまっていた衣服を脱ぎ捨てる。
隆也は口で胸を愛撫したまま、自由になった司の脚を割って間に腰を入れて、滑らかな太ももに手を滑らせる。
「ん、にゃ、んっ……」
なんだかんだで律儀に猫として反応してくれるのがいじらしい。
隆也のシャツも前がはだけられ、司の手が肩を撫でる。かまわず乳首を口に含んで、舌でねぶり、軽く歯を立てる。
「にゃっ…ふにゃあっ……ぁ……」
途切れ途切れの鳴き声が隆也の耳をくすぐる。内腿をゆっくり、そっと撫でさすってやると、手を挟まれる。
「……こら」
口を離して顔を覗き込むと、恥ずかしそうな視線がついと逃げる。
「ごめんなさい……ご主人様」
これはちょっと、良くない教育をしてしまったかもしれない。何がよくないって、隆也に良くない。
今の自分はものすごい勢いで常識人の階段を転げ落ちているかもしれない、という後ろめたさが鎌首をもたげるが。
「……いい子だ」
今は目の前の猫を可愛がることに集中しよう。力の抜けた太ももの間から手を引き抜いて、顎の舌をくすぐる。
「んっ…ぁ、は……んんっ……」
もともと首周りの弱い司はくすぐったそうに目を細めて、切なげな息を吐く。隆也の口元に満足げな笑みが浮かぶ。
「ちゅっ……ここ、慣れないんだな」
少し放っておくとすぐに柔らかくとけてしまう乳首に口をつけ舐ると、簡単に硬さを取り戻す。
「んっ…や、そんなの、言わないでっ……」
羞恥が快感だと、司もとっくに気付いている。それでも素直になれないのが、可愛いといえば可愛い。
苦笑して喉元をくすぐっていた手で首輪の周りをなぞって、鎖骨から胸の側面、わき腹をなでて腰骨の下に滑らせる。
臀部を撫で軽く揉んで、腿の後ろに手を入れて持ち上げる。
「…にゃぁ……」
司の中では「やぁ」が「にゃぁ」に自動翻訳されているらしいと、なんとなく気付く。
隆也は体を起こして司の両脚を持ち上げる。恥ずかしい場所をさらされた司は思わず顔を横に向けて口をつぐむ。
「ちゅ……ちゅぷっ……」
けれど隆也がわざとらしく音を立てて秘裂を舐めあげ口付けると、声をあげずにはいられない。
「ふ、にゃ…にゃあんっ……あ、ふ……」
快感に震える足をなでて、隆也は陰核に口付ける。
「にゃっ……にゃぁっ……」
司が首を振るのが見える。かまわず陰核を唇で挟んで、唾液で濡らし、舌先でくすぐる。
「ひゃ、にゃぅ…にゃあっ…せ、ごしゅじ、さまっ…」
だめ、という小さな単語を拾って、ようやく隆也は口を離す。


困ったことに、愛撫だけでイくことを司は嫌がるのだ。
イってしまえばもっと気持ち良くなれるのだが、
嫌がることをやって機嫌を損ねたら、お得意の気まぐれで逃げてしまうかもしれない。
口の周りについた愛液を舐め取りながら覆いかぶさって、荒い息をつく口元にキスを落とす。
「……な、司……後ろから…いいか? 」
熱で潤んだ目が隆也を捕らえて、こくりと頷く。その頬にもう一度口付けて、司の上から退く。
腕に引っかかったままのシャツを脱ごうと身をよじる司の腰に手を添えて
うつぶせになるよう促して、自分もシャツを脱ぎ捨てる。
ズボンを下着ごと脱いで足を抜くと、司の滑らかな背が呼吸に合わせてゆっくりと上下していた。
「腰…立たせられるか? 」
「ん……」
腰を立たせた司の姿勢はそれこそ発情した雌のそれそのもので、十二分に濡れてしまった秘裂が雄を待っている。
ごく、と唾を飲み込んで、いきり立ったものをあてがうと、膣口がひくりと喜ぶ。
「いく、ぞ……」
細い腰を支えてゆっくりと先端を押し進めると、切なげなため息が耳をくすぐる。
「ん、んぅ…は……はぁ、んっ……」
腰を突き動かしたい衝動を抑えて、温かく蠢く膣に竿を収めたまま、熱く汗ばんだ司の背にのしかかる。
首輪が少し邪魔だがはずさせたくはない。首輪の上に少し無理をして舌を伸ばして、耳たぶを唇で挟む。
「んっ……ふにゃ、あ……」
声とともに膣が収縮する。それに喜んだ肉棒がびくりと跳ね、司の肩が震える。
動かなくとも断続的に与えられるもどかしい快感が、早く次をと強請る。
「……司、好きだ……」
きゅう、と締め付けられる喜びを合図に、体を離し腰を突き動かす。
引きずり出した肉棒を引き止めるように膣は絡みつき、押し込むと卑猥な水音とともに愛液が滴る。
「あ…あぁっ、あ……は、はぁ……あ」
余裕のなくなった司の口からはふざけた鳴き声が消え、代わりにもっと獣じみた喘ぎが吐き出される。
その乱れよがる様が、わかりやすく本能を刺激する。
「あ、やぁ、は…はぁ、は、あっ」
次第に激しさを増す抽出にあわせるように、高く突き抜けるような声の感覚が狭くなる。
「司…司っ……っ!」
隆也は名前を呼んではるが、それはもう言葉ではなく叫びで、
考えもなしにただただ内からの衝動のままに突き動かされていた。
「あっ、あぁっ、せんせ、せんせぇっ…!」
司も同じように、喘ぎながらも名前を呼び返す。名前を呼ぶということは、相手を求めるということなのだ。
それを理性とは別の部分で感じながら、隆也はがむしゃらに腰を動かし、司を喘がせた。





「…せんせ」
「うん? 」
猫耳と首輪をとるのも忘れて、苦しいほどあがってしまった呼吸を整えていた司が、
体を横に向けて隆也の顔を覗き込む。
「ほんとに趣味じゃないの? これ」
ふさふさとした猫耳をなでながら聞く司の表情は真剣だ。
「何度も言わすなって。偶然手に入ったものをたまたま今日使おうと思っただけだ」
頬をなでて笑ってやると、司はむぅ、とむくれた表情を作る。
「……でもなんか、先生すっごい楽しそうだった」
言い当てられると多少気恥ずかしくて、ぽりぽりと頭をかく。
「それはだな…思った以上に司がハマってた、というか、ほんとに可愛かったから……うん、正直ハシャいでたな」
照れくさそうな隆也をじっとみつめていた司が、不思議そうに軽く首を傾ける。
「……そんなに嬉しかった? 」
「うん。……あ、そうだ、リング。いつ買いに行く? 」
一度約束したんだからな、と男らしく言った隆也の台詞に、何故か司は反応しない。
見ればじっと何か考え込んでいる。
「……司? リングいらないのか? 」
「え、あ―…うん」
顔を上げた司の返答は予想外で、思わずじっと目を覗き込む。
「ほんとに? 」
「うん。最初から買ってもらう気なかったし」
悪気のない笑みを浮べた司の様子にほっとして、隆也も笑みを浮べる。
「ただ」
司の一言に、隆也の笑みが凍りつく。
まさか12800円より高いものを要求するつもりでは、いやまさか、と一人問答を繰り返しつつ恐る恐る聞き返す。
「…ただ? 」
しかし司ははにかんだ笑みを隠すように隆也の胸にすりよる。猫耳がくすぐったい。
「先生とお揃いのカップが欲しい」
「カップって…ティーカップか? 」
司の頭をなでながら、ふと考え込む。
言われてみれば隆也は自分用のカップを使っているが、司には客用のカップを使わせている。
「うん……だめ? 」
気持良さそうに目を細めていた司が、じっと見上げてくる。12800円に比べたら安い買い物だ。
なによりただでさえ甘くなってしまうこの仕草を、こんな格好でやられたら断れるわけがない。
「いや、もちろんOKだ。今度一緒に買いに行こうな」
「うん。それとね」


今度は何だ、とひやひやしている隆也の頭に、猫耳がつけられる。
「今度何かするときは先生もやってね。不公平だから! 」
にやりと笑った司には、絶対に猫耳をつけさせられた写真は見せられない。
などと余計なことを考えていて、今度も何かしていいという司のお許しに気付かない隆也は、
不自然な笑いを口元に張り付かせていた。


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