炎色反応 第二章・5


「くっそ、すげえ…オレ、だめだ、いっちまう」
顔を真っ赤にした青年は、絡み付くティスの体のもたらす感覚に抗うように彼の下肢に手をやった。
一物と違って繊細な感じのする妙にきれいな指が、今まで触れられなかったティスのそれを握り込む。
牛の乳でも搾るごとくにきゅうきゅうと握るように扱かれ、背筋を甘い痺れが駆けた。
「あ、あ、や……いや、や、ああああっ」
肉の杭に貫かれ、悲鳴のような声を上げながらそれでもティスは確かに快楽を感じていた。
卓の表面にすれる胸元では、珊瑚の色をした両の乳首が硬くとがりきっている。
「がっついてるな」
嘲るオルバンの声を聞くと、快楽は更に強くなった。
「気持ちいいか? ティス」
辱めでしかない質問に、すぐに答えることが出来ない。
主人である男の前で他の男に犯されているところなのだ。
一瞬正解を探すような顔になったティスに、彼はクスと小さく笑った。
それ以上追求せず、今度は質問をティスを犯す男に向ける。
「お前はどうだ? こいつはいいだろう」
「あ、いい、いいっ……! くそ、出ちまうッ」
悔しそうな声とともに、ティスの中に彼の欲望が放たれた。
「んっ…」
ふくらみきった物が中で弾けた瞬間、どくり、と音を立てたような錯覚を感じさせるほどに熱いものが大量に少年の奥に放出されていく。
ティスはさっきオルバンに気を逸らされたためか、同時にはいけなかった。
だが少年のものからもとろとろと白濁した液が切れ目なく流れ続けている。
背後の男の技巧云々よりも、大勢に、特にオルバンに見られながら犯される状況が彼に倒錯した快楽を与えていた。
「くっそ……すげえ、良かった…」
はあはあと大きな犬のように息をつきながら、射精したばかりの青年がつぶやく。
元から大きいという訳ではないらしく、精液を放出して萎えた彼のそれはティスの中であっという間に存在感を失っていく。
単に溜まっていたのかもしれないが、それにしても量が多い。
繋がった部分からにじみ出た体液は黄味がかかっており、さっきと同じようにティスの足を伝い落ちて独特の匂いを辺りに振りまく。
よほど今のが良かったのか、青年は未練がましい顔をして縮まったものをなかなか抜こうとしない。
その腕を、ぐいと強引に引く者があった。
まだ彼と体を繋げているティスが伝わった振動にびくりと身を震わせる。
それを舐めるような目で見つめながら、気弱な青年を突き飛ばすようにして立ち位置を入れ替えたのはアインだった。
「構わないよな?」
ベルトを外しながら言う彼に、オルバンは少しだけ間を置いてからうなずいた。
「ああ、好きにしろ」
「へへ」
最初に喧嘩を吹っかけたことは忘れたのだろうか。
呆れるような図々しい態度で、たった今中に出されたばかりのティスの尻をぐいっと広げる。
「や…」
広げられた穴から、精液が流れ出ていくのが分かる。
排泄を見られているに近い羞恥を感じ、顔を伏せたティスの中に太い指が無遠慮に入って来た。
「あんっ」
「女みたいな声出すんじゃねえよ、ったく」
楽しそうにそんなことを言いながら、アインは二本の指でティスのそこをかき回した。
内部の粘液もいっしょにかき回され、粘つく音が上がるたび卓の周りの男たちの目の色が変わっていく。
「あ、くうっ、ああああっ」
犯され続けた狭い穴の入り口はうっすら腫れ始めている。
なのに、中をこすられるとティスのものはまた硬さを増していく。
さっき一気にいけなかったせいだろうか。
緩やかな快感の波が収まり切らず、下半身が痙攣するように震えるのが止まらない。
「とんでもない淫乱だな。おい、オレに犯して欲しいのか? 尻にぶち込まれてあんあん言いたいんだろう」
言いながら、アインは指を引き抜きティスの足に手をやった。
片足を持ち上げ、その勢いでうつ伏せだった彼の体を卓の上で横向きにする。
胸、それに今まであまり人目にさらされていなかった性器が灯りの下に丸見えになった。
「おっ勃てて、感じてるのかよ、ガキが」
足を持ち上げられているので尻の穴が横に広がり、そこからいまだ零れ落ちる精液がぬめぬめと光る。
アインはその辺りをいやらしい目で見つめていた。

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