炎色反応 第三章・12



なのに、オルバンは更に非情な命令を下してきた。
「オレたちだけ楽しんじゃ悪いな。ティス、そいつのものをしゃぶってやれ」
ティスははっとしたように首をねじって彼を見上げた。
「そん、な…」
「やるんだ」
重ねられた命令に逆らうことなど許されない。
やむなく、ティスは四つん這いのままイーリックに近付いていった。
「ティ、ティスッ、何するんだ、やめろ!」
ぎょっとしたように叫ぶイーリックの金の髪を、たくさんの小さな光が照らしている。
「……イーリックさん、お願い………黙っていて」
暗い声でそう言うと、ティスはイーリックの足に触れた。
血が固まり始めている怪我にちらりと目をやってから、尻をつく形で座り直してもらいその足を軽く左右に開く。
「ティス…」
信じられない、と言いたげな顔を見ないようにしながら、剣を差せるようになっているベルトを外していく。
鞘ごと引き抜いたそれを草地の上に置くと、彼のズボンの前を開いた。
「ティス」
苦しそうな呼び声。
耳をふさぎたい気持ちで、見たことだけならあるイーリックの性器を取り出す。
オルバンのものとまではいかずとも、大人の男のものは結構立派な大きさだ。
しかも、先までのティスの有様を見てか少し硬くなっているようでもある。
手で触れると、イーリックはびくりと身じろいた。
「んッ」
ティスの尻にオルバンの手が伸びる。
少年の尻の穴にはまだ、彼の力の具現による愛撫が続いていた。
濡れてひくつく入り口の中に、魔法使いの指が一本根元まで埋まる。
「ふ、んんっ」
「さっさとしゃぶってやれ」
ティスの中を魔力の塊といっしょに犯しながら、オルバンは笑みを含んだ声で命じた。
「……んん」
口を開け、手の中のものをおとなしくくわえる。
「くっ、ティスッ」
イーリックが声を跳ねさせたが、構わずいつもオルバンにしているようにしゃぶり始めた。
たちまち硬くなっていくものに、もう何も考えずに舌を這わせていく。
「んん、ふう、んぅ」
尻をオルバンの魔力と指でいじられながら、口でイーリックに奉仕する。
一見ティスが二人がかりで犯されているように見えるだろうが、実際陵辱されている気分なのはイーリックの方だろう。
「ティスっ……だめだ、やめてくれ」
切羽詰ったような声でイーリックが言うが、ティスは何も答えず舌を使い続けた。
そうしていないとオルバンから与えられる愛撫に下肢が蕩けてしまいそうなのだ。
彼はティスの性器にも指を絡ませ、殊更に淫らな音を立てながら二箇所を愛撫している。
たまにぬらつく指が乳首に回り、きゅうっとつねられるとイーリックのものに歯を立ててしまいそうになる。
「んっ、んっ」
悪戯を仕掛けられた体をよじりながら、ティスはどんどん体積を増していく口の中のものに奉仕を続けた。
見ず知らずの行きずりの男相手ならいい。
恥ずかしげもなくあえぎ、乱れ、最後には尻にオルバンの精液を注がれ獣のように果てるので構わない。
でも、今の相手はイーリックだ。
絶対にそうなるだろうとは思っても、どうしても踏ん切りが付かない。
彼の知る自分の像を守りたい。
「ティスっ……ごめん、だめだっ」
イーリックだって、まさかティスの口の中に射精する日が来るとは思っていなかっただろう。
赤く染まった顔を歪ませ、切羽詰ったような声で謝りながら彼はついに精液を放った。
赤く染まった顔を歪ませ、切羽詰ったような声で謝りながら彼はついに精液を放った。
どろりとした、熱くて濃いものが喉の奥を叩いて食道に滑り落ちていく。
「全部飲んでやれよ」
くちゅくちゅと音を立てて尻を指で犯しながら、オルバンが笑ってそう言うのが聞こえた。


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