炎色反応 第二章・13
「くっそ………、それでいいんだよ、もっと締めろ!」
悔しそうに言うなり、アインは手を振り上げてティスの尻を叩いた。
「痛っ!」
突然の痛みに叫んだ少年の中がまたきゅっと締まる。
効果に満足したのか、アインは続け様に白い尻をぶつ。
「痛い、やめて! やめ、やああっ」
そこまで力が入っているわけではないが、犯されながら尻をぶたれるという行為がティスに衝撃を与えていた。
被虐の悦楽も。
「いたっ……や、いや…、あ、ああ……」
悲鳴が次第に艶を帯び始める。
一つ叩かれるたびに少年のそこは男を締め付け、白い肌は見る間に薄赤く染まっていく。
「嫌々言うわりには絡み付いて来るぞ」
アインが勝ち誇ったように笑ってつぶやく。
実際ティスの中は熱くうねり、自分を征服する男のものに嬉しそうに絡み付いていた。
「もっとひどくして欲しいんだろう? そうだな、明日は大きな市場にでも連れて行ってやろう」
なおもティスの尻を叩きながら、アインは同意を求めるように周りに目配せした。
順番待ちの男たちが口々に残酷な提案を出していく。
「家畜を売るための場所があるからな。そこに他の家畜といっしょに並べて、一回いくらでその辺の奴らにぶち込んでもらうってのはどうだ」
「いっそ家畜にぶち込んでもらえばいいんじゃねえか?」
「そりゃいいや。馬なんかどうだ? 裂けちまうまでよがり狂わせてくれるぞ」
生まれ育った村では馬も飼っていたので、ティスは馬の性器がどういうものか知っている。
混濁した意識の中、彼は本気とも冗談ともつかない恐ろしい言葉に夢中で首を振った。
「嫌か? 嫌ならせいぜい、オレたちを喜ばせてみろよ!」
どこかで聞いたような言葉を叫び、アインが一層激しく腰を打ち付けてくる。
「いやっ……あ、あっ、あああッ」
その形を覚えてしまいそうなほど、何度も何度も抜き差しされてティスは次第に声も上げられなくなっていった。
枯れた喉の奥で小さな舌をひくひくと震わせるばかりの少年の中で、熱いものが弾けてあふれ出す。
「あう…」
かすれた息を吐いたティスもまた、誰かの手にもてあそばれていた性器の先からとろりと蜜を滴らせた。
こんなにされているのに達してしまう。
自分の体にまで裏切られたような気がして、大きな瞳に涙がにじんだ。
「さあ、次は誰だ」
打たれ続けてうっすら腫れた尻から萎えたものを引き抜き、アインがそう言って仲間たちを見回す。
「オレだ」
「馬鹿、オレだって」
「なあ、いっそ二人ってのはどうだ?」
「冗談だろ、てめえのとこすり合いなんて御免だぜ」
一体彼らはティスの体がどうなっていると思っているのだろう。
どう考えても無茶なことを笑いながら話し合う、気楽そうな会話をティスは天井を見上げたまま聞いていた。
その内順番が決まったらしく、また誰かの手が太腿に触れる。
両手の親指で酒と精液のたまった穴を押し開かれた途端、注がれたばかりの生暖かいものが打たれた尻を伝った。
「もうおなかいっぱいってか?」
まずは視線でその場所を犯しながら、男が卑猥な笑い声を上げる。
ねじ込んだ親指で入り口付近をぐちゅぐちゅとこね回され、ティスはああ、とため息のような声を漏らした。
「まだいけるだろ、なあ、まだ欲しいよなあティスちゃん?」
萎えてだらりと垂れ下がった性器に、尻を離れた片方の手が絡み付く。
後ろをいじられながら、前をやわやわと扱かれると、ティスは形良い眉を切なそうに寄せた。
「欲しいんだろ、言えって」
「や、もう、やめて……痛いっ!」
弱々しく否定の言葉を口に出した途端、パシンと派手な音を立てて尻を叩かれる。
「犯して欲しいんだろうが、ええ? 酒瓶突っ込まれてよがる変態が、今更何言ってやがる」
先ほどの醜態を思い出させる言葉を吐かれると、ティスはそれ以上何も言えない。
←12へ 14へ→
←topへ