炎色反応 第三章・10



「んんっ!」
「ティス!」
悲痛な声でティスを呼ぶイーリックを心地良さそうに眺め、オルバンはくすくす笑いながら言った。
「真っ向からこのオレに逆らってくるとはいい度胸だ、人間」
あえて名を呼ばず、冷ややかにつぶやくと魔法使いはきつくつまんだティスの胸のとがりをやわやわとさすってやる。
「だがこいつもな、オレに犯されて悦んでるんだ。今から見せてやるよ」
「ん、んんんっ」
指の腹が硬くなり始めた乳首を転がす。
赤味を増し始めたそれをオルバンに執拗にいじられ、ティスの性器は徐々に反応し始めた。
「んあっ…」
吐息が乱れ、思わず声を上げた瞬間噛んでいた上着が落ちる。
慌ててティスは自分でもう一度服をたくし上げ、噛み直した。
「……ティス」
従順なそのしぐさを見て、イーリックが悲しそうな顔をする。
どうすることも出来ずに彼を見つめ返した後、ティスはただ目を閉じた。
「あっ…、あっ」
オルバンがティスの体を半分後ろにねじらせ、自分も屈んですっかり硬くなった乳首を口に含む。
ぴちゃぴちゃと音を立てて舐められると声を堪えられず、再び落ちてしまった上着を手で掴んで支えた。
「くっ」
イーリックが立ち上がろうとしたが、彼を見張るようにその周囲を巡る光の反応は早い。
腰の剣を抜きかけていたイーリックの手の平を、輝く尾がかすめた。
短く息を飲み、火傷した手の平にもう片方の手を添えて彼は唇を噛み締めている。
「次はぶち抜くぞ」
ティスの胸元に顔を寄せたまま、一度唇を離してオルバンは笑って言う。
殺されないまでも、手の平に穴でも空けられたら今後イーリックは剣を持てなくなってしまうかもしれない。
「イーリックさん…お願い……何もしないで」
もう、イーリックが無事に帰されること以外望むまい。
羞恥に震えながら、ティスは彼に向かってそう言った。
イーリックもティスの気持ちを汲んだのだろう。
苦々しい顔のまま、じっと動きを止めている。
「はっ………、あ、あん」
せめて声を殺すことをティスは試みているが、オルバンはわざとのようにじらすことをしない。
片方の乳首を舌で、もう片方を指でこね回し、下肢にじんじんと響くような快感を与え続けてくる。
「あっ…ぁ、す、吸わな……あッ」
ティスがあえぐたび、イーリックはぴくぴくと肩を揺らして反応した。
「相変わらずの淫乱だな。こいつに見られるのがそんなに気持ちいいのか?」
濡れてとがりきった乳首にふっと息を吹きかけられ、びくっとしたティスを見つめてオルバンは揶揄する。
「ここも、もうこんなだ」
彼の手が、ティスの性器を服の上から掴んだ。
「あっ」
痛々しく張り詰めたものを乱暴に掴まれ、息が詰まる。
「……かわいそうなことをしないでくれ」
あえぐというよりは悲鳴に近い声を上げたティスを見て、イーリックがぽつりとつぶやく。
「ひどくされる方がこいつは好きなのさ」
まるで堪えた様子もなくオルバンは言うと、ティスのズボンに手をかけ下着ごと膝辺りまで引き下ろした。
「あ…」
寒さと、何より恥ずかしさにティスはか細い声を出す。
イーリックにも、乳首への愛撫だけですっかり勃ち上がった自分の性器は見えているはずだ。
「おまけに、前より後ろの方が感じる」
「ひああっ」
指先を舐めて濡らしたオルバンが、何の前触れもなくティスの尻に指を差し込んできた。
無防備だったそこは、何度も犯されていたにしても急な挿入はきつい。
「んんっ……!」
「やめろ、痛がってるじゃないか!」
また叫んだイーリックの周囲で光が動く。
ティスは必死になってこう言った。
「やめて! イーリックさん、お願いだから黙っていて!」


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