炎色反応 第二章・3


実はオルバンが、すでにこの酒以外に見所のない村に飽き始めていることをティスは知っている。
今夜のことで決定的なけちが付いたと彼は考えているに違いない。
おそらく、夜が明ければオルバンはここを離れるつもりだ。
この村の男たちにも二度と会うことはないだろう。
どれだけ恥ずかしいことをされようが、しょせんは他人。
下手に恥ずかしがって後でひどい目に遭わされるより、オルバンの心証を悪くしない方がいい。
そんな小ずるい保身をまず考えるようになってしまった自分を情けなく思いながらも、ティスは腰を押し付けて来たオルバンに身構えた。
「う……うあッ」
入れられる最初の瞬間は、やっぱりまだきつい。
だが深々と一度刺し貫かれてしまえば、もうほとんど痛むことはない。
「だいぶ慣れたな、お前も」
オルバンはくすくす笑いながら、己のものをくわえ込んだその場所を周りに見せ付けるように指で更に押し広げた。
魔法使いの巨大なものと、それを易々と飲み込んだ少年の尻に酔いもさめた様子の男たちの視線が集まってくる。
「すげえ」
興奮したような声が聞こえ、ティスは反射的にそちらを見た。
アインの仲間か、ちょっと気が弱そうな青年の股間が服の上から分かるほどふくらんでいる。
オルバンもちらっとそちらを見た後、口元に笑みを浮かべるとゆっくりと動き始めた。
「ふあっ…………あ、ああっ、あ、んっ……」
深く突き、突いてはほとんど全てを引き抜くその行為は、見る側の目を意識した動きだ。
ぬらぬらと濡れ光る長大なオルバンの性器、それに貫かれ広がってはすぼまるを繰り返すティスの入り口を無数の好色な目が視姦している。
「あーッ……あ、あ、あぅ」
たっぷりと見せつけた後、次はあえぎ声を披露するとばかりにいきなりオルバンの動きが激しくなった。
「あ、ああっ、すご、すごいっ、オル、あん、ああッ」
ぐちゅぐちゅと音を立て、直腸の中を太い物が蹂躙する。
こすられる動きに気を取られている内に、胸元にオルバンの右手が忍び入ってきた。
その手で下から軽く持ち上げられ、うながされるまま身を起こす。
「あ、あ…………やっ」
卓の上に手を突き、顔を隠すことも許されぬままシャツの下の乳首を転がされてよがった。
尻には相変わらずオルバンの腰が打ち付けられている。
紛れもなく興奮した男たちの視線を全身に浴びながら、ティスはそのことにも煽られ白い肌をうっすらと紅潮させた。
ランプの光が振り乱された少年の金の髪をきらきらと輝かせる。
妖精めいた可愛らしい容貌の彼が、半裸で身をくねらせながら後ろから犯される姿に集った男たちはすっかり欲情させられた様子だった。
ティスもまた、あられもない姿を彼らに見られることにいつにない昂ぶりを感じている。
「あ……っ!」
高まった快感が頂点に達し、弾ける。
ティスは極めた証の体液を床に零し、一拍遅れて下腹に熱いものが流し込まれるのを感じた。
「ん、あ…」
余韻にぴくぴくと震えながら、再び卓の上に身を投げ出す。
突き出されたままの尻から、オルバンのものがずるりと抜け出るのが分かった。
ふっと彼が一息つくのが聞こえる。
気をやった後の余韻がその息にもあった。
そして彼は、前髪をさらりとかき上げて物欲しげな男たちを見回す。
「さて、次は誰にする?」
彼は平然とそう言った。

←2へ   4へ→
←topへ