炎色反応 第二章・4


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最初、ティスはもちろん酒場の男たちもみな呆気に取られているようだった。
「見てるだけじゃ面白くないだろう?」
一人いつもと変わらぬ、いやいつも以上に冷静な声でオルバンは言うと、別の卓に近付きそこに置いてあったきれいな布巾で自分のものを簡単にぬぐった。
精液の青臭い匂いが酒と入り混じり、集う者たちの更に心を乱す。
まだ動けないティスの尻の中からは、先ほど魔法使いがぶちまけたものがとろとろと流れ出し貧弱な太腿を伝い落ちていた。
粘液に濡れた穴はまだ彼のものに広げられた名残が残っており、ふちの赤らんだふくらみがひどく卑猥に映る。
「お前、やっていいぞ。つらいだろう、それじゃ」
さっさとくつろげていた衣を直したオルバンが指名したのは、さっきティスも見た股間をふくらませた青年だ。
気弱そうなその見た目とは裏腹に、彼のものは服の下から苦しそうなほどに己を主張している。
「オ、オレ」
さすがに気が咎めるのか、それだけの反応を示しながらも彼は及び腰だった。
だがオルバンはなおも「いいからやれ」と言う。「遠慮するな」とも。
金色の魔法使いの瞳が気弱な青年の心を揺さぶる。
それに、肉の欲望が高まっているのも事実。
力ある魔法使いに脅されてのことという言い訳はすでに用意されている。
「オルバン様…」
なすすべもなく、ティスは小さな声でつぶやいたきり同じ姿勢でぎゅっと目を閉じた。
人前で犯されるだけで済むなんて甘かった。
彼は最初から、男たちをここまで煽り立てる気でこんなことをしたのだ。
卓の周りで人が移動する音がして、見知らぬ手の感触がティスの尻を割った。
その拍子にオルバンの精液が内側からどろりとあふれ出る。
恥ずかしさに消えてしまいたくなるような思いをしているティスの中に、やはり知らない指先が入って来た。
「ひっ……ん、う………」
もう覚えてしまった指先とは違う感覚は、強烈な違和感となってティスの胸を騒がせる。
さっきまでとは逆だ。
違う男に犯される姿を、今度はオルバンに見られている。
「うわ、きつい」
いきなりきゅっと指を締め付けてきたのに驚いたように、気弱そうな青年はその指を引き抜いた。
「きついからいいんだろう。いじってやれ。すぐ感じ始める」
身も蓋もないオルバンの言葉にティスはますます顔を赤らめた。
と、慣れた指の感触が不意に体内に入って来た。
「んんっ!」
「これぐらい入れて、この辺をこすってやるんだ」
青年の側に立ったオルバンが、自分の吐き出した欲望に濡れたティスの中をもてあそぶ。
くちゅくちゅという音と、指が第二関節辺りまで埋もれてはその辺りをひっかく感覚はたまらない快感を呼んだ。
「あ、ああっ…………オルバン様ぁ…」
魔法使いの指をくわえ、卓の上で淫らに跳ねる白い尻を気弱な青年は真正面で見せつけられている。
彼の物はズボンの下で更に大きくふくらみ、それを見たオルバンはにやっと口の端で笑った。
もっととねだるように突き出された尻から、彼の指が呆気なく引き抜かれる。
「もういいぞ。入れてやれ」
とろりと糸を引いて抜き出された指に代わり、硬い物があせったようにそこに押し付けられたのが分かった。
限界近くにまで勃起したものを、先の青年があてがって来たのだ。
「ひぃ…………っ……!」
ティスは眼を見開き、オルバン以外の男を初めて身の内に受け入れた。
弱々しい雰囲気とは裏腹な青年の物は、オルバンに勝るとも劣らぬ太さで少年の中をぎちぎちと広げる。
その上彼は、いきなりティスの腰を掴み乱暴に揺さぶり始めた。
残っていたシャツもはぎ取られ、靴以外全裸にした少年を背後から突きまくる。
「あ、あっ……だめ………」
吐息に混じった懇願など青年に最早届く様子はない。
中に出された物にぬめる内部を楽しみながら、自分本位にがつがつと少年の肉体をあさる。


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