炎色反応 第一章・6


「はあっ…………ああ…!」
一突きされるたびに、その形に直腸が広げられるのを感じる。
「はひっ…ん、あ、あん、ああっ…」
オルバンのものに加え、まだ体の中に残っていた彼の力がティスの中を陵辱していた。
男の性器とティスの内壁との間に入り込み、ころころと転がって強烈な刺激を与える時もある。
オルバンが腰を引いた瞬間に奥底に潜り込んで、閉じようとしていた肉壁を広げ予想外の悦楽を生み出す時もあった。
「ああ……あ、あ、あああっ」
開きっぱなしのティスの唇からは、ひっきりなしに甘い声が上がる。
痛いのをこらえ、ただ彼の気が済むのを待てばいいと思っていた。
だが男どころか女もまだ知らない少年に、この攻めはあまりにも激し過ぎる。
限界を超えた快楽に、何も知らなかったはずのティスの肉体と精神は陥落させられようとしていた。
「オル、オルバン様ぁ…」
小さな舌を犬のように垂らし、そこからだらしなく唾液の糸を引きながらよがるティスはすでに痛みなど感じていない。
口を覆っていた手は外れ、自らの乳首と性器に回ってそこを慰めていた。
乱暴な魔法使いの動きに初めてだった穴は裂けて血を流している。
なのにティスのものは完全に勃ち上がり、恥ずかしい液をさかんに零している。
その内部も、オルバンが腰を使うたびに粘つく水音を発しながら彼のそれをきゅうきゅうと食い締めていた。
「淫売」
額にかすかに汗をにじませつぶやきながら、オルバンは激しくティスを犯し続ける。
「どうだ、もっと突いて欲しいか」
「はっ……?」
問いに、一瞬だけティスの理性が戻った。
ここでうなずいたらもう戻れない。
神の声にも近い何かが頭の中で警告している。
だがティスの中に入り込んだ悪魔は、それを素早く察してこう言うのだった。
「欲しくないのか? 嫌ならもうやめてしまうぞ」
言うが早いか彼が腰を引こうとするのが分かる。
無意識に彼の律動に合わせて尻を振っていたティスは、あっ、と慌てたような声を出してしまった。
「どうする?」
精悍な顔に薄笑いを浮かべ、オルバンは二つの選択肢を突き付けてくる。
けれど実際には、ティスにはその片方しか選ぶことは出来ない。
もちろんオルバンはそれを知っているのだろう。
圧倒的な力で自分の心と体を思うままに操るこの男が憎いと思った。
でも、もう、どうしようもない。
潤んだ瞳でオルバンを見つめ、たどたどしい声でねだる。
「ほ…し…、もっと、突いて……下さい…」
その後ティスは、体内どころか体中に彼の精液を吐きかけられて汚され尽くした。


***


オルバンと自分、二人分の体液にべたべたになった体を横たえティスはぼんやりと夜空を見上げている。
空の一部が白くなり始めている。そろそろ夜が明けるのだ。
周りを見回せば、オルバンが殺した男たちの凄惨な死骸もはっきりと見え始めている。
けれど今のティスにはそんなことはどうでもいいことのように思えた。
終わったんだ。もう。
力ずくで犯されたことだけではない。
自分の中の決して明け渡してはいけなかった部分が、手の付けようがないほどに踏みにじられてしまったことを彼は感じていた。
けれどもう終わった。
早く家に帰りたい。布団を被って部屋に閉じこもって、今夜のことをみんな忘れてしまうまで誰にも会いたくない。
そんなことを考えていた時、突然何かが目の前に飛んで来た。



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