炎色反応 第二章・2
右手の指先が光っている。
彼が力を使う合図のようなその輝きに、ティスは小さく喉を鳴らした。
いつかも見た流星のような光が中央の大卓に向けて長い尾を引く。
その周りにいた村人たちが悲鳴を上げて腰を浮かせる中、光は垂直に卓の上に落下した。
それは卓の表面に達する寸前、四散して無数の砂粒のようなきらめきを生む。
一つ一つが力持つその光は、落下地点から一斉に辺りに向けて飛び散った。
突風のような力により、卓の上の酒や料理の全ては派手な音を立てて回りの床に吹っ飛ばされてしまった。
呆気に取られているティスの腕を掴み、オルバンは酒場の中央に歩み出る。
きれいさっぱり何もなくなった卓の上に、少年は上半身をうつぶせに押さえつけられた。
腰に手が触れる。
次の瞬間、下着ごとズボンを引き下ろされたことに気付いて彼はぎょっとして背後を見た。
「オルバン様っ」
少年の下肢をむき出しにさせたオルバンの右手が、白いその尻の狭間に入る。
「オルっ…」
「黙ってろ」
左手でぴしゃんとその尻を軽くぶった後、魔法使いはティス以上に驚いた顔をしている村人たちを眺め回した。
最後に彼は卓から少し離れて立つアインに目を止め、金の瞳を細めてにやりと笑う。
「男も悪くないってことを見せてやろう」
その言葉と同時に、オルバンの片足がティスの足の間に入って来た。
彼の膝頭が太腿を内側から押している。
もっと足を開くことを強要され、ティスはぎゅっと唇を噛み締めてそれに従った。
尻を突き出すような格好で、おとなしく足を開いていく。
それに伴い、普段外気にさらされない部分に冷たい空気が触れるのが分かった。
性器はとにかく、尻たぶの間に隠されていた淡い色をした小さな穴は丸見えになっているはずである。
「う…」
恥ずかしさにティスは顔を強く卓に伏せたが、足はあくまで開いたまま。
オルバンが何をする気か分かったからだ。
先のアインの言葉に対する面白い趣向を披露するつもりなのだろう。
この、夜とはいえこうこうと明かりの灯った酒場のど真ん中で、見ず知らずの酔っ払いたちに見られながら犯されるのだ。
「あっ…」
尻の割れ目をゆっくりと辿る指先に小さな声が漏れる。
やめて下さいという言葉は出ない。
抵抗の言葉など無駄だということを、彼はとうの昔に散々思い知らされていた。
「ああっ…」
指を舐めて濡らしたらしいオルバンが、それを中に差し入れてくる。
くちゅ、という水音が上がると、強張った顔をしたままの男たちの中からどよめきのようなものが上がった。
オルバンは気にした風なく、いつもと全く変わらないしぐさでティスの中をかき回し始める。
ティスも卓の上にしがみつきながら、早く彼の指の感触に酔ってしまおうとしていた。
「あっ……ん、あぁん」
声を殺すこともせず、固く目を閉じたままよがる。
オルバンが一度こうすると決めたのだ。
どれだけ自分が抵抗しようが彼は必ず思うようにするだろう。
そして彼は今、挑発してきたアインの鼻を明かしてやろうとしている。
そのためにはティスは、せいぜい盛大に身悶えて見せなければならない。
だから早く酔ってしまいたい。
こんなこと、早く終わらせてもらいたい。
「気持ちいいのか?」
そんなティスの思いを知ってか知らずか、オルバンが二本に増やした指で内壁をひっかきながら尋ねて来る。
「気持ちいい、です…」
「オレに犯してもらいたいか」
「は、はい……してもらいたい、です…」
従順な台詞にまた男たちがどよめく。次第に彼らの息が荒くなって来るのにも、ティスは気付くまいとしていた。
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