炎色反応 第二章・10



揃っている面子にも変わりはない。
気を失うまで夕べティスを犯した男たちが、一人残らずそこに揃ってにやにやしながら運ばれて来る彼を待ち受けている。
店の人間の姿は見えない。
昨日はいた楽士もいない。
暴走した若者たちが結託し、卑劣な企みのために彼らを追い出したのだろう。
男たちが取り囲む、例の大きな卓の上にティスは下ろされた。
縛り上げられ、布をかまされたまま、少年は恐怖に震えもう最後の抵抗をすることもままならないような状態だ。
「全く、ひどい眺めだろう。なあティスちゃん?」
べたべたと絡み付くような口調でアインが言った。
「お前のご主人様はやりたい放題だ。あれだけ大暴れして、村の唯一の娯楽の場所をこんなにしてどこかに消えちまった」
「けど、別の娯楽を提供してくれたからなあ」
別の男がそう言って、震えるティスの口に巻かれた布をはぎ取る。
「お前だって、ご主人様に捨てられて寂しいだろう? オレたちが飼ってやるから安心しな」
「あ…」
言葉を失ったように、布は取られてもティスは口をきくことが出来ない。
「なんだ、しゃべれないのかよ。ああそうか、気持ち良くしてもらえないとしゃべれないんだな」
笑う男たちの手が、いっせいに伸びて来た。
「い、嫌だ! 嫌!」
叫んでも、笑い声が上がるばかりだ。
伸びてくる手を避ける勢いで、その場に仰向けに寝転がったティスの体を何本もの指が掴む。
脱がせる、というよりほとんど服を引き裂かれた。
「痛い、やめて痛いっ…!」
引っ張られた布地が肌に食い込み、悲鳴を上げても興奮した彼らの動きが止まることはない。
腕の縛られた部分に引っかかった布地以外、あっけなく全裸にさせられてしまう。
その腕は頭上に引き上げられ、誰かの手でしっかりと固定させられた。
両足をそれぞれ別の手が掴み、裂けてしまいそうなぐらい大きく割り開かれ上に持ち上げられる。
「嫌…」
うめく声も、ランプの光に照らされる体に残った陵辱の跡に息を荒げる男たちの興奮を煽るばかりだった。
「お前、今日もあの魔法使いのでかいのぶち込まれたんだろう。よがり声が外まで聞こえてたぞ」
「昨日あれだけやって、本当にここに入れてもらうのが大好きなんだなあ」
彼らはどうも、オルバンとの宿でのことを盗み聞きしていたようだ。
今更のことだがそれでもやはり、ティスは恥ずかしくなって顔を背けた。
「さあティスちゃん、夕べみたいに気持ち良くしてやるぜ」
妙に優しい声でアインが言い、彼は卓の上に上がって来た。
片手に彼の肘ぐらいまでの長さの酒瓶を抱えているのが見える。
まだ栓を抜かれていない状態で、中身は瓶のくびれた辺りにまで入ってたぷたぷと揺れていた。
何をする気かはすぐ分かる。
「やだ…」
青ざめるティスを見下ろしてアインはにやにや笑い、酒瓶の栓を外して辺りに投げ捨てる。
「分かってるって、まずはちゃんと慣らしてやらないとなあ」
言いながら、彼は開けた酒瓶の口を下方にかたむけた。
「ひゃっ」
冷たいものがティスの太腿に当たって弾け、濃厚な酒の匂いが広がっていく。
空中からアインが注いだ酒は、ティスの内股を伝い性器やむき出しにされた小さな穴へと伝い落ちた。
限界にまで足を開かれているので、その穴は周囲に引っ張られすでにうっすら口を開けている。
酒はその中へ少しずつ、しかし確実に流れ込んでいった。
「や……あつ、熱いよぉ…………」
夕べと同じか、それ以上に強い酒だ。
とろとろと中を濡らしていくそのじれったい感触に、ティスは早くも酔わされたような声を上げた。
「うまいか、ええ、ここで味が分かるのかよ」
「夕べも散々オレたちの酒を飲んでくれたもんなあ」
下品な言葉を吐きながら、周りの男たちはそれぞれティスの好きな部分に愛撫を始めている。


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